Adventure-seeker Killy in the Cyber Dungeon Quest!
概要
BLAME!とは、月刊アフタヌーンに1997年から2003年にかけて連載されていた弐瓶勉による遠未来SF漫画である。
単行本は連載当時に発売された全10巻の通常版のほか、2015年に発売された全6巻の新装版もある。
外伝的作品として、「NOiSE」全1巻。また、弐瓶勉の短編作品集「ブラム学園!アンドソーオン」にも後日談的な外伝や本編とはテンションが違いすぎる異なる世界線での物語が収録されている。さらに、「弐瓶勉画集 BLAME!and so on」ではBLAME!の用語やキャラクターについての解説が収録されている。
舞台は遠い未来、太陽系をも飲み込む果てしなく巨大な構造物の中で、主人公の霧亥(キリイ)が敵対勢力と戦いつつ「ネット端末遺伝子」を探し求める旅を延々と続ける…というお話。
とにかく文字情報が少ないことに定評がある。作中でナレーションの類は一切入らず、主人公は回を重ねるごとに無口っぷりに磨きがかかる。
その分、絵による描写は緻密で、アフタヌーン本誌では印刷の質が悪い事も相まって「雑誌を閉じた状態でもBLAME!のページは黒いので掲載位置がすぐに見つかる」「読んでいるとページを押さえる指がインクで黒く染まる」などと言われた(ちなみに氏の次期作「BIOMEGA」の単行本の表紙には「CAUTION!!! Your finger dyes black.」のマークがある)。
建築系を学んだことがある氏は、その経験を画中に十分に生かしている。漫画というよりもはや画集である。
SFではしばしば巨大すぎて実感がないというようなことが良くあるが、BLAME!は人物との対比などにより広大な世界観を上手く演出している。また、インターネットがあまり発達していなかった時代にこのような作品を描いたことは驚愕に値する。
独特な世界観や登場人物、緻密な画風、作品全体に漂う雰囲気からファンは多い。
連載終了から長期経った今でもなお、インターネット上のファンサイトや掲示板サイトなどでは盛んに語られている。決して広く一般に知られた作品ではないが、この手の作品が好きな人間は大概知っているというマイナーだかメジャーだかよくわからない作品である。
登場人物
- 霧亥 -Killy-
- 「ネット端末遺伝子を探しに来た」
主人公。
ネット端末遺伝子を見つけるため、とても長い年月のあいだ階層都市を探索し続けている。
武器は重力子放射線射出装置。詳しくは個別記事参照。
基本的に無口。それでも物語の初期は人間らしい表情や言動を見せていたが、ある出来事を境に感情を表に出さなくなり、元々少ない口数がさらに減ってしまった。
登場人物が彼だけの回は、台詞が全くないこともしばしば。 - シボ -Cibo-
- 「助けに来たわよ 霧亥」
ヒロイン。
生電社の主任科学者。詳しくは個別記事参照。
セーフガード
ネット端末遺伝子を持たない人間(と珪素生物)を排除する存在。
当初はネットスフィアとネットの入会者を守るための団体であったが、すべての人間が正常なネット端末遺伝子を失った今、規約違反の人間(=全人類)を排除する脅威となっている。
ネットスフィアの支配者である統治局とは独立して機能しているため、統治局はセーフガードの活動を止めることができない。
- サナカン -Sanakan-
- 「私/我々セーフガードは排除する」
女性型上位セーフガード(レベル6)。
右腕に重力子放射線射出装置を装備し、高い戦闘能力を誇る。
霧亥との面識があるらしいが詳しくは語られていない。
「BLAME学園!」では、授業中でもすぐ発砲するアブナイ先生として登場した。 - ドモチェフスキー -Dhomochevsky-
- 「何 やってんだ お前!!」
臨時セーフガード。
珪素生物に占拠された集積蔵を奪回するために派遣された。
臨時セーフガードはネット端末遺伝子を持たない人間も保護対象とするため、成り行きでシボを保護することに。
シボとプセルを、女性として意識するかのようなそぶりを見せる。 - イコ -Iko-
- 「やあ 僕はイコ 状況を認識できるかい?」
臨時セーフガード。
ドモチェフスキーの相棒。元々少年のような外見だったが、珪素生物に造換塔を奪われたことで身体を保てなくなり、幽霊のように浮遊する存在となる。
「BLAME学園!」では学ランを着ているものの、実は女の子であることが判明した(ドモも知らなかった)。
珪素生物
ネットのカオスを信奉する集団。
世界のカオス状態を維持するため、ネット端末遺伝子の汚染を進めている。
珪素基系の物質による機械化を生まれる前から行い、そのまま成長する。
- イヴィ -Ivy-
- 「勝負だ セウ」
男性型珪素生物。メイヴと共に東亜重工を襲撃する。
ギミック付きの長剣を扱い、セウを相手にファンタジー漫画を髣髴とさせる斬り合いを演じる。 - メイヴ -Maeve-
- 「ぶち殺そう!!」
女性型珪素生物。
イヴィの相棒。43人の子持ち。 - ダフィネ・ル・リンベガ -Davine lu linvega-
- 「その程度? 統治局もたかがしれてるな」
ドモチェフスキー達の防衛区画を襲撃している、珪素生物チームのリーダー。
異形の身体とセリフの少なさから性別が不明だったが、「BLAME学園!」にて女性として描かれた。
(ただ、登場当時から名前の元ネタは「Daphne Rubin-Vega(ダフニ・ルービン=ヴェガ)」という実在の歌手/女優の名前だと推測されており、そこから女性説は囁かれていた。)
ちなみに「Devine Lu Linvega」と言う、とてもよく似た名義のカナダ人イラストレーター兼ミュージシャン(ジャンルはインダストリアル)兼インディーズゲームクリエイターも実在している。BLAME!にインスパイアされてこの名義を選んでいるようだ。 - プセル -Pcell-
- 女性型珪素生物。
振るだけで衝撃波を飛ばす特殊な剣を持ち、チーム中、最も高い戦闘力を持つ。
また、造換塔に自身を接続しており、受けた傷を瞬時に回復することができる。 - スチフ -Schiff-
- 男性型珪素生物。
全身に機械化手術を施し、驚異的な運動能力を身につけている。特に顕著なのはスピードで、放たれた弾丸を零距離でかわすほど。
武器は両腕に仕込んだブレード。目の前の敵を斬り裂くだけでなく、遠くの目標に向かって射出することもできる。「ビーキュウエスエフエイガ(B級SF映画)」が大好きという裏設定がある。 - ブロン -Blon-
- 「ドゥォッホッホ
ホォッホォホォ」
男性型珪素生物。
節足動物のような形態に変化することができ、大量の虫を操ることもできる。が、仲間からはあまり快く思われていない。
武器は左手に仕込んだ機銃や、その巨躯を生かした体当たり。 - ジェニタリアス
- 俺の
出番は
ていうか
これだけ
なのに!
い~っ!! - メタジィーニ
- 「私の出番は…… 無かった……」
ジェニタリアスと共に1巻で登場。霧亥を襲撃するも返り討ちに遭う。
本編登場時は名前が判明せず、BLAME学園3話でジェニタリアス共々初めて明らかになった。 - バルダンバ
- 男性型珪素生物。メイヴの43人の子供の一人。フルネームは「ルートバルゴバルダンバ」。
研究員になる夢を持っていたが、母親の反対で断念した過去を持つ。
本編では東亜重工内で食料液をすすっているところを霧亥たちに襲われ、拷問を受ける羽目に。
「BLAME学園!」では、早弁しているところをクラスメイトにチクられ、メンサーブ先生に首をはねられた。
その他
- メンサーブ -Meinserv-
- 「セウ 侵入者たちを排除しなさい」
東亜重工第8空洞の、女性人格を持つ管理AI。
管理者でありながらセウ一人に執着し、他の管理AIや中央AIからは踈まれている。
セウと共に第8空洞の住人を守るため奔走する。 - セウ -Seu-
- 「メンサーブ……様」
メンサーブの護衛。人間男性。
全身鎧に身を包んだ、中世の騎士を連想させる姿をしており、武器も長剣を使用する。
度重なる負傷を治療した際の代償として、知性が退行しつつある。
NOiSE
「BLAME!」の公式外伝に当たる作品。
確立されて間もないころのネットスフィアや、珪素生物の前身となる「教団」、
世界が荒廃してしまう「厄災」の発端などが描かれている。
アニメ版
幾度かアニメ作品化が試みられている。
- BLAME! Ver.0.11
- 2002年に、WEB配信された短編アニメーション。全6話。1本のDVDにまとめられて販売もされている。原作とは趣が異なる前衛的・電子ドラッグ的な映像・音響となっており、また短編の為やむを得ないがストーリーも継ぎ接ぎ状態で、あまり評価しないファンも多い。「Ver.0.11」という名称からもわかるように劇場映画化を見据えたプロジェクトだったが、ファンの反応が今一つだったためか劇場版の話は立ち消えとなった。
- プロローグ・オブ・BLAME!
- 2007年に、長編映像作品のプロローグとして制作された3DCGアニメーション。フィギュア付きのDVDとして霧亥、サナカンの2バージョンが発売された。3分ほどしかない非常に短い作品であり、さらに2007年当時の3DCG技術では原作の雰囲気を再現するにはやや難しかったようで、こちらもファンの反応は今一つだった。その後、長編映像化の話は立ち消えとなった。
- BLAME! 端末遺構都市
- 2015年4月から放映中の3DCGアニメ「シドニアの騎士 第九惑星戦役」。弐瓶勉の別作品「シドニアの騎士」のテレビアニメ版第2期である。この「シドニアの騎士 第九惑星戦役」第8話の劇中劇として、「BLAME!」の3DCGアニメ「BLAME! 端末遺構都市」が放映された。なおこの映像は、「シドニア公共放送」で流れたテレビシリーズのスポット予告という設定で、「アニメ化待望の超大作」と自画自讃している。いう設定である。こんなアクの強い作品を流せる公共放送とはいったい。
この劇中劇プロジェクトに合わせて、「シドニアの騎士 第九惑星戦役」のブルーレイディスク1巻には「BLAME!」と「シドニアの騎士」の両作をコラボした特典コミックス「つむぎ、「ブラム!」にハマる。の巻」が付属。弐瓶勉氏曰く「シドニアの騎士第九惑星戦役BD1巻のおまけ漫画はほぼBLAME! な内容です。」とのこと。 - さらに、これらの時期に合わせて2015年4月からは「BLAME!」の新装版コミックスが発売された。通常版よりも大きなB5版の版型であり、通常版では潰れてわからなかった細かい描き込みも把握することが可能となっている。
なお8話の次回予告では、キリイがこのあとどうなったのかについて「皆の応援次第よ」と意味深な回答をしていた。まさにその2年後、これを製作したポリゴン・ピクチャアズによって劇場作品が作られることとなる(劇場版の初報では「端末遺構都市」の副題がついているものもあった)。 - BLAME!
- 上述のように紆余曲折を経たが、2017年5月に劇場公開。音響は日本アニメ史上初のドルビーアトモス(Dolby Atmos)対応。画質もNetflixの配信ではHDRに対応しており、最先端の映像技術で製作された。劇場公開は当初2週間の予定であったが、7週間のロングランとなった。
劇場版チャンネル&動画
記録映像
記録映像(静止画)
ハードコピー
ネットスフィア上の関連項目
表示の意味がわかるようになった……
外部リンク
- 24
- 0pt