憂とは、苦しい、つらい、悲しい、気が晴れない、ふさぎこむといった意味の漢字である。
また人名にも使われる。
漢字として
憂の本字は𢝊である。ただ〔説文解字〕には、𢝊と憂は別々に載っている。
- 意味
- うれえる、思い煩う、心配する、あわれむ、喪、心配事、という意味がある。
- 𢚧は、〔説文・巻十(小徐本)〕に「愁ふるなり」とある。憂は、〔説文・巻五〕に「和の行ひなり」とあり、優の意味が載っている。また〔詩経・商頌・長発〕から「政を布くこと憂憂たり」を引用する(現在のテキストでは優優)。
- 字形
- 𢝊は、心+頁の会意。〔説文解字〕に「心頁に從ふ。𢚧(うれ)ひの心、則ち顏面に形(あらわ)る。故えに頁に從ふ」とあり、顔面に心配の様子が表れることとしている。
- 白川静は、頁は儀礼を行う人の姿で、心+頁で喪における憂愁の心情のことを表すとしている。
- 憂は形声。声符は𢚧。
- 音訓
- 音読みはユウ(漢音)、ウ(呉音)、訓読みは、うさ、うい、うれえる。
- 規格
- 常用漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。
- 声符
- 憂を声符とする漢字には、優、擾、嚘、𢖒、瀀、鄾、櫌などがある。
- 語彙
- 憂畏・憂鬱・憂国・憂愁・憂色・憂心・憂悶・憂慮
異体字
- 𠪍、𨗫は、〔字彙補〕にある古文。
- 𠮕は、〔字彙補〕にある異体字。
- 𢟜は、〔字彙補〕にある異体字。漢呉仲山碑に見えるという。
- 𩕂は、〔搜真玉鏡〕にある異体字。
- 𢙥は、〔漢語大辞典・異体字表〕にある異体字。
- 𢚧は、〔漢語大辞典・異体字表〕にある異体字。
- 懮は、〔康煕字典〕に𢝊の異体とある字。
- 簡体字は忧。
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