臓器提供意思表示カードとは、臓器提供に関して本人の意思を表示するためのカードである。
概要
現在、日本の法律では脳死で臓器提供するためには「本人の文書による意思表示」が必要であると定められている。その意思表示をするためのカードが臓器提供意思表示カードである。そのため、臓器移植にあたって必要不可欠なものであるといえる。
臓器提供意思表示カードは、各地方自治体の役所窓口、保健所、郵便局、運転免許試験所のほかに、一部のコンビニエンスストア、書店、スーパーマーケット、銀行などでも入手できる。また、インターネットによる登録を行なうこともできる。インターネットによる登録は(社)日本臓器移植ネットワークの意思登録窓口にアクセスことで可能となる。
また、2007年1月以降に交付された、政府管掌健康保険(政管健保)の保険証{2000年より全国健康保険協会(協会けんぽ)に移行}に、その他、滋賀県の国民健康保険やキリンビール健康保険組合(KIRIN・キリンホールディングス傘下キリンビールやキリンビバレッジ等の健康保険組合)等で健康保険証の裏面に臓器移植意思表示欄が設けられている。
また、現在では臓器移植意思表示シールも配布しており、そのほかの保険証や運転免許証にシールを貼り付ける事により臓器移植の意思表示が可能となっている。
臓器提供を行なうためには「本人の意思」「医学的判断」のほかに「家族の同意」も必要であるため、カードに臓器提供を行なう意思を記入している場合は、家族にもその旨を伝えておくことが大切である。
ちなみに、法律的には意思表示ができる年齢は15歳以上となっているので、脳死での臓器提供は15歳以上でなければならない。心停止後の腎臓提供は家族の承諾で行なうことができるため、14歳以下でも可能である。
参考までに、法律の該当箇所は↓を参照。
- 医師は、死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないときは、この法律に基づき、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。
- 前項に規定する「脳死した者の身体」とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体をいう。
- 臓器の摘出に係る前項の判定は、当該者が第一項に規定する意思の表示に併せて前項による判定に従う意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がないときに限り、行うことができる。
なお、2009年の国会で審議された「改正臓器移植法(臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律)」が成立したため、この法律が施行される2010年7月より、本人の意思が明確でない場合や、15歳未満である場合でも、家族の承諾があれば臓器提供ができるようになる。法律が改正されたことにより、いっそう本人の意思表示が意味を持つことになる。
臓器移植やその運用に関しては現在も賛否両論あり様々な議論が行われている。意思表示をするときは、これらの意見について調査し知識を得て、じっくり考えてから決めるのもいいだろう。
『臓器提供意思表示カードを持つ=臓器提供の意思がある』と思われがちだが、カードには「3.私は、臓器を提供しません。」の項目がある。
「臓器提供しない」のも、尊重されて然るべき「本人の意思」であり、その意思を明確にしておくためにも臓器提供意思表示カードの所持が望ましい。
なお、海外では『意思表示をしない=提供する意思がある』との考え方が主流とのこと。
自分の意思がどちらであっても、自分の意思を表示しておけばどうなっても安心だし、家族の悩みも減ることであろうと思われる。というわけで、皆さんも臓器提供意思表示カード、書いてみませんか?
◆「臓器提供意思表示カードってなに?」という方はこちらへ
◆「臓器提供意思表示カードの書き方が知りたい!」という方はこちらへ
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