東方無限螺旋 (とうほうむげんらせん) とは、2人組のユニット「ねこタク」が制作した東方Projectの二次創作のひとつで、幻想入りシリーズのライトノベル作品である。
この作品は制作者による完全リメイクが行われた。リメイク前の動画はすべて削除されている (詳細は後述)。リメイク版の第一話は2011年10月30日に投稿され、2013年7月1日投稿の第2部最終話をもって完結した。
概要
ある男子大学生が彼の住んでいた時代 (2013年) の千年後、つまり西暦3013年の幻想郷をさまよう物語である。本作品の特徴は、先を読ませる数々の伏線の存在と、生きる意味に向けた示唆に富む点にある。
制作者である「ねこタク」は2人のメンバー (木瀬拓昌氏とねこまさ氏) で構成されており、木瀬拓昌氏はシナリオを、ねこまさ氏は画像をそれぞれ担当している。
この作品は二部構成であることが既に発表されているが、現在のところまだ第一部が完結していないため、第二部の投稿がいつになるのかは不明である。リメイク前の作品の第二部は、第一部を別の視点で捉えた話であったが、リメイク版も同じ内容であるのかは発表されていない。
2012年2月に、リメイク前の本作品を小説化した小説版『東方無限螺旋』がきっず氏によって公開された。なお、この作品について「ねこタク」は一切関わっていないため、小説版についての問い合わせを「ねこタク」にしないように。
ストーリー
西暦2013年8月3日夜、日本。大学生の石崎信吾は、山奥に所在する大学の教授に借りた本を返すため、夜の山道を原付で走行していた。
大学に行く途中、突然の強烈な爆音と閃光に転倒してしまう。そして、林の中から助けを求める声が聞こえてきた。大声で林に呼びかけながら声の方に進んで行くと、血まみれで倒れている女性を発見した。女性は喋りかけて来るが、錯乱しているのか会話に脈絡が無い。
そして突然、辺りが青白い光に包まれる。そんな状況でも女性の言葉が続く。
「・・・・・・あなたの・・・・・・成すべきことは・・・・・・ただ一つ・・・・・・」
「――生きて、またここへ帰ってくること」
その言葉と同時に彼は気絶してしまう。
目が覚めると、そこは見知らぬ場所であった。いったい自分に何があったのか解らず混乱していると、突然ひとりの女性に出会う。女性は何かに驚いているようだ。女性に近くの町や駅などの場所を聞いたところ、彼女の口から出た言葉は
「それ、冗談? 悪いけど、笑えないわ。・・・・・・とはいえ、妖怪や妖精の類に見えないのも確かね。幻想郷の住人のはずはないし、まさか、今になって幻想入りしたとでもいうの?」
それを聞いた彼は、話しても意味が無いと判断し、その場を立ち去ろうとするが・・・・・・
これ以降、作品の核心に関わる記述、いわゆるネタバレがあります。ネタバレを希望されない方は、当該のエリアをスキップされることをおすすめします。 → [ネタバレをスキップする]
・・・立ち去ろうとする彼は突然謎の怪物に襲われる。が、さっきまで話をしていた女性――風見幽香と名乗る――に助けられる。その女性によれば、今は西暦3013年で、ここは幻想郷という別世界とも言うべき土地で、そして彼の住んでいた世界、外の世界は約600年前に滅んでしまったのだという。彼はこの世界の状況を把握するため、そして元の時代・世界に帰るための手掛かりを探すために、彼女の助言のもと森の向こうにあるという洋館、紅魔館を目指すことになる
しかし彼女は彼と同行することを断り、代わりに森の中に住んでいるという魔女に護衛を頼むべきだと告げる。彼は単身、怪物と会わないよう慎重に森を進みながら魔女に会いに行くのであった。
登場人物
石崎信吾 | 第一部の主人公で何の能力も無い、外の一般市民。当初は元の世界に帰ろうとするだけだったが、荒廃した幻想郷での出来事で煩悶し、悩み、この未来を変えようと決心する。しかし・・・・ |
---|---|
風見幽香 | 枯れた向日葵畑にいる妖怪。幻想郷で最初に主人公が出会う人物である。昔より力が落ちているらしい。過去に自分が犯した罪を後悔し続けている。 |
アリス=マーガトロイド | 森に住んでいる幻想郷で最後の魔女。主人公に幻想郷で起きた事を簡単に教える。外の世界が滅んだ事により、いろいろな物が幻想郷に来たらしく。レコードを聴いたり、ワインを飲んだりして昔の思い出に耽っている。が、彼女の心が満たされることはない。 |
八雲紫 | 作品の最初と最後に登場するだけだが、主人公を幻想郷に送った重要な人物であるのは間違いない。彼女が見る世界は果たして、どのような世界なのか・・・ |
餓鬼 | 石崎信吾が幻想郷で二番目に遭遇する住人・・・・である。冥府の管理者が消滅した影響で、死んで行き場を失った人間の魂が変化した存在である。数は多く存在し、知能は低いようである。雑食のようで仲間の死体も食らうようだ。 |
リメイクについて
2011年9月25日に動画「ねこタクからのお知らせ」にて、このシリーズの完全リメイクおよびリメイク前の動画の全削除が発表され、リメイク前の動画・マイリストがすべて削除された。理由については動画を参照のこと。
なお、リメイク版の公開は2011年9月25日時点では同年12月下旬を予定しているとされていたが、実際にリメイク版第一部第一話が公開されたのは同年10月30日であった。これはリメイク版作成の前に行っていた作業 (「四季映姫ヤマザナドゥの事件簿」の修正版制作) が予想以上に早くに進んだためだという。
作品の基本的な部分 (制作者・方向性など) は同じであるが、文章やBGM、グラフィックなどが差し替えられたりしており、リメイク前の作品を視聴したことのあるユーザでも新鮮な気持ちで楽しめるようになっている。
リメイク前の作品について
2010年4月19日に第一部第一話が投稿され同年9月9日に完結、その後第二部第一話が同年9月15日に投稿され同年10月19日に完結した。
作品は二部構成からなり、全部で25の動画が存在していた。第二部は、第一部を別の視点で捉えた話である。
そのほか、リメイク前の作品の詳細については、この記事の過去のリビジョンを参照されたい。
リメイク前・リメイク版の比較
リメイク前 | リメイク版 |
---|---|
第一部 | |
第一話 | |
オープニングが無い 登場人物は実際に登場するまで不明 |
オープニングが追加された オープニングで主要な登場人物が紹介される |
主人公は高校二年生 (酒が飲めない) | 大学生 (酒が飲める) |
主人公が持っていた本は、 「図書館から借りた、課題作文に役立ちそうな本」 |
「教授から借りた本」 |
八雲紫と遭遇した時点では、 「主人公は徒歩で高校から帰る途中」で、 「八雲紫は普通の状態 (主人公と立ち話をする)」 |
「主人公は原付に乗って大学に向かう途中」で、 「八雲紫はひどいケガを負っており瀕死の状態」 |
物語開始時点の日時は、 西暦2010年8月6日夕方 |
西暦2013年8月3日夜 |
餓鬼に目がある | 餓鬼に目が無い |
第二話 | |
餓鬼について、 「妖怪である」という描写のみ |
「行き場を無くした人間の魂のなれの果て」 |
幻想郷の気候について、 特に描写されていない |
「幻想郷は地球最後の亜寒帯地域」 |
外の世界の環境について、 「人が住めない環境」である |
「そのほかの地域 (外の世界) はすべて寒帯」 「外の世界は永久凍土」 |
主人公が転送された幻想郷の日付は、 西暦3010年8月6日 |
西暦3013年 (日付不詳) |
幽香の指示は、 「チルノに会うべきだ」 |
「紅魔館に行くべきだ」 |
幽香が信吾に同行しない理由について、 この時点では特に描写されない |
「餓鬼の返り血を浴びた状態では他の餓鬼を引き寄せてしまうため」 |
森の中について、 信吾はトラップに引っかからないが、代わりに餓鬼がトラップに引っかかり爆死する |
信吾がトラップに引っかかり、逆さ釣りになって餓鬼に囲まれる |
第三話 | |
アリスの家について 窓には鉄格子、扉は鉄製 |
リメイク前に加え 小さなやや古びたデザインの一軒家、家の周りに有刺鉄線 |
電気は通ってない | 柵に高圧電流が流れている。室内には照明もある。 |
家の中について ゴミ屋敷一歩手前 |
掃除してあるのは中央のテーブルの周りだけらしい。 |
ワインを勧められて 「未成年だから」と断る |
酒を勧められて 「そんな気分じゃない」と断る |
アリスの寝言 「霊夢が…魔理沙…助けてあげてよ…魔理…沙」 |
霊夢は20年ぐらい、魔理沙は80年ぐらい生きた。 |
アリスと別れるとき、 嘘をつくときの癖を指摘される |
お守りの人形を貰う |
湖に関して、 今までの幻想郷とは雰囲気が違う |
例によって、どことなく陰鬱な印象だった |
チルノとの接触は、 湖畔で農作業中のチルノに話しかけた |
人影を見つけて近づいたら、足を払われた |
以上でネタバレを含む記述は終了です。
関連動画等
関連項目
- 「ねこまさ」のプロフィール [pixiv] - 画像担当のねこまさ氏のpixivのページ。本作品関連の絵もいくつか公開されている。
- 小説版『東方無限螺旋』 - きっず氏による旧「東方無限螺旋」の小説版。
- 東方Project
- 幻想入りシリーズ
- 幻想入りシリーズ一覧(オリジナル)
- 四季映姫ヤマザナドゥの事件簿
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