Mi‐8とは
ソ連で開発され、現在も世界各国で運用中の軍用ヘリコプターである。
NATOコードネームは「ヒップ(Hip)」(尻の意)。
右は上図がMi-8、下図はMi-8MTV-5/Mi-17(輸出型名)。
概要
Mi-4「ハウンド」の後継機として開発された主力汎用ヘリ。
軍民両用合わせて15,000機以上が製造され、単純で頑丈な構造と高い汎用性から世界中で広く運用されるベストセラー機。ヘリコプター版MiG-21、AK-47とでも言える典型的なソ連製兵器のひとつである。
東側版UH-1とでもいうべき立ち位置だが、UH-1に比べると一回り以上大きい。
ペイロード(最大積載量)は4トンと3倍近く人員なら24名(UH-1は11名)、歩兵小隊をまるごと運ぶことができる。これは広大な土地を擁し、広く人員・物資を輸送する必要があったソビエトならではの設計思想と言えよう。
- 回転翼は同時期のUH-1シリーズの直径13~14mの2枚羽根に対し、21m×5枚羽根。
- エンジンは同時期のUH-1シリーズの960~1400shpに対して1700hp×2発。
(シリーズはUH-1B~UH-1H) - スライドドアしか無いUH-1とは異なり最後部に両開き式の大きなドアを備えている。
そのペイロードを活かした武装型も広く使われたが、生存性や性能限界の低さからMi-8をベースに新型の攻撃ヘリが開発された。(この辺りもUH-1を元にAH-1が開発された経緯に似ていて興味深い)それこそがかのMi-24「ハインド」(項目参照)であり、機体上部から後部にかけて面影がある。
※オプションで短翼とMi-24と同等のロケット弾ポッドなどを装備することも可能。
※いろいろ書いたが…
輸送ヘリのMi-8と多用途型のUH-1であるため、数字だけでどちらが劣っているという訳ではない。
日本におけるMi-8
日本でも民間企業によって特注機が運用された(設計基準の違いで旅客運用はできなかった)。
13年間およそ3000時間の飛行中、不具合は殆どなく、整備費も1時間あたり500円程度であったという。
その他、何気にオウム真理教が非公式に海外からバラして密輸した民間型のMi-17を1機持っており、サリンの空中散布も予定していた。機体は白色。
2020年10月、ロシアのMi-8が北海道知床岬領海上空に領空侵犯。
黄色い機体と赤十字でデザイン的には救難/非武装だが、真意や機体内部は不明。本当に救難か?
露Mi-8ヘリ知床岬付近で領空侵犯、戦闘機緊急発進 – 旅行業界・航空業界 最新情報 − 航空新聞社 (jwing.net)
余談
2024年現在、日本国内においてMi-8系列を運用している組織・企業はない。
…かといってソビエトロシア系ヘリコプターが全く使われていないかといえばそうでもなく
航空輸送用にKa-32(民間輸出型のKa-27)を所有・運用している企業もある。
(二重反転プロペラ、吊り下げ重量5トン)
Our Aircrafts アカギヘリコプター株式会社 (akagi-heli.co.jp)
※比較として、フランス製のAS332の吊下積載量が4トン。
標高などによっても出力は低下するため、余裕があったほうが安心である。
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関連項目
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