笑う犬とは、1998年から2003年にかけてフジテレビジョン系で放送されたバラエティ番組のシリーズである。
概要
ウッチャンナンチャンの内村光良を中心にした、純粋コント番組。
当初は深夜番組としてスタートしたが、斬新なコントを次々と送り出して瞬く間に人気を獲得し、ゴールデン番組に進出。以後は小中学生層の支持もがっちり獲得し、「小須田部長」「ミル姉さん」「テリーとドリー」「はっぱ隊」などの人気キャラクターを輩出。「ダウンタウンのごっつええ感じ」以来となる大ヒットコント番組となった。
笑う犬が放送された90年代末から00年代にかけては、テレビ業界にも不況の波が押し寄せ、大規模な予算をかけた番組を作ることが不可能になり、現在に至るフリートークや雛壇中心の低予算バラエティ番組にシフトしていく過渡期であった。
笑う犬はセットや構成に大きな金をかけられた時代に生まれた「最後のコント番組」とも呼べる存在であり、テレビコントがほぼ絶滅してしまった現在でもしばしば懐かしがられている。
なお、後に内村はNHKにおいて本作のコンセプトを一部継承した『LIFE! -人生に捧げるコント-』というコント番組を立ち上げており、コント番組の血脈は完全に途絶えたというわけではない。
タイトルの変遷
笑う犬は、放送時間帯の変更やリニューアルに合わせ、何度かタイトルを変えている。
第1期「笑う犬の生活」(1998-1999)
出演者は内村光良、ネプチューン(名倉潤、堀内健、原田泰造)、中島知子、そして若手女優だった遠山景織子。
「てるとたいぞう」「トシとサチ」「ミル姉さん」「小須田部長」「大嵐浩太郎」など、有名キャラクターのほとんどはこの時代に生まれた。深夜放送としては異例の高視聴率を記録する大ヒット番組となり、「生活」時代を笑う犬の最盛期とするファンは多い。
また、エンディングテーマは宇多田ヒカルのデビュー曲「Automatic」であり、彼女をスターダムへのし上げるのに一役買った。ゴールデンで出張スペシャルが放送されたときには、当時全くテレビに出ない方針だった宇多田がゲスト出演し、視聴者を仰天させている。
この水曜23時台時代には、「笑う犬」の後に放送されていたニュース番組「ニュースJAPAN」をパロった「安藤さん」というショートコントシリーズが番組最後のコーナーとして放送されていた。このコントの直後に本物の「ニュースJAPAN」の番組予告コーナー(いわゆるジャンクション)が生放送で入っており、内村光良にパロられた安藤優子キャスターが笑いを堪えていた。
第2期「笑う犬の冒険」(1999-2001)
出演者は「生活」時代のメンバーに加え、内村の相方・南原清隆が満を持して参戦。また、若手芸人枠としてビビる(大木淳、大内登)が加わった。オープニングコーナーには谷啓、EE JUMPも出演し、かなり豪華な番組であった。
なお、かつて「ごっつええ感じ」が放送された枠に同じコント番組で進出するにあたり、内村がダウンタウンの松本人志へわざわざ許可を求める連絡を入れた、というエピソードは有名。松本は内村の生真面目さに呆れつつも感心していた。
ゴールデン仕様で万人受けするコントが増え、「生活」時代のファンからは賛否両論。特に南原の参加についてはかなり叩かれることもある。
とは言え、のちに世界的なヒット作となる「はっぱ隊」をはじめ、南原メインの傑作コントも数多い。「生活」の人気キャラはほぼ全て続投した上に、「パタヤビーチ」「ザ・センターマン」「アナウンサー学校」などの新作も軒並み大ヒットし、不動の人気番組に成長した。世間一般的には、この「冒険」時代が笑う犬の最盛期だろう。
しかし終盤に入り、遠山景織子が結婚・出産のため番組史上初のレギュラー降板。これをきっかけにメンバーを大幅増員し、ベッキーや土田晃之、その他大量の若手芸人がレギュラーに加わった。
だが「演技の出来る」本職の女優だった遠山が抜けた影響は大きく、コントの質が徐々に落ちていく。
なお、ザ・センターマンは大人の事情によって再放送やオンデマンド配信では丸々カットされている。
第3期「笑う犬の発見」(2001-2002)
徐々に低迷してきた人気を復活させるべく、「冒険」終盤の追加メンバーとビビる、中島をリストラ。ウンナン、ネプチューン、ベッキー、新メンバー優香という少数精鋭の番組になった。
初回二時間スペシャルで「生活・冒険」時代のコントを全て終了させ、「量より質」をモットーにする。
だが、この頃になると内村やネプチューンが多忙を極めるようになったこと、番組に多くの金をかけられなくなってきたことで、手の込んだコントを作ることが出来なくなっていく。
打開策として「ハムえもん」や「ホリケンサイズ」などのゲーム企画を採用。それなりの人気を得ていたが、「純粋コント番組」という看板は羊頭狗肉になっていった。
そして、明らかに小中学生向けのコーナーが増加・「生活・冒険」時代のコントを終わらすなどし、これまでのファンが離れていった。
第4期「笑う犬の情熱」(2002-2003)
優香が降板し、新メンバーに遠藤久美子、ビビる大木、中川家が加入(後者はゲームコーナーのみ出演)。
コントを増やし、かつゲームコーナーを行う「冒険」と「発見」を混ぜたような番組となるが、時すでに遅し。視聴率の低下も深刻なものになっていった。番組後期では平均8~9%台とかなり苦戦していた。
肝心のコントもシリーズ物が減少し、この頃の有名作と言えば「ミスターアンニュイ」「研修のメリークリスマス」くらいとなる。
第5期「笑う犬の太陽」(2003)
ほとんど知られていない第5シリーズにして最終作。日曜夜を諦め、火曜7時に枠を移動。
矢口真里や宮藤官九郎、青木さやか、阿部サダヲといった明らかに浮いている新レギュラー、歌コーナーや芸能人私服チェックのコーナーを行うなど、もはやコント番組の面影はほとんど残っていなかった。
裏番組にはさんま御殿、学校へ行こうなどがあり、視聴率は更に下降。加えて、ワールドカップバレーボールの中継や、スペシャル番組(特番)の放送のための休止が追い打ちをかけ、結局わずか7回で打ち切り。
6年続いた番組は終焉を迎えた。
特番
2008年に、5年ぶりの復活特番が放送。以後2010年に2度新作スペシャルが作られたが、以後10年以上番組は再開されていない。
関連動画
ニコニコ動画と笑う犬と言えば、何といっても一番ははっぱ隊であろう。様々な関連動画が存在する。
また既に削除されているが、大嵐浩太郎シリーズの「ひとり踊る大捜査線」も高い人気を誇っていた。
他にもコントがアップされていたこともあったが、テレビ番組なのでもちろん削除対象である。……のだが、実は結構な数の本編動画が今でも残っていたりする。見たい人は自己責任でどうぞ。
関連商品
関連項目
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