M41ウォーカーブルドッグとは、アメリカ軍が第二次世界大戦後に開発・運用した軽戦車である。
当初、「リトルブルドック」の愛称が付けられた後、1950年に朝鮮半島で交通事故死したウォルトン·ウォーカー中将の名前と合成され、「ウォーカーブルドック」となった。
概要
従来より強力な60口径76.2mmライフル砲と500馬力のエンジンを搭載し、最高速度が72kmと高い機動力を持った軽戦車である。
急遽、試験途中で朝鮮戦争に投入され、その後アメリカ軍ではM24チャーフィーの後継として配備が進められ、M551シェリダンが登場するまでの間、主力の軽戦車として運用されている。
他の西側諸国にも供給され、べトナム戦争時には南ベトナム軍に供与されたものが北ベトナム軍のT-54やPT-76と戦闘し、撃破している。日本の自衛隊にも供与され、自衛隊では1983年まで現役だった。
台湾やデンマークなど一部の国では近代化改修を施されるなどし、現在も使用されている。
開発経緯
第二次大戦終盤に登場したM24チャーフィーは高性能な軽戦車であったが、対戦車戦においては主砲の威力が不十分であり、火力の増強が求められていた。
そこでM24チャーフィーの後継車両の開発依頼を受けたゼネラルモーターズによって、1947年にT37という名称で、より強力な76mm砲を搭載し、かつ空輸可能な軽戦車の開発が開始され、フェイズI、II、IIIという3種類の試作車両が製作された。
1949年にはT41の名称に変更され、フェイズⅡを元に照準装置に新型のステレオ型測遠機を採用するなど改良が加えられたものが3両試作され、翌年の1950年1月には主砲に76.2mmライフル砲M32を搭載したT41E1が100両発注されることとなった。
6月に朝鮮戦争が勃発すると、朝鮮半島に配備されていたM24チャーフィーでは北朝鮮軍のT-34-85に対して効果的とは言えず、射程外から一方的に撃破されてしまう事例が多く発生した。
そのため試験途中にもかかわらず生産ラインから直接戦場へと運ばれ、実戦投入されることとなった。
実戦において様々な欠陥が露呈し、採用されたステレオ型測遠機が射撃時の振動で狂いが出る不具合が発生したため、従来の直接照準望遠機に変更されたりしている。
朝鮮戦争末期に試験が完了し、1953年5月に「76mm Gun Tank M41」として制式化された。
バリエーション
- M41 - 最初の生産型。1802両が生産された。
- M41A1 - 最初のマイナーチェンジ型。
- M41A2 - エンジンに燃料噴射装置を採用した生産型。日本の自衛隊に供与されたのはこの型。
- M41A3 - A1のエンジンのキャブレターを、A2の燃料噴射装置に変更してアップグレードした型。
- M42ダスター - 40mm連装機関砲を搭載した自走式対空砲。前任のM19と同様にオープントップ式砲塔。
- M44自走榴弾砲 - 155mm榴弾砲を搭載した自走砲。砲塔を撤去してオープントップ式で砲を装備。
- M52自走榴弾砲 - 105mm榴弾砲を搭載した自走砲。左右のみ旋回出来る密閉式砲塔を採用。
- M41DK-1 - デンマークで近代化改修されたM41。エンジンがディーゼルエンジンに変更されている。
- 64式軽戦車 - 台湾で製作された軽戦車。M42ダスターの車体にM18ヘルキャットの砲塔を搭載している。
- M41D - 90年代に台湾で近代化改修されたM41。主砲が変更され、ディーゼルエンジンに変更されている。
- M41HAKO - スペインで開発された対戦車戦闘車両。砲塔を外してHOT対戦車ミサイル発射機を4基装備。
関連作品
動画
静画
関連コミュニティ
関連項目
- 戦車 / AFV / 軍用車両 / 軍用車両の一覧
- 朝鮮戦争 / ベトナム戦争
- アメリカ軍/陸上自衛隊/ドイツ連邦軍/中華民国国軍
- M24チャーフィー(従来の車両)
- M551シェリダン(M56スコーピオンと共に統合され、事実上の後継車両)
- 0
- 0pt