アブラハム(ヘブライ語:אברהם)とは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などのいわゆる「アブラハムの宗教」で預言者とされる人物である。
アラビア語ではإبراهيمと綴り、「イブラーヒーム」と発音する。英語ではAbrahamと綴り、「エイブラハム」と発音する。
概要
旧約聖書、新約聖書、クルアーンなどで言及される人物で、その名前は「諸民族の父」を意味している。唯一神から度々預言を授かる人物であり、新約聖書では「神の友達」と呼ばれている。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教で重視されている。
ノアの10代目の子孫テラの子であり、異母妹のサラと結婚してイサクを生み、女奴隷ハガルとの間にイシュマエルを生んだ。神に命じられ息子を燔祭に捧げようとし、直前にその篤信を神に認められて制止されたという伝説がある。甥にロトがいる。
イスラム教ではアラブ人の祖とも言われているイスマーイール(イシュマエル)と共にメッカでカアバ神殿を建設した人物であり、イブラーヒーム(アブラハム)は多神教徒でもユダヤ教徒でもキリスト教徒でもなく純正に唯一神を信仰する帰依者(ムスリム)であったと考えられている。
アブラハムの宗教の聖典の登場人物ではよくある事だが、彼の名前も人名として広く使用されている。例えばアメリカ合衆国第16代大統領「エイブラハム・リンカーン」などは特に有名だろう。
エピソード
信仰の父とされるアブラハムだが、旧約聖書の創世記ではかなりあくどい人物である。子のイサクや孫のヤコブにも共通するが神の庇護(実際には明らかにえこひいきだが)を後ろ盾にやりたい放題することが多い。
アブラハムがエジプトに訪れた際、妻のサラに対して「ここは危ないから私の妻ではなく妹として振る舞って欲しい」といい(本当に妹でもあるのだが、それにしても意味不明である)、美人であったサラはファラオの目にとまり、ぜひ嫁にしたいとアブラハムに申し出る。
ファラオはサラをたいそう気に入り、アブラハムも多大な金品をファラオより譲り受けるなど厚遇されるが、そこに神(ヤハウェ)が介入しファラオやエジプトの宮廷の人々に対して疫病を流行らせてしまう。
ファラオはサラをアブラハムに返すと、「頼むから出てってもらいたい」としてアブラハムたちはエジプトを出ることになる。
これに味をしめたアブラハムは、なんとアビメレク王に対しても全く同じことを行う。やはりヤハウェが介入するのだが、幸いにしてまだ手を出してなかったこと、アブラハムに騙されたとヤハウェに対し弁解する。
するとヤハウェはアビメレクの王宮の女性の子宮を閉ざすという強硬策に出て、アビメレクはアブラハムに金品等を渡すことでようやく出て行かせる事に成功した。
これらのエピソードはやってることはヤクザ以外の何物でもないだろう。また、妻のサラに対しても一部エピソードは批判されている。
神の命令で子のイサクを生け贄にしようとするエピソードは彼が信仰の父として評価されるが、特にオウム真理教などで痛い目を見た反動から宗教嫌いの多い日本人にはカルト宗教の信者のような振る舞いに見えてしまうことも多い。
なお、子のイサクもアビメレク王に対して父と同様の美人局をやろうとするが、同じ手は二度通じないのか事前に対処されて失敗している。
関連項目
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