TASはテレビゲーム・PCゲーム等をエミュレータの機能を用いて作成した動画。多くはゲームスタートからクリアまでの理論上の最速値を求めるものを指す。
概要
TASは略字であり、”Tool-Assisted Speedrun(ツール・アシステッド・スピードラン)"
もしくは”Tool-Assisted Superplay(ツール・アシステッド・スーパープレイ)”の略とされる。
ゲームエミュレータの機能に搭載されているフレームレートの操作、ムービーの追記、メモリビューアなどを用いて(ツールアシスト)通常の人間のプレイではとても再現できないようなスーパープレイ映像を作りだすという意味合いがある。
"Speedrun"の文字の通り、一般的にはタイムアタックを目的として行われる。
タイム短縮に影響を及ぼさない範囲では魅せプレイなどの要素を取り入れている場合もあるが、魅せプレイをメインに据えるものはTAPと呼ばれて区別される場合がある(後述)。
クリアタイムの記録は、殆どの場合が「ゲーム起動」の瞬間から「最後の操作」の瞬間までの動画での時間である。
ゲーム内のメモリ数値の強制変更等を含む「チート」とは別であり、理論上は実機でも再現可能ではあるが、人間の能力上で再現可能とはいえないものが殆どである。
TAP
タイムアタック以外の要素をメインに据えた動画はニコニコ動画ではTAPと表記することがあるが、これは単にタイムアタックと区別するためであり、特別に何かの目的を持った動画群と言う訳ではない。
タイムアタックでないツール動画は魅せプレイ動画である事が多いため、ニコニコ動画では"Tool-Assisted Performance"としてTAP=魅せプレイと言う意味で用いられる場合がある。
前述の通りTASは”Tool-Assisted Superplay”の略でもあるため、一般的にはTASと表現すればTAPの意味を包含する。そのため、 ニコニコ動画以外のサイトでは特に区別なくTASと呼ばれている。Youtube等に投稿されるランダムルート系TASは特に表現を分ける事は無く、基本的にTASと表記されている。
理論上実機で実現可能な動作
TASにおいて『ゲームハード実機で実現が可能である』事が必要である。通常実際にコントローラを自身の手で操作して最速クリアなどを行うが(RTA)、『それを極限にまで突き詰めていくとどんな結果が出せるのか?』という問いに対しての答えがTASであるからである。
なお、『現実には実機では不可能な動作』(上下同時押し・フレーム単位での連打など)を含む操作に関しては認められる場合が多い(使用したTASと使用してないTASは同一作品であっても別競技として区別されることもありうる)
再現性
『理論上実機で実現可能な』動作が条件であると同時に同じゲームソフトを使用したら同じように再現できる必要がある。通常のタイムアタックは、同じゲームソフトを用いて同じ条件で最速クリアを行うので、理論上の最速値も同じ条件で導き出されなければならない。
なお、ドラゴンクエストⅣの前期ロム、後期ロムに代表されるような、生産ロットによってゲーム内のシステムが若干変更されているようなゲームソフトがあり、それにより実現可能・不可能なTASがあるなど一部例外が存在する。
リプレイファイル
TAS動画において中心となる作業は、『リプレイファイルの製作』である。ゲームが始まり、エンディングへ向かうまでのコントローラデバイスからの入力情報を記録する。『どこでジャンプする、どこで○ボタン、どこで×ボタンを押す』などの情報を記録していくことで、そのファイルを再生すれば同じ動作が行われる事になるわけである。前述の『再現性』は同じ使用環境において同様に再生できるという意味を含んでいる。つまり、リプレイファイルさえあれば、誰でも同様の動作を確認できるということである。通常はエミュレータを起動後、リプレイファイルをセットしてゲームを起動し、再生状況を画面キャプチャするなどして映像として録画・作成する。
主要機能
- TAS動画を製作する際には使用するゲームエミュレータに下記のような機能が搭載されている必要がある。
- フレームレートの操作
コマ送りやスローモーションの状態でプレイして、
人間には難しいフレーム単位の正確な細かい動きを実現する。 - ムービーの追記
小まめにセーブしながらゲームの操作を記録していき、
失敗した際は直前のデータをロードし直して良い結果のみを残す。 - メモリビューア
メモリ内容を表示させ、その内容からアイテムの出現やエンカウントのタイミングを把握する。
いわゆる運操作、乱数調整といわれるものに力を発揮する。 - リプレイファイルの再生
操作情報等を保存・再生できる機能。TAS動画冒頭に『MOVIE START』終了付近時に『MOVIE END』と表示される場合があるのはリプレイファイルを再生している事を示している。
TAS-Videos
2009年現在までにおいてTAS動画が数多く投稿されているサイトとしてTAS-Videosがある。海外のサイトであり、TAS文化の中心的な存在となっている。動画閲覧サイトの登場と普及によって一般層へと知られるようになってきており、一部のゲームマニアの知るところだけであったTASの知名度が高まる事となった。
競技としてのTAS
TAS-Videos内ではTASを一種の競技として捉えており、公式ルールが存在する。ニコニコ動画に投稿されるTAS動画もこれに倣う形で投稿される場合が多いが、必ずしも同じ方式とは限らない。
その他のTAS
TASはPCでの動画視聴環境の各種インフラが整った事から文化として昇華したといえる。各種インフラが整う以前の時代においては、長時間のTAS動画などは製作・公開ともに難しく、リプレイファイルの作成・配布が中心だった(PCゲーム DOOM SpeedRunなど)。製作者がTASを動画撮影して公開するよりもはるかに小さい容量で公開できるので、ハードディスク容量が余り多くなかった時代では前述の方式が多く用いられた。
TASさん
ニコニコにおいて「TASさん」という呼び名で擬人化して呼ぶことがある、詳しくは「TASさん」を参照。これに対して「TASはツール」などのコメントがつくこともお約束となっているが、前述のとおりTool-Assisted Speedrunの略でありTASと言う名のツールを使用してるわけではないので本来は誤りである。もっとも、「TASさん」という呼び方自体はネットコミュニティの中で擬人化という一種のユーモアがもたらした産物であり、実在の人物と誤解さえしなければ、一概に間違った呼び方とはいえない。
いわゆる”チート”との混同
空気を読めない、あるいはTASの語義を正しく理解してないユーザにより、『チート』『チートだろこれ』などと書き込まれる場合がある。チートの語義そのものは調査・詐欺・ズルといったニュアンスを含むものであるが、テレビゲームにおいてはプログラム内の特定の数値を強制的に別な数値に書き換える事でゲーム内で本来起こりえない状態を作りだすものをさす。別な言い方に置き換えるとするならば、『実機で実現不可能な挙動を起こさせる処理』といえる。
これに対し、TASでは『理論上実機で実現できる操作』においてスーパープレイを行うものであり、いわゆるチートとは概念が異なる。
TAS動画における”チート”コメント
ユーザにより『チートw』と書き込まれる際、その意とするところの解釈が他ユーザにより良い方にも悪い方にも解釈され、しばしば動画内コメントで議論となる。状況によっては誹謗中傷合戦となり、多数の視聴者へ不快な思いをさせる事になるので十分な注意が必要である。『チートw』コメントには以下のような意味合いが持たれているとされる。
- 賞賛の意(ゲームシステムを改造して不正に録画したのではないかと思うくらい見事な出来のTAS)
- 中傷の意(こんな動画俺でも作れる。気に食わないので荒らしてやれ)
- 無自覚な荒らし(チートという言葉は聴いた事ある。この動画もそうなんだろう)
同じ言葉、同じ文字面であるので、コメント投稿者の真意は正確にはわからない。しかし、少なくとも誤解を生むような表現は避けた方が、多数の人間にとって利のある行動であるといえる。
またそういったコメントを見た側も、コメントが荒れないようにスルーするなど賢慮が求められる。
ロマンシングサガ2TASによる実例
ロマンシングサガ2ではデバッグルームが存在する。そこへ行くにはチートコードを用いて強制的に移動するか、裏技を用いて移動するしかない。あるTAS動画では、このデバッグルームに一番早くたどりつく動画を作成し、ゲーム内のフラグ(戦闘を飛ばせる、壁をすり抜けられる等)を調整して、一瞬でラスボスを撃破するという手法がとられた。デバッグルームでゲーム内のフラグを強制的に変更するなど、まるで『チート』であるかのようなイメージがあるが、前述の通り、りデバッグルームには裏技で移動する方法が存在していて、『実機で実現可能』であるので、TASの語義に照らせば、なんら問題のない手順である。
ドラえもん4 TAS(1分04秒)の件について(パスワード利用について)
ドラえもん4はパスワードセーブのゲームで、パスワードさえ知っていればラスボス直前から始めることができる。それを利用したTAS動画がうpされたが、一部のユーザにより『これはTASではない』という書き込みが見られ、動画内などで議論となった。なお、パスワード使用TASは従来より存在している。
この種の動画を作成する場合には動画が荒れる事に配慮して以下の点を心得てほしい。
- TASの定義において、必ずしもパスワード利用を否定しているわけではない。中心的存在であるTASVideos
においてもパスワード利用TASは存在する。 - 多くのTASにおいてパスワードの利用は避けられているため一部において『パスワードは使用しないもの』というイメージがあり、上記のような批判が起こりうる。
- 投稿者は説明文にはパスワード利用である旨を明記しておくことが望ましい。
参考
空気を読んだ書き込みを
TAS動画は数百回、数千回の追記、ゲームシステムの調査等、相当の労力を用いて製作されるものである。よく理解してない人間が「チート云々」と書き込む事はその労苦を軽んじる行為であり、多数の人間にとって不快な言動である。
また、うp主がTASとして動画をあげているのに『TAP TAP』とわざわざ煽ったり転載物をTAPと冠するのは不適切な行動であり、多数の人間に対して不快な行動であるので厳に慎む必要がある。
議論自体も動画内ではなく、適切な場所で行う事が必要である。
公共の空間に書き込むという事がどういうことか、よく考えた上での書き込みが望まれる(いずれも「ニコニコ動画利用規約/3.禁止行為」に抵触するため)。
TASについてより理解を深めていただくために、動画投稿者の方は是非とも、この大百科へのリンクを書いてくださることをおすすめします。
有志によるニコ割用素材もありますので、是非ともご利用ください。
関連動画
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関連項目
関連リンク
http://dic.nicovideo.jp/k/a/tas


ページ番号: 417
リビジョン番号: 630956
読み:タス
初版作成日: 08/05/13 22:09 ◆ 最終更新日: 10/02/11 06:56
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