二子玉川メトロノームとは、指揮者を題材にした恋愛ドラマである。
勘違いされやすいが、タイトルの読みは「ニコタマメトロノーム」である。「ふたこたまがわ」でも「にこたまがわ」でもない。
概要
主人公ニコとライバルのガワ、ヒロインのタマの3人が過ごす日々をニコの視点で描いている。放映当初は「出演者の顔が気持ち悪い」との声が多く視聴率は低迷したが、主人公の挫折や苦悩、再起をテンポよく描いたシナリオは大変良く練られており、主演の田川ヒロキの怪演や主題歌「HEART」の効果的な挿入も感情移入を後押しし、最終回まで見た人からはビジュアルも含めて評価が非常に高い。全2話。
登場人物(カッコ内は役者)
本作の主人公。貴族のスポーツ指揮の才能に恵まれ、幼少期から多くの大会で優勝しているが、それゆえにやや驕りが強くメンタルが弱い。しかし指揮に対する情熱は強く、最高の指揮者になっていずれ世界で活躍することを夢見て名門・東京指揮大学に入学。やがてタマに恋心を抱くようになるが…。
なお、後にDVD化された際に大学入学初日を描いた特典映像が追加されており、そこで彼の実家がメトロノーム屋であること、指揮のリズムをメトロノームに頼っていることが明らかとなった。また、舗装されていない道路で躓きやすい欠点もある。
本作のヒロイン。ニコに恋心を抱かれたことは知っているが、彼女はすでにガワと交際しておりニコに対しては心を開くそぶりを見せない。それどころかニコの気持ちを知りながらそれを踏みにじるような行為を繰り返したため視聴者からは悪女扱いされることも多い。一方で彼女の行動がニコの成長にも繋がっており、「彼に試練を与えることで、他人に依存せず生きられる真に強い人間にさせたかったのでは」と考察されることもある。また、吉田の演技力を知る視聴者からはところどころで表情を曇らせたり視線を泳がせることを見逃さず「彼女もニコが好きだったのでは」と解釈されることもある。
- ガワ(宮下都志男)
ニコのライバル。頭が良く恵まれた体格とルックスで指揮の腕もあり、実力でタマを勝ち取った。ニコがガワを全国大安(注:誤字ではない)で打ち負かすこと、タマの心を掴むことの2つが物語の主軸となる。
- 金属バットの二人組(????)
最終回に登場。重要なシーンで意味深な登場をするが本筋に関わるキャラクターではなく、セリフも存在しない脇役。本作を視聴しただけではその意味が理解できないが、彼らは同監督のドラマ「THERAPY」の登場人物であり、こちらを視聴しているとこのシーンに深いメッセージが込められていることが分かるようになっている。
ストーリー(第一話)
幼少から高い指揮の才能を持ち、いずれ世界で活躍することを夢見て単身上京し東京指揮大学に入学したニコ。タマやガワとのキャンパスライフも順風満帆だったが、事故で脚をつる大怪我を負ってしまう。しかし実家を離れた自分にチヤホヤしてくれる人はおらず、自分は人気者だと信じていたニコは強い孤独感を感じてしまう。そんな傷心の病院生活の最中、タマだけが来て看病してくれた。この一件でニコはタマに恋心を抱くが、彼女はすでにガワと関係を持っていた。
ニコは人生で初めて思い通りにいかない出来事に直面し動揺したが「指揮者は女の為ならずだろう」と自分に言い聞かせ、頭に浮かぶタマの顔を振り払い指揮の練習に打ち込んだ。そんな折、ニコの元にタマがやってくる。彼女の手には、ニコが憧れていたストロベリーノームが握られていた。タマという煩悩を一度は振り払ったにも関わらずニコはそれを自分へのプレゼントだと早とちりしてしまうが、彼女の要件は「ストロベリーノームを修理してほしい」というものだった。自分のものではないストロベリーノームを修理するという注文に彼は激しく苦悩するのだった。
ストーリー(最終話)
ストロベリーノームも、タマも、自分のものにならなかった。強い挫折感により指揮への情熱も失ってしまったことで指揮者仲間とも疎遠になり、いよいよ孤独になっていくニコ。しかし、自分が挫けている間に大会当日になっていたことに気がつく。自分には指揮しかないこと、ガワとの勝負にだけは負けられないことを思い出して奮い立ち、彼との決着をつけにいく。会場で待ち受けるガワの傍らにはニコが修理したストロベリーノームを持ったタマがおり、ニコはさらに闘志を燃やした。しかしこの力みが徒となり、立ち上がりでミスをする失態を犯す。次第にガワの強烈なプレスに圧倒され、脚の古傷へのダメージも受けてダウン。これが致命的な減点となり、大会はガワの勝利となった。
-5年後-
落ちぶれたニコは商店街で女性をナンパするようになっていたが、プロデビューしたタマ&ガワと自分の境遇の差が頭から離れず、心が満たされることはなかった。そんな暗い日々を送るニコの前に5年ぶりにタマが現れる。ニコは心から湧き上がる喜びに「やはり自分にはタマが必要なんだ」と気づいて意気揚々と声をかけるが、タマが彼の前に現れたのはガワとの結婚をニコに知らせるためだった。その場ではなんとか笑顔で祝福したニコだったが、クリスマスケーキを目前に自宅で1人というあまりに辛い現実に男泣きし、生きる意味を失うほどに思い悩む。悩み続けた末に彼が出した答えとは――
!!以下、エンディングのネタバレ注意!!(空白をドラッグして閲覧)
「行こう 俺を待っている土地へ!」
指揮の勝負や恋の勝負を経て全てを失った彼は、ただ1つ残った指揮だけを胸に生き方を探しに国外へ旅立った。そして彼は、異国の地で子供たちに指揮の楽しさを教える活動を始めた。数々の勝利を手にした少年時代から敗け続きの大学時代という人生を経て、指揮棒は女の奪い合いや勝負のためにあるのではなく、リズムを奏でるためにあると気づいたのである。こうしてニコは、大学の入学当時に思い描いたのとは違った形で「指揮者として世界で活躍する」という夢を叶えたのだった。これまでにない満たされた気持ちで、ニコは「あなたのメトロノームが、リズムに国境はないと気づかせてくれました」とタマへの気持ちを手紙に綴り、紙飛行機にして窓から放った。もちろん国外からタマの元へ紙飛行機が届くはずはないのだが、本作はタマがどこからか飛んできた紙飛行機を手に取るシーンで幕を下ろす。
余談だが、ラストシーンにはタマとガワとの間に彼らが授かった双子が写っており「双子タマガワ」とタイトル回収するオチがある。
…というのは冗談で、ちゃんとした概要
二子玉川メトロノームとは、group_inouによる楽曲「HEART」のPVで展開されるストーリーである。当楽曲のPVは、ニコニコ動画では「SUSHI食べたい」のPVなどで有名なAC部が手がけており、「輪郭はそのままに顔の向きだけが変化する」「筆ペンの先端が紙にも触れずにくねくね動く」など独自の描写と中毒性はそのままに、ところどころで歌詞と字幕(登場人物のセリフ)をリンクさせるなどストーリー仕立てになっており、楽曲との相乗効果で感動的な作品になっている。特に、クリスマスケーキを前に考えを巡らせるシーンではAC部おなじみの顔切り替わりをフル活用して感情が渦巻く様子を効果的に表現している。
また、上記の登場人物で触れられた金属バットの二人組は同じくgroup_inouの楽曲「THERAPY」で登場したキャラクターである。国際空港で待つ女性との約束を不注意ですっぽかして泣かせてしまったプロデューサーに国際空港前で立ちはだかり制裁を加えた(かは分からないが、プロデューサーは女性と会うことができなかった)。一方、自分の生き方を真剣に考え海外渡航を決めたニコに対してもやはり国際空港で待ち構えるが、こちらでは黙って道を譲り、飛び立つ飛行機を見守っている。よくみるとTHERAPYで待ちぼうけを食らった女性も写っている。
関連動画
ニコの項目で「DVDの特典映像」などと紹介した部分だが、これは2017年2月10日より東京で行われた展覧会「ル~テまんがまつり」にて公開された作品である。
関連商品
関連コミュニティ
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関連項目
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