Trey Azagthoth(トレイ・アザトース)とは、アメリカフロリダ州タンパ出身のデスメタルギタリストである。
概要
本名はジョージ・エマニュエルIII世。1965年3月26日生まれ。日本の音楽雑誌では『総帥』と表現される事もある。ファンからは主にトレイと呼ばれる他、トイレ、らんま、あずにゃん等の愛称で親しまれている。
18歳の頃、『宇宙一へヴィなバンドをやる』為にモービッドエンジェルを結成し、その音楽活動のキャリアの総てを捧げているデスメタル界では珍しいタイプのギタリストである。
人物
ファンに対してはとてもフレンドリーに振舞う事で知られ、更にステージ上の彼から連想されるイメージとは大きく異なりとても話し上手で、音楽番組のパーソナリティを務めた事もある。また、大のオカルトマニアであり今までに発売されたアルバム全てに様々な暗号が隠されている(例:一部を除くアルバムタイトルの英字をある法則に則ってそれぞれ対応した番号に換えていくと、数字が発売日になっていたり悪魔の数字が浮かび上がる、アルバムの全トラック数の合計を構成する数字をばらして足すと発売アルバムの番号になる、ある曲を逆再生すると過去の別の曲の一部と繋がるなど)。
音楽活動としての初来日は1998年で、その後2001年のBeast Feastというラウドパークの前身フェスタにて再来日、その際に『トレイ・アザトースは日本のアニメが好きで、特にらんま1/2を好んでいる』という情報を得ていた一部のファンが彼にアニメグッズをプレゼント、特にらんま1/2のセル画を手にした際は純粋無垢な少年の様に、長い前髪の奥にある瞳を輝かせていたという。その後2011年にも再来日を果たした。
御趣味としては、ワンちゃん好きに加え先述したとおり日本のアニメーションに対してとても興味を抱いているようで、YOUNG GUITARの2002年1月号表紙の集合写真ではケリー・キングやダイムバッグ・ダレルに混じってらんまのシャツを着て写っていたり、ググるとセーラームーンのポスターを後ろに不敵な笑みを浮かべて7弦ギターを抱えている画像が出てきたり、更には4thアルバム収録曲『Where the slime live』のPVでもらんまTで終盤のソロをキメちゃったり、最近だとラウドパークとマクロスのイベントが重なるとマクロスを優先したり・・・先生流石です。
プレイスタイル・テクニック等について
彼のプレイスタイルにおいて、必ずと言っていい程話題になるタッピングであるが、元々彼のタッピングは特筆する程特徴的では無く、彼自身も特に意識して使ってはいなかったものと思われる。1stアルバムの特典ライブ映像『Live Madness』を見ても、むしろ驚異的なのはスラッシュメタル由来のまるで倍速再生しているかのような高速フルピッキングである。
彼がタッピングを意識し始めたのは恐らく3rdアルバムからで(それ以前からもとんでもない速度のタッピングを披露してはいるが)、4thアルバム以降では更に高崎晃並の超展開タッピングソロを弾いている。また、ライブにおいても全く劣化することは無いばかりか更にエクストリームでファストになっている。気になる方は是非モービッド・エンジェル唯一の公式ライブアルバムである『Entangled in Chaos』を手に取り聴いて欲しい。
更に彼のプレイスタイルを語る上で避けては通れないのが、アーミングである。といっても、エクストリームなメタルによくありがちな音を大きく揺らすだけであったり、極端なアームダウンで轟音を響かせるだけのようなアーム奏法ではない。1stアルバムの『Lord of fevers and plague』や『Chapel of gouls』、3rdアルバムの『Angel of disease』等のリフにクリケット奏法のようなものを混ぜるというトリッキーなプレイを披露してみせたり、6thアルバムの楽曲『God of the forsaken』ではアームで音程を揺らしながらスウィープ奏法のようなものを行っていたりと多彩な使い方をしている。そしてライブでの定番曲『Chapel of Ghouls』の終盤、彼のソロタイムにおいては過激なアームアップ・ダウンに加えタッピング奏法、更にワウやフランジャー等のエフェクターまで駆使し、最早カオスとしか表現出来ない音を繰り出す。
上記のようにエフェクターも効果的に多用し、先述のライブアルバム『Entangled in Chaos』でのギターソロはピッキングハーモニクスにワウ、アームアップを組み合わせて多彩な音を繰り出したり、ライブではほぼ必ず最初に演奏される『Immortal Rites』においても、今迄通りのオクターヴ奏法に加え近年は中盤のミドルパートでフェイザーを使用して幻想的且つドゥーミーな音を演出している。しかし、彼のサウンドエフェクトの真価はスタジオ録音のアルバムで発揮されると言っても過言ではなく、様々な音色のソロからシンセサイザーを使った荘厳なインストまで、非常に幅広い曲作りを行う。
余談であるが、4thアルバムの『Domination』はマクロスにドハマりしていた頃に制作していたらしく「マクロスを見ながらDominationを聴くとハイになれる」と、とあるインタビューで語ったらしい。また、発売当初あまりにもインダストリアル・トランス風味過ぎた事で話題になった8thアルバム『Illud Divinum Insanus』の最後に収録されている曲が、魔法少女まどか☆マギカのマミさんのテーマに似ている(?)と話題になった事もあった。
使用機材について
彼の使用しているアンプはマーシャルJCM900の100ワットでキャビネットは1960、ゲイン10、トレブル4、ミドル5、ベース7、プレゼンスは6であるといわれている。
また、ディストーションにはProcoのRAT1を使用しているとされている他、TCエレクトロニックのG Majorプロセッサー、locobox製のフランジャー、morleyのbad horsieワウペダル、MXRのフェイズ90、そしてジムダンロップのユニヴァイブ等の機器を使用している事が確認されている。
そして、彼の使用ギターには市販のあまり値段の高くない(日本円換算で推定10万円以内)ギターやシンプルなスペックのオーダーメイドギターが時折見られ、ステージ上で使うギターは何故か左利き用のアームバーが装着されたフロイドローズトレモロの搭載された変形モデル(一応、通常のストラトシェイプのギターを使用していた事もあるようだ)と決まっており、特にランダムスターシェイプのギターをメイン機として使う傾向にある。そしてメタル界では珍しく、現在明らかになっている限りでは彼の所有ギターの中にはスルーネック構造のギターがほぼ無い。また、7弦ギターに関してはIbanezのものだけを使用しており、変形モデルは使っていない模様。
彼がデビュー当時からずっと愛用し続けてきたギター。16歳の頃に入手したらしく、また生まれて初めて手にしたギターでもあるらしい。その真紅のボディは彼の代名詞ともいえる。因みに彼の使用しているアイアンバードはもう一種類存在し、そちらは上記のモデルとは違いメイプル指板のモデルとなっている。余談であるが、彼の使用しているアイアンバードと同じものが長年発見されず、スラッシュのレスポールよろしく純正品ではなく特注のレプリカなのではないかという説まで浮上していたが、どうやら当時の廉価帯ブランドのB.C.Rich internationalというシリーズ(韓国製の廉価帯か?)のアイアンバードであった事が確認された。デスメタルの魔王トレイ・アザトースは、激安ギターを改造しながらメインギターとして使い続けていたのである。
- DEAN アストロX
近年ディーンギターズとエンドースメント契約した際に特注で製作された青いランダムスター型のギター。フロントPUはダンカンホットレイル、リアはディーン社オリジナルのイコライザーという名のものが取り付けられている。今のところ一般発売は無いっぽい。
3rdアルバム制作時辺りで使用し始めたモデル。一般的な先端の丸いフライングVシェイプに2ハムと非常に穏やかな仕様のようであるが、真っ赤なボディに黒のピックガード、フロイドローズトレモロ搭載の24フレットと、やっぱり総帥仕様なのであった(その後やはりこのモデルも改造され、真ん中にシングルコイルPUが追加された)。このモデルは彼のために作られた特注品であると思われる。
下記のX-Coreを手に入れる前に使用していた市販品の日本製ギター。彼はこれを大改造して使用していた。余談だがウォリアーに関してはもう一機所持しており、そちらは黄色でスルーネック、ボディにサンダーバード4と書かれている。
その他にもアイバニーズのRG550(メイプル指板、オレンジのボディに黒のピックガード、PUはディマジオのPAFプロらしい。主にレコーディングで重宝しているとか)、シャーベルのネックが組み込まれたランダムスターもどきと真っ赤なエクスプローラー、Deanの青いレザーバックV(X-COREと名付けられたオリジナルスペックのオーダー品)、ギブソンフライングVにフロイドローズを搭載したもの等、数多くのギターを所有している。
モービッドエンジェル活動最初期頃に使用されていた、白地に放射状の赤い模様が描かれたランディVシェイプのモデル。
上記のモデルと同じく、モービッドエンジェル活動初期に使用されていた黒色のソロイストっぽいモデル。後に彼はこのモデルの仕様を踏襲した仕様のギターを高い頻度で使うようになっていった事から、これが後々の彼のサウンドを決定付けたと思われる。これを使用している写真も実際にあるのだが、何故かその写真に映っているあずにゃん総帥は血だらけである。
上記の5FXにそっくりなモデル。相違点はネックジョイントであり、5FXがスルーネックであるのに対しこちらはボルトオン。青色のボディに緑色のエスカッションをしており、どうやら主にサブ機或いは楽屋用として活用されているようである(実際に2011年の来日時、スタッフが運搬していたのを筆者は目撃した)。日本ではかつて『スーパーディンキー(sdk)』という名前で発売されていた模様。
通称『ユニヴァース』。ボディ下部のアバロンと思われる素材で象られた目玉付きピラミッドと、ミラーピックガードの眩しいスティーヴ・ヴァイモデル。これを使用し始める以前には、下記のUV7bkを長らく愛用していた。彼の使用しているUV777Pは旧式でネック材がメイプルのみになっており、下記のRG7620とネックが付け替えられているが理由は不明。筆者の憶測であるが、ドットインレイの方が視認しやすいから・・・なのだろうか?
この度晴れて廃盤となってしまった為、総帥ファンの皆様は見つけ次第買っといた方がいいかも。
- Ibanez UV7bk
彼が長年愛用してきた7弦ギター。その使用歴は長く、3rdアルバムのPVでそれらしきものの存在を確認できる程。このモデルの特徴として、ポジションインレイ、ヘッドのロゴ、更にはピックアップにボリューム・トーンノブ、5ウェイスイッチの頭まで黄緑色をしている。が、ボディは黒である。また彼はこのモデルにも若干手を加えており、一度目は本来付いている黄緑色のPU、黒色のピックガードのセットから『Enshrined by grace』のPV等で確認できる黒色のPU、緑色のピックガードのセットへ。二度目にその状態から黄緑色のPUとミラーピックガードのセットへと付け替えているのだが、そのミラーピックガードがどこから来たのかは未だ不明。UV777Pを使っていない時にこちらへ移植しているのかもしれないし、或いは別注したのかもしれない。はたまた、我々の知らないUV777Pを別に所持している、なんてこともあるかもしれないし・・・真相は謎である。最近、PUを黄色と緑のものに付け替えたらしい事が確認された。
近年、彼が上記のギターと共にメインで使っているモデル。2ハムでコントロールも特に改造されていないようだがよく見るとポジションインレイがピラミッドなので、ネックがUV777Pのそれになっている事が分かる。因みに、2011年の来日時に使っていた7弦ギターはこれ。
7弦ギターはこれら以外に、赤のRG7620、ローランドのギターシンセ付きRG7等を所有しているのが確認されている。
関連動画
1:54からトレイ・アザトースのソロが始まる。前半のソロはアーム奏法がメインだが、3:45 からの後半ソロはフルピッキング。因みにこの時のもう一人のギタリストはサポートとして一時加入したエリック・ルータン。彼はトレイ・アザトースと同格、或いはそれ以上の技術とメロディセンスを持っている。
この曲のソロにおける流麗なタッピングには目を見張るものがある。非常に滑らか且つ熱を帯びたようなそのサウンドはまさに『Sound of Lava』。
こちらはフルピッキング主体のギターソロが見れるライブ映像。このようにライブでも安定して弾けるのはギターを高い位置で構えている、それだけが理由というわけではなさそうだ・・・。
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関連項目
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