チーム関西とは、「行動する保守」に分類される保守・右翼系市民団体の関西在住メンバーらで構成される団体である。
公式には平成24年(2012年)2月12日をもって活動を休止したことになっているが、現在もメンバーらによる政治活動や寄付金集め、カレンダーへの活動予定掲載、「チーム関西」名での動画アップなどが続けられている。
なおタグ「チーム関西」が付けられた動画は政治動画全体の3.6%を占めている(平成24年4月28日調べ、88638件中の3220個)。
概要
「在日特権を許さない市民の会」(在特会)など「行動する保守」を標榜する様々な保守・右翼系市民団体の関西在住メンバーらが、デモ・街宣といった政治活動の場での連携を目指して結成した。「行動する保守」勢力の中でも比較的規模が大きく、活動が盛んな部類に属する。
幹部を含めたメンバーの多くが在特会の構成員であること、主義主張や行動形態がほぼ一致していること、共同でデモ・街宣を行うことが多いことなどから、しばしば在特会の関西支部、あるいは下部組織として扱われることもあるが、厳密には別の団体である。在特会以外の「行動する保守」系団体のメンバーはもちろん、保守系政党の党員、無所属の活動家、新右翼やネット右翼から果ては街宣右翼出身者なども参加しているという、非常にバリエーション豊かな団体となっている。
リベラル・左翼系のマスコミや政党、在日朝鮮人・部落民などを「反日的」と嫌悪し、それらの団体の関係先周辺で街宣・デモを行うというのが基本的な行動スタンスとなっている。「行動する保守」勢力の中でも武闘派・急進派に属する人物が多く、活動時の違法行為が原因で逮捕・送検されたり民事訴訟を提起されたりする事例が後を絶たない。そのため近年は活動資金に困窮しており、ホームページや投稿動画の説明欄などで積極的にカンパを募っている。
平成24年(2012年)1月にメンバーで現代撫子倶楽部代表の中谷良子が詐欺罪で逮捕されるという事件が起き、その事件への対応や中谷の評価を巡ってメンバー間で対立が発生(後述)。最終的に荒巻代表が辞任するとともに「チーム関西」としての活動を停止すると発表し、約2年半の歴史に表向きは幕を下ろすことになった。
その後もチーム関西という枠組みを利用した活動は継続しているものの、次第に在特会を中心とするグループと中曽千鶴子・中谷良子ら反在特会系グループの対立が激化。同年5月にロート製薬強要事件で荒巻・西村斉のツートップを欠いてからはグループ間の垣根を超えた共闘は全く見られなくなり、両グループに属しない中間派主体の活動も減少の一途を辿るなど、実態的にも活動停止・解散の危機を迎えつつある。
主なメンバー
本項では幹部や活動の常連メンバーを、現在のグループ構造を踏まえて紹介する。
中間派・無所属
- 荒巻靖彦
初代代表。以前は北新地でラウンジを経営していた中年男性で、名実ともにチーム関西の長と呼べる存在。京都事件・徳島事件で執行猶予中だったが、今年になって風営法違反・公務執行妨害事件やロート製薬強要事件で相次いで逮捕・起訴され、数年間の収監は避けられない情勢となっている。結束のため店で宴会を催したり、対立の仲裁に乗り出したりと調整力に長けていた彼が娑婆を去ったことで、メンバー間の対立は深刻さを増していった。 - 西村斉
前在特会京都支部長。地主の親の手伝いで裕福な暮らしをしている妻子持ちの中年男性。荒々しい言動と旺盛な行動力、メンバーでも随一の企画力によってチーム関西を牽引してきた切り込み隊長であり、荒巻と並ぶチーム関西の事実上のリーダーでもある。荒巻同様京都事件・徳島事件で執行猶予中だったが、やはりロート製薬強要事件で逮捕・起訴されてしまい、収監の危機を迎えている。調整型ではなく、抗争メンバーへの苛立ちを公にする場面も見られた。 - 松本修一
通称「ブレノ(bureno)」。30代の割と古典的なオタク風男性で、以前は洗車店を営んでいたが廃業。行動する保守界でも一、二を争う名カメラマンとして知られ、チーム関西の活動の大半を撮影し、ニコ動などにアップしている。分裂後は人間関係などから中曽・中谷・国支会グループの活動を優先しているが、在特会に対して反発を持っているというわけではない。ロート製薬強要事件で荒巻・西村と共に逮捕・起訴されている。 - 山本雅人
純心同盟本部長。スキンヘッドの壮年男性で、「攘夷」の文字をあしらったシャツを好んで着用している。「純心同盟」のメンバーである篠田・森を引き連れて行動することが多い。荒巻は彼を二代目代表に考えていたという。西村の遺志を継いで「ウトロ朝鮮人追放街宣・デモ」を開催するなど、ポスト荒巻・西村を担う中間派の盟主として期待されているが、両者が主催していた頃に比べると参加者数は伸び悩んでいる。 - 桂田智司
元全愛会議副議長にして宮沢首相(当時)へのテロ未遂事件で収監された経験もある名うての街宣右翼。細身の壮年男性で、しばしば活動に子どもを連れてくるのが特徴。近年になって市民運動的手法を取り入れようとチーム関西に合流、豊富な経験と威圧感溢れる街宣でメンバーの敬意を集めている。そよ風の望月らと親交があったこともあり、どちらかと言えば在特会グループの活動に多く参加しているが、単独または少人数での行動も少なくない。
親在特会グループ(在特会・そよ風・三ノ宮グループ)
- 川東大了
前在特会副会長で、2009年夏以来長く関西在特会のトップを務めた中年男性。本業は電気工事業。京都事件・徳島事件に連座して執行猶予付き有罪判決を受けたほか、水平社博物館前で「穢れ多きエッタども」などと街宣して150万円もの賠償金を背負うなどの「活躍」を称えられ、荒巻・西村らと共に「四天王」と称された中心人物の一人だった。だが中谷良子の言動や活動カレンダー改ざん騒動を巡って中谷・中曽千鶴子らと激しく対立、抗争の拡大を招くと心労もあって副会長職を退いた。チーム関西二代目代表就任と、それによる中曽らの不祥事追求を目論んでいる。 - 中野亘
在特会奈良基幹支部長。ハンチング帽を被ったやや大柄な中年男性。デモや街宣で実質的な指揮を執ることも多く、川東退任後は事実上関西在特会のトップとなっている。 - 神功正毅
在特会滋賀支部長。坊主頭で眼鏡をかけた中年男性。アニメ好き。三ノ宮定例街宣の協賛者で、地元・滋賀でもコツコツと街宣を行っている。慰労会を開催するなど川東と関係が深い一方で、中曽からも「三ノ宮街宣メンバーで唯一マトモな人」との評価を得ている。来阪中の桜井誠会長に食って掛かって川東を慌てさせたことも。 - 獅子座なお
在特会大阪支部長。医療事務関係の仕事をしている若い女性。在特会の幹部(地方支部長以上)に女性は珍しく、小柄で可愛らしい容貌との評価もあり、某匿名掲示板では単独スレッドが立つほど。最近支部長になったばかりの新米ながらデモ・街宣・懇親会・電凸と八面六臂の活躍を見せており、将来を嘱望されている。 - 北原白秋
在特会兵庫支部長。介護士の青年。三ノ宮定例街宣に常連メンバーとして参加しているほか、地元・三田市でも積極的に活動を展開している。獅子座と共に若手ルーキーとして桜井会長らから期待を寄せられている。 - 望月紀李
在特会の友好団体である日本女性の会・そよ風で関西支部長を務める中年女性。足つぼマッサージ店を経営。三ノ宮定例街宣の共催者であり、中曽らとは犬猿の仲。チーム関西合流前から桂田と親交があった。 - トントン(tonton)
歴史捏造を糺す会代表を務める中年女性で、三ノ宮定例街宣の中心人物。トントンはハンドルネームで本名は不明。中谷良子の行状やカトリックの教義を巡って中谷・中曽と激しく敵対している。三ノ宮定例街宣や反中曽という点で在特会と行動を共にすることが多いが、ロート事件などでは在特会・チーム関西の行動に疑問を呈したことも。 - 手嶋剛
きなの会代表で、そのまま「きな」と呼ばれることも多い。三ノ宮定例街宣のメンバーで、カレンダー改ざん事件の被害に遭ったこともあり反中曽の姿勢を見せている。 - 浜たいこう
たちあがれ日本に所属する能勢町議会議員。イベントでの来賓挨拶を巡るゴタゴタから同じ党に所属する中曽と対立しており、彼女を相手取って民事訴訟を起こしているほど。最近は三ノ宮街宣など在特会系の活動によく参加している。エネルギッシュな中年男性で、街宣での話し方に特徴がある。
反在特会グループ(中曽・中谷・国支会グループ)
- 中曽千鶴子
日本シルクロード倶楽部副会長を務める壮年の女性。たちあがれ日本に所属しており、同党の政治塾「かけはし塾」の卒塾生である。保守系代議士や「頑張れ日本」の関係者などとのパイプがあり、旺盛な行動力でチーム関西の重鎮として君臨。だが中谷の行状が問題視された際に彼女を徹底的に庇い、批判者を再批判したことなどもあって多くの敵を作ることになった。最近は在特会、特に桜井会長への批判を強めつつある。 - 中谷良子
現代撫子倶楽部代表を務める女性。行動する保守界屈指の巨乳の持ち主として知られる。徳島事件で起訴された際に過去の前科があることが明らかになったほか、メンバーの女性との間にゴタゴタがあったことから行状を問題視され、他人の保険証を利用し詐欺罪に問われたことも重なり多くのメンバーから批判を受けた。その際に桜井会長らが彼女の「余罪」をほのめかしたことに激怒し、桜井・川東らの名を挙げつつ在特会との絶縁を宣言した。 - 成瀬要平
国を支える保守の会(国支会)代表。髪をきれいに分けて眼鏡をかけた青年。かつては在特会大阪支部長を務め、京都事件に参加したこともあった(起訴猶予)が、京都事件の公判中に支部長職を辞して会を離れた。チーム関西解散宣言後に国支会を結成して活動に復帰、国歌国旗法強化などを訴えつつ、親在特会グループの活動日に併せるかのように街宣やデモを積極的に行っている。 - 北村義臣
国支会副代表を務めるプロのアフィリエイターの青年。成瀬らもそうだが、スーツ姿で街宣を行うことが多い。中曽と連携して動くことが多く、最近ではロート製薬への抗議の是非などを巡り、在特会を手厳しく批判している。 - 山道哲也
国支会メンバーで、大倭の会代表も務める中年男性。本業は住宅販売会社社長で、ブレノを金銭的に支援するなど比較的裕福な模様。 - 紀川響子
元在特会北海道支部運営の女性。2010年に突然解任され、以後「日護護会」に参加するなど反在特会の立場から活動するようになった。関西に移り住んで成瀬と結婚したと噂されており、最近は国支会の活動に積極的に参加している姿が見られる。
主な事件
裁判になったりマスコミに取り上げられたりした事件を以下に列挙する。
日時 | 内容 |
H21/03/09 ~H22/11/13 |
朝鮮総連への抗議のため京都総連施設内に立ち入り、退去要請を無視してシュプレヒコールを行う。 不退去罪で告訴され13名が書類送検されるも、全員起訴猶予処分となった。 |
H21/12/04 ~現在 (京都事件) |
京都朝鮮学校が児童公園を不法に占拠していると主張し、初級学校前にメンバーを集結させて 「お前らウンコ食っとけ」などとシュプレヒコールを上げる、コードを切断するなどの行為に及ぶ。 民事での街宣禁止仮処分などを経て、参加者中4名(四天王)が逮捕、他7名が書類送検される。 威力業務妨害罪などで全員に執行猶予付き懲役刑判決が言い渡され、現在は民事訴訟が係属中。 |
H22/04/07 ~同/07/28 |
リベラル・左翼系デモへの抗議に参加したメンバーの宮井将が革新系元市議の眼鏡をひったくる。 宮井は7月13日になって窃盗罪で逮捕され、罰金10万円の有罪判決を受けた。 |
H22/04/14 ~同/12/01 (徳島事件) |
徳島県教組が募金詐欺を行ったことに抗議すると主張してメンバーら8名が徳教組事務所内に乱入、 事務所内でスピーカーを用いたシュプレヒコールを行う、電話を無理やり置かせるなどの行為に及ぶ。 同年9月8日に中曽を除く7名が威力業務妨害罪などで逮捕され、さらに松本を除く6名が起訴。 最終的に6名全員に執行猶予付き懲役刑判決が言い渡された。 |
H23/01/22 ~現在 |
四天王の一人・川東大了が水平社前で「エッタ、ドエッタ」「非人博物館」など叫びながら街宣を行う。 部落開放同盟側から不法行為で損害賠償請求訴訟を提起され、現在係争中。 |
H24/01/23 ~現在 |
中谷良子が友人の健康保険証を利用し、成りすましで保険診療を受けたとして詐欺罪で逮捕される。 在特会の桜井誠会長は、中谷は徳島事件で会を離れており、共闘の事実もないと宣言。 詐欺事件の実行が徳島事件の前だったため、奇跡的に再度の執行猶予付き懲役刑判決となる。 |
H24/03/09 ~現在 |
荒巻靖彦が許可を得ず風俗営業を行ったとして家宅捜索を受けた際に、 警官に包丁を突きつけたり警官を殴ったりしたため公務執行妨害罪で逮捕される。 |
H24/03/02 ~現在 |
キム・テヒのCM起用に抗議するためロート製薬に示威行動や右翼への連絡をちらつかせたとして 荒巻・西村斉・松本・三好恭弘の4名が強要罪で逮捕される。 |
ただしこれらの事件が報道される場合、「在日特権を許さない市民の会」の名前のみが報道され、チーム関西については一切触れられないことが多い。
活動停止宣言に至る経緯
元々雑多なメンバーの寄せ集めであったため、個々のメンバー間の関係は必ずしも良好とは言い難い一面があった。
そこに上記の健康保険証詐欺事件が発生。中谷の行為を批判するグループと擁護するグループに分かれ、擁護派がブログで批判派に謝罪を要求するなど対立が表面化し始めた。荒巻代表による活動停止宣言はその直後に行われたものである。
これで事態が沈静化するかと思われた矢先、釈放された中谷がブログで在特会の桜井誠会長や川東・望月らを名指しで糾弾し、絶縁宣言を突き付けると言う事件が起きる。さらにその翌日には批判派グループ(在特会支部・そよ風・きなの会など)の活動予定だけが公式カレンダーから削除されるという事態に至り、対立は決定的なものになってしまう。
その後、川東が在特会への業務妨害だとしてカレンダー改ざん者を業務妨害罪で告発、大阪府警に被害届を提出したのに対し、擁護派筆頭の中曽がこれを「卑劣な警察への密告」としてカレンダー上で糾弾するなど、未だに対立解消の見込みは立っていない。
この事態に業を煮やした在特会の桜井誠会長は、ニコ生においてチーム関西の活動停止を改めて宣言するとともに、カレンダーの使用停止や寄付金集めの中止を勧告。さらに自らの関西移住による「親征」をほのめかしつつ、4月30日に関西の「行動する保守」メンバーを招集したイベントを開くと発表し、関西への影響力行使とそれによる秩序の回復を目指して動き出したものの、集会当日に中曽グループが別の場所での街宣をぶつけ十数名を集めたため、効果は限定的なものとなっている。
関連動画
動画の多くは「bureno」こと松本修一カメラマンが撮影・アップしたものである。
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関連項目
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