ボカロシンフォニーとは、VOCALOID等の歌唱合成ソフトウェアを用いた音楽のジャンルの一つである。
概要
現在、「ボカロシンフォニー」タグが付けられた作品のほとんどは次の2つの内のいずれかである。
オーケストラを使用しているといっても、その編成はストリングス(弦楽器)とピアノのみの小規模なものから木管・金管楽器も揃ったフルオーケストラまで様々であり、同時に電子音やエレキギター等の音が用いられることもある。アコースティックな楽器を使っている壮大な曲調の音楽なら何でもアリといった感じだが、念のために以下のことを確認しておきたい。
「ボカロシンフォニー」と「交響曲」
「ボカロシンフォニー」というジャンル名は「VOCALOID付きの交響曲(=シンフォニー)」から来ている(と思われる)が、この「交響曲」の意味を調べてみると、例えばニコニコ大百科では「オーケストラを中心とした、ソナタ形式で作られた楽章を含む複数の楽章からなる器楽曲の形式」とされている。この定義に従うと、ボカロシンフォニーはこの交響曲の形式を大きく逸脱していることが分かる。
また、ベートーヴェン以降、交響曲を書くことはある種の作曲家の創作活動にとって重要な位置を占めるようになり、今では「交響曲を九つ書くと死ぬ」という噂まで出回っているほどである。このように、「交響曲」という言葉には精神論的な側面もあり、無闇に使うことに抵抗を覚える原理主義者もいる。したがって、ボカロシンフォニーは従来の「交響曲」とは似て非なるものであることをしっかりと心に留めておくべきである。
もっとも、現代でいうところの「交響曲」が成立する以前、17世紀後半〜18世紀前半では「シンフォニア(シンフォニーのイタリア語)」といえばイタリア風序曲のことであり、これは交響曲に影響を与えた音楽形式ではあるが、交響曲とは違うものであった。すなわち、ボカロシンフォニーの形式が「交響曲」の新しい定義になる未来もなきにしもあらずである。 (……が、「交響曲」原理主義者としては、下記の「ボカロクラシカ」に因んで「ボカロシンフォニカ」とかに改めたほうがいいんじゃないの?と思ってしまう。関連記事参照。)
「ボカロシンフォニー」と「ボカロクラシカ」
「シンフォニー(交響曲)」というとクラシック系の音楽をイメージするが、「ボカロシンフォニー」タグが付けられた作品は必ずしもボカロクラシカに属しているわけではない(「ボカロクラシカ」タグも範囲が曖昧なのだが)。
現在、「ボカロシンフォニー」タグの付けられた作品にはクラシック風の音楽だけではなくロック風・民族風・ミュージカル風・分類不可能な作風など様々な曲調の音楽が含まれている。これは必ずしも的確な表現ではないが、「ボカロクラシカ」は音楽の「中身」による分類であるのに対して、「ボカロシンフォニー」は音楽の「枠」による分類であり、これらを混同してはならない。
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関連項目
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