殺人ジョーク(Killer Joke)とは、第二次世界大戦中に英国軍が開発した兵器である。
概要
1943年の冬、ジョーク作家のアーネスト・スクリブラーが「世界一面白いジョーク」を書きあげた直後、あまりの面白さに笑い死にする事故が発生。アーネストの母を始めとした犠牲者が多数発生するが、最終的に英国陸軍はこのジョークの回収に成功する。
以後は英国陸軍省の主導で兵器としての検証が成され、当時欧州戦線で敵対していたドイツの公用語に翻訳された後、実戦に投入された。
配備されると同時に多大な戦果を挙げたが、あまりの危険性ゆえ、1945年に開催された第一次インドシナ戦争の和平会議で締結された「ジュネーブ協定」を巡る特別会議において「戦争におけるジョーク兵器の使用は禁止」となった。現代においては非人道兵器と見なされている。
最期に残ったジョークは、平和を祈念するものとして、1950年にバークシャーに埋葬。現在、その場所には「名もなきジョークに捧ぐ(To the Unknown Joke)」と記された記念碑が建てられている。
性能
効果範囲は英国による実験で50ヤード(46メートル弱)である事が実証されている。殺傷能力は極めて高く、100%の致死率を誇る。
このジョークを読む、または聞いた者は笑いが収まらず、呼吸困難に陥り、活性化した心臓の過負荷により心停止、死に至る。但し、いわゆる「じわじわくる」ジョークであるためか、効果が表れるまでの時間は人によって差が認められる。
兵器としての問題は「使用する側の兵士も殺人ジョークを読まなければならない」という点であったが、英国軍はこれを解決するために莫大な予算と労力を投じた結果、単語ごとに分解することに成功。ドイツ語を理解できる兵士らが単語別に翻訳、ドイツ語がわからない兵士が使用することで解決した。
とは言えその威力はやはり驚異的で、翻訳にあたった兵士が誤って2つの単語を翻訳してしまい、数週間の入院を余儀なくされる事故が起きている。
英国以外のジョーク兵器
最も有名なのは、上記のジョーク兵器に悩まされたドイツ国防軍の開発したジョーク兵器である。ナチス政権下で開発されたこの兵器は「英国のラジオ周波数帯で無差別に流す」という極めて残虐、かつ非人道的な手段で使用された。
しかしドイツ人らしく生真面目に推敲を重ねすぎた結果、何が面白いのか全くわからないものになってしまい、望まれた戦果を挙げることはなかった。
その後、効果的な殺人ジョークを生み出すことに成功した組織、国家はない。
また、英国産殺人ジョークの再利用も考えられたが、廃棄されたジョークの再利用には危険が伴うため、ドイツ国防軍による回収作戦の失敗以降、これを行った団体もない。
よって、そのジョークがどんなものであったのか、現在、それを知る者は皆無である。
補足
以上のネタは、イギリスのコメディユニット、モンティ・パイソンのTV番組『空飛ぶモンティ・パイソン』のスケッチ(コント)である。
シリーズ1の第一話に登場、そのシュールさから好評を博し、パイソンズの傑作のひとつとして周知されている。映画『モンティ・パイソン・アンド・ナウ』でもセルフリメイクされ、より毒が増している。
ドイツ国防軍の殺人ジョークは「Wenn ist das Nunstück git und Slotermeyer? Ja! ... Beiherhund das Oder die Flipperwaldt gersput!」という文章だが、単語をテキトーに並べただけの代物で、特に意味はない。ちなみにこの文章をGoogle翻訳にかけると「FATAL ERROR」と返される。
なお「世界一面白いジョーク」については、2002年にイギリスのウェブサイトで発表されている。
ハートフォードシャー大学のリチャード・ワイズマン博士らによる「ユーモアの社会文化的研究」の一環として、2001年に世界70ヶ国、40,000通に及ぶジョークを公募。インターネット上で採点投票が行われた結果、第一位はマンチェスターの精神科医、ガーパル・ゴゾール氏の作品となった。詳細は「世界で一番笑えるジョーク」を参照。
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関連項目
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