ガンジス川とは、インド北部を流れる大河である。
概要
全長2525km。ヒンドゥー教徒には聖なる川とされており、川岸での沐浴が知られるほか、火葬された死者の灰や水葬された遺体も流される。
現地では「ガンガー」と呼ばれており、ヒンドゥー教でその川を神格化した女神の名も「ガンガー」となっている。漢語では「恒河」となり、大きな数の単位「恒河沙(ガンジス川の砂の数)」の由来となった。英語で「the Ganges」と呼ばれていたため、日本では「ガンジス川」という名前になっている。
インド北部を流れている。現在の国でいうとインド共和国が流域の大半を占めるが、下流の分流ではバングラデシュを通る。また、ネパールを流域の一部に含むほか、下流で合流するブラマプトラ川水系の流域まで加えると中国の一部やブータンまで流域に入る。
季節風がヒマラヤ山脈に衝突することによって、流域の気候が雨季・乾季に分かれるため、流量は8月ごろに多く、11月から6月にかけては少ない。この急激な流量の変化により、氾濫・洪水が発生しやすくなっている。
ヒンドゥー教では聖なる川とされているが、先ほどの水葬された遺体に加え、生活排水や工場廃液、廃棄物などがそのまま流されているため、基本的には菌への耐性がないと言われる部外者の沐浴は推奨されていない(場合によってはヒンドゥー教徒に対しても推奨されないこともある)。特にガンジス川の水を飲んだり、洗顔したり、泳いだりするのは厳禁であり、周囲のインド人でも観光客がこのような行動に出たら驚いたりドン引きしたりするレベルとされている。
河川概況
源流はヒマラヤ山脈の中腹にある氷河となっている。多くのインド人からは「バギーラティー川」が源流とされており、その川がアラカナンダ川と合流した地点からガンガー(ガンジス川)と呼ばれるようになる。この辺りは険しい谷の中を流れている。
ヒンドスタン平原に入ると川幅が広がり、流れも穏やかになる。氾濫が多いこともあり、多くの地域では米などを作っている農地の中を流れている。インドの首都であるデリーの東方60kmほどのところを流れて、南東から東へと進路を変える。
大半は農地の中を流れるが、一部では都市の近くを流れており、カーンプル、バラナシ(ワーラーナシー、ワラナシ、ヴァラナシ等とも書く)、パトナーなどを経由する。特にバラナシはヒンドゥー教の聖地としても知られ、先述した沐浴をする人々が見られる。
ベンガル地域に入ると分流が増加し、「ガンジスデルタ」と呼ばれる三角州を作っている。ここで東側に流れる河川が現在の本流とされている。本流はバングラデシュの中央を通り、パドマ川(ポッダ川)と呼ばれるようになる。この川が中国やインド東部のアッサム地方から流れてきたブラマプトラ川と合流し、ベンガル湾に注いで終点となる。
西側の分流はフーグリ川とされており、パドマ川と比べると現在の流量は少なくなっている。しかし、途中で都市圏人口が1000万人を超える都市「コルカタ」を通っており、現在でも水運上重要な役割を果たしている。この河川もベンガル湾に注ぐほか、他にも多数の河川が三角州内で分かれたり合流したりしている。
関連動画
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関連項目
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