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XM8とは、H&K社において開発されていた、アサルトライフルの一つである。
概要
オーストリアの「ステアーAUG」と同じく強化プラスチックをふんだんに使っており、人間工学に基づいたフォルムで射撃反動も少ない。またパーツの組み替えによって基本となるアサルトライフル型から派生である狙撃銃型・PDW型と多岐に変形できる。
しかし、次世代型のアサルトライフルとしてアメリカ軍に売り込まれ、2005年には次世代アサルトライフルとして候補に挙がったものの、諸事情により結局採用されることはなかった。
その後H&K社はPMCなど民間への売込みを図っていたが、現在はWEBサイト上からも商品の存在そのものが消去されており、月刊アームズマガジン(2011年11月号)においては「開発は終了している」とされているらしい。
オンラインFPSなどでは、「パーツを組み替えて簡易狙撃銃にできるアサルトライフル」という扱いになっている。
不採用理由
諸説あるが、真相は不明のままである。
- コルト社による妨害
- 主力となるM4やM16をアメリカ軍に納入しているコルト社からすれば、自社のライフルが排除されたときの利益マイナスは計り知れないものになるため、それを嫌ってロビー活動を展開、採用させないようにしていた(らしい)。
- 再訓練の必要
- M4・M16などに慣れている現場(兵士)にしてみれば、ノウハウの再徹底や再訓練など、スキルの積み直しとその費用がかかるということもあって、歓迎する空気はなかったとされる(しかし性能は高いので歓迎する空気はあったとの記述もあるため、実際のところどちらなのか不明)。
- オモチャみたい
- XM8は全体がプラスチックで構成されており今までの銃器とは明らかにデザインが異なるものであった。そのため戦いでは銃こそが頼りである兵士たちからは「まるでトイガン(オモチャ)みたい」「安心できない」との批判があり、不採用となったとされる。
- G36と変わらない
- 一見フォルムが先進的になっているが、実はG36ベースで開発されているため大まかなデザインもG36が抱えている問題点も変わっていない(詳細・スペックを参照)。今まで金をかけて問題点を解決・改良してきた主力小銃と置き換えるだけの理由がないため見送られたとされる。
- ピカティニー造兵廠の暴走
- 当時アメリカ軍には、「陸海空 + 海兵隊」の全てで共用できる火器を持とうという次世代歩兵用火器の計画として、OICW(個人主体戦闘火器)構想が存在した。これで各軍の装備統一を図ろうとしたピカティニー造兵廠がシステムウェポンとして着目したのがXM8であった。 [1]
- しかし、XM8の計画自体がシステムウェポンを導入することを前提にしたものであるため、実際に導入した場合アメリカ軍の戦略自体まるまる変わってしまうため結局なかったことにされたらしい(装備を統一したい側からすれば楽だが、任務ごとに装備変更したい側からすればたまったものではない)。
- 要求仕様に満たなかった
- 当初から陸軍が求めるモジュラーウェポンへの要求仕様が高かった可能性も挙げられる。「軽機関銃モードの耐久性がM249(FNミニミ)に劣る」「M4のテスト結果を調べたら弾倉の不具合だったので新型弾倉に交換したらテスト結果が向上した」など、既存の装備を上回れるような結果が出せなかったため、予算が打ち切られたとされている。
(銃器関連の情報を扱うWikiサイト「MEDIAGUN DATABASE」においてはこれが理由であるとしている)。
詳細・スペック
ステータス(基本時) | |
---|---|
全長 | 約840mm |
重量 | 2800g |
口径・弾薬 | 5.56mm NATO弾 |
装弾数 | 30発 |
作動方式 | ガスピストン方式 (ショートストローク) |
有効距離 | 300~500m |
デザインは独特のものだが、素材に強化プラスチックを使うなど軽量化が図られており、左右どちら側にもセレクタがついているので右利き・左利きどちらの人間にも扱いやすくなっている。
作動方式はオーソドックスといえる「ガスピストン方式」を採用。反動は小さく命中精度の向上につながっている。銃の汚れにも強いため2007年に行われた次世代ライフルの信頼性テストではジャム率の低さで圧倒的な数値を出したとされる(XM8 / HK416 / SCAR-L MK.16 / M4A1の4丁だがM4以外の銃もガスピストンだった)。
また、共通フレームのもとで複数の銃器の役割をもつことを念頭に開発されているため、戦場において兵士が自分でライフルの役割を適宜変更できるという柔軟さを持っている。これによりバレルを変えてスナイパーライフルにする、サブマシンガン型にするなどといった多種多様なモードに切り替えることを可能にした。
しかし、「不採用理由」の項で先述したとおりXM8はもともとG36をベースにしたものであるため、「連続射撃を行うことにより熱でフレームが歪む」「紫外線を長期間浴びたフレームの劣化・変形により命中精度が低下する」などといったG36の問題も同様に引き継がれている。
これは、M16、M4などのライフルの問題が改善してきたこともあって、莫大な予算をかけて装備を一新するほどの効果に見合わないとアメリカ軍に判断された要因の一つでもある(G36と同じならG36そのものを買っているのと変わらないため)。
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関連項目
脚注
- *システムウェポン: 武器をシステム化・モジュラー化することによりパーツ単位での換装を可能にし、パーツの組み合わせによって複数の銃器の役割を代行させる構想。要するに「銃をたくさん持っていかなくてもパーツ取り替えられるこの一丁で全部できるので大丈夫ですよ奥さん」という考え方。
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