デストロイオールヒューマンズ!とは、PS2で2007年に発売された日本のバカゲーである。
ジャンルはTPS方式のアクションゲーム。
概要
元はアメリカのゲーム会社THQが2005年に『Destroy All Humans!』としてPS2やXboxで発売したTPSゲームなのだが、「キャトルミューティレーションを人間でやっちゃおう」と言ってもいいグロさ溢れる描写のため、日本ではローカライズされなかった。それを、セガの小堤正人氏が監督を務めてなんとか2年後にCERO-Cまで抑えて販売にこぎつけた製品である。
発売に際し、CEROを通すためにセガがとった方法は”おバカに走る”であった。その為に、トンデモSFに詳しい山本弘氏らも引き込んで、様々なネタを盛り込んだ。さらに山口勝平や大塚芳忠、富田耕生や青野武、田中敦子など豪華声優陣を引き込み、究極のバカゲーに仕立て上げたのである。
(ちなみに主人公クリプト達は関西弁を喋るが、山口氏や大塚氏は関西人ではないので関西人の方々から見るとイントネーションが微妙におかしいのだとか。最も本場でないことがかえって胡散臭さの演出に一役買っているそうで…)
作品中にちりばめられたネタには有名な特撮・アニメ作品やCMネタ、いわゆると学会ネタなど夥しい数にのぼり、全てのネタを理解できる人はまずいないだろう。だがその元ネタを探すのもまた楽し。
もっとも、ゲーム自体の難易度はそこそこ高いので油断するとすぐに死亡してしまう。
以下はクリプトがテレパシーで一般人や兵士などの思考を読んだ時に出てくる台詞。何気に脇役までフルボイス。
解る人だけ笑ってください。ちなみにこれでもほんの一例。
- 「かがみよかがみよかがみさん、みんなにあわせてくださいな そぉっとあわせてくださいな」
- 「インカ帝国初代皇帝の名前?英語だったら恥ずかしくないわ」
- 「普通の人間には興味なんてないわ。宇宙人、未来人、異次元人、超能力者は私のところへきなさい」
- 「おや、レーダー発信機の前でチョコレートが溶けているぞ…そうか! クーラーが壊れているんだ」
- 「マニング大佐も大変だよな。核実験場で間違ってプルトニウムを浴びちゃったんだから」
- 「コンピュータにデータを入れたら、42という答えが出た。どういう意味だろう?」
- 「そうなんですよ。香水をね、女房に無理やりつけさせられましてね。やっぱり気になります?」
- 「猫を箱に閉じ込めて、毒ガスで殺す実験だ。上手くいけば、半分生きて半分死んでる猫ができるぞ」
- 「新型戦車の名前がパットンになるそうだ。事故りそうで嫌だなぁ」
- 「いつも元気なトンデモさんでーっす!」
- 「ママー、あたしミス・ロックウェルに選ばれたの!」
なお、発想が「ビーストウォーズリターンズ」と同じなのは気にしない。
この話の舞台裏・ネタの一部を閲覧したい方は下記の関連リンクを参照。
ストーリー
前述の通り、欧米版と日本版ではストーリーが大きく異なるが、どちらも1950年代のアメリカが舞台となっており、フュロン星人「クリプトスポリジウム136」(以下クリプト(数字)とする)操縦するUFOがアメリカに墜落、彼が米政府に捕獲された。主人公「クリプト137」とその上司の科学者「オルソポックス13」はクリプト136を救出するため、地球へと赴き、米軍や秘密組織「MJ12(マジェスティック12)」などと戦うというのが共通のあらすじ。
欧米版
フュロン星人は核戦争の末自分たちで繁殖ができなくなったため、自分の肉体をクローン技術で保持し続けてきたのだが、ルパン三世のマモー同様、クローン(コピー)を重ねていくたびにDNAが劣化していっており、いずれはクローンが作れなくなる可能性が浮上していた。
フュロン星人はかつて古代地球の生物に手を加え、純粋なDNAを植え付けておいたため、彼らからDNAを回収することでこの問題を解決できるとされ、DNA回収の任務にあたっていたクリプト136は突如消息を絶つ。クローン技術の行く末を案じたオルソポックスと自身のクローンが地球の生物ごときに危機にさらされていることに怒りを覚えたクリプト137は地球へと舵を切るのであった…。
ちなみにDNAは「頭を爆発させて脳を摘出」という凄まじい方法で回収。また、日本版でイチジクビーム(当たった人間は尻からエンドルフィンを出して倒れる)と称される武器はア◯ルプローブ(尻から侵入して脳みそ飛び出させる)、熱線砲は殺人光線と名前が微妙に違う。そりゃそのままだと日本じゃ無理だわ。
日本版
フュロン星指折りの科学者であるオルポックスは資金難を解決するため、高値で取引される「天然モノの」エンドルフィンを集めるべくクリプト136を地球へ派遣していた。
が、1947年にクリプト136との通信が途絶え以後音信不通に。弟のクリプト137は消息を絶った兄を探すため、そしてエンドルフィンを集めて小遣い稼ぎするために地球へ赴くのであった…。
ちなみに137が弟であるというのは日本版のみの設定(ただしクローンではある)。また1947年はロズウェル事件が起きた年でもある。
続編
ローカライズ前の『Destroy All Humans!』はなかなかの人気を得たらしく、海外ではシリーズ化して続編も数作出ている。しかし2作目が出たハードであるPS2・Xboxは双方ともに既に前世代ハードとなってしまっており、日本ローカライズ版の発売は望み薄である。
- Destroy All Humans! 2
2006年にPS2とXboxで発売された。一作目のおよそ10年後が舞台。
前作で米軍やマジェスティックを倒し、アメリカを影から牛耳ることに成功したフュロン星人。だが、ソ連のスパイ組織KGBにそのことを感づかれてしまった。ソ連の原爆による奇襲でマザーシップを撃墜され、オルソポックス13は死んでしまう。仇をとるために、主人公クリプト138はオルソポックス13の人格をバックアップしたホログラフとともに、KGBとの戦いを始める・・・。
KGBのエージェントのねーちゃんとのロマンスもあるで。
ヤクザやニンジャやイケバナや大怪獣ゴジラコジラが登場する「Takoshima」というステージがある。
ちなみに138になってるのは、前作の主人公137がゲーム開始前に地味に死んでいるから。 - Destroy All Humans! Big Willy Unleashed
2008年にWiiで発売された。
『Destroy All Humans! 2』の後、ファストフードのチェーン「Big Willy」を経営して地球の金とDNAを集め始めたクリプトとオルソポックス。しかし、ファストフード業界を支配しようとしているライバルチェーンのボスが「Big Willyで使われている肉は人間の死体を使っている」という噂を流すという卑劣な営業妨害を始めた。秘密のレシピを暴露されてしまった怒りを晴らすため、クリプトは再び武器を手に取った。 - Destroy All Humans! Path of the Furon
2008年にXbox360で、2009年にPS3で発売された。
クリプト139とオルソポックスは「Big Willy」の収益を元手にカジノを経営し、金もDNAも大もうけしていた。しかしそんな彼らの前に、フュロン星のサイボーグ種族「ネクソスポリジウム」達が現れて襲いかかる。オルソポックスの記憶によればネクソスポリジウムは主人の命令には何でも従う戦闘種族だが、既に絶滅しているはずだ。誰が何の目的でネクソスポリジウム達を甦らせたのか?謎の敵に苦戦するクリプトだが、そのとき老師の声が頭に響く。「クリプトよ・・・悟りへの道を歩むのじゃ・・・」。
ちなみに139になってるのは138がUFOの飲酒運転で事故って死んだから。
「Destroy All Humans! Crypto Does Vegas」という2007年に配信された携帯電話アプリもある。オルソポックスがフュロン本星に送るはずだったDNAが何者かに盗まれた。クリプトはそれを補填するため、地球人を殺しまくってDNAを集めることになる。
リメイク
2020年にはPS4、XboxONE、Steamにてリメイクが発売。
こちらは原語版を忠実にローカライズしたCERO:Z(18禁)としての発売であり、日本版のようなバカゲー化は一切されていない「本来の姿」としての発売(字幕は日本語に対応しているが、吹き替えは非対応)。
ちなみに、日本でのみ限定公開されたPVではPS2版でクリプトを演じた山口勝平氏が原語版基準で再びクリプトを演じている。
日本版とは全く違う本来の悪者なクリプト(曰く「日本だけ俺の偽物が出回ったみたいだな」)を演じる山口氏の演技は一見の価値あり。
関連動画
本来の残虐ゲームとしてのリメイク版。当然、雰囲気はかなり異なる。
関連項目
- バカゲー(バ神ゲー)
- ビーストウォーズ
- 山本弘
- パロディ(オマージュ)
- セガの本気
- なにかんがえてるの
- マット・ハーディング - ゲーム開発者。このゲームの開発中にその暴力性に嫌気がさし、退職した。
- ゲームのタイトル一覧
関連リンク
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