Digital Performerとは、米国Mark of the Unicorn(MOTU)社によって開発されているDAW・シーケンサである。現在の最新バージョンはDigital Performer 8。略称はDP、デジパフォなど。
概要
MIDIが策定されてわずか数年後の1984年に前身である「Professional Composer」としてリリースされた老舗中の老舗、現在主流ソフトの中では最も歴史のあるシーケンサである。翌1985年に「Performer」となった。
1992年、Performerにデジタルオーディオレコーディング機能などを付加したDAWとして、Digital Performerが発売された。(在来Performerも並行して開発が続けられ、1997年のバージョン6までリリースされた)
歴史と伝統ある高機能なソフトで、数多くのシーケンサが世に出ている現在でもなお、プロフェッショナルを中心に根強いシェアを誇る。ただし、最初のリリースから現在までずっとMacintosh専用であること(Ver 8からWindowsに対応、クロスプラットフォーム化)や、買収されApple傘下となったLogicの方が否が応でも目立つことから、一般または初心者・中堅者層への知名度はさほど高くない。
- 日本語での解説ブログや解説サイトが全く存在しない
- 長らくMac専用、且つプロユースという評判が根付いている為に敷居が高い
- 最近のバージョンまでUIが日本語対応していなかった
- 最近のバージョンまでお手軽に試せるデモ試用版が存在しなかった
- プロユースということもあり、ノウハウをプロの作編曲家たちが師弟関係で伝えていた
- 上記の欠点に対応している間にLogicが一気にコストダウンをしたために、Mac=Logicという図式ができあがってしまった
打ち込みや編集は非常に柔軟かつクイックオペレーションで、またMOTU社製インターフェイスと組み合わせたときの極めて精度の高いタイムスタンピングや安定性など、プロフェッショナルユースに耐え非常に高い評価を得ている。
また従来のプロ現場でのProToolsの有利性を活かしつつ、それを前提に補う機能やキーボードショートカットを持っている。(なおこのProToolsへの補助的な役割はLogicもver8あたりまでは持っていたが、昨今のApple偏重になってからは鳴りを潜めた)
そのため、プロアレンジャーや作曲家たちは、作曲やアレンジはDPで行い録音スタジオやミキシングスタジオではProToolsで作業を行う、といったワークフローが出来ている。
よく言われる、マニピュレーターのDP使用率が高い件については、
数あるシーケンサやDAWの中でもDPが持っている機能が理由となっている。
それは
一つのプロジェクトファイルの中にいくつもシーケンスを持つことができる。
そしてそのシーケンスを自由に入れ替えることができる。
この機能は実はライブに於いて、複数の楽曲をシーケンスにおいておく必要があるマニピュレーターが最も重視する機能。イラストで言えば、Photoshopの一つのPSDの中にいくつもカンバスを置けると考えて貰えれば想像しやすい。
一つのシーケンスのタイムラインにいくつも楽曲を置いて、
マーカーで対応すればいいじゃないか、と言う方は想像して欲しい。
ライブ会場のセットリストや機材変更が行われる現場において、
マニピュレーターが
「ちょっと待って!あの楽曲のタイムライン移動させる!あれ2900小節目はどこ行ったっけ…」
など言おうものなら現場叩き上げのオッサンたちから睨みつけられ「ああん???」と言われる状況を。
DPならドラッグアンドドロップで3秒で可能である。そう、DPならね。
なお、MIDI黎明期は、このPerformerとOpcode社のVisionしか(現実的な)選択肢がなかったため、長らくトップシーケンサの座を誇った。その後CubaseやLogicがMacintoshプラットフォームへ参入し、群雄割拠の時代を生き抜いて現在に至る。
その歴史や高機能・高性能さから、4大シーケンサの一角を成す。
- 4大シーケンサ
- Emagic Logic(1993〜:元はATARI用の譜面作成ソフトNotator[1986〜])
- MOTU Performer
- Opcode Vision(1989〜:前身はMIDIMAC Sequencer[1986〜])
- Steinberg Cubase(1989〜:元はATARI用。更に前身はコモドール64用Steinberg Pro 16[1985〜])
※ただしVisionはOpcode社がGibson社に買収され、ゴタゴタののち開発停止、
Cubase「Visionがやられたようだな……」
Performer「ククク……奴は我ら4大シーケンサの中でも最弱……」
Logic「マンドリン工場如きに負けるとはプロ御用達ソフトの面汚しよ……」 Gibsonファンの人怒らないで下さい
な状態になってしまったので、現在ではSONAR辺りが四天王の椅子を虎視眈々と狙っている気がしなくもない。
その席を狙っていた()、SONARもVisionと同じ道を辿り2017年11月に開発中止となった。 実質的な4番手としてはPreSonusのStudio Oneが担っていると言えよう。
使用アーティスト
主要シーケンサの中でもアマチュア・ハイアマチュアには馴染みが薄いが、意外にもアニソン関係者ではこんな人が使っている。
- 畑亜貴
- 梶浦由記 (Fiction Junction,Kalafina)
- 菅野よう子
- 岸利至(abingdon boys school *西川貴教ニキ率いるロックバンド)
- 上松 範康(Elements Garden)
- 高瀬一矢(I've Sound)
- 知っていたら足してくれ!DPユーザー!
どうでもいい小ネタ
今日の歴史ある主要シーケンサは、企業買収の波にもまれて波瀾万丈であるが、Performerは創成から現在までずっとMOTU単独で存立している。
- Logic:C-Lab→Emagic→Apple
- Vision:Opcode→Gibson→消滅
- Cubase:Steinberg→Pinnacle→YAMAHA
- SONAR:cakewalk→Roland→Gibson→消滅
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関連項目
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