タイポ (Typography) |
とは、「活版印刷術」の意味を持つ言葉。 |
概要
活 |
版印刷が行われるようになってから用いられるようになった考え方で、活版を効率よく効果的に配置するための技法として考案された。特定の文字集合(フォント)を用いて組まれる印刷物に関わる配列技芸は全て「タイポグラフィ」である。 活版や写植、デジタル書体その他統一された文字集合を用いて組まれた紙面やそのグリフでさえあればそれはタイポグラフィと呼称される(例えば装飾写本や碑文などでも)。 |
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書籍制作従事者の河野三男は自著の中でタイポグラフィを「書籍形成法」と訳し次のように定義している[1]。 文字の並べ方、大きさ、字間その他あらゆる設定・配置がタイポグラフィとして定義され、活字を扱うため逆説的には特定の文字集合を利用するため第三者によって再現が可能であるものがタイポグラフィであるともいえる。また、そうした製版技術を伴う職人・職業をタイポグラファーと呼称する。 |
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そ |
の一方で組版における見出しなどへの木版などの使用や、活版印刷の形態から脱した近代に至ってはレタリング、書道、カリグラフィなどの作字作品、図画の配置も加えたグラフィックデザインと定義できる組版などについても、タイポグラフィと密接な連関性があることからしばしば”広義”のタイポグラフィとして定義される場合がある。 バウハウス[2]のモホイ=ナジ・ラースローは写真とタイポグラフィを統合したデザインのことをタイポフォトと定義している[3]。 |
日本及び近代におけるタイポグラフィ
日 |
本におけるタイポグラフィの始まりがいつ頃であるか。活字の組版という定義で言うならば、まず最初にもたらされたものは16世紀末から17世紀初頭にかけて台頭したイエズス会による、布教を目的とした書籍群「キリシタン版」である。 近代、幕末期以降となると、木版、凹版、石版、活版などの印刷方法が模索され、19世紀には新聞や書籍などにおいて金属活字を用いた活版印刷が活況を呈する。また凸版印刷、写真製版、オフセット印刷などさまざまな印刷技術も確立、モダンな図案文字なども登場した。このレタリングのために作られた図案文字のことを現代では「大正タイポグラフィ」などと言うことがある[4]。 戦後、高度経済成長に伴って写真植字などが主流となっていくと、その文字変形技術を応用したタイポグラフィ作品が誕生するようになる。戦後初期のグラフィックデザインとしてのタイポグラフィで代表的なものには山城隆一による「植林運動のポスターのための試作」(1956年)などがある[5]。 |
や |
がて、バブル期を経て多くの文化が勃興した。コンピューターの発達も伴い、CGや電子製版、DTPなどが登場。より高度で細密な表現が気軽に可能となり、現代に至るまで非常に多くのタイポグラフィ作品を産むに至っている。 特に近年の日本国では先述した作字・レタリング作品をタイポグラフィと呼称する用例が増加の傾向にある。 |
基本的な用語
文字
文字概念
書体分類 |
書体とフォント |
文字のディテール |
行 |
読みやすさコンピューターウェブその他 |
関連静画
関連動画
関連商品
関連項目 |
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脚注
- *知識としての文字 石のエクリチュール(郎文堂、片岡二郎著)
- *ワイマール共和制のドイツで工芸や写真、美術や建築の設計について教えていた学校。1919年から開校し、優れた教師陣による多くの先進的なデザインの考え方は多方に影響をもたらした。1933年にナチスの弾圧により閉校。
- *Typephoto - PhotoPedagogy
- *大正タイポグラフィ - マール社
- *林、森という文字をさまざまな級数(文字サイズ)で印字し、植林のなされた山を表現している作品。
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