プリウス (Prius)とは、トヨタ自動車が販売するハイブリッドカーである。
概要
トヨタが1997年に発売した、世界初の量産ハイブリッドカー。心臓部のTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)はスプリット式と呼ばれる構造。これは速度やアクセル開度に応じて電力とエンジンのエネルギーを自動配分し、エンジンの馬力が余っている時は充電に回せるなど極めて複雑な仕組みである。ちなみにTHSのトランスミッションは電気式CVTと呼ばれているが、構造的には通常のCVTとは全く異なる。THSは2代目プリウスでTHS-Ⅱとして生まれ変わり、その後4代目まで構造は毎回大規模に変更されているものの、「動かし方の考え方は変わっていないから」と名称はⅡのままとなっている。
初代プリウスは世界初の量産ハイブリッド車であること以外はほとんど魅力が無く、乗り心地も実燃費も酷いものであった。プリウスは車の白物家電化の象徴とされ、トップ・ギアでは機関銃で蜂の巣にされるなど散々コケにされ続けてきた。
しかしその後は徐々に改善し、新プラットフォーム『TNGA』の第一号車となった4代目プリウスは、低重心化や後輪サスのダブルウィッシュボーン化を行い、「走る楽しさ」を強く打ち出した。そのリニアリティの高さは、スーパーGT+でレーシングドライバーの谷口信輝が高く評価し、自身も購入してることからも窺える。
こうしたことから、その時代のトヨタの車に対する姿勢が最も反映されている一台だと言うこともできる。
その他
- 発売当初から燃費計(5分ごとの燃費)が標準装備されている。NHW10系とNHW20はモニターに、ZVW30とZVW40W系、ZVW50系はセンターメーター内ディスプレイに表示される。
- 減速時には最近の電車(VVVF)のような「ひゅーん」というインバータ音が楽しめる。
- 低速走行時は走行音がほとんどしないため、商店街・繁華街など人混みの中を走行する際は細心の注意が必要である。
- Twitterで#今日のプリウスなるタグが存在するほど、運転手のマナーの悪さが目立つとされている。ただしこれについては単純に3代目以降のプリウスの台数が多いことや、プリウスは素人目で見ても「プリウスだ」と分かりやすいこと、プリウスへの偏見(他の危険運転映像だと車種名は出ないのに、プリウスの時だけ名前が出るなど)も指摘されている。
- レクサス・CT200hはプリウスと全く同じ動力(エンジン&ハイブリッド)を搭載している。またマツダ・アクセラハイブリッドは排気量の違うエンジンを全く同じ馬力・トルクに設定して、トヨタから供給されたTHSを装備したものである。
- JAF-GT規定のレーシングカーのプリウスが、スーパーGTのGT300クラスに2012年から参戦している。2016には市販車に合わせてモデルチェンジを行ったが、一貫してミッドシップに3.4リッターV8エンジンを搭載しており、数あるGTカーの中でも最も音の大きいGTカーとして知られる。面白いことに、静かすぎて事故の原因になると言われた市販車とは真逆である。ただしエンジン以外のハイブリッドユニットや空力パーツなどは、極力市販車でも使われる物を用いているという。複数回の優勝を収めており、最高成績は2016年の総合2位。
初代~現行車種
NHW10 (初代・前期型) |
1997年 | 世界初の量産型ハイブリッドカー。キャッチフレーズは「21世紀に、間に合いました」 | 5ナンバー 1500cc |
NHW11 (初代・後期型) |
2000年 | 超・低排出ガス認定を受け、燃費も向上させた。また、上級グレードにはクルーズコントロールを装着。 | |
NHW20 (2代目) |
2003年 | 3ナンバー化。ハイブリッドシステムがTHS-IIに。 ZVW30発売以降は法人用(EXグレード)として販売を継続していたが、2011年にアクアが登場したことにより販売終了。 |
3ナンバー 1500cc |
ZVW30 (3代目) |
2009年 | 排気量が1800ccに。 2012年1月30日にプラグインハイブリッドカーの「プリウスPHV」を発売。 |
3ナンバー 1800cc |
ZVW40W ★現行 |
2011年 | プリウスα。ミニバン。7人乗り 動力用主電池はリチウムイオン電池を搭載。 |
3ナンバー 1800cc |
ZVW41W ★現行 |
プリウスα。ステーションワゴン。5人乗り ダイハツにダイハツ・メビウスとしてOEM配給。 |
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NHP10 ★現行 |
アクア[1]。ハッチバック。5人乗り | 5ナンバー 1500cc | |
ZVW50/51/55 (4代目) ★現行 |
2015年 | 新プラットフォーム「TNGA」採用。このモデルから4WD(E-Four)が加わった。 グレードと駆動方式により、動力用主電池がリチウムイオン電池かニッケル水素電池のどちらかが搭載される。 |
3ナンバー 1800cc |
車両接近通報装置
ハイブリッドカーは静音であり、狭い路地や商店街などを走行時に歩行者に気づかれにくいことから「ハイブリッド車等の静音性に関する対策のガイドライン」(国土交通省 2010年1月)が策定。
2010年夏、低速走行時においてエンジンかインバータの疑似音を発生させる「車両接近通報装置」が発売された[2]
この装置はエンジンルーム内に設置したスピーカーから疑似音を発生させ、音が不要なときは一時的に運転席に設置したスイッチ(ボタン)で解除できる。エンジンをかけ直すと、自動的に有効になる。
関連動画
関連項目
脚注
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