箱根温泉(はこねおんせん)とは、神奈川県西部の箱根町一帯に広がる温泉、およびその温泉町である。
概要
奈良時代(738年とも757年とも)に発見された歴史ある温泉郷のひとつで、神奈川県下では随一、関東においても草津温泉と比肩しうる規模を誇る。全国的には戦国時代の小田原征伐の頃に知名度が上がったようで、後の江戸時代には東海道の重要な宿場町として大いに知られるようになった。昭和の頃には箱根のあちこちに企業の社員保養地が造成されていたこともあり、会社の紹介で箱根に行った人も多かったのではなかろうか。
江戸時代当時は旧東海道(現在の県道732号線、および箱根新道)沿いに開かれた7つの源泉地から「箱根七湯」と呼ばれていたが、後に街道から外れていた地域の開発や、現東海道や鉄道の開通に伴う開発によって新たに開かれた源泉地もあり、現在では「箱根二十湯」となっている。標高の低い地域では単純泉が多く、標高の高い地域では硫酸泉も見られる。
バブル時代に比べれば観光客も減っているが、それでも今なお関東きっての人気観光地のひとつで、日本国外からも観光客が訪れている。都心からのアクセスも良好で、また小田急グループと西武グループが「箱根山戦争」などと呼ばれるほどの開発競争を行っていたこともあり、山地にありながらも交通網がきれいに整備されている。ただし土地が狭いせいか、時期によっては駐車場探しに苦労することも。
主な温泉
箱根湯本温泉
箱根七湯のひとつ。箱根登山鉄道の箱根湯本駅周辺。箱根の東の入り口に当たる地域で、箱根町で最も開けた中心地になっている。旅館やホテル、土産物屋やレストランなどの主要施設が密集した便利のいい地域であり、また箱根湯本駅のアクセスの良さが何よりの利点で、箱根の中でも最も気軽に足を運べるところが魅力。駅すぐ近くに公衆浴場があるのも便利。
温泉の泉質は主に単純温泉やナトリウム塩化物泉(食塩泉)で、弱アルカリ性のくせの無い温泉が多い。
登山鉄道でひとつ先の塔ノ沢駅周辺にある塔ノ沢温泉も湯本と泉質が似ている。
宮ノ下温泉
箱根七湯のひとつ。箱根登山鉄道の宮ノ下駅周辺。特に明治の頃に開発された地域で、「富士屋ホテル」などその当時の風情を残す旅館・ホテルが点在している。宮ノ下温泉の周囲には底倉温泉・堂ヶ島温泉・木賀温泉といった温泉もあり、なかでも少し離れた堂ヶ島温泉はケーブルカーでないと旅館に入れないというちょっとした秘境である。
温泉の泉質は主に単純温泉、アルカリ性単純温泉など。湯本などと同じくくせの無い温泉が多い。
小涌谷温泉
箱根登山鉄道の小涌谷駅の周辺地域。明治の頃に明治天皇の行幸があり、それ以降急速に開発が進んだという地域。有名な「箱根小涌園」があるのもこの地域だが、駅からは離れているのでバスでのアクセスのほうが利用しやすい。
温泉の泉質は主に単純温泉、アルカリ性単純温泉など。ここらまでは湯本と泉質にあまり差が出ない。
強羅温泉
箱根登山鉄道の終点、強羅駅の周辺。ここからケーブルカーに乗れば早雲山の山頂にたどり着く。この強羅から早雲山あたりは企業の保養所がずらりと並んでおり、温泉町というには趣が随分異なる。
主な泉質はカルシウム硫酸塩泉やアルカリ単純温泉など。同じ強羅地区でも、源泉を引くところによって泉質ががらりと変わるという。
仙石原温泉
箱根裏街道の奥で、北西の御殿場方面からの入り口となる地域。鉄道などが通っていないためかなかなかの穴場で、自動車やバイクで行くならここまで足を伸ばしてみるといい。
姥子温泉
箱根ロープウェーの姥子駅周辺。箱根七湯と同じくらいの歴史があるという。ここも強羅のように企業の保養所が軒を連ねる一方で、源泉地には古い湯治場の雰囲気を残した浴場も存在している。
芦の湯温泉
箱根七湯のひとつ。芦ノ湖と小涌谷の中間あたりに源泉がある。ここから芦ノ湖周辺まで温泉を引いているホテルなどもあり、源泉地が山間の割と広い地域で入湯できる。
泉質は単純硫黄泉など。硫黄泉ながらもアルカリ性を示す変わった温泉もある。
交通
小田急さんと西武さんが頑張ってくれたおかげで、箱根へのアクセスはやたらと充実している。主な玄関口である小田原駅から箱根登山鉄道~ケーブルカー~ロープウェーを利用するか、伊豆箱根バスで芦ノ湖~仙石原~御殿場と抜けていくのが基本。目的に応じていろんなルートを組むことができる。
自家用車の場合は、東名高速道路の御殿場インターチェンジから国道138号線で仙石原から入る、または国道1号線に沿って小田原方面から入ることになる。箱根には有料道もいくつかあるが、箱根湯本と元箱根を結ぶ箱根新道は現在無料で通行できるようになっている。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 1
- 0pt