おみまいするぞー!
ビストロ大泉(またの名を『ピストル大泉』)を拠点に数々の伝説的なクッキングを成し遂げ、現在も不定期に活動を続ける。北海道ローカルTV局HTBの番組である『水曜どうでしょう』にて、はじめてその姿を確認された。
『水曜どうでしょう』内の企画のひとつ『北極圏突入 ~アラスカ半島620マイル』にて、オーロラ観測のために一行はキャンピングカーでのアラスカ半島縦断を敢行することになる。その目的地までの移動中、大泉氏が旅のメンバーから料理長に任命されたことが伝説の始まり、かつ全ての元凶となるのであった。
アラスカ半島にて
オーロラを見るための目的地であるコールドフットまでの長距離移動に際し、宿泊施設がこのシーズンには予約でいっぱいであること、道中に街が少なく食事をとれるチャンスが少ないことから、一行は「宿とメシの問題を一挙に解決する」ためにキャンピングカーを移動手段として採用する。このキャンピングカー、水道と二口のガスコンロはもちろん、オーブン・レンジ・冷蔵・冷凍庫まで備えられたかなり豪華な代物であり、移動初日に食材の買い出しも滞り無く完了。一行が目的地まで温かいメシにありつけることは、ここに確約された。
そして栄えある調理係には大泉氏が指名され、ここにシェフ大泉が堂々誕生。『ビストロ大泉』が記念すべき開店日を迎えることとなる。
それが全ての間違いであった。
初日、「料理を一品ずつしか作れない(=献立全てを並行作業で調理できない)」という彼の致命的な弱点が早くも発覚。そのくせメニューはコース形式と無駄に豪勢で、スープやサラダが前菜として供された後、メインが出てくるまでに1時間以上かかるという、未曾有のフードハザードが展開されることになった。
さらに一部の料理は出来も芳しくなく、オーロラソースとかいう特に美味しくもないソースでサラダの出来を悪くしたり、パスタを茹で過ぎてモチやビーフンのような食感にしてしまったりと、少なからぬ失敗作を披露した。
その調理スタイルは最後まで貫かれ、一行は終盤になってキャンピングカーを降りるまで微妙以下の出来の料理にうんざりし続け、飯を食っては罵りあったりやけくそ気味に笑ったりする、不毛な道中を過ごすことになる。
中には藤村Dから散々に論われ、大泉氏が逆上してあわや大喧嘩……になる寸前というシーンもあったが、その喧嘩の仲裁役を買って出ていた鈴井氏に至っては「何でアラスカまで来てこんな辛い目に遭ってるんだ。しかも帰るまでまだ何日もある」と番組そのものに疑問を抱き始めてしまう。そしてついには娘の顔を思い出して涙ぐむという、笑えないほどの憔悴っぷりを見せていた。
しかし、この騒動が皮肉にもキャンピングカーでの移動シーンがロケの多くを占めることとなった企画の妙味となり、ファンからの今なお高い評価に繋がっている。
なお、シャフ大泉は2回目の調理前から自身の料理を「おみまいする」と表現している(第4夜)。加えて、3回目の食事が終わった後には「ビストロ大泉」を「ピストル大泉」と言い間違えてしまった(第5夜)ことから、「シェフ大泉は料理の味で撃ち抜いてくる」というネタが定着した。
俗に言われる"嫁のメシがまずい"の分類で言うならば、この時の大泉氏はまさに「ブキヨーモノ」と「ソコツモノ」のハイブリッドそのものであった。(自身の料理がマズかったことは番組中に渋々ながらも認めており、味覚や味の好みに一般との隔たりがあったわけではないようである)
シェフ大泉 車内でクリスマス・パーティ
1998年のクリスマスに放送されたこの企画は、『アラスカ半島620マイル』の後の企画となる『絵はがきの旅』が、年末特番の煽りを受けて放送時間をド深夜にずらされるという知らせを受けたディレクター陣が、「そんなド深夜じゃ誰も見ないしアラスカでのシェフ大泉の姿がウケていたから、深夜にずれ込む一週分はそれを放送しよう」という意図で急遽セッティングした安上がりな特別企画であった。
炎の料理長・シェフ大泉に用意された特別野外キッチンは、12月の寒風吹きすさぶHTB駐車場にロケバスと機材車を並べ、目いっぱい開いたトランクのドアとその間に張ったタープを屋根代わりに、ガスコンロとキャンプ用薪コンロのみが熱源として提供された、それはそれは劣悪な物。この気温と折からの強風により加熱調理に難航するだけでなく、トランクのドアの下にコンロが設けられたことにより鍋の前で中腰姿勢を強いられるという悪条件も加えられた。
案の定調理は難航を極め、やっとの思いで出来上がったエビチリと鶏包みはレギュラー出演者 + 安田さんonちゃん + プロデューサー + スタイリストの全員から咳き込みや嘔吐というリアクションで迎えられることとなってしまう。
メンバー全員から総スカンを食らった大泉は、ちょうどそのタイミングで駐車場にやってきた早朝番組のアナウンサーらをロケバスに拉致し、自身の手料理を彼らにもお見舞いした。感想こそ「なんとか傷つけずに誤魔化そう」という優しさのオブラートに包まれてはいたものの、やはりあまりの味に咳き込まれ、シェフ大泉は逆に大きなダメージを負う結果となった。
なお、この際にonちゃんは出汁をとった後の海老の頭を酒の勢いで齧っているが、これと半生エビチリが祟ったのか海老アレルギーを発症してえらいことになったという。その他、プロデューサーなども何かしらに当たって具合が悪くなっている。調理開始前、シェフ大泉は「いらっしゃいませ。ピストル大泉へようこそ!打ち抜くぞー!打ち抜くぞー!」と口上を述べながら登場しているが、図らずも有言実行する形になってしまった。
また、料理とは全く関係ないのだが、この料理をアナウンサーに振る舞った縁からどうでしょうメンバーは彼らの朝番組に緊急生出演することとなった。しかし、一行が泥酔した状態であることは明白で、さらには「onちゃんをオンエア中にひたすら引っ叩く」という醜態を朝っぱらから公共の電波に晒す結果となってしまう。
DVDのサブ音声では、この一件により藤村Dが始末書を書くハメになったことが述懐されていた。なお、同じくDVDでは出演後のスタジオに何も知らなかったプロデューサーが血の気の引いた顔でやってくる姿も確認できる。
シェフ大泉 夏野菜スペシャル
シェフ大泉最後のメイン企画にして、伝説の回である。
詳しくは別記事である『おいパイ食わねぇか』に譲るものとする。
余談だが、遂にこの回にて料理を提供する姿に『執行人登場』というカットが用いられた。
その他
メイン企画にはならないまでも、大泉氏が料理をするシーンは他の企画でも折々存在する。
ただ、普通においしく食べられるものを調理してみんなで食卓を囲んだり(ex.ヨーロッパ・リベンジ)本当に"マズい"の限度を超えたモノが出来上がる(ex.釣りバカ対決 氷上わかさぎ釣り対決)など、テレビ的な意味でマズいものはオンエアを控えたり、扱いが軽くなる場合が多い。
また、大泉のモノマネレパートリーの一つに料理研究家の土井善晴があるが、番組内で土井のモノマネをしながら料理をした機会は30時間生コマーシャルでオムレツもどきを作ったぐらいである。どうやら料理の腕前まではモノマネできないらしい。
何故シェフ大泉の料理はマズくなったのか?
あくまで筆者が実食したわけでもなく、出演者のリアクションを鵜呑みにした上での推量となるが、
- 単純な料理(=手順が簡単な料理)ほどおいしい。
- 逆に難しい料理(=手順が複雑な料理)ほどマズい。
- やたらフランベをしたがる。
- 調味料用のレモン果汁をダメ押しで入れたがる(特にユーコン川下り時は鈴井氏らがショックを受ける程だった)
- 基本的に一品ずつしか調理ができない。
- 味見はしていない。
- お手本はない(料理本を参考にしたり、レシピを調べたりはしていない)。
- たまにあからさまなミスをする(ex.麺の茹で過ぎ、調味料の入れすぎ)が、フォローはしていない。
- 出演陣の「マズい」という感想に反発はするが、味への評価自体は受け入れている。
という傾向が存在する。
これらから察するに、単純に調理経験が少ないことが最大のネックとなっていた可能性が高い。
メンバーが料理を待っていることに加えてテレビ番組の収録であるため、「ただでさえ時間がかかってるのにこれ以上押せない」という思いが手元を焦らせたことは容易に想像がつく。
また、調理をスムーズに行うためには「調味料の取り合わせ」「人数に合わせた分量」「鍋や包丁の扱い」に始まり、「どのタイミングで味見をすればいいのか」「どれぐらい火を通せばいいのか」など、経験則からくる知識も必要不可欠である。
これらに乏しい状態であったことが、事態を更に悪化させていた可能性は非常に高いと推察される。
当時のフォローをするわけではないが、味覚に問題がないメシマズは経験を重ねることにより劇的に改善するケースが多いと言われている。それを証明するかのように、大泉氏は鮮やかな手さばきでオムライスをつくる姿を後年披露している。(関連動画参照)
水曜どうでしょう2019年新作『北海道で家、建てます』(2017年収録)にて、十数年ぶりに番組内で大泉の腕が振るわれたが、時間経過による研鑽の賜物か、予算増加による設備の充実ゆえか、はたまた極寒の作業環境を前に万全の下準備を行っていたためか普通に食べられる出来の料理ばかりが提供されてしまった。(中には舌の肥えたどうでしょう班をして「店で出せる」とまで言わしめたものもある)
この事態を受け、復活のシェフ大泉によるおみまいの撮れ高を期待していた藤村・鈴井両名からは、絶賛されつつも「我々は美味しい料理が食べたいわけではない」と理不尽極まりない顰蹙を買う羽目になった。
主なメニュー
海老とブロッコリーのスパゲッティ オーロラ風
ビストロ大泉開店初日の記念すべきメインディッシュ。細めのパスタに、にんにくやワインで味付けをした海老やブロッコリーを絡めた、オーソドックスなイタリアンパスタ。
パスタの方を先に調理し、思いのほか早く茹で上げるのがコツ。これを、具を作る間放置し、伸びるままに伸ばす。フライパンにあけた際に完全なドーム状と化していれば成功である。このことから、「ドームパスタ」という別名でも呼ばれる。伸びてパッサパサになったパスタはえらい量で、全く具と絡まず、食べるとモチャモチャという音がする。
既に長すぎる調理時間にうんざりしていた一行はこの食感で完全にノックアウトされ、つくった当人である大泉氏も「食感的にはモチに近い」「最後の一口が入らない」と認めざるを得なかった。嬉野Dのシェフ大泉ワーストランキングにおいて堂々の第1位を獲得しており、彼にとっては今なお大泉の料理の中で最悪の一品らしい。
ちなみに万が一このときのシェフ大泉と同じ状況に陥った際には、茹で上げた直後にオリーブオイルなどをパスタに絡めておくことで麺の伸びを抑えることができる。
また、パスタを完全に茹で上げず芯を少し残しておくことでも麺の伸びは抑えられる。こちらの場合は、最後に具材と一緒に炒める際に火を通しきるようにするのがコツ。
新鮮たまごのハリバット混ぜ
こらぁ、美味しいよ!
アラスカでのビストロ大泉開店二日目の前菜。
ハリバット(オヒョウ。はちゃめちゃにでかいカレイ)の切り身に下味をつけて加熱したものをほぐし、卵液の中に混ぜ込んだオムレツ。
オンエアされた中では、ビストロ大泉史上初めて好評を得た記念すべき一皿。しかし、これが供された二日目に好評だったのもこの一皿だけであった。ちなみに翌日も、前菜(サーモンのソテー)だけは好評だった。
トムヤムクン風オニオンスープ
うっ
――何で泣いてんのぉ?
寒い寒い北極圏へ向かう一行のために作られた「食べるスープ」。たまねぎ、トマト、海老がたっぷり入った具沢山のスープで、体を温めるための青ナンバンと酸味を出すためのレモンがふんだんに使われている。
スパイスは基本的に青ナンバンのみで、あくまでトムヤムクン“風”。
大量の青ナンバンによる辛味と丸ごと入ったレモンの酸味が刺激的な味を生み出しており、「喉に痛い」という藤村Dの感想が全てを物語っている。鈴井氏はこの料理について「次に出てくる料理の味をわからなくさせようとする大泉の策略だ」と推測していた。
アイスクリームのオーロラ風
なんですか これは
アラスカでのビストロ大泉開店二日目のデザート。
普通のアイスクリームにオレンジジュースとバーボンをたっぷりかけ、ホイップクリームを添えたオーロラ風アイス。
大泉氏によれば「大人が好む味」ということだが、たっぷりかけられた2種類の液体が全てをぶち壊しにしており、「あっ」「おおぅ」「おっふ」「うっ」など、一口食べることに声にならない悲鳴だけが漏れる。
エビチリ
特設クリスマスパーティ会場で振舞われた、シェフ大泉初の中華。新鮮な海老を用い、ガスコンロの控えめな火力でじっくり煮込んで仕上げた逸品。通常に比べ、豆板醤、紹興酒、塩を多めに使っているほか、紹興酒の容器のフタが調味料に含まれているのが特徴。
まともな感想は最初に食べた鈴井氏の「コクがなく、ただ後味辛い」の一言のみで、ほかに食べた者は咽るか吐くか、あるいはその両方のリアクションしか出来なかったという、シェフ大泉史上でもトップクラスに危険な一品。鈴井氏だけがこの味に耐え切れたのは、彼が大の辛いもの好きであったためだろうか。しかしこれに耐え切れた鈴井氏でさえ、シェフ大泉ワーストランキングにおいてこの料理を栄えある第2位に選出している。
辛味はフォローのしようがないとしても、せめて火力さえ十分なものを用意できていれば、コクのない出来にはならなかったのではないかと考えられる。
ちなみに、食べた者のうち、土井プロデューサーと安田は本当に体調を崩したらしい。特に安田は、大泉いわく「洒落にならない病気」になったらしいが、前述の通り、これは海老アレルギーのことだと言われている。(もっとも安田は直前に火が完全に通っていないと思われるエビの頭をかじってるのも発症の原因と思われる)
これを見事におみまいされた『早起きクマさん』の金子アナと吉田アナが後に語ったところによると、この時のエビは外側こそ火が通って色が変わっていたものの、中身に関しては完全に生だったとのこと。
……いやほんと、死人が出なくてよかった。
おにぎりの鶏包み
えっほ んっほ
まるまる一羽分の鶏肉を用いた、ローストチキンらしき肉料理。
ホタテのおにぎりやネギ、生卵を詰め込み、クリスマスパーティ専用特設キッチンのたき火で豪勢に丸焼きにする。おにぎりは食べかけのものを用いるのがコツ。
一見ローストチキンに見えるが、あくまで「おにぎりの鶏包み」、つまりメインはおにぎりとのこと。
具材を詰めるだけ詰め、鶏肉に下味などはつけず、ただストーブに乗せただけである。見た目はそれっぽく出来ていたが、味付け・火の通り加減から推察するにとんでもなく不味いと思われる。当時放送されていた朝の情報番組『早起きクマさん』に出演するために出社してきた吉田みどりアナウンサー(当時)はこれをお見舞いされ、ひたすらむせこんでいた。
そもそもこの時、シェフ自身が食べかけのおにぎりを入れるわ生卵を入れるわと酒が進んで暴走していたため、この出来の原因に関してはその比重も決して軽くはない。
わかさぎの活造り
どうしましたか? どうしましたか? どうしましたか? ……ああ、どうしましたか!?
氷上わかさぎ釣り対決の後、豪華にも湖上にそのまま設置された調理台で、釣ったばかりの新鮮なわかさぎを用いたフルコースが披露された。
その中のひとつであるこの活造りは、ほぼ全く包丁を入れずに提供することでわかさぎの新鮮さを完璧に維持したもので、寿司下駄の上で跳ね回るほどの活きの良さが特徴であった。
喫食シーンはとうとう全てカットされ、静止画のみでその悲惨な様子が確認できるのみとなるという恐ろしい結末を迎えた(後のシリーズの回想では、わずかだが動画で確認できる)。その後には、消耗しきった鈴井氏と安田氏の様子が「ひどいものを食った人」という身もふたもないテロップと共に紹介されるだけであった。
鈴井氏のワーストランキング第1位を獲得したのはこの料理である。
なお、わかさぎの生食は本当に危険なのでやってはいけない。刺身にしたものを食べた内容のブログや本はちらほらあるが、それも捌く前にしっかり汚れを吐き出させたり、内蔵などを非常に丁寧に取り除いたり、身の洗浄を繰り返した末に自己責任で食されたものばかりである。釣り上げたばかりのものは基本的に苦くて食べられたものではない上、ジストマなどの寄生虫被害の危険性もある。
ちなみにその後にも油でべっとりの炒め物などひどいものが供されたのだが、最後に作られた天麩羅だけは普通に美味しかったらしい。しかし、真っ当すぎて面白くなかったのかカットされている。
秋野菜の料理 びっくりカルツォーネ風(鯛のパイ包み)
満を持して調理専門学校の本格的な設備を用いて行われた「夏野菜スペシャル」のメインディッシュ。
新鮮な鯛に青トマトと白米を詰め込み、文字通りカルツォーネのようにパイ生地で包んで焼き上げた。
2度もパイ生地を無駄にしてしまってもなお生地を用意してもらって作った執念の一品で、生地と鯛は非常に美味しく焼きあがっていた。
しかし、意外にも中まで火が通って米もそれなりに炊き上がっていたのだが、これが本当に不味く、何のひねりもない呻き声や「まずい」の一言だけが漏れる有様となった。
ほかにも、「鯛と夏野菜のシンフォニー じゃがいもとホタテのソース添え(調理中に危うくミキサーを破壊しかけた)」や「鯛と夏野菜のパスタ」など、まさにシェフ大泉渾身のフルコースが振舞われたのだが、「中途半端に美味しい」だの「あっ辛ぇなあ」だのといった中の下のリアクションしか返ってこず、殆ど手を加えていないデザートが一番好評と言う有様であった。
なお、2013年になって件のパイ生地に関して衝撃の事実が発覚した(後述)。
ベーコンとキャベツの炒め物&ラーメン
彼がいてくれてよかった
ヨーロッパリベンジ終盤、ノルウェーのヒュッテ(バンガロー)に泊まった際に振舞われた。
炒め物の方は、ベーコンの油で大量のキャベツを炒めた後、しんなりするまで蒸し焼きにするだけのシンプルな料理。
ラーメンは、ノルウェーで急遽購入した謎のインスタントラーメン(作り方は「エン リテン グリテ」)を複数組み合わせ、醤油などで味を調えて仕上げた。
これが大成功で、あわや北極圏で野宿という大ピンチから一転、おだやかな屋内で暖かい食事にありつけた一行は感激していた。いつもはシェフ大泉の料理をくさすばかりである藤村Dでさえ、「ヨーロッパにきて一番美味いもの食ったよ」と賞賛の言葉を惜しまなかった。
なお、この様子はオンエアされておらず、DVDのオマケ映像でしか見られない。一行が本当に“やられて”おり、いつもの面白い料理と罵り合いをする余裕もなく、本当にただ仲の良い旅行者ご一行にしか見えないためと思われる。
グレーリング飯(&ムース汁)
殴りつけてやろうかと
誕生の地となったアラスカでシェフ大泉が数年ぶりに披露したアウトドアレシピ。
ユーコン川で吊り上げたグレーリング=カワヒメマスを用いた、鯛めしのような炊き込みご飯であり、豚の代わりにムース=ヘラジカの肉を用いた、豚汁ならぬムース汁と共に振舞われた。
カワヒメマスをただ焼くのではなく、一度地面に落とし川の水で洗ったものを用いるのが特徴。
とにかく生臭い。ガイドのピートがムースの肉で作った野菜炒めと一緒に食べることで、一行はこれをギリギリ流しこんでいた。カワヒメマスは本来臭みが少ない魚なので、火の通りが甘かったか、調理途中に川の水で洗ったのが生臭さの原因だと思われる。
ユーコン川の旅ではじめての料理だったが、この一品によりガイド達からはシェフ大泉への信頼が完全に失われ、その後の調理からは遠ざけられるという憂き目を見ることになった。
藤村Dはこの料理をシェフ大泉ワーストランキング第1位に据えているが、せっかく焼けたグレーリングを地面に落とした(それも2回)のは当の藤村Dである。この料理の出来に関しては、彼の過失も決して小さくはない。なお嬉野Dはワーストランキング第2位、鈴井氏はワーストランキング第3位に据えるなど、グレーリング飯は「高い評価(byシェフ大泉談)」を得ている。
なお、ムース汁の方は美味しく出来ていた。
チャーハン&カレースープ
ユーコン川の旅での再起を懸けてシェフ大泉が再び繰り出したシンプルな料理。
グレーリング飯のおかげですっかり信頼を失った彼が再起のチャンスを与えられたのは、晩御飯はおろかデザートまで終わった後。しかも与えられた食材も残り物の白米やブロッコリーなどわずかなもので、まさに逆風吹きすさぶ中での披露であった。他の料理の候補はインスタント食品を使った五目ごはん(+ブロッコリーで六目ごはん)などがあった。
カレースープは、インスタントカレーをベースに、レモン汁やインスタントしじみ汁で味付けした、いわば「おじや」に近い出来となった。辛党の鈴井氏が「味、わかんねえ」と困惑するほど辛味が強く、藤村Dは「燃えるような辛さだ」と表現し翌朝になっても「俺はまだ唇が痛いぞ」と毒づいていたほどであった(しかし、大泉氏が藤村Dを罵倒するトークの流れに乗ったとはいえ、鈴井氏や嬉野Dが普通に褒めていた辺り、少なくとも食べられない代物ではなかった様子)。
チャーハンは、白米とブロッコリーの焼き飯に、インスタントのマーボー丼・牛丼・カツ丼をそのまま混ぜ込んで味付けし、ウォッカを用いた番組史上最大火力のフランベをかますという非常にダイナミックな調理で生まれた。
「この料理に合うインスタント食品のみが手元に残ると言う奇跡」に恵まれたとはシェフ大泉の談だったが、一見すると適当以外の何者でもない調理に誰もが失敗を予想していたにも関わらず、豈図らんや「何味かと言われれば困るのだが、とりあえず美味い」という奇跡を起こした。
なおこの料理でガイド二人の評価を若干持ち直したのか、後日の食事シーンではシェフ大泉が自らインスタントラーメンを配ぜんする光景が映されている。
まるごとアップルパイ
「水曜どうでしょう祭 UNITE 2013」のステージ上で繰り広げられた、板長鈴井とシェフ大泉の料理対決において供されたデザート。
夏野菜スペシャルのときにも登場したシェフ大泉の友人から再び貰ったパイ生地で、りんごをまるごと包んで焼き上げた、文字通りまるごとりんごの入ったアップルパイ。
場所によって生地の厚みに違いがあるため、焼き上げた後はところどころ生地が膨らんでいたり、逆にりんごの果汁が漏れていたりする。その出来上がりのムラにより、あたかもレッドバロンのロゴマークのような(=ヘルメットを被った人の頭のような)見た目となっていた。
嬉野Dいわく「パンと、暖かいりんご」。ナイフとフォークが通る程度には火が通っていたが、そもそも料理と呼べるほどの工夫が見られないのが最大のネックとなる。このアップルパイの出来が決定打となり、オフィスキューの所属タレントからも好評を得ているほど料理の出来る男・鈴井氏が料理勝負の勝者となった。
なお、このイベントでは、大泉が実はオーブンを使ったことがないことや、今までパイ生地だパイ生地だと散々言っていた生地が実はパイ生地じゃなかったことなど、シリーズを根底から揺るがす衝撃的な事実も多く発覚している。生地を練ってくれた友人によれば、件の生地は、パン生地やピザ生地のようなものらしい。
命のスープ
美味くしてんじゃねぇよ!
「北海道で家、建てます」で料理役を任された大泉が出発前に用意したスープストック。
雪の降りしきる極寒の赤平を舞台に身体の内側から温まれるよう配慮されたまさに命のスープ。
決して「命にかかわるスープ」ではない。
集合場所であるミスターの家にあった食材を適当に鍋にぶち込んだが、豚骨、鶏ガラ、ネギ、生姜、野菜くずなど素材のチョイスが完璧であり、時間をかけて煮込まれ旨味と栄養を存分に抽出したことで同企画内の絶品料理の数々を支える名脇役と化した。
汁ものやラーメンスープの他、米を炊いたり自家製ソースの素材としても役立つ優れものだが、大泉に料理役を任せた時点でどうでしょう班全員が「おみまい」による撮れ高を求めてしまっていたため、上記のような文句を言われたばかりか、最終的に作った本人があまりの出来映えに戸惑う事態となった。
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