Virtual Rom Controller(VRC)とは、コナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)が開発した、ファミリーコンピュータ向けROMバンクコントロールチップである。
チップチューンの分野で「VRC6」と「VRC7」が拡張音源として有名であるため一般には拡張音源チップと思われているが、実際に音源が拡張されたのはその2種のみである。
概要
8ビットCPUは64KB(512Kbit)のメモリ空間しかないため、それがファミリーコンピュータ対応ゲームソフトの大容量化の妨げとなっていた。任天堂の示したひとつの回答はディスクメディアの採用(ファミリーコンピュータディスクシステム)であったが、その一方で1Mbit以上の容量を持つメガロムの開発も行われた。
メガロムとは、プログラムROMとキャラクタROMを複数のバンクに切り替えてアクセスすることによって、64KBの制限を超えた容量を実現したものである。大容量のメモリを管理する目的で搭載されているコントローラICは、任天堂純正のものはMMC(MemoryManagementController)と呼ばれており、多くのサードパーティ製ソフトでも使用されたが、サードパーティの中には自社で独自に開発したコントローラを採用するものもあった。その中でコナミが開発したものが、このVRCである。
初搭載となった「がんばれゴエモン!からくり道中」で256KB(2Mbit)の大容量ROMを搭載させることに成功して大きな話題を集めたが、VRCの進化はゲームの表現にさらなる革新を与えるものであった。
ファミリーコンピュータはBG面には256個のキャラクタまでしか使用出来ないのだが、バンク切り替えによりこの制限を「一画面に256個」まで緩和出来るようになっていた。当初は全部置換しか出来なかったのだが、コナミはVRC4でキャラクタの個別置換を可能にして、BG面でのアニメーションを実現した。このチップは、ファミリーコンピュータの画面表示回路であるPPU(Picture Processing Unit)を補助する機能を有していたと見られている。
その後も機能は強化され、矩形波やのこぎり波の音源の追加、果ては2オペレータ仕様のFM音源まで搭載するまでに至った。
なお、VRC5だけは存在や性能もこれまで確認されておらず、VRC4からひとつ飛んでVRC6が出たのかと長い間謎に包まれていたが、実はファミコンを利用したコナミが開発協力したNHK学園の教育システム「ファミコンCAI学習アダプターQ太」で使われていた模様。
主な種類
- VRC
初代モデル。「がんばれゴエモン!からくり道中」で初採用された。ほかに「キングコング2怒りのメガトンパンチ」。 - VRC2
プログラム領域の管理を強化。「月風魔伝」「コナミワイワイワールド」「魂斗羅」など。 - VRC3
採用は「沙羅曼蛇」のみ。同ソフトはカセットがスケルトン仕様だったため、外側から「VRC3」と書かれたチップが視認できる。 - VRC4
PPUの補助としてグラフィック機能を強化。「グラディウスII」「パロディウスだ!」「クライシスフォース」など。 - VRC5
「ファミコンCAI学習アダプターQ太」で使われた。 - VRC6
矩形波2ch、のこぎり波1chの音源をプラス。大容量化によってDPCMも活用し、最大7ch+ノイズ1chを使用することができた。「悪魔城伝説」「エスパードリーム2」「魍魎戦記MADARA」。 - VRC7
VRC6の音源部をYM2413(OPLL)のサブセットとなる6音のFM音源を搭載。音源採用は「ラグランジュポイント」のみ(タイニートゥーンアドベンチャーズ2ではFM音源を使っていない)。
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関連項目
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