エアガン(エアーガン)とは、空気や不活性ガスを使用して弾を発射する空気銃のことである。日本では以下の二種類に分けられる。
日本では「空気銃」を1、「エアガン」を2の意味で使用する場合が多い。両者を明確に区別する場合は2をエアソフトガン(エアーソフトガン)と呼ぶ。英語では1をエアガン(Airgun)は、2をエアソフト(Airsoft)と呼びわけている。
広義にモデルガンの一種とされる場合もあるが、厳密にはそちらにBB弾等の発射機能はない。
本稿では、2について記述する。
概要
エアガンは空気や不活性ガスの圧力でBB弾と呼ばれるプラスチック製の玉を飛ばす、銃を模した玩具である。銃を模しているという事で形状は拳銃から機関銃まで千差万別であり、お値段も数百円クラスから数十万円までピンキリ。使用するBB弾は直径6mmの球が主流で、直径8mmの球を独自に採用しているメーカーもある。マトを用意して適当に撃つプリンキングや、射撃の腕を競う精密射撃競技、地上戦を模したスポーツであるサバイバルゲームなどで遊ぶ。
エアガンの何を重視するかはメーカーごとに差があり、価格は抑えて実射性能を重視する、見た目を重視して性能は二の次、需要があればマイナーな銃でもエアガンにする、など様々である。また、発射される弾の運動エネルギーにより18歳以上用と10歳以上用に分かれる(後述)
※縁日のくじ引きで置かれている海外製エアガンなどは、大抵は安物の部類。
玩具店においては模型・プラモデル・モデルガンのカテゴリ分類で置かれている場合もある
作動方式
作動方式によって以下の3種類に大別できる。
エアコッキングガン
バネを手動で縮めてエネルギーを貯め(この動作をコッキングと呼ぶ)、そのバネを解放することで空気を圧縮、圧縮空気の圧力でBB弾を飛ばす形式。
- 構造が単純なため比較的安価、確実性が高い
- メンテナンス性、精密性に優れ、パワーソースが人力+空気なので季節に左右されない
- コッキングする力さえあれば撃ちたい時にすぐ撃てる
- 引き金を引いて発射されるまでのタイムラグが無い
欠点として…
このような特性から精密射撃競技ではエアコッキングガンが主流である。
ガスガン
不活性ガスや圧縮空気の圧力を利用する形式。エアガン内部に気体を圧縮する機構を持たないのが特徴。
液化ガスを気化させるリキッドチャージ式と、ポンプなどでボンベに低圧ガスを貯めておき、適宜バルブを開いて使用する外部ソース式の2種類の作動方式があり、現在はリキッドチャージ式が主流である。使用するガスはHFC134a、HFC152a、二酸化炭素(Co2)、空気などである。前者二つはリキッドチャージ式、後者は外部ソース式で使用される。
- コッキングが不要
- ブローバックすることで連発・連射(セミオート・フルオート)が可能な機種も存在するなど利点は多い
- ガスを注入すればすぐ撃てるため、後述の電動ガンのように長い充電時間などは必要ない
- 引き金を引いて発射されるまでのタイムラグが無い
- 設計時、バッテリーの収納スペースや駆動用モーターの格納といった条件を考慮しなくて済む
欠点として…
- リキッドチャージ式は寒さに弱い(冬季・低温)
- 外部ソース式はコストや取り回し、メンテナンス性が悪い、取り扱っている店が極めて少ないなどの欠点を持つ
- 弾倉にガスを注入する方式の場合、予備弾倉を含めすべてガスを入れておく必要がある
- 弾倉内のガス容量には限りがあるため、電動ガンと比較すると射撃可能弾数は劣る
- 予備/使用済みのガス缶などの購入・費用・置き場・処分といった欠点
電動ガン
エアコッキングガンのコッキングを電動モータで行う形式[3]。このためパワーソースとしてバッテリーを必要とする。
- フルオートが可能(最も得意)
- 一年中、季節・気温に左右されない安定した作動
- バッテリー容量によってはガスガンの2~3倍以上の弾数を発射する事が可能
- バッテリーへの充電費用はたかが知れており、ガス缶ほどの費用はかからない
欠点として…
- 機構が増えて大型化し、細かな部品も増えメンテナンス性が低い、むしろ実銃より複雑
- バッテリー・充電器・放電器といった初期投資が必要
- バッテリーの種類も様々で、長所・短所・特性も理解しないと寿命が縮む
- 広義の電動ガンとして、10歳以上用の小型のものでは単三電池で動作するものもある
- トリガーを引いてから発射までに僅かなタイムラグが発生する
- 設計時においてはバッテリー収納スペース、駆動用モーターなどを外観を保って納める必要がある
- 反動の再現や排莢口の前後などを模したものはさらに構造が追加され高価になり、バッテリーの消耗も増える。(次世代電動ガンなど)
- 中にはモーターの駆動音が気になるという方もいる。他の方式でも実銃の音はしないが…
この特性のため(バッテリーの煩雑さを除いても)サバイバルゲームでは電動ガンが主流である。機構が大型のため、大抵はアサルトライフルやサブマシンガンといった内部容積に余裕のある銃を模したものが多く、電動ハンドガンは非常に少ない。
東京マルイが初めて電動ガンの実用化に成功し、1991年に第1弾FAMASを発売、一躍エアソフトガン業界シェアトップに躍り出た。現在でも電動ガンは東京マルイが一人勝ちと言っていい状態である。陸上自衛隊ではCQB訓練用の教材として電動ガンに目をつけ、東京マルイが開発中だった89式小銃型の電動ガンに図面を提供するなど完成度を向上させる協力を行った。その後、完成した89式小銃型の電動ガンの自衛隊向けモデルを「閉所戦闘訓練教材」という名称で購入、訓練に使用している。
カスタム
ユーザーが各種エアガンを自分好みにカスタムすることは多く、エアガン本体のメーカーがカスタムパーツを販売することがある他、カスタム用のパーツのみ製造・販売するメーカーも存在する。カスタムは大きく分けて外部カスタムと内部カスタムの2つがある。
- 外側をいじって見た目や操作性を改良するのが外部カスタム。
- 内側の発射機構をいじって初速や連射速度、トリガーに対するレスポンスを改良するのが内部カスタムと呼ばれる。自分好みの1丁を作ることができる反面、内部カスタムすると基本的にエアガン本体メーカーによるサポートを受けられなくなるため、カスタムしたらその後は壊れても自己責任であることには留意せねばならない。
その他
- 実銃メーカーと提携し、本物の図面を取り寄せる、本物同様の刻印を使用させてもらう例も
- 海外で販売する場合は実銃と間違われないため、銃口や全体を蛍光色にするといった措置が取られる
- 知名度や採算を考慮した結果、売れるか分からないマイナーな銃より、新製品はメジャーな銃の焼き直しアレンジ…といったパターンも珍しくない(M16・AK・M1911系統など)
- 玩具なので実銃と同様に水没させたり、ド派手に放り投げる・落下させるといった乱暴な扱いには向かないため、訓練用・撮影用にはゴム製のラバーガン等が用いられる(→銃器用語)
- エアガン用のドットサイト・スコープ等の照準器類は実銃に利用できない。
ゲームとの違い
FPS・TPSとは異なり、物理的な形と重量がありリアルだが、威力の関係上、18歳以上用であっても最大射程は50~60m程度で、数百メートル先からの狙撃といったシチュエーションには全く向かない、物品を貫通して撃ち抜くといった芸当は不可。
構え方や呼吸法、引き金の引き方など本人の射撃センスがモロに出てしまう。(→射撃)
銃の重さと本人の体力、季節によっては山野のフィールドを走り回ると想像以上にバテる。…といっても本物の歩兵は20kg以上のリュックなどを担いで山野を歩き回るため、現職の方々の苦労が分かるかもしれない。
威力と規制
エアガンはモノにもよるが、至近距離ならば厚紙数枚を貫通する威力を持ち、体に当たると痛いし、目に当たると失明する危険性をはらんでいる。このため、エアガンで遊ぶ際は目を保護するためのゴーグルをかけることが非常に強く奨励されている。特にエアガンで撃ち合うサバイバルゲームにおいてはゴーグルは必須で、加えてフルフェイスのマスクや長袖長ズボンが推奨されている。
法律上の規制は2005年に改造によって威力をあげたエアガンによる器物損壊事件が発生したことを契機として、2006年8月21日に改正銃刀法が施行されて始まった。この改正銃刀法とその施行規則においては、人に怪我をさせるレベルの威力を持つエアガンを準空気銃と定義し、その所持を禁止している。以下はその条文を抜粋したもの。
(準空気銃の所持の禁止)第二十一条の三 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、準空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃であつて空気銃に該当しないもの のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人を傷害し得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同 じ。)を所持してはならない。一 法令に基づき職務のため所持する場合四 事業場の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出て前号に規定する者への譲渡しのための準空気銃の製造又は輸出のための準空気銃の製造若しくは輸出を業とする者(使用人を含む。)がその製造又は輸出に係るものを業務のため所持する場合-銃砲刀剣類所持等取締法より引用-
「なるほど、まったくわからん」という人のためにものすごくハショって説明すると、気温20度から35度の環境において、エアガンから水平に発射された直後の弾の運動エネルギーが、6mmBB弾の場合は0.989ジュール、8mmBB弾の場合は1.75ジュールを超えていたら、そのエアガンは準空気銃でありアウトである。
この銃刀法規制以外にも、各都道府県による規制条例があり、これにより10歳以上用は運動エネルギーが0.135ジュール以下となるように作られ、それ以上は18歳以上用として扱われる。更に18歳以上用とされたエアガンは18歳未満の子供に対する販売が規制されている場合が多い。これに加えて、業界団体による自主規制が存在し、現在流通しているエアガンは全て規制に適合した安全なものということになっている。
1発でも運動エネルギーが規制値を超えていたらアウトと言われているため、サバイバルゲームフィールドや射撃競技、エアガンのカスタムを引き受ける店では規制値から余裕を持たせた自主規制値を設定していることが多い。自分でカスタムする際も規制ギリギリではなく余裕をもった値にしましょう。両手に手錠をはめられてからでは遅いのです。
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何はともあれゴーグル。エアガン始めたいなーって人はエアガンと一緒にゴーグルも買いましょう
下の2つは10歳以上用
以下2つは18歳以上用
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関連項目
脚注
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