F-15とは、マグドネル・ダグラス社(現ボーイング社)が開発した制空戦闘機である。
概要
成り立ち
全ての発端は、1958年9月24日の台湾海峡上空であった。この日、台湾空軍のF-86(迎撃機として開発されたが、侵攻型(制空)戦闘機としても優秀な戦闘機である。)に搭載される形で、初めて実戦投入されたAIM-9空対空ミサイルが大戦果を上げた事が、1950年代から1960年代の戦闘機開発に大きな影響を与えた。
当時空軍機としては、リパブリック社製のF-105サンダーチーフ やノースアメリカン社製のF-100スーパーセイバー、ロッキード社のF-104スターファイター等が開発されていたのだが、何れもミサイル万能主義や核軍拡競争の影響を受けた、格闘戦軽視の迎撃機や戦闘爆撃機だった。現場のパイロット達は、この空中戦軽視の流れに反対の声を上げていたが、選挙区への利益誘導や天下り先の確保に走るワシントンのペンタゴンや議会といった伏魔殿の住人達は殆ど気にしていなかった。
一方で、ケネディ政権で国防長官であった、ロバート・マクナマラは、戦闘機の調達コストの低下や合理化に腐心していた。全面核戦争から小規模紛争への介入にまで対応する、柔軟な軍備を実現する為のコスト削減策と戦術航空コマンド(TAC)が戦略航空コマンド(SAC)から予算の一部をぶんどる手段として、多種多彩な戦闘機を戦術核を頂点とする兵器体系の運用に重きを置いた戦闘爆撃機F-105と開発中の多用途戦闘機TFX(後のF-111)の2機種に統一する決定行う一方、TFX実用化までのつなぎとして、空軍に迎撃機として海軍の新型戦闘機であるマクドネルのF-4をF-110として採用させた。国防省と海軍にしてみれば、安く戦闘機を調達できるので熱烈に歓迎をした。
ソビエトより憎い憎い憎い(とっても憎いことなので3回ry)アメリカ海軍の戦闘機を採用させられる事となった空軍から見れば、当然いい顔をするはずもないのだが、海軍から実物を借りてテストした結果、F-4の飛行性能に下は見習いパイロットから上は将軍までその飛行性能にトリコになった。
しかし50年代終わり頃、空軍に格闘戦が得意な戦闘機が存在せず、多用途戦闘機TFXの前途が明るい物では無いと言う事を見抜いていた空軍内部の研究機関から、現状ではマジでヤバいという研究結果が公表された事により、65年末、戦術航空コマンドで新戦闘機FXの概念研究が始まり、新戦闘機として公開された研究案は、多用途戦闘機TFXと瓜二つと言ってよい物であった。どうしてこうなった・・・。
システムコマンドは、27トン可変翼戦闘機の設計を洗練する企業の公募を行い、ノースアメリカンや変態企業ロッキード、ボーイングの三者が初期設計を行う契約を得た一方で、参謀部はジョン・ボイドという戦闘機マフィアの親分に『新戦闘機FXの概念研究』その物の見直しを命じ、重量18tの固定翼制空戦闘機がFXに最適とする結論を得ており、ソビエト連邦(現ロシア)が1967年のモスクワ・エアーショーでMiG-25を始めとする次世代軍用機群を発表したことで、FXは重量18tの固定翼制空戦闘機と言う方向性を決定し、航空機メーカーに要望を提出したが、戦闘機マフィアはまだ満足せず、さらに突き詰めた思想を持つFXX(のちのF-16)の開発へと突き進んで行った。
そうこうする内、ベトナム戦争が勃発、開戦早々、高性能のF-105が旧式のMiG-17に撃墜される事件が発生し、北爆のCAP任務からF-100を外し、虎の子F-4を戦線投入、改良に次ぐ改良で終戦まで凌ぐ事となったが、空軍首脳の危機感は強かった。
試作機が1972年に初飛行した後、試作機に対し、フラッター対策として、水平安定版にドックスーツと呼ばれる切り欠きの追加、一部の飛行領域で発生するバフェットは、主翼先端部を斜めにカットすると共にエアブレーキの大型化すると言った設計変更を行なった。単座型18機と副座型2機の計20機の試作機が製造され、上昇期間記録を打ち立てるために改修(塗装を含む不用品をすべて取っ払った)を行なった、上昇記録専用機「ストリーク・イーグル」と呼ばれる機体も存在する。
量産型にF-15Aの形式が与えられ、複座型の訓練機はTF-15Aとされた(後にF-15Bと改称)。1974年には、ベテランを中心とした機種転換訓練が始まったが、アビオニクスの初期不良やF100の信頼性の低さと予備部品の枯渇によって、訓練スケジュールに遅れが出たため、75年にF-15と対地攻撃兵装の適合試験と対地攻撃訓練は省かれる事となったが、この事が、平行して配備の始まっていたF-16の運用にも影響し、F-16 Block 15以降、攻撃機としての能力を伸ばす方向で改良が進められる事となった。
1976年には、バージニア州のラングレー基地に所属する第1航空団で最初の実戦部隊が誕生した。
アメリカ軍の保有する制空型F-15は、配備当初から2011年現在までに、3回ほど、機体塗装の仕様変更が行われており、配備直後は、エアスペオリティブルー(FS 35450)一色であったが、単座型34号機及び副座型10号機から、ハイライトにダークゴーストグレイ(FS36320)+シャドー部分にライトゴーストグレイ(FS36375)に変更された。ちなみにカッコ内の数字はFederal Standard 595B(色見本のアメリカ連邦政府規格)イスラエル航空宇宙軍や航空自衛隊、サウジアラビア空軍の制空型F-15は今日までこの塗装であるが、米空軍の保有する機体は、1980年代のアメリカ海軍機の同じ塗装を使用したロービジ化に対抗意識を燃やしたのか、1990年頃からトーンダウンしたグレーに変更されている。どうでもいいことだが。この新塗装がなかなかくせ者で、エアスペオリティブルー=C74、ダークゴーストグレイ=C307かAS25、ライトゴーストグレイ=C308かAS26、(後方の数字は、Cxx=クレオスのビン入りラッカー、ASxx=タミヤのスプレー塗料)と入手が容易な塗料が存在するが、トーンダウンしたグレーは、Federal Standard 595Bの番号も判らないため、雑誌や模型のボックスアート(てか写真)を参考に調色する必要がある。
後にF-15Aに機内燃料タンクを増設し、いくつかの仕様変更をしたF-15Cおよびその複座型のF-15Dが登場した。また、F-15Bをベースに戦闘爆撃機型として再設計したF-15Eも誕生した。
機体あたりのコストが非常に高いため、親米で裕福なイスラエル空軍、日本航空自衛隊、サウジアラビア空軍の3カ国のみ導入されている。またそのコストのためにハイローミックス(高級機ばかりだとお金が足りないので安い機体でカバー)という発想が生まれ、F-16の大量採用に繋がった。最近ではコストが相対的に下がったため、E型ベースの機体を韓国やシンガポールが購入している。
総生産機は喪失機もあるので大雑把なものではあるが、米軍は440機、日本航空自衛隊は200機、イスラエル空軍は80機、サウジアラビア空軍で60機と言われている。
技術
F-15の特徴としては、チタン合金製を使用した頑丈な機体、巨大な主翼による安定感と旋回性、ベトナム戦争の戦訓として搭載されたM61A1バルカン砲、強力なP&W製のF-100エンジン(推力重量比が1を超えるため、理論上は、最小離陸重量に近ければ主翼が無くても推力だけで垂直上昇できる)、充実したレーダーなどの電装品、そして何よりも、大型の機体とエンジンに支えられた拡張性が挙げられる。
新型のシステムや装備が後から開発されても、少々の改修で対応できるのだ。生産中にいくつかの面でMSIPと呼ばれる改良がおこなわれ、それ以前の機体はPre-MSIPとして区別されている。
航空自衛隊でも米空軍に準ずるアップデートがおこなわれ、そちらはJ-MSIPと呼ばれている。
pre-MSIP/MSIPとの違いは多々あるが、コックピットの計器がアナログ/デジタルかで判別可能である。
弱点としては上述したエンジンが不安要素にもなりえた点があげられる。初期型に搭載されていたF100-PW-100エンジンは、推力こそけた外れの値をたたき出すことが可能であるものの、コンプレッサーストールが起きやすかった。これは、スロットル操作を慎重に行わなかった場合飛行中に推力の低下、最悪エンジンの停止といった悪癖を起こしやすいという意味である。レスポンスも少々悪い。
そのような欠点があったため、メンテナンス性が予想以上に悪化し、エンジンの交換頻度が多くなった。そのため一時期基地のハンガーにエンジンのないF-15が大量に並んでいるなどの事態が発生し、メカニックが頭を抱えることになった。
後期生産型ではデジタルエンジン制御装置を取り付け、信頼性を向上させたF100-PW-220エンジンに交換されている。このエンジンは初期型に比べ最大出力がほんのわずか低下しているものの、スロットルの急操作に問題はなく、燃費も向上したタイプであり総合的な使い勝手は以前より良くなった。
F-15C/Dからはコンフォーマル燃料タンク(CFT)と呼ばれる着脱式燃料タンクを装備可能。通常の増槽に比べて空気抵抗が少なく、むしろ若干の揚力まで生みだせるため運動性の低下は最小限で抑えられる。。CFT自体にもハードポイントがあり、より多くの兵器を搭載することが可能。ただし飛行中のパージは不可能なため、ほぼ基本空対空戦闘のみのF-15C/Dにとっては、いつでも投下することができ身軽になりやすい増槽の方が好まれたため、使用機会はほとんどない。
基本的にはバルカン砲と空対空ミサイルのみを搭載する。赤外線誘導式のAIM-9サイドワインダー空対空ミサイル4発とレーダー誘導式のAIM-7スパロー空対空ミサイル4発、固定装備の20ミリバルカン砲を空対空基本兵装とする点は前任のF-4と共通である。90年代以降は撃ちっ放し式ミサイルであるAIM-120AMRAAMがAIM-7に代わって搭載される。必要に応じてAIM-9のランチャーにも搭載でき、その場合最大8発搭載可能。一応爆弾も搭載・使用可能。
イスラエル空軍ではAIM-9に代わってパイソンシリーズが搭載される。そのほかF-15にも爆撃任務を行わせるためのソフトウェアが搭載されているため従来機より多彩な対地兵装を携行可能となった。
航空自衛隊配備機ではAIM-9と国産のAAM-3両方の装備が可能。また改修機にはAIM-7やAIM-9/AAM-3に代わってAAM-4やAAM-5の運用能力が付与されている。そのため航空自衛隊ではAIM-9XやAIM-120を配備していない(評価試験用に少数導入したことはあった)。
また、1983年にはイスラエル空軍のダグラス社製A-4スカイホークとF-15が空中で接触しA-4が墜落する事故が発生したが、F-15は右主翼ほぼ全てを失いながらも15km先の基地まで帰還した。他にもシリアとの戦争で不発のミサイルが突き刺さったまま帰還した例など、戦闘力だけではなく生存性もきわめて高いことが証明されている。
実戦
実戦ではイスラエルにおけるシリアとの戦争で40機以上、湾岸戦争で38機(ほかにサウジアラビア空軍がミラージュF1を2機)、コソボ紛争でMiG-29を4機、イラク戦争ではミラージュF1を1機撃墜している。公式な戦闘記録上では実戦での空対空戦闘被撃墜は皆無(撃墜を主張する論もある)である。確かに被弾した機体も存在し、イスラエル空軍の機体がシリア空軍のMiG-21の発射したAA-8空対空ミサイルによってエンジンを片方もぎ取られた(この機体は撃墜を免れ、友軍基地にまでたどり着いている)。また戦闘爆撃機であるE型は、湾岸戦争やイラク戦争で対空砲や地対空ミサイルによって合計3機撃墜されている。なお誤射による被撃墜が1995年に航空自衛隊で発生しており、空対空戦闘で唯一公式に「撃墜」されたF-15となっている。
今後
システム面のアップデートにより、もはや旧式機に属する機体でありながらロシアのスホーイSu-27、EUのユーロファイターなど後発の戦闘機にも引けを取らない戦闘能力を有するため、後継であるロッキード・マーティン社製のF-22ラプターが登場した現在でも活躍している。米軍では2025年に退役を予定していたが、近年経年劣化による墜落事故が発生したため、精密検査に引っかかった機体は即退役させられるようになった。おそらく全機の退役も早まるものと予想されていたが、オバマ大統領になったことでF-22ラプターの生産終了が決定。F-15Cの機体調査により飛行時間について2000時間程度の延長がありえるというアナウンスもある。
航空自衛隊では導入が開始された中期以降のJ-MSIP機を対象に導入時期によって多段階改修計画を立てており、新型レーダーの搭載、AAM-4やAAM-5といった国産空対空ミサイル運用能力付与、コンピューターの換装がおこなわれている。これは形態1型・形態2型と呼ばれ段階順に行われている。
このJ-MSIP対応のF-15は航空自衛隊が導入した全200機の半分に相当する(その他、若干ではあるがpre-MSIP機からMSIP対応になった機があるといわれている)。現在これから漏れたpre-MSIP機についてもデジタル戦闘システムを搭載しようとしているほか、これらのpre-MSIP機を対象に減勢する一方のRF-4E/EJ偵察機の代替として偵察ポッド搭載型への転用、実戦における電子戦機(エスコート・ジャマー)などの他用途機への転用も検討がなされている。
なお米軍におけるF-15早期退役問題についても米空軍にくらべ航空自衛隊は導入当初からかなり緻密に整備を行っていた点、また非破壊検査機器導入などによる金属疲労検査がおこなわれており、退役時期については導入初期のものでも2032年以降まで伸びるという話がある。
派生機として改良、マルチロール化した戦闘爆撃機「F-15Eストライクイーグル」が存在する(この発展型のF-15SEサイレントイーグルも存在する)。ただし、機体の多くを再設計しており原型機とは機体構造からしてまったく違うものとなっている。
ゲームや映画、アニメなどの作品において
F-22登場まで西側(正確には米軍)では実質的に最強の戦闘機であり、また航空自衛隊でも主力戦闘機として採用されている為、数多くの作品に登場している。特にエースコンバットやLOMACなど、ゲーム世界でも人気機種の1つである。
エースコンバットシリーズにおいては、C型がZEROにおける主人公機として2機並んでパッケージに描かれており、このカラーリングはどちらもエースコンバット6においてもF-15Eのダウンロード機体として登場している。
ゲームではプレーヤーが使える機体=正義と言う解釈でできる一方で、アニメ等では、トランスフォーマーシリーズのスタースクリームに代表される、悪ノF-15が登場する作品も存在する。
関連商品
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http://dic.nicomoba.jp/k/a/f-15


ページ番号: 267379
リビジョン番号: 1436528
読み:エフジュウゴ
初版作成日: 08/06/22 02:52 ◆ 最終更新日: 12/02/11 01:52
編集内容についての説明/コメント: だいぶ書き直さないとアカンかもしれない orz
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