ここでは、NEC PC-9801のデスクトップ機の主なラインナップを紹介する。
PC-9801(無印)
1982年10月発売。
NECのパソコンとして初の16ビット機。PC-8801シリーズの上位機として設定され、ビジネスユースを主体とした。
ハードディスクだけでなく、フロッピーディスクドライブも標準搭載されていない。
- PC-9801F(1983年10月発売):5インチ2DDドライブを内蔵、一部HDDも搭載。
- PC-9801E(1983年11月発売):初代機の廉価版。FDDは内蔵できない。
- PC-9801M(1984年11月発売):標準メモリーが倍増、5インチ2HDドライブを搭載。
PC-9801VM
1985年7月発売。
CPUがV30 10MHzに強化され、メモリーも増加、さらに漢字ROMもJIS第二水準まで標準対応した。
以後、ソフトの多くはこのVMを基準として開発、販売されるようになった。
- PC-9801U(1985年5月発売):CPUに NEC V30搭載、3.5インチ2DDドライブを内蔵、4096色中8色表示が可能。
- PC-9801VF(1985年7月発売):Fの後継機、VMの廉価版で、5インチ2DDドライブになっている。
PC-9801UV
1986年6月発売。
VM相当の性能を搭載したUの後継機。ただしVMでは搭載されなかったFM音源が搭載され、ホビーユースも視野に入れていた。以後、3.5インチメディア供給のソフトの標準となった。
PC-9801VX
1986年11月発売。
CPUに80286を搭載し、処理能力の向上と利用メモリーの拡張が可能になった。ただし互換性維持のためにV30も搭載し、ディップスイッチの切り替えで変更可能になった。
また、グラフィックチップにEGCを採用したことで、同時発色数の拡大と高速描写が可能になった。1990年代からはEGC対応ソフトが増えていった。
HDD内蔵モデルでは、Windows 1.0を搭載したものも発売された。
- PC-9801UX(1987年10月発売):VXの3.5インチ版といえるモデルだが、UV同様にFM音源が内蔵されている。
- PC-9801CV(1988年3月発売):UXをベースに10インチCRTモニターを内蔵した一体型モデル。ただしCPUはV30にとどまった。
PC-9801RA
1988年7月発売。
CPUに32ビットのi386DXを採用。処理能力が一気に向上した。メモリーも1.6MBに拡張され、WindowsやOS/2の利用も考慮された。
ただしV30のクロック周波数は8MHzに低下され、x86系への移行を促すものとなった。
- PC-9801RX(1988年9月発売):VXの後継機。CPUは80286 12MHzに、メモリーも1.6MB搭載となった。
- PC-9801RS(1988年10月発売):RA、RXの中間機で、i386SX 16MHzを搭載。ただしメモリーは640KBに減らされた。
PC-9801ES
1989年4月発売。
3.5インチモデルとして最初の32ビットCPU搭載。ただし搭載されたのは廉価版のi386SXである。
また、FM音源もこのモデルでは搭載されていない(後述するEXは搭載)。
PC-9801DA
1990年11月発売。
このモデルより、2つに分かれていた5インチモデル、3.5インチモデルが統一された。
また、ゲーム機の性能向上で衰退していたPC-88シリーズのホビーユースを包含する上で、5インチモデルとしてFM音源が初めて標準搭載された。
HDDも、従来はSASIを採用したが、100MBではSCSIを採用した。
反面、互換性維持のために搭載されていたV30が、このモデルから外された。
- PC-9801DS(1990年11月発売):CPUにi386SX 16MHz搭載。メモリーは640KB。
- PC-9801DX(1990年11月発売):CPUに80286 12MHz搭載。メモリーは640KB。
- PC-9801UR(1991年2月発売):省スペースデスクトップモデル。CPUはV30HL、FDD1台とRAMドライブが搭載された。
- PC-9801UF(1991年2月発売):URのFDDを3.5インチ2HD2台にしたもの。
- PC-9801CS(1991年10月発売):CVの後継機で、CPUをi386SXに変更。Windows 3.0インストールモデルもあった。
- PC-9801US(1992年7月発売):UR/UFの後継機で、i386SXを搭載して性能強化を図った。
PC-9801FA
1992年1月発売。
CPUとしてi486SXを採用して高速化が図られた。
また、前面にファイルスロットを採用し、とくにねじ止めやケーブルの接続をしなくても、周辺機器をそのまま差し込むことで装着できるようになった。これは後に98MATE Aシリーズでもそのまま採用された。このほか、HDDがすべてSCSI接続となっている。
しかし、DOS/Vによる日本語表示、入力が可能になったことで、低価格かつ高性能のIBM-PC/AT互換機が日本に輸入されるようになり、Windows 3.0が本格的に利用できるものになるうちに、PC-98の割高感が強調されるようになった。
PC-9801BA
1993年1月発売。
AT互換機よりも割高感が強調されたことで、NECは価格をある程度とどめつつ全体的な性能アップを図ることで、コストパフォーマンスの向上を目指した。
その上で、Windows主体のモデルをPC-9821シリーズに集約して「98MATE」として販売を開始した。
一方でPC-9801シリーズはMS-DOS主体のモデルとして「98FELLOW」の名で販売することになった。
BAはFAの実質後継ともいえるが、CPUこそ倍以上の性能であるものの、拡張スロットの減少、ファイルスロットの廃止、FM音源のオミットなど、徹底的な廉価化を行っている。
CPUはもともとi486DX 50MHzを採用しているが、マザー側でクロックダウンを行っていた。また、HDDはSCSIからIDEに変更された。
PC-9801BA2
1993年11月発売。
98MATE Bシリーズをベースに開発された廉価モデル。MATE Bとの違いは、ウィンドウアクセラレータが搭載されているか否かの違い程度である。
それまであった14.6MBのメモリー上限が解放された最初のPC-9801でもある。
また、ファイルベイが搭載され、IDE接続のCD-ROMドライブが搭載できるようにもなった。
PC-9801BA3
1995年1月発売。
再び独自筐体となり、さらに徹底的なコストダウンが図られた。
また、廉価モデルだったMATE Bシリーズを包含し、PC-9801として初めてWindows 3.1プレインストールモデルも発売された。この値段も20万円強。ただしサウンド機能は搭載されていない。
ちなみにWindows 95で採用されるプラグ・アンド・プレイにも対応していた。
PC-9801BX4
1995年7月発売。
PC-9821 Xe10をベースに廉価化したもので、PC-9801を名乗っているものの、実質98MATE Xシリーズの最廉価版ともいえる。実際、PC-9801シリーズで唯一256色表示が可能である。
HDDは搭載されず、サウンド機能も搭載されていない。その代り、CD-ROMを内蔵したモデルもあり、HDDを増設することでWindowsの利用も可能になっている。ただしプレインストールモデルは発売されなかった。
2か月後にはPentiumオーバードライブプロセッサーに換装されたモデルが登場し、不完全ながらPentiumを搭載する最初のPC-9801となったが、このモデルを最後にPC-9801は13年の歴史にピリオドを打った。
関連項目
- 1
- 0pt