《石鍛冶の神秘家》(いしかじのしんぴか)とは、マジック:ザ・ギャザリング(以下、MTG)のカードである。初出は2010年発売の『ワールドウェイク』。
概要
Stoneforge Mystic / 石鍛冶の神秘家 (1)(白)
クリーチャー — コー(Kor) 工匠(Artificer)
石鍛冶の神秘家が戦場に出たとき、あなたは「あなたのライブラリーから装備品(Equipment)カードを1枚探し、それを公開し、あなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す」ことを選んでもよい。
(1)(白),(T):あなたは、あなたの手札にある装備品カード1枚を戦場に出してもよい。
1/2
場に出たときにライブラリーから装備品をサーチする能力と、手札から装備品を出す能力をもつクリーチャー。「サーチ+マナコスト踏み倒し」というと、悪名高い《修繕》という大先輩がいるが、アーティファクトならなんでもサーチできた《修繕》と違い、このカードは“装備品”だけしかサーチできない。装備品は場に他のクリーチャーがいないと効果がない上、マナコストが高くて強いカードも少なかったのでマナコストを踏み倒しても大丈夫だろう、ということでデザインされた。
……まあまったく大丈夫ではなかったのだが。
ミラディンの悪夢
《石鍛冶の神秘家》が登場したときのスタンダードには《頭蓋骨絞め》や《梅澤の十手》のような強力な装備品はなく、せいぜいクリーチャーに接死をつける《バジリスクの首輪》をサーチして、自由にダメージを飛ばせるクリーチャーに装備して「わぁい、コンボー!」する程度であった。
しかし、次のブロック『ミラディンの傷跡』で、強力な装備品が多数出ると話は変わった。
生体武器(この装備品(Equipment)が戦場に出たとき、黒の0/0の細菌(Germ)クリーチャー・トークンを1体生成し、その後これをそれにつける。)
装備しているクリーチャーは+4/+4の修整を受けるとともに警戒と絆魂を持つ。
(3):殴打頭蓋をオーナーの手札に戻す。
装備(5)
『ミラディンの傷跡』ブロックの最後のセット『新たなるファイレクシア』で登場した“生体武器”。装備品の最大の弱点「場に他のクリーチャーがいないと効果がない」が緩和された上に、重たいマナコストは《石鍛冶の神秘家》で踏み倒せる。
Sword of Feast and Famine / 饗宴と飢餓の剣 (3)
装備しているクリーチャーは+2/+2の修整を受けるとともにプロテクション(黒)とプロテクション(緑)を持つ。
装備しているクリーチャーがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーはカードを1枚捨て、あなたはあなたがコントロールする土地をすべてアンタップする。
装備(2)
2種のプロテクション、手札破壊能力も強力だが、装備品の弱点のひとつ「装備コスト」の隙を減らせる土地のアンタップ能力が特に強力で、クリーチャーで殴りながらカウンターを構えるクロックパーミッションの戦略にガッチリ噛み合った。
このほか、プロテクション青と緑を与える《肉体と精神の剣》、プロテクション赤と白を与える《戦争と平和の剣》などもあり、これらの強力な装備品を状況によって選べる《石鍛冶の神秘家》の使用率はうなぎ登りとなった。同時期の《精神を刻む者、ジェイス》との相性もよく、環境最強デッキ『Caw-Blade』の中核として君臨した。神ジェイスの「トップ8に32枚」は有名だが、《石鍛冶の神秘家》も同時期に「トップ8に28枚」をやらかしている[1]。
その結果、《精神を刻む者、ジェイス》と共に2011年6月にスタンダードにおける禁止カードに指定された。『Caw-Blade』があまりに強すぎたため、各地でのスタンダードの大会の参加者が目に見えるレベルで減ってしまったためである。たとえそれが装備品限定であろうと、「サーチ+マナコスト踏み倒し」を1枚で完結させる《石鍛冶の神秘家》は、開発チームにとっては「ルールを破っているカード」だった[2]。スタンダードにおける禁止カードは『親和』のパーツ以来、6年3ヵ月ぶりであった。
エクステンデッドでも『Caw-Blade』をそのままアップデートしたようなデッキのキーカードとして活躍した。2011年から始まったモダンでは、フォーマット制定当初より禁止されていたが、2019年8月の禁止改定で禁止解除された[3]。現在の《石鍛冶の神秘家》の主戦場はレガシー。白いビートダウンデッキにはほぼ間違いなく入っているどころか、このカードのために白をタッチするデッキも。《殴打頭蓋》や《梅澤の十手》を相方に、《石鍛冶の神秘家》は今も活躍を続けている。
エピソード
- 後に見た目が《石鍛冶の神秘家》そっくりのプレインズウォーカー、ナヒリが登場したが、モデルになっただけであり本人ではない。
- スタンダードで禁止される少し前に、よりにもよって「これを買えばそのままスタンダードのトーナメントに出れる!」と銘打たれた構築済みデッキに収録されていた。そのため、禁止指定後も75枚構築済みのまま出る場合に限り、例外的に使用可となっていた。
関連動画
関連商品
関連項目
- マジック:ザ・ギャザリング
- 装備品
脚注
- 0
- 0pt