MINIMI(ミニミ。仏語で"小さな機関銃"を意味する「MINI MItrailleuse(ミニ・ミトライユーズ)」の略)とは、ベルギーの老舗銃器メーカー FN社が開発した機関銃である。
概要
西側諸国がソ連に対抗して小銃弾薬を5.56ミリの小型軽量弾薬に切り替えると、当然、歩兵分隊用の機関銃も5.56ミリ口径のものが必要になった。そこで最初に作られたものがMINIMIで、その後いくつかの国でも5.56ミリの機関銃を開発したがMINIMIほどの成功をおさめることはできず、多くの国がMINIMIを採用し、5.56ミリ機関銃のベストセラーになっている。[1]
MINIMIは1958年にFN社が開発した「FN MAG 汎用機関銃」が基になっている。MAGは今も各国で使用されている傑作汎用機関銃ではあったが、使用弾薬は分隊員の小銃と互換性のない7.62mm弾であり、頑丈で信頼性が高かった反面約10キロと重く、分隊支援火器としては不適合だった。そこで作動方式やデザインはそのままに、使用弾薬を5.56mm弾に変更、小型・軽量化させた本銃が開発された。
日本を含むたいていの国ではMINIMIを「機関銃」と呼んでいるのだが、米軍では機関銃ではなく「分隊支援火器」と呼んでいる(米軍の考えでは、1人で扱えるようなものは機関銃とはいわないようだ)。[2]
採用国
- アメリカ…「M249」という制式名で1984年に制式採用された。
- イギリス…L108A1という名称で採用。空挺部隊用にはL110A1という別タイプが投入されている。
- 日本 … 5.56mm機関銃MINIMIという名称で採用し、住友重機械工業株式会社がライセンス生産を行い自衛隊に納入した。
2023年には現行のMINIMIの後継品としてMINIMI Mk3をMINIMI(B)として採用。[3]住友重機械工業は機関銃生産から撤退しているので、FN社からの輸入となる。
その他、西欧諸国から東南アジアに至るまで、多数の国家の軍隊などで幅広く採用されている。原型となったMAGやロシア製RPK軽機関銃と並んで、世界で最も多く使われている分隊支援火器の一つともいえる。
派生型
原型開発から既に40年前後が経過しており、MINIMIも多数の派生形が誕生している。あるいは突撃銃と同様にレイルシステムやアクセサリを増設されたモデルも存在する。我が国の自衛隊にも5000挺近くが納入されている。
- M249Para
米陸軍が採用した空挺部隊用の派生型。銃身短縮、ストックを折畳み方式に変更するなど、軽装備の空挺部隊の持ち運びに便利なように、小型軽量化が図られている。 - MK46mod1
SOCOM(アメリカ軍特殊作戦軍)用の特殊仕様で随所を肉抜きし軽量化、車載装置やキャリングハンドルさえ廃止するなど、徹底した軽量化が施された。反面、軽合金製バイポッドや、アクセサリ用レイルシステムが追加されている。 - Mk48mod0
上述のMk46を7.62mmNATO弾に対応させたもの。特殊作戦軍は少数対多数の戦闘を想定せねばならず、より殺傷力の高い7.62mm弾への対応が求められた。少数行動の多いSOCOMならではの派生型である。 - 5.56ミリ軽機関銃MINIMI
陸上自衛隊におけるMINIMIの呼称。住友重機械工業がライセンス製造しており、基本的にはM249基本型に準じているが、62式機関銃の三脚を流用可能。軽装甲機動車や高機動車へ車載、あるいは護衛艦にも警告用・自衛用として搭載されることも多い。航空自衛隊の基地警備隊などにも配備が進んでいる。但し近年、住友による銃身を中心とした強度偽装が発覚。最低1000挺が規定の強度を満たしておらず、今後の運用が不安視されている。 - 大宇K3
韓国独自仕様のMINIMIでフルオートオンリー、銃床やグリップには韓国製K1/2小銃のそれを流用。装填には200発入りの布製バッグを用いている。割と手堅い改修で、尚且つ安価なのでそこそこの輸出に成功している模様。
関連動画
関連商品
関連項目・外部リンク
脚注
- *「『鉄砲』撃って100!」 かの よしのり 光人社 2004 p.104
- *「銃の科学 知られざるファイア・アームズの秘密」かのよしのり SBクリエイティブ 2014 p.26
- *新たな重要装備品等の選定結果について 2023.1.23
- *「... have been adopted by 70 countries ...」と公式サイトに記載あり
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