アーマークラス(Armor Class, AC)とは、主にRPGにおける防御力(守備力、耐久力)の概念のひとつである。
- 減算式アーマークラス(Descending Armor Class) - いわゆる「AC」といえばこちら。当項目で解説。
- 加算式アーマークラス(Ascending Armor Class) - 1と正反対の観念によるAC。つまりフツーの防御力
概要
元々はボードゲームの戦争SLGで使われていた概念で、それを採用したTRPG『D&D』や『AD&D』が大ヒットしたことにより1970~80年代の海外ゲーマー界隈に爆発的に広まった。
文字通り、主に装甲(アーマー)による防御性能を等級(クラス)方式で簡易的に表現したものである。かつて『ウィザードリィ』のマニュアルにおいて「AC10なら裸も同然、AC-10ならシャーマン戦車並」とジョーク混じりに語られたように数値が小さければ小さいほど防御性能に優れていることになり、装備が良くなったらその分数値が減少していく点がポイントである。この減算式ACのメリットを挙げると、
- 命中判定に当時主流であった下方ロール(乱数が判定基準値以下であれば成功、とするタイプの決定方式)を導入した場合、防御力は命中判定の際に基準値の要となるため、基本的に足し算だけで済む
- 0を一応の上限(※負の数をとることもあるが)として目安になり、ゲームデザインおよびシナリオ作成の際にバランスを取りやすい
- プレイヤーたちも自分たちの武装がどの程度の段階であるかを、他者と比較せずとも絶対的・客観的に把握しやすい
下方ロールが主流だったのは、単純に能力値をそのまま判定基準値に使用できた(つまり高い能力値であれば判定を成功しやすい)ことによる。
とはいえ、やはり「数値が大きい方が優れている」という方が大多数の直観に忠実であり、更に双六やトランプゲームなど他のゲームを通じて上方ロール(乱数が判定基準値以上であれば成功、とするタイプの決定方式)の方が親しみ深い者が多い。その上、能力に上限を設定しない方がゲームとしては拡張性が高く、プレイヤーとしても自分のキャラクターに将来性を感じやすいこともあるだろう。また、一度に10体を超える駒(ユニット)を扱うことも珍しくないSLGならいざ知らず、大抵1人を扱えばいいRPGならば多少複雑な計算式であっても、前もって判定基準値を計算してメモしておけばいいわけで、計算のし易さもあまり意味がなくなった。
というわけで減算式ACは幾つかのアナログゲーム(なお本家『D&D』等でも現用の版では上方ロール適用の加算式ACに移行している。嗚呼)の他は『ウィザードリィ』系列等のごく一部のノスタルジックなコンピューターRPG等に生き残るのみである。
上がる?下がる?
ともあれ(減算式)ACが昨今あまり採用されない一番の要因は、この能力だけが「数値が小さいほど優れている」という、他の能力値と並べた際に生じる矛盾と理解のややこしさに尽きるだろう。
「能力値が高ければ優れている」というのは非常に解り易い。が、それは下方ロールにおいてその能力を能動的(アクティブ)に行使するが故である。一方、防御というのは相手の攻撃に対する受動的(パッシブ)な反応であり、これを下方ロール主流のゲームシステムに反映させるとなると何処かで「反転」が生じるのである。というわけで、ACでは判定方法の統一と計算のし易さを採り、数値の価値の方を反転させた、ということになる。
一つの考え方だが、「クラス=等級」なのだからACの数値の後に「等」または「級」を付けるとかなりイメージしやすくなる。負の数ならば絶対値に「段」をつけてみよう。ただしそうなるとACが良くなった場合に使われる「ACが下がる」という慣用表現が「装備の等級が下がる」というように全く逆の意味になってしまうのがなかなかに悩ましいところではある。
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関連項目
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