LANTIRN単語

ランターン
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曖昧さ回避 この記事は変態企業ロッキード・マーティン製の航空機搭載センサーに付いて扱ってます。黄色い電撃ネズミ仲間はコッチを参照→ランターン

LANTIRN(ランターン Low Altitude Navigation and Targeting Infrared for Night)とは、マーティンマリエッタ(現:ロッキード・マーティン)社が製造する、航空機搭載用ターゲティング・ポッドである。

この項ではAN/AAQ-14の海軍向け発展AN/AAQ-25(LANTIRN 40K)及び輸出のAN/AAQ-19 Sharpshooter(シャープシュータ)システム、AN/AAQ-20 Pathfinder(パスファインダー間低高度赤外線航法システム、LANTIRNにIRSTを追加したTiger Eye(タイガーアイ)、の解説も行う。

概要[1]

現代の戦闘機敵国内陸部に対して爆撃を実施する場合は、間に飛行で侵入するのが探知・被弾を避ける上で理想だが、山の稜線や鉄塔などの障害物などに衝突する危険も増加する。ジェット戦闘機爆撃標の上をごく短時間で航過してしまうので標をミスしてしまう蓋然性も高まるが、パイロットは地上への突を避けるために操縦に集中しなければならないので地表のビデオ映像を映しているモニターばかり見ているわけにもいかない…という問題を解決するためにLANTIRNが開発された。

このシステムは地形追随レーダー赤外線ビデオと連動してパイロットを誘導し、で飛行しつつプリセット高度を維持して標上に到達すると標をモニター画面に示して攻撃許可パイロットめ、パイロット許可するとレーザー誘導爆弾赤外線画像誘導ミサイル(マヴェリック)をシステムで最適なタイミングを計算して放出する。

このLANTIRNによって、F-16のような単座戦闘機でも間にたった一回標上を航過すれば精密誘導兵器を確実に標に叩き込めるようになった。その1991年湾岸戦争世界を驚嘆させ、その後は世界中のハイテク兵器メーカーがLANTIRNの同格品、類似品の開発に走ることとなった。

開発/運用史

 空軍F-4(と少数運用されていたF-105A-7)の更新用として導入が始まっていたF-16に、単機での精密攻撃を与える為、1980年マーティンマリエッタとアメリカ防総省で開発契約が結ばれ、1983年2月にAN/AAQ-13航法ポッドの試作品が、同年7月にはAN/AAQ-14標定ポッドの試作品が納入されて、85年に生産契約が結ばれたが、開発の遅れから契約履行は、翌年の11月まで引き延ばされた。87年の4月から、量産型航法ポッドの納入が行われるようになったが、AN/AAQ-14標定ポッドは、開発や生産が遅れ、LANTIRNが機材として正式に運用が承認されたのは、湾危機発生直後の89年9月であった。

湾岸戦争当時の納入数は、AN/AAQ-13は、F-15EF-16 Block 4X配備部隊に行き渡る285基であったのに対し、AN/AAQ-14は32基で、F-15Eの一部に装備させるのが精一杯であった。このため、地上部隊による、レーザー照射と言う支援が受けられる、近接航空支援時は、敵地深くへと侵攻する、航空阻止攻撃では、 AGM-65かAGM-88しか精密誘導兵器を運用できなかったF-16の戦果は、事前の予想を下回るものとなり、文字通りの大編隊で襲撃したにもかかわらず、煙幕によって煙に巻かれ、後日、F-117がとどめを刺した核施設へ攻撃やCASでのA-10無双F-15EF-111によって行われた、タンクプリンキング戦術やスカッド狩りの引き立て役でしかなかった。

AN/AAQ-14の納入の遅れは、F-15E配備部隊にもを与え、場合によっては、2機ないし4機編隊の隊長機がレーザーの照射、編隊機がレーザー誘導爆弾を投下する、バディレーシング方式の運用も行われた。

アメリカ空軍以外への販売は、湾岸戦争終結後、イスラエルサウジアラビアに対して輸出されたF-15E用の機材としてが初めてで、輸出向けの製品では、アメリカ軍仕様の物と較した場合に若干を制限したものが販売されていたが、2000年代イスラエル向けに輸出された物は、アメリカ空軍で後継機材であるAN/AAQ-33の配備が始まっていた事もあり、本仕様の物が引き渡された。

1990年代中盤に、AN/AAQ-14のA-10B-1による運用も検討も行われたが、予算の問題で計画その物が放棄されたが、2000年代になってから実行された、A-10近代修やB-1BCAS対応化として、AN/AAQ-28やAN/AAQ-33の運用を持つ様になった。

2010年現在アメリカ空軍に配備されている物は、AN/AAQ-14のみであるが後継機材であるAN/AAQ-33との入れ替えが進んでおり、余剰機材は、従来は単機でのレーザー誘導爆弾の運用を考慮していなかった、アメリカ空軍の現役部隊F-16 Block 3X/5X(CCIP)配備部隊への転出(州空軍F-16 Block 3X配備飛行隊では、にAN/AAQ-28を運用)が進んでいる他、アメリカ海軍向けのAN/AAQ-25は、ライノとAN/AAQ-28の組み合わせに更新される形で、これを運用するF-14やS-3と共に退役している。

バリエーション

LANTIRNはAN/AAQ-13航法ポッドとAN/AAQ-14標定(照準)ポッドの一対で構成されているが、湾岸戦争当時のF-16のようにAN/AAQ-13航法ポッドのみやイラク戦争時のF-14やS-3のようにAN/AAQ-14(正確には発展のAN/AAQ-25)のみを搭載するという柔軟な運用も可である。

AN/AAQ-13

AN/AAQ-13は、LANTIRNシステムの航法ポッドで、Kuバンドの地形追従レーダーとFLIR用の赤外線センサーを内蔵している。この機材に内蔵された地形追従レーダーは、搭載する機体のオートパイロットと連動させることにより地表もしくは建造物などの障害物から約30m以上の高度で事前に設定したコースに沿って飛行することが可である。また、パイロットによる操縦で低飛行を行う場合、HUD投影された画像に重ねる形でフライトボックスと呼ばれる飛行可コースを表示し、このの中心をトレースさせる形で航空機を飛行させることにより、地形障害を回避しながらの高速低飛行を可としている。

AN/AAQ-14

AN/AAQ-14は、LANTIRNシステムの照準ポッドで、前方監視用の赤外線センサーマーキング用のレーザー発信機で構成されている。同様の機材はベトナム戦争当時に実用化された、AN/AVQ-10 ベイブナイフやAN/ASQ-153(AN/AVQ-23) ベイプスパイク、AN/AVQ-26 ペイブタック等も存在したが、兵装ステーションを潰してしまう程大であったり、レーザー照射機と爆弾投下機の二機以上の編隊でければ運用できない、機体搭載位置の関係で、レーザーの照射方向が限定されるため、左方向への大きな旋回を行わなけれ誘導爆弾の命中までレーザーの照射が出来ないと言った運用上の制約が存在したが、AN/AAQ-14は、誘導用レーザの照射範囲を拡大する事によって、これらの問題を解決した。

AN/AAQ-19/AN/AAQ-20

AN/AAQ-19は、AN/AAQ-14照準ポッドの、AN/AAQ-20は、AN/AAQ-13航法ポッドの輸出仕様で、本仕様較した場合に、若干が劣るとされており、タイフーングリペンと言ったヨーロッパ戦闘機では、照準/航法ポッドの統合のAN/AAQ-28、ラファールのように自製のタレスDamoclesを採用した事もあり、配備は、イスラエル韓国サウジアラビアトルコと言った、F-15EBlock 20以降のF-16のどちらか、もしくは双方を運用するに限られている。

AN/AAQ-25

NA/AAQ-25(LANTIRN 40K)は、NA/AAQ-13にGPS連動機と運用上限高度を標物から40000ft(約12000メートル)まで引き上げたで、アメリカ海軍空母航空団が運用していたF-14やS-3に搭載されていた。

NA/AAQ-25の運用修が行われていたF-14は、RIO席コンソール右下に装備されていた、TARPS(戦術航空偵察ポッドシステム)用のモニターと差し替える形で、この機材のコントロールネルを取り付けた為、TARPSとNA/AAQ-25の同時運用は不可能と言われているが、TARPSの運用をもつF-14A/Bは、少数しか、配備されていなかった。

S-3への搭載は、2008年イラク内で活動する、武装勢捜索に投入されていたP-3の一部で、想定外の機体老朽化が発見された事による、稼働機数減少の埋めとしS-3が派遣された際、余剰機材となっていたNA/AAQ-25の搭載修を行い派遣された。2010年2月現在、現地では未だ戦闘が続いており、派遣部隊の具体的な活動や戦果は表されていない。

AAS-42 タイガーアイ

AAS-42 タイガーアイは、AN/AAQ-14(輸出のAN/AAQ-19)及びAN/AAQ-33(輸出Pantera)で使用されているパイロンに、F-14Dスーパーホーネットと同形式のIRSTを追加装備した物で、外見は、従来は状の形状だったものが、IRST関連機器を搭載した為、形の形状に変わっている。2010年2月現在F-15KF-15SGで採用している。

その他

同様の外部装備式センサーは、赤外線前方監視装置としての機に特化した(だが、照準支援用の測距機も有ったりする……)航空自衛隊F-2の装備品として採用したJ/AAQ-2、一基の機材に、航法ポッドと照準ポッドの機を詰め込んだ、ラファエル/ノースロップ・グラマン LITENINGIIなどが存在する。

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参考文献/関連商品/関連項目/外部リンク

参考文献
関連商品

こちらで紹介している商品は模型用の物です、実機に搭載しても作動いたしません。

主な搭載機

脚注

  1. *AI戦争論 進化する戦場自衛隊全滅する」兵頭二十八 2018 飛鳥新社 pp.206-207

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LANTIRN

1 ななしのよっしん
2015/03/26(木) 11:38:35 ID: 3Vs6UysoNT
こんな記事あったのかよ
F-2にもLANTIRNあったのか
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2 ななしのよっしん
2016/03/27(日) 00:14:40 ID: KuJwLBf3Nl
AAQ-2ってただの対地対艦用全FLIRだよな
IRSTとして使ったりもできるようだけどそもそも20基しかないってのは困らないのか・・・
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