ミ=ゴ(Mi-go)とは、クトゥルフ神話に登場する地球外生命体である。
概要
初出はH.P.ラヴクラフトの『闇に囁くもの』。当初は「ユゴスよりのもの(Fungi from Yuggoth)」と称されていた。
ラヴクラフトの書簡によると、チベット語で「雪男」を意味する「Migou」を踏襲しており、作中でネパールのMigouとミ=ゴは同一の存在であるとしている。
人間よりもやや小さめの、ピンク色の甲殻類のような姿。突起物がついた頭は渦巻き状の楕円形で、三対の手足で二足ないし四足歩行する。蝙蝠めいた翼による飛行能力を持っているが、地球上のエーテル濃度が希薄である為にあまり使い物にならず、もっぱら外宇宙で用いている。
別名の「ユゴスよりのもの」は直訳すると「ユゴスよりの真菌」で、本質はキノコなどの菌類に近い。
特筆すべき点として、彼らの姿は目視できるが写真や映像には映らない。また何らかの要因で死亡した場合、数時間以内に消滅してしまう。これは肉体の構成物質の電子振動数に由来し、光学迷彩を恒常的に展開している為である。
独自の言語を持っており、頭部の色を変色させ、ブザーのような鳴き声やテレパシーで意思疎通を行う。自分に簡単な手術を施す事で、人間と同じように発声する事も可能。
遥か彼方の外宇宙に生息しており、惑星ユゴス(冥王星ないし別の惑星)が本拠地。かつては強大な帝国を築いていたが失われ、その復活を目指して活動している。人智の理解を越えた高度な科学技術を有しており、地球に姿を現すのは鉱物資源や生物を採取する為である。
その歴史はジュラ紀にまで遡り、人類以前の先住種族「古のもの」を駆逐して南極に追いやった。
基本的に人間とは距離を取っているが、これは単に地球を征服する必要性を感じておらず(やろうと思えばいつでも可能)、地球の鉱物資源の採掘を優先している為。
不用意に近づいたり作業の妨害をすると容赦なく排除にかかる他、「宇宙人」であるミ=ゴの秘密を暴露しようとする人間に対しても排除しようとする。このため、往々にしてUFO研究家やジャーナリストが被害に会いやすい。
反面、何故か犬には弱い。『闇に囁くもの』では何度か撃退され、死亡する個体までいた。クトゥルフ神話TRPGでは麻痺作用のある電気銃、凍結ビームを放つ立方体、粘り気のある糸状のバイオアーマーなどが登場している。
人間の文明についても充分に知悉しており、自分達に協力する人間には対価として科学技術や知識を与えている。
アメリカ合衆国政府内の秘密委員会、通称『MJ-12(マジェスティック・トゥエルブ)』はミ=ゴと同盟関係にあるという設定が創作されるなど、その影響力は大きい。前哨基地である月の地下にはコロニーが形成され、協力関係にある人間が生活しているという。
更に気に入った個体(或いは蔑むべき個体)に対しては外科手術を行い、脳を摘出。特別な銀色の円筒に収めて持ち運ぶ。
この円筒を専用の機器に接続すると五感が使えるようになり、言語を発する事も可能。残された体は処理が施されて老化が止まり、肉体から解放された頭脳のみが、ミ=ゴと共に驚くべき外宇宙を旅できるようになる。気に入った個体にとっては永遠の友、蔑むべき個体にとっては永遠の牢獄となる。
なお摘出した脳を保存されていた肉体に戻す事も容易で、手術による後遺症や危険性はない。ただしSAN値は減る。
邪魔さえしなければ無害と思われるミ=ゴだが、その精神構造は人智の及ぶ所ではない。
また彼らはシュブ=ニグラス、アザトース、ツァトゥグァ、ニャルラトホテプなどを信仰している為、利害関係が一致しても互いに分かり合える存在ではない。
迂闊に近づいて気に入られ(あるいは軽蔑され)、脳を持ち去られないよう注意。
一方、人類に好意的な「宇宙の隣人」たるミ=ゴというのも存在しない訳ではない。
『ファファード&グレイマウザー』で知られるフリッツ・ライバーの短編『アーカムそして星の世界へ』では、『ダンウィッチの怪』のヘンリー・アーミテッジ教授らに秘密裏に協力してヨグ=ソトース召喚を阻止。更には大腸癌によって死を待つ紳士から脳を摘出し、彼が多くの小説を執筆する原動力となった、外宇宙の旅に送り出している。
クトゥルフ神話TRPGにおいては、ルールブック所収のシナリオ『ストラフトン山の火』に黒幕として登場している。この事から神話生物の中でも知名度は高く、出番も多い。
2012年に発売されたカードゲーム『ミ=ゴの脳みそハント!』では、プレイヤーはミ=ゴとして優秀な人間達の脳を集める事になる。
宇宙的恐怖に挑む探索者の妨害を潜り抜け、最も優秀な脳を集めて儀式を行おう!
なお作者はTRPG専門のゲーム雑誌『Role&Roll』の編集部である。
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