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ヘイトスピーチと(hate speech)とは、Hate(=憎む、憎悪する、嫌う)+Speech(=演説、発言)の合成語であり、「暴力を正当化する発言」や「他国の文化を否定的に判断する態度(=エスノセントリズム)」のこと[1]。
日本では『嫌悪発言』『憎悪表現』などと訳され、「人種、宗教、性的指向、性別、思想、職業、障害などの要素に起因する嫌悪や憎しみを込めた発言や主張」と認識されている。
概要
「ヘイトスピーチ」という言葉は、ただの悪口には使われず自分が嫌いな人種・宗教・性や思想の持ち主を憎んで発言した内容が「ヘイトスピーチ」と呼ばれる。
特定の属性である○○について「○○は死ね」「○○は殺せ」などが典型的なヘイトスピーチとなる。ここでの「○○」は人種、民族、国籍、宗教、思想、性別、性的指向、障害、職業、社会的地位、経済状態、外見など、本人ではどうしようもできない先天的なものを指す。発言者が大手メディアでも団体でも一個人でも同じように使われる。
嫌いな対象を嫌いだと発言しただけではヘイトスピーチには該当せず、あくまで属性についての一般化した罵倒表現のことを指す。
ヘイトスピーチのみにとどまらず、憎悪による暴力行為などの犯罪行為に進むと「ヘイトクライム」となる。ヘイトスピーチをヘイトクライムに含むか否かは、それが犯罪行為となるかによって異なる。
2014年時点の「ニューズウィーク」の記事では「ヘイトスピーチが暴力犯罪につながる」という確証は得られていないと記載されていたという[2]。
人種差別撤廃条約
国際法においてヘイトスピーチは、定義も条文も無い[3]。その為、対応は各国の判断に委ねられている。
ただし概ね、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(通称:人種差別撤廃条約)に記された
締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。
という理念に反する発言や主張、扇動行為をヘイトスピーチとして定義することが多い。日本もこの人種差別撤廃条約に1995年に加入した。
「人種差別」であれば「民族差別」はセーフなんじゃないのか?という言説が唱えられることもあるが、この条約で定義する「人種差別」とは
この条約において、「人種差別」とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。
ヘイトスピーチ解消法
人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。
と記されている。
そのこともあって、この条約に加入した日本も2016年5月24日、特定の人種・民族への差別を煽るヘイトスピーチの解消を目指す対策法「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(通称「ヘイトスピーチ解消法」)を衆議院本会議で可決・成立した[4]。(2016年6月3日施行)
この「ヘイトスピーチ解消法」では、ヘイトスピーチを「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」と表現し、
この法律において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの(以下この条において「本邦外出身者」という。)に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。
と定義している。
ヘイトスピーチの相談や紛争の防止にあたる体制の整備、教育や啓発活動に取り組むことなどを国の責務として明記。施行後に「必要に応じ、検討が加えられるものとする」との見直しに関する付則を盛り込んだ。
国民は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに、本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない。
との義務を課したが、ヘイトスピーチを行うことを直接禁じる規定や罰則は設けられていない。理念法という位置付けだ。
ただし「判例」の節で後述するように、ヘイトスピーチで苦痛を受けたとして民事訴訟がなされた場合には、ヘイトスピーチであったことを理由に賠償額が増額されている前例が既に複数ある。よって、「この法律に罰則規定が無いので、日本ではヘイトスピーチは合法であり罰せられないのだ」というわけではない。
なお、このように「人種差別撤廃条約の条約締結国」の条文に従ってヘイトスピーチ規制法を制定した規制をした国では外国人への憎悪がかえって高まり「俺たちレイシスト!差別って最高!」という声まで出た例もあったともいう[5]。法律を定めて終わりではなく、その後の取り組みも重要であるということだろう。
各自治体の取り組み
大阪市
2016年1月15日、大阪市で全国初のヘイトスピーチ抑制を目的とした条例「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」」が成立した[6]。(2016年7月1日施行)
条例はヘイトスピーチを「特定の人種や民族の個人・集団を社会から排除し、憎悪や差別意識をあおる目的で侮蔑や誹謗(ひぼう)中傷する」表現活動と定義。
市民や市内に通勤・通学する人から、該当する可能性のある表現活動について申し出を受け付ける。
法学者と弁護士5人でつくる審査会で、「加害」「被害」双方の意見を聞くなど表現内容が調査され、大阪市長がヘイトスピーチか判断する。
市がヘイトスピーチと認定すれば、発言内容の概要、団体名や氏名をホームページなどで公表する。
インターネット上の動画も対象になり、認定されると大阪市がプロバイダーに削除を要請する。
京都府
2018年3月に「京都府公の施設等におけるヘイトスピーチ防止のための使用手続に関するガイドライン」を策定。
「「不当な差別的言動」が行われることが、客観的な事実に照らし、具体的に明らかに予測される場合」に、公の施設の使用の不許可/不承認とする、また一度許可や承認を与えていた場合でも、後に「不当な差別的言動」が行われたことが判明した場合にはその許可や承認を取り消すことを決定・周知した。
その後、京都府下の複数の自治体(京都市、亀岡市、舞鶴市、その他)が続々と同様のガイドラインを策定している。
東京都
2018年10月15日、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」が公布され、一部は公布当日から施行、そして2019年4月1日から全面施行された。
この条例内には「不当な差別的言動」を掣肘する目的の条文も存在しており、例えば
(公の施設の利用制限)
第十一条 知事は、公の施設において不当な差別的言動が行われることを防止するため、公の施設の利用制限について基準を定めるものとする。(拡散防止措置及び公表)
第十二条 知事は、次に掲げる表現活動が不当な差別的言動に該当すると認めるときは、事案の内容に即して当該表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置を講ずるとともに、当該表現活動の概要等を公表するものとする。
といった条文が存在している。
2019年10月には、在日コリアンへの不当な差別的言動があったとして、5~6月に練馬区と台東区であった街宣活動とデモ行進について公表し、上記の条例第十二条に基づく初めての事例となった。[7]
大阪府
2019年11月1日に、「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」(通称「大阪府ヘイトスピーチ禁止条例」)が施行された。
判例
京都朝鮮学園 vs 在日特権を許さない市民の会(在特会)
「在日特権を許さない市民の会」(通称:在特会)を相手取り、京都朝鮮学校が訴訟を起こして在特会側が敗訴し、2013年10月7日に約1200万円と言う比較的高額な賠償命令を下されたことで報道とともに一般にも知れ渡った。
この事件は2009~10年に、在特会の元メンバーらが京都朝鮮第一初級学校近くで、拡声器を使って「朝鮮学校を日本からたたき出せ」「ゴキブリ、ウジ虫、朝鮮半島へ帰れ」などの怒声を浴びせる街宣活動を繰り返したもので、街宣活動を撮影した映像はインターネット上で公開されたという。[8]
また,前記のとおり,原告に対する業務妨害や名誉毀損が人種差別として行われた本件の場合,わが国の裁判所に対し,人種差別撤廃条約2条1項及び6条から,同条約の定めに適合する法の解釈適用が義務付けられる結果,裁判所が行う無形損害の金銭評価についても高額なものとならざるを得ない。
と記されており[9]、在特会が行った業務妨害や名誉毀損について「人種差別として行われた」と認定した上で、「人種差別撤廃条約」を引用しつつ、必要な賠償額を高額に評価したことが表明されている。
つまり「直接ヘイトスピーチを取り締まる法律がなくても(この裁判当時、「ヘイトスピーチ解消法」はまだ存在しない)、「ヘイトスピーチが行われた」という事実は裁判所が判断するための重要な一要素となる」と言うことが確定した裁判となったのである。
この判決は高等裁判所に控訴されたが覆らず、2014年には最高裁判所が上告を退けたことで、在特会の敗訴が確定した。
ちなみに上記の裁判は民事訴訟であるが、これとは別に刑事事件としても在特会側の人間が逮捕され、威力業務妨害罪などでの有罪が確定している。
徳島県教職員組合 vs 在日特権を許さない市民の会(在特会)
「在日特権を許さない市民の会」(通称:在特会)を相手取って徳島県教職員組合が訴訟を起こし、2015年3月に1審で下された判決では人種差別との関係が認められず賠償額は231万円にとどまったが、2016年4月25日に2審で下された控訴審判決にて人種差別との関りが認められ、賠償額が436万円と2倍近くにまで増額された事例。
ヘイトスピーチが認定されると賠償金額が増額されることが再確認された。また、被害者が「人種差別を受けるマイノリティ本人」ではなく「人種差別を受けるマイノリティを支援する人々」であっても認定されたことが、画期的な判例であったとも言える。
この事件は在特会が2010年に起こしたもので、徳島県教職員組合が集めた募金の一部を四国朝鮮初中級学校に寄付したことを攻撃するため、同組合の事務所で女性書記長に拡声機で「朝鮮の犬」「非国民」などと怒鳴ったり手首をつかんだりしたもの。その様子の動画は在特会メンバーがインターネットで公開したという。[10]
高松高裁は2審の判決文において、在特会を「在日朝鮮人に対する差別意識を有していた」と認定し、上記の事件における行動・言動について「人種差別的思想の表れで違法性が強い」[11]「いわれのないレッテル貼り」「リンチ行為としか言いようがない」[12]と強く非難、人種差別撤廃条約上の「人種差別」にあたるとした。
この判決を不服として在特会は上告を試みたが、2016年11月に最高裁判所が上告を退けたことで、在特会の敗訴が確定した。
ちなみに上記の裁判は民事訴訟であるが、これとは別に刑事事件としても在特会側の人間が逮捕され、威力業務妨害罪などでの有罪が確定している。
海外において
アメリカ合衆国も日本と同様にヘイトスピーチに対して直接罰則を科す法律が存在していない国家である。ヘイトスピーチを禁じる法律が成立したこともあったが、アメリカ合衆国連邦最高裁判所において繰り返し違憲無効判決が出されてきた。日本とアメリカで共通するのは、表現の自由を保障した明確な成文憲法の存在である。日本では憲法第21条が、アメリカでは合衆国憲法修正第1条がそれにあたる。
一方、ヨーロッパでは様相がまた異なり、ドイツの「民衆扇動罪」(Volksverhetzung)など、反ヘイトスピーチを目的とした法律に懲役を含む罰則規定を設けている国もある。
その他
はてなキーワードや日本語版Wikipediaに「ヘイトスピーチ」の項目が作られたのはいずれも2005年で、この頃には日本の一部のウェブサイトで使われていた。
電子掲示板サイト2ちゃんねるでは2010年頃から急にニュース速報板を中心に使われ始めた。その後、流行語のように各板に広がった。(英単語としては古くからあるが)
なお、在日コリアン出身の鄭大均名誉教授は「朝鮮人の被害者性ばかりを語り、日本人の加害者性を誇張する態度」を憎悪表現(ヘイトスピーチ)と定義している[13]。
関連動画
関連商品
関連項目
- 差別
- 誹謗中傷
- レッテル貼り
- 思想・表現の自由
- レイシストをしばき隊(現:対レイシスト行動集団)
- 在特会(在日特権を許さない市民の会)
- ネット右翼
- ヘイター
- ヘイトクライム
- ヘイト本
- ヘイト記事
- ヘイト企業
- ヘイト主義
- ヘイトスピーチ規制法案
- 川崎市日本人差別条例
- 人権擁護法案
- ぱよぱよちーん(この言葉を使用する者はヘイトスピーチと認定される)
- 鶴橋大虐殺
- 加藤純一差別発言まとめ
- 指導なき抵抗
- ヘイトグループ
関連ニュース
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- 差別はネットの娯楽なのか(11)―Bong_Lee「ネット右翼、ネオンくんってどんな人なんだろう?『死ね、殺す』という言葉を安易に使う人たち」(2013年2月24日)
- 続く「嫌韓デモ」 国会で排外・人種侮蔑デモ抗議集会開催(2013年3月16日)
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- 良いデモと悪いデモ? ヘイトスピーチの実態(2013年4月24日)
- ヘイトスピーチに抗議声明 在日韓国・朝鮮人の団体(2013年4月27日)
- 安倍首相、ヘイトスピーチに「極めて残念」 参院予算委(2013年5月7日)
- 欧州財閥の御曹司がヘイトスピーチを痛烈批判(2013年5月8日)
- 街宣は人種差別と賠償命令、京都 在特会ヘイトスピーチ、初判決(2013年10月7日)
外部リンク
- 先進国ならこれが常識!欧米のヘイトスピーチ法規制 - NAVER まとめ
- ヘイトスピーチ規制文献リスト[国内編] - researchmap
- 抗議行動は「ヘイトスピーチ」 海兵隊幹部、また暴言 - 琉球新報
- 加藤純一差別発言集
脚注
- *KITAYCHIK.RF 「ヘイトスピーチに"対抗するため”の法的メカニズム」
- *Newsweek2014.6.24号 P31「世界で増殖する差別と憎悪」
- *外国人特派委員会 2016.4.19 「ヘイトスピーチは国際法において定義も条文もない」国連報告者 デビッド・ケイ氏による会見
- *ヘイトスピーチ法が成立 「教育や啓発」国の責務と規定 「不当な差別的言動は許されない」 - 産経ニュース
- *Newsweek2015.3.11号 P30「移民との共生に問われる覚悟」
- *全国初のヘイトスピーチ抑止条例が成立 大阪市、認定団体は名称公表 - 産経ニュース
- *ヘイトスピーチ、東京都が初認定 人権条例に基づき2件 :日本経済新聞
- *ヘイトスピーチ、在特会の損賠責任認める 最高裁 :日本経済新聞
- *下級裁裁判例 平成22(ワ)2655 街頭宣伝差止め等請求事件 平成25年10月7日 京都地方裁判所
- *徳島県教組で罵声、在特会への賠償命令が確定:朝日新聞デジタル
- *在特会訴訟:暴言は「人種差別的思想の表れ」賠償額を増額 - 毎日新聞
- *上記朝日新聞デジタルの記事より
- *一般社団法人日本戦略研究フォーラム 2016年04月29日「強制連行」とは憎悪表現である
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