錯和(チョンボ)とは、麻雀に於ける反則行為の罰則のことである。そこから転じて、何かを失敗することを「チョンボする」などと表現することもある。
概要
麻雀において反則行為と見做されることをすると、その行為に応じて罰符、アガリ放棄、供託のいずれかの罰則が科せられる。後述するが、この内の罰符というのが、よく「錯和=満貫支払い」と言われる所以となっている。
しかし、実際には罰符は、進行に差し障りのあるような重大な反則行為に対して科されるものであり、軽微なものであればアガリ放棄や供託料で済まされる。一般に局の続行が出来ない場合は罰符となり、局をやり直すが、アガリ放棄や供託料の場合は局は続行である。
とはいえ、何を罰符にし、何をアガリ放棄にするか、というのは裁量の余地があるため、上級者同士であれば厳しく取る場合もある。実際日本プロ麻雀連盟においては供託料というケースは無く、また罰符は「成績から20ポイント(20000点相当)マイナス」としている。フリー雀荘などではハウスルールとして事細かに明記されているが、仲間打ちの場合は予めルールを決めておくとよい。
罰符
おおよそ、局の進行が困難になるような重大な反則行為に対して科される。3つの罰則の中では最も重いもので、自分以外の3人のプレイヤーに一定の点数を支払い、その局をやり直す。
ここでの支払い点数は満貫相当の点数であるのが一般的。すなわち、錯和したのが親であれば、他の3人に4000点ずつ、子であれば親に4000点、残る2人の子に2000点ずつを支払う。
もっとも、ルールによってバラつきがあり、3000点オールと均等に配分するものもあれば、役満相当とする場合もあり、三人麻雀やオープン立直を認めている場合によく見られる。これは、放銃がほぼ確定した時に、支出を減らそうとすることを防ぐ目的(錯和なら親で12000,子で8000点の支出ですむ)もある。
局をやり直すとあるが、積み棒は加算されない。よって東1局1本場が錯和によって終局した場合は、やり直した局も東1局1本場である。当然親流れもしない。出されたリーチ棒も、チョンボした者しない者を問わず持ち主に戻る。
アガリ放棄
局の進行は可能だが、やや重い反則行為に対して科され、その局における和了が認められなくなる。一般的にはそれだけでなく、その局でリーチ、ポン、チー、カンを宣言することも出来ず、流局時に聴牌を宣言することも認められない。
ツモ切りは強要されないため、上の制約さえ満たせば通常通り打つことが出来る。
アガリ放棄中にさらに反則行為や鳴き・和了をした場合、罰符を支払わなくてはならない。
供託
局の進行が可能な軽微な反則行為に対して科される。基本的に1000点棒1本を供託とする。この供託料はリーチ棒と同様に、その局で和了したプレイヤーのものになる。そのため、供託を支払ったプレイヤーが和了すればこの供託は戻ってくることになる。
1000点未満でトビ寸前のプレイヤーが供託を支払わなければならない場合、供託を取らずアガリ放棄とするルールや、供託を取ってトビで終了or続行のルールもある。
反則行為の一例
おおよそ、麻雀での反則行為としては以下のようなものが挙げられる。また、一般的な罰則の種類を示しているが、必ずしも反則行為の内容と罰則が一致しているとは限らない。
- 和了牌ではないのに和了を宣言する(誤ロン・誤ツモ)……手牌を倒す前であればアガリ放棄、倒した後であれば罰符
- 振聴(同巡内含む)なのに和了を宣言する……手牌を倒す前であればアガリ放棄、倒した後であれば罰符
- 不聴なのに和了を宣言する……手牌を倒す前であればアガリ放棄、倒した後であれば罰符
- 役なしで和了を宣言する(二翻縛りにおける1翻も同様)……手牌を倒す前であればアガリ放棄、倒した後であれば罰符
- 不聴立直で流局する……一般的に流局しなければ錯和にならない(当該項目参照)
- 立直後に認められない暗槓(送り槓)をし、流局or和了……罰符
- 間違った副露をする(例:なのにをチー)……手牌を晒す前であれば供託料、晒した後であればアガリ放棄(ツモ順の調整などに使えてしまうため罰符とする場合もある)
間違って晒した牌を打牌完了までに訂正できればアガリ放棄にならないルールもある(例:からをチーする時にを晒してしまったが、間違いに気づきを晒した後打牌)。その場合、鳴きに使われなかった牌(この場合は)をチェック牌・腰牌(その牌でロン和了は出来なくなる)とする。
なおアガリ放棄になった場合、間違った面子はそのまま晒す(例) - 食い変え不可のルールで禁止牌を捨てる(例:でをチーしてを捨てる)……アガリ放棄
- 誤発声(鳴けないのに発声した)……供託してその牌をチェック牌とする
- 多牌(本来の牌より手牌が増えた状態)になる……アガリ放棄または罰符
- 少牌(本来の牌より手牌が減った状態)になる……アガリ放棄
- 手牌の一部または全てを見せてしまう……軽度ならチェック牌止まり、重大なら罰符
- 山牌を崩してしまう……修復可能なら続行(見えた牌はチェック牌になる)、不可なら罰符
- 間違った牌をツモってしまう……アガリ放棄、重大なら罰符
- 一般的にイカサマと呼ばれるような行為……出禁
ゲームにおける錯和
麻雀ゲームにおいては錯和が出来るケースはほぼない。というのも、ゲーム側で錯和となるような行動は取れないように設定されていることがほとんどだからである。
古いゲームでは和了後に役の判定をしており、役なしだった場合にはチョンボとするケースはあった。また、駆け引きのテクニックとして敢えて不聴立直等が出来るようにしているゲームもある。イカサマが可能なゲームではリーチ後の相手の手牌を変えたり、牌を奪って少牌にしたりしてアガリ放棄させる技が登場することもある。
また、オンライン麻雀ゲーム『雀龍門3』では、リーグと呼ばれるモードを実装していた。
任意のタイミングでノーテンリーチやフリテンロンが可能なため、対人戦ながら実際にチョンボを見ることができる。
もっとも、一部の麻雀ゲームにおいてはバグで多牌や少牌になったり、本来チー出来ない牌がチー出来たりすることはあるが、それらが錯和とみなされることはない……多分。
関連動画
関連項目
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