振り飛車単語

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振り飛車(ふりびしゃ)とは、居飛車と並ぶ将棋の戦法の二大分類のひとつである。

概要

序盤において、飛を初期位置の2筋(後手の場合は8筋)から5筋かそれより左に振って(移動させて)戦う。 相手が居飛車の場合(対抗)と振り飛車の場合(相振り飛車)とで、そのし方は全く別のものになる。

が左方にくることから、王将は基本的に右方に囲われる。ただし、相振り飛車戦では王将を相手の飛から離すため、左方に囲う場合もある(に中飛か向かい飛の場合)。

振り飛車の分類

対居飛車

振り飛車側は美濃囲いか穴熊囲いを選択することが多い。居飛車側の攻めの反動を利用して駒を捌き(相手の駒と交換したり、働きやすい形にする)、囲いの堅さを活かしつつ勝利するのが基本的な狙い。ただし、居飛車側に左美濃囲いや穴熊囲い(居飛車穴熊)など、美濃囲いと同等以上の堅さの囲いに組まれた場合は単純な捌き合いだけで勝つのは難しいことが多く、積極的な攻めや押さえ込みなどの対策が必要となる。

特に居飛車穴熊が流行した1990年代から、振り飛車側から積極的に攻めることをもくろんで、後述のゴキゲン中飛石田、更に2000年後半以降は交換四間飛ダイレクト向かい飛開発されるなど、振り飛車が筋をけたままにする戦法(従来は、居飛車交換を許して不利になるとされていた)が発達。古い振り飛車の戦法と新しい振り飛車の戦法を見べるときは、この点に注意して見てみるとよいだろう。

中飛車

←駒組みの一例

を中央の5筋に振って戦う。自分の筋が閉じた状態で戦う中飛(原始中飛・ツノ中飛など)と、開いた状態で戦う中飛(ゴキゲン中飛など)に大きく二分され、現在では「攻める振り飛車」であり、居飛車穴熊対策を兼ねたゴキゲン中飛人気が非常に高い。

他の振り飛車とべると、自分のが左右に分断されやすく、囲いを形成する上で制約が大きいという欠点がある。

四間飛車

←駒組みの一例(四間飛美濃囲い)

先手ならば飛を6筋に、後手ならば4筋に振って戦う。攻守のバランスに優れ、相手の狙いに応じて飛を振り直すなど柔軟な対応ができるのも利点の1つ。大山康晴森安秀光が好んでしたことから受け重視の戦法と呼ばれてきた。また、プロ棋士藤井猛が編み出した対左美濃・対居飛車穴熊戦法「藤井システム」の登場により、1990年代後半から2000年代中頃にかけてプロアマ問わず四間飛は大流行した。

居飛車側の対策が進んだことやゴキゲン中飛の流行もあり、人気は一度下火になったものの、その後2000年代後半になって藤井猛らが筋をけたまま四間飛に振る戦法を開発するなど、新たな展開を見せている。

三間飛車

←駒組みの一例(中田功XPへの変化を含んだ形)

先手ならば飛を7筋に、後手ならば3筋に振って戦う。通常の筋を止める三間飛は四間飛べて守備寄りの戦法であり、居飛車側の急戦に対しては非常に強い半面、居飛車穴熊に組まれると勝ちにくい(穴熊完成前に攻勢に出る中田功XPなど、対策が全くない訳ではない)。

また、飛先の歩を7五(後手の場合は3五)に伸ばすし方を石田流という。自分および相手の出方によって、を止めない変化(石田)と止める変化に分かれる。どちらの場合でも居飛車穴熊への相性がよいこともあって、プロでも見直されている。詳細は「石田流」を参照。

向かい飛車

←駒組みの一例

先手ならば飛を8筋に、後手ならば2筋に振って戦う。双方の飛が向かい合っていることから、「二間飛」ではなくこの名前が付いている。居飛車側の隙を突く形での飛先からの逆襲、もしくは飛交換を迫るのが基本的な狙いで、一旦他の筋に飛を振った後にめて向かい飛に振り直す場合もある。2011年から筋をけたダイレクト向かい飛戦法が注を浴びており、佐藤康光大石直嗣などが得意戦法としている。

相振り飛車

←駒組みの一例(四間飛無双

先手・後手ともに振り飛車にする戦。振り飛車党同士がどちらも譲らなかった場合や、居飛車党の振り飛車対策でされることが多い。かつてはプロ棋戦されることが稀で、定跡化されていない未知の部分が多かったが、近年では対局数も増え、それに応じて戦法も進化しつつある。

相振り飛車ではに四間飛・三間飛・向かい飛が採用され、自が左右に分断されやすい中飛は避けられる傾向にある。中飛への対抗策として三間飛が選択されるという事例も見られる。

よく用いられる囲いには美濃囲い・矢倉囲い・穴熊囲いのほか、に相振り飛車で用いられる囲いとして「無双」がある。相振り飛車だと自分の玉の上部に相手の飛が当たる形になるため、無双はそれに対応するための囲いとなっている。形はBONANZA囲いに似ているが、上記の理由から3筋の歩は突かない。

振り飛車党の棋士

大百科に記事のある棋士のみ。女流棋士、振り飛車党寄りのオールラウンダー含む。


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振り飛車

19 ななしのよっしん
2018/06/19(火) 21:34:23 ID: npbTJ8g6cs
>>18
東大将棋開発レグスペとかどうかな
交換→すぐに振り飛車穴熊→ひたすらバカ攻めという戦法なんだが
振る楽しみと穴熊の安心感と攻めの楽しみを同時に味わえる
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20 ななしのよっしん
2018/12/07(金) 10:37:55 ID: fL7iyQ6z0q
異端ルーキー山本博志四段 三間飛の使い手「通用しなかったら死ぬだけだ」
https://www.hochi.co.jp/entertainment/20181203-OHT1T50138.htmlexit
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21 ななしのよっしん
2019/02/18(月) 22:21:56 ID: SSdbpS6f1T
>>16
最近磯崎がそれと似たようなこと言ったね
ソフト開発者でもそういう疑念があるんだから、振り飛車が終わったというにはすぎるな
問題は居飛車に偏らずに一から振り飛車を学習させる手法が難しそうってことか
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22 ななしのよっしん
2019/04/01(月) 12:30:47 ID: gIkLuJlL8H
升田幸三大山康晴桐山清澄森けい二
優秀な先代がいたから、戦法として
開拓されてた部分もあるからな

もし、振り飛車のみの叩き台(フラゲみたいなもの)があれば、もっと強くなれるし、関心を持つ現役棋士も増えてくると思うんだ
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23 ななしのよっしん
2019/10/31(木) 12:23:18 ID: XvQ6FgWB7G
を開ける(を使えるようにする)
・飛先を伸ばす(飛を使えるようにする)
この2つが必須だと考えたとき、突き詰めていくと飛が初期位置の居飛車と、
この2つを1手にまとめられる三間飛以外は残らないんじゃないか、と思ったりする。
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24 ななしのよっしん
2020/09/18(金) 00:17:26 ID: cadV7E5FUj
ノーマル振り飛車は受け身になり易くて、結局居飛車側からの攻撃が多岐にわたるから覚えなきゃいけない定跡居飛車並に多く、相手に導権を握られやすい
自分からをとめてくれると勝敗はともかく相手からすると気が楽ではある

それでいてお互い最善に近いと厳密には居飛車が有利な可性が高い

こういうとこで振り飛車がキツいんじゃないか
op系だと厳密には不利だったとしても一方同一局面への誘導はしやすいからな
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25 ななしのよっしん
2021/03/02(火) 02:55:59 ID: m9o4Hz2jkY
>>23
3間飛全然人気ないよね、と飛が隣り合ってるのが気持ち悪いのかな
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26 名無しさん
2021/07/02(金) 08:45:39 ID: 4hfWsBBYTw
これからもソフトで四間飛撲滅キャンペーンとか加速するぞ。右急戦、無双急戦、エルモ急戦、エルモ囲い右四間、新左美濃端歩突き穴熊、エトセトラエトセトラ。
これはどの振り飛車でも同じです。
君はおれたちの振り飛車いじめに耐えられるか?(笑)
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27 ななしのよっしん
2021/10/11(月) 05:51:38 ID: cadV7E5FUj
耐えるもクソプロレベルならともかくアマチュアなら振り飛車だからキツいとかってわけじゃないよ
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28 ななしのよっしん
2023/12/12(火) 06:04:21 ID: vKf6omASwc
そりゃプロレベルなら振り飛車にする一手損が致命的になるが、アマレベルなら誤差なんだから振りでも居でも自分の気持ちの良い様にさせばええわ
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