H&K UMPとは、H&K社が1999年に発表したサブマシンガン(以下SMGと略す)である。
概要
H&K社はMP5という傑作SMGを開発したが価格が非常に高価であった。
ちなみにお値段は警察納入価格20~25万円 民間だと40~60万円
この数字だけ見ても銃に馴染みのない日本人にはわかりずらいので比較として、M16の納入価格が3万円、RIS付きM4の納入価格が8万円、M4のアメリカの民間価格が8万円~16万円(値段はメーカーによる。1番高価なのがH&K製)、最新アサルトライフルであるSCARやACRの民間値段ですら25万~30万円であることを考えれば異常な程高いことが分かる。
その為H&K社は「発展途上国でMP5売れないじゃね?こんな高い銃あいつら買えねえーよ!でも似たような安い銃作ったらあいつらでも買うんじゃね?」ということでMP2000というストレートブローバック方式のSMGを開発した。MP5で採用した高価で精度の高いローラーロッキング方式はSMGでは過剰(オーバースペック)であり、クローズボルトであれば十分と判断し為だと思われる。
実際TMP(後のMP9)等、他社でも精度が高く安価なクローズボルトのSMGが同時期に登場し、H&Kとしても価格競争で遅れを取ることに危機感を感じて開発されたものと思われる。
だがその予想と反してMP5は発展途上国でも売れたのであった。「っべーよ!MP5売れてるじゃん!じゃあこれ出す意味ないじゃねーか!」ということでMP2000は結局御蔵入り。開発者は盛大に(´・ω・`)したことだろう。
しかしMP5に別の問題が起きた。MP5も用いている9mmパラベラム弾では、被弾した敵から反撃を受けるケースが何件も発生したためMP5の.40S&W弾使用モデルを少量製造したものの、売れ行きは不十分だった。その頃アメリカ軍は.45口径のH&K Mark 23(ソーコムピストル)を採用し、それに伴い新規で.45口径のSMGを開発する事になったため、H&KはMP2000をベースに.45口径SMGの開発を始める。
この時、H&K社はドイツ軍のG3に変わる新型アサルトライフルの開発も同時進行しており、完成したSMGがUMPでアサルトライフルがG36である。
駆動方式は耐久性に優れるストレートブローバック方式で、MP2000の段階ではスチール製だったフレームをプラスチックに変更し大幅に軽量化されている。MP5と比べて約1キロも軽い。全長も僅かながら短く銃床も折畳式である。
.45口径を使用出来る前提で開発されたがMP5と同じ口径のモデル、9mmパラベラム弾、.40S&W仕様もリリースした。これらはUMP9、UMP40と呼ばれており、45口径モデルは25発、それ以外は30発入りマガジンを用いる。セミオートオンリーの民間向けも販売されている。
G36のSMG版だと勘違いされることもあるが、動作方式は全く別物である。
(UMP→ストレートブローバック G36→ガス利用方式)
操作性に関してだがストックはG36と共通、それ以外はMP5と共通であるが、ボルトストップやピストルグリップがM16と酷似しておりアメリカを意識した設計になっている。というより既存の銃の長所を組み合わせ、取り回しの良さと開発費の抑制の両立を意図したのかもしれない。
MP5では省略されたボルトストップが付けられ、レイルシステムも標準装備で拡張性も高い。後発の良さを存分の発揮し性能、コストなどの総合的にはMP5を上回っていると考えられるが、売れ行きはH&Kが期待した程ではなかった。理由に関してはいくつか考えられるとすれば…
- MP5の廉価版として開発された経緯があるので、特に人質を避けての精密射撃を求める警察が忌避した。
- H&KがMP5とのはっきりとした差別化をしなかった為、訴求性に不足した。PDW程の差別化が出来なかった。
- MP5で威力が不足するなら、5.56mmカービンの短縮形を安価に調達すればよい(M4コマンドー等)。
以上の理由は多分に推測が入っているが、UMPがSMGの主流になることは当分ないと思われる (´・ω・)カワイソス
しかしけして悪い銃ではないので、アメリカを初めとする様々な軍、警察で少しずつ、じみ~~~~~に採用を増やしている。軽量で取り回しが良く、ポリマーフレームで防錆性が高いことから、海上警察組織などでの採用事案もそれなりに存在する。これからもMP5の影で、地味だが欠かせない存在として活躍することだろう。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- 5
- 0pt