ETR500とは、イタリア鉄道(トレニタリア/Trenitalia)が保有、運行する高速列車編成である。
概要
80年代後半、世界各国における高速列車の速度引き上げに伴い、イタリアでも新たに高速列車の速度引き上げを検討していた。しかし、従来のペンドリーノを使用した車両では営業最高速度が250km/h程度に留まっており、これ以上の速度向上のためには、高速新線を中心とした運用に就く為の、全く新しい車両を作ることになった。そうして開発されたのがETR500である。
営業最高速度は300km/h、ペンドリーノ車両とは違い斜体傾斜装置は無く、動力集中方式による機関車牽引の列車となった。編成は両端を機関車とし、中間の客車は11両(1等車4両、2等車6両、食堂車1両)となっている。
車両のデザインはピニンファリーナ、製造は仏アルストム、独ボンバルディア・トランスポーテーション、伊アンサルドブレダの3社。1990年代中ごろから運行を開始、現在でもイタリア国内の高速新線(ディレッティシマ又はTAV)を中心に、主要都市を高速で結ぶ列車として活躍している。列車は主に「ユーロスター・イタリア」の運行に就いているほか、これの更に上のクラスの高速新線用列車、「ユーロスター・イタリア アルタ・ヴェロチタ(Eurostar Italia Alta Velocità)」の運用に入っている。愛称は赤い矢という意味の「フレッチャロッサ(Frecciarossa)」。
一次車と二次車以降における機関車の違い
現在、ETR500に使用される機関車は、全てE404型500番台という車両となっており、車両はイタリア国内の在来線の標準的な電化方式であるDC3kVと、高速新線の電化方式であるAC25kV 50Hzに対応した複電源タイプとなっている。また、運転台を中央に寄せることによって国際運転も考慮された設計となっている。
しかし、この機関車が最初に採用されたのは二次車以降の編成で、一次車編成にはE404型100番台という違う機関車が使用されていた。こちらの機関車は国内向けの設計となっており、対応電源もDC3kVのみとなっていた。ところが、高速新線であるディレッティシマにおいて、直流電化方式にした事による電力供給不足の問題が発生、当該区間は最高速度が250km/h止まりとなってしまい、本来の性能を発揮することが出来なくなってしまった。その為、新しく建設された高速新線(TAV アルタ・ヴェロチタ)は電化方式をAC25kV 50Hzに変更してしまった為、この高速新線での運行に入ることが出来ず、一次車編成は機関車を新たに製造したE404型500番台に取り替える形で対応することとなってしまった。交換で余剰となったE404型100番台は、形式をE414型に改め、車内設備と高速対応の改造を施したUIC-Z1型客車を連結し、イタリア国内の在来線優等列車「ユーロスター・シティ」の運用に入っている。一応、複電源への対応工事も検討されている。
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イタリアの鉄道模型メーカー「ACME」からHOゲージが発売される模様。価格は当然・・・お察し下さい。
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