王泥喜法介とは、CAPCOMのゲーム『逆転裁判』シリーズに登場する架空の人物である。
通称は「オドロキくん」。登場人物からは「おデコくん」「泥の字」「ド腐れピーマン」など、呼び方はさまざま。
担当声優は『4』のゲーム本編が荻原光之郎(本作の一部サブキャラクターデザインを手がけたカプコン社員)、『4』PVと『5』以降はKENN。東京ゲームショウで初めて姿が公開されたときは「キャラが定まっていない」という理由で萩原氏の「異議あり!」の音声以外流れなかった。
概要
逆転裁判4で初登場。ツノのような尖った2本の前髪がトレードマーク。スーツの色は燃えるような赤。ジャケットは羽織らずベストだけを着ている。常にシャツの腕をまくっており、左手首には腕輪をつけている。PVで「天啓の大音声(だいおんじょう)」と紹介されるほど声が大きい。「大丈夫です!」が口癖。
相手の癖を「みぬく」能力を持ち、「集中」することで相手も気づかない仕草の変化をみぬき、相手の証言に隠された嘘や矛盾を暴くことができる。この能力は母親から受け継いだものであり、腕輪はその力をより発揮できる道具として機能している(相手の癖を眼で感じ取ると腕が緊張し、腕輪に締め付けられる感覚が起こる)。
身長は165cm。男性主要人物の中では亜内武文(164cm)に次いで低く、成歩堂と比べると11cmも差がある。また成歩堂よりも細身(これはむしろ成歩堂のガタイが良いというべきか)。このため『5』では「青びょうたん」「むしろ赤ピーマン」(逆転裁判6で実際に相手の検事に「赤ピーマン」呼ばわりされた)などとネタにされたことも。『5』体験版では彼を肩車した心音が「軽い」と発言していた。ココネちゃんが怪力すぎるだけな気もするが
高所恐怖症で高いところではマトモに動けず(後輩に手を掴んでもらう始末)、カナヅチである。
年齢は『4』で22歳『5』で23歳『6』で24歳と、今のところ一作進むごとに1歳ずつ歳をとっている。
逆転裁判4
牙琉法律事務所に所属し、第1話にて前作主人公・成歩堂龍一の弁護を行う。しかしその事件で所長である牙琉霧人が逮捕されてしまい、開幕第1話にして失業。その後成歩堂の誘いにより、「成歩堂芸能事務所」の所属タレント(?)となる。王泥喜の加入によって事務所は「なんでも事務所」と改められ、法律事務も再び行うようになった。
成歩堂の娘のみぬきを助手とし、時に検事・牙琉響也や刑事・宝月茜と協力して、被告人が非協力的な難事件の数々に挑む。成り行きで弁護の依頼を受ける、殺人事件に遭遇するなど、なかなかの巻き込まれ体質。序審法廷制度がもたらした「法の暗黒時代」の中で、「証拠なき犯罪」に立ち向かっていく。
意外にも過去や自分自身のことについてほとんど語ることがなく、弁護士を志した理由も不明。しかし終盤で、既に父を亡くし、母とも引き離されていることが判明するなど、かなり複雑な境遇であることが示唆される。さらに、みぬきと異父兄妹であることも判明するが、5の時点でも本人たちには知らされていない。
逆転裁判5
引き続き成歩堂なんでも事務所にて弁護士として活動。第1話では爆弾事件に巻き込まれたことで全身に包帯を巻き、またある事情から目も覆い、さらに青い上着を袖に腕を通さず羽織っている。
1年の戦いの成果もあってか弁護士としてはそれなりに成長しており、後輩である希月心音からは信頼される先輩とみなされている。さらに心音の友人であり第1話の被告人・森澄しのぶからも慕われるように。また本作では中学時代からの彼の親友が登場していて、ほんのわずかだが彼の過去についても触れられている。
第1話の最後では、事務所から離れてある事件を追う決意をする彼の姿が描かれる。第2話以降では彼と心音の出会いや共に戦った事件、4から続く「法の暗黒時代」の話や彼が事務所を離れた理由などが描かれていくが‥‥
逆転裁判6
異国で活躍する成歩堂に対して、心音と共に日本で活躍する様子が描かれる。
クライン王国へ行っている成歩堂の代わりとして、事務所を預かる身となっており、事件に巻き込まれ容疑者となった成歩堂みぬきを救うために、心音と共に奔走することになる。
PVではライバル検事『ナユタ・サードマディ』と面識のありそうなそぶりを見せたが‥‥‥
過去・家族について
『6』でみぬきにも指摘された通り、彼はあまり自身の過去を語らない。
しかし彼はかなり濃密な過去設定の持ち主である。(プレイヤーの分身にするためにあえて設定を薄くされた成歩堂とは真逆といえる)
以下、長い長いネタバレ(特に『4』『6』)につき、「大丈夫です!」な方のみスクロールして下さい。
・父親について
王泥喜法介には3人の父親が存在していた。
・実父とその最期
王泥喜法介の実の父親の名は「王泥喜奏介(おどろきそうすけ)」。
旅芸人で流しの弾き語り、いわゆる「みゅーじしゃん」である。帽子と抱えたギターが印象的で、写真を見た心音曰く「けっこうオトコマエ」、作中人物の証言によると「ほがらかな好青年」。或真敷一座のショーに客演した際、妻となる女性と出会い結婚、息子・法介を授かる。
結婚して1年目、法介がまだ1歳に満たない頃にクライン王国を訪れ、当時の王配(女王の夫)である弁護士と意気投合。王族居住区にある邸宅に招かれ、そこへ息子の法介も連れて行った。
しかし、それが悲劇の始まりだった。
王配が少しその場を離れている間に何者かが邸宅に放火。アマラ女王暗殺事件が発生したのである。
奏介は口封じのため、暗殺者によって殺害されてしまい、まだ赤ん坊だった法介は炎の中に取り残されてしまう。
しかしそこへ戻ってきた王配によって法介は救出され、無事育っていくことになる。
奏介の素性・性格についてはほとんど謎だが、彼は最期の瞬間まで息子を救おうと手を伸ばしていた。
・クライン王国での養父と法介の幼少期
クライン王国に取り残された法介は、現地での養父(作中では育て親と表現)に育てられることになった。
その養父の名は「ドゥルク・サードマディ」。
前女王アマラを暗殺したとされる指名手配犯で革命派のリーダー、クライン王国民を恐怖に震え上がらせている人物である。(法介曰く、育て親が指名手配犯なんて悪い冗談みたいだから誰にも過去を話さなかった)
‥‥と、書いたが彼は無実で真犯人に罪を被せられたに過ぎず、フィジカル面がバケモノレベルであるものの本人は気さくで豪快な人物。「大切な者」のためなら命を懸けるこさえいとわない。そして上記の「当時の王配」と同一人物である。
当時、伝説の弁護士だったドゥルクは暗殺事件の裁判で自己弁護をするが、捏造をでっちあげられてしまう。
(作中の人物たちも言っているがどこかで聞いたような話である)
ドゥルクはこの裁判がきっかけで制定された悪法・弁護罪を改正させるため革命家に転身、実の息子と身寄りのいない法介を連れて逃亡、3人は人知れず山奥で暮らしていくことになった。
上でも書いたがまだ1歳に満たないころの出来事だったため、法介は途中までドゥルクが実の父親だと思っていたらしい。
そして約10年後、身の安全を考えて法介は日本へ養子に出された。
法介は「必ず迎えに行く」というドゥルクの約束を信じ、彼が再び自分の前に現れるのを待ち続けた。
しかし、中学に上がっても、成人しても‥‥‥十数年経ってもドゥルクは迎えに来なかった。
・日本での養父
法介を養子として引き取った日本での養父だが、3人の父親の中で極端に情報が少なく、謎に包まれた存在。
分かっているのは「法介に王泥喜姓を名乗らせていたこと」と(中学時代の法介の"母さんがいない"という発言から推測されることだが)「恐らく独身であること」くらいである。
・母親とすれ違い
法介の母は或真敷一座の長の一人娘である「或真敷優海(あるまじきゆうみ)」。結婚当時未成年。
奏介との結婚を期に一座を離れた。
もう一つの「腕輪」(法介の腕輪も元々は優海の物)の所有者であり、父や息子、そして娘と同様に「みぬく」能力の持ち主。(みぬく能力は或真敷の遺伝子と共に受け継がれる)
クラインでの事件の際はたまたま別行動しており、事件が事件のため警察は機能が麻痺、夫と息子を捜そうにもまともに取り合ってもらえない状況であった。(しかも奏介の身元を判別できるものはすべて焼失し身元不明になっていた)
息子が生きているとは知らず、優海は一座へ戻ってきた。
それから時が経ち、『逆転裁判4』にて法介と二十数年ぶりの再会を果たす‥‥‥のだが、
法介は生き別れた当時は赤ん坊で母親の顔も名前も分からず、優海はその時記憶を失い別人(しかも外国人)として生きていたためお互いが親子だと気づけなかった。(二人を関連づける「腕輪」もあったのだが、優海の腕輪は服の袖に隠れて見えず、優海は視力も失っていたため法介の腕輪に気づけなかった)
そして『4』のエンディング、異国の歌姫ラミロア――或真敷優海は視力・記憶を取り戻し、自身に「かわいい子供」がふたりもいたことに気づく。
そして成歩堂に「時期を見て子供たちに会いに行く」と話し、『6』のエンディングでも彼女らしき人物が登場。
全てを打ち明ける時が来たようだが‥‥‥
・”きょうだい”達
法介の母、優海にはもう1人子供がいた。再婚相手である奈々伏影郎との間に授かった娘「みぬき」、現在は上司・成歩堂龍一の養子となっているあの成歩堂みぬきだ。
そう、法介とみぬきは異父兄妹なのである。
ただし、本人達は知らない事実であり、未だ「オドロキさん」「みぬきちゃん」と呼び合う仲。
もし恋愛に発展したら大変だからラミロアさん早く打ち明けてというファンは少なくない
そして、法介には義兄もいる。育て親ドゥルクの実の息子「ナユタ・サードマディ」、『6』のライバル検事である。
(作中で義兄弟という言葉は出てこないが、2人とも「ドゥルクの子供たち」と紹介されているため義兄弟という認識で間違ってないだろう)
当時は「ホースケ」「ナユタ」と呼び合う仲。2人で素っ裸になって原っぱを駆け回るなどとても仲が良かったらしい。
ナユタは女王の息子、つまり王子だったのだがクラインでは「親の罪は子の罪」という思想が強いため王族を追放されている。
弁護罪により悪徳独裁国家と化したクラインを変えるため法介は弁護士、ナユタは検事を目指し、それぞれ目的の職に就いたのだが‥‥‥
『6』の最終話終盤にて、クライン王国の現王女「レイファ・パドマ・クライン」もドゥルクの娘、ナユタの妹であることが発覚。つまり、育ちは違うが彼女も法介の義妹ということになる。
発覚後もお互いそんなつもりはなさそうだが。ナユタには「おに‥‥おにぃ‥‥」とか言ってるのに
・残された謎
『6』で大きく掘り下げられた彼だが、まだ謎が残っている。
・日本の養父について
・口癖「大丈夫です!」の由来
・牙琉法律事務所に入所した理由
・あの変な髪型のセットの仕方
これらの謎が解明される日は来るのだろうか‥‥‥‥
不幸キャラ?
『4』で初登場してから最新作の『6』に至るまで、彼は様々な不幸な目に遭っている。
「散々」だった法廷デビュー、依頼が来たと思えばパンツ捜し、いざ法廷に立てばオデコくん呼ばわり‥‥‥
列挙すればキリがないが、特筆すべきは「死にかけた回数」だろう。
以下、オドロキくんの生命の危機&それに準じたエピソード集。
(ネタバレ回避のため『6』で発覚・経験したものは反転)
- 暗殺事件に巻き込まれ焼死しかける(0歳)
- 急流に飲まれ流される(幼少期)
- 「息子を無罪にしなければ殺す(意訳)」と暴力団の組長に脅される(『4』第2話)
- 法廷爆破事件に巻き込まれ瓦礫の下敷きに(『5』第4話)
- ↑で大けがを負っていたところ、真犯人に口封じのため瓦礫で頭を殴られる(『5』第1話)
- 真犯人の策略により社会的に抹殺されかける(『6』第2話)
- 入り組んだ洞窟で登れない崖の上から突き落とされる(『6』第5話)
- 出入り口が塞がり、満潮によって水かさがドンドン増える地底湖で溺死しかける(『6』第5話)
- みんな(心音含む)の前で服を脱がされる(『6』第5話)
- 二つの事件で無罪を勝ち取れなければ公開処刑(文字通りの意味)
しかも片方の事件は証拠品は無しで相手検事は法律を書き換えてくる(『6』第5話) - 女王直々の命で死刑にされかける(『6』第5話)
- 何百件もの審理&雑用を一日でこなす破目に遭う(『6』エピローグ)
ちなみに元祖主人公で上司の成歩堂も何度か死にかけた経験がある。
『3』操作キャラの千尋さんに至っては死んでる
次はココネちゃんの番だろうか
モテモテ?
彼の周りには何故か女性キャラクター(特に未成年)が多く、慕われたり懐かれたり気に入られたりしている。
そのためファンからは「モテモテ」「ハーレム」などと言われることもあるのだが、
彼に対し、明確に恋愛感情を抱いているのは心音の親友「森澄しのぶ」だけである。
ちなみにド鈍感なのか、王泥喜がその露骨すぎる好意に気づいたことはない。がんばれしのぶちゃん。
ファンからの扱いなど
『4』では主人公でありながら新人ゆえか受身の姿勢であり、「熱い性格」と紹介されていた割には周囲に流されて頭を抱える場面が多かった。未熟さ・経験の無さから頼りない面が目立ち(第3話くらいからは徐々に堂々としてくる)、助手のみぬきからも手のかかる「大きな弟」扱いを受けている。本当は小さなおニイちゃんだけどね
特技「みぬく」について、従来のシリーズファンからは「証拠がすべての法廷で使うのは言いがかりではないか」という懐疑的な意見もあった。また「声が大きい」特徴もゲーム本編では音声が「異議あり!」など一部しかないため、ゲームシステムの都合上キャラの特徴を十分には発揮できなかった。(PVや特別法廷では熱い若さを堪能できる)
さらにはストーリー上の見せ場を響也や成歩堂に持っていかれたため、主人公(笑)と呼ばれることすらあった。作中で本人も経験不足を自覚しているほどである。
『5』では事前の情報で成歩堂が主人公として復活することが明かされ、彼のリストラなどを危惧したファンも多かった。その後登場することが発表された際も、前述通り全身の包帯・眼帯や上着に「この年で邪気眼か(確かに左腕で目の能力だが)」「波動拳でも出るのか?(眼帯が鉢巻きに見えるので)」という冗談が飛んだことも。ちなみにこの服装、スタッフからは「ダークオドロキくん」と呼ばれていたらしく、『4』のメインキャラデザインを担当した塗和也氏もかなり衝撃を受けたそうな。
しかし実際の本編では前述通り依頼人などに慕われる描写が多くなり、自ら過去について語るシーンも。「みぬく」能力は法廷では検事側に阻止され使用不能になり、サイコ・ロックと同様主に探偵パートで使われることになった。性格も皮肉屋・お調子者な面よりも、熱い面が強く押し出されて描かれて「ようやく主人公になれた」と評価され、本作屈指のダークホースとなった。(ちなみに5の実際の主人公は成歩堂である)
そして『6』では‥‥‥(ネタバレにつき反転)
『6』は成歩堂と王泥喜のW主人公と発表された。成歩堂が向かったクライン王国での異質な裁判が注目を集め、そちらが物語の本筋になり王泥喜が活躍するとされた日本編は薄くなるのではないかと危惧する声も少なくなかった、のだが‥‥‥
日本編である第2話では成歩堂なんでも事務所最大の危機に立ち向かう彼が描かれる。(これなんて最終回?)
事件解決後、成歩堂に「一人前」と認められたオドロキくん。『4』時代から彼を見守ってきたプレイヤーたちも祝福したことだろう。
そして、最終話‥‥‥操作キャラは王泥喜法介だった。「父親」についてやまさかのクライン王国との繋がりが描かれ、完全に文句なしに主人公として活躍していた。まさかの実質メイン主人公である。おめでとうオドロキくん!
しかし、彼のファンは新たな不安を抱くことになる。なんとオドロキくんはクライン王国で独立してしまったのである。
『6』が王泥喜編の集大成と言われるだけあって「これで主人公を卒業してもう出てこないのではないか?」という不安の声は少なくない。「彼自身はいつか必ずなんでも事務所へ戻ると発言していたり、あるキャラによる伏線ともとれる発言も残っているので次回作以降にも出てくるのでは」もしくは「クライン王国を舞台に彼の物語が展開されるのでは」という考察もあるが所詮はファンの考え。『逆転裁判7』を心待ちにしておこう。
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