長崎電気軌道とは、長崎市内で路面電車の営業をしている軌道事業者の名称である。
概要
正式名称は『長崎電気軌道株式会社』。通称は電鉄、長崎電鉄。鉄はどこからきた。
九州で唯一の私企業軌道事業者である(鹿児島は鹿児島市、熊本は熊本市と自治体が運営している)。
軌道の長さは11.5kmで停留所は39ヶ所。保有車両数は75両。
公式サイトのURLはnaga-den.comとなっている。長電と呼ぶと長野電鉄(nagaden-net.co.jp)のことを指すことが多いが、長崎電気軌道は2013年から2021年まで「長電アプリ」を提供していたので紛らわしい。
長崎市は狭隘な谷間に形成された都市で平地がほとんどないことから、図らずも沿線に主要施設や観光地が集中している。このことが路面電車の経営にはプラスに作用しており、実際に長崎電気軌道は黒字経営を実現している。
2018年8月には観光客へのわかりやすさ向上を狙って13の停留所名を一斉に改称した(後述)。
2015年に「ながにゃん」というゆるキャラが誕生した。長崎の尾曲がり猫をモチーフとした妖精で、頭には電車のマスクを被り、肩にはカステラなどが入った電車型のバッグを下げており、腹には出島型のポケットがついている。詳細はこちら。
運賃
料金はどこまで乗っても同じ均一運賃制となっている。路面電車としては岡山電気軌道と並ぶ日本一安い運賃(岡山電気軌道や広島電鉄白島線などの特例区間を除く)。
2022年9月からICカード乗車での2区間内の移動に限って大人100円・子供50円となる「チョイ乗り割引」を開始した。
2008年に「長崎スマートカード」というFeliCa式プリペイドカードが導入されたが、2020年にnimocaを導入したため置き換えられた。
モバイル一日乗車券は2013年に導入された、スマートフォンやタブレットを使った乗車券。「ジョルダン乗換案内アプリ」が必要であるが、キャリア決済やクレジット決済で支払いができる。乗務員に画面を見せて利用する。当日しか使用できないため購入時には注意が必要。
他にモバイル24時間券(大人700円・子供350円)があり、利用開始から24時間乗れるのが特徴。
このほか、2008年からはJR九州の「旅名人の九州満喫きっぷ」も利用可能。
歴史
大正4年11月 病院下~築町 営業開始
大正6年6月 大浦海岸通~出雲町 営業開始
昭和9年12月 馬町~蛍茶屋 営業開始
昭和20年8月 原爆投下 全線不通。16両焼失
昭和57年7月 長崎大水害 2日運休
平成元年3月 諏訪神社前~蛍茶屋間軌道移設・センターポール化長崎電気軌道株式会社 企業情報より一部編集し引用。
原爆投下では全線に渡り甚大な被害があったが(車両もだが、従業員に死傷者が多数出たことは言うまでもない)、わずか3ヶ月半という短期間で運行を再開し、長崎の復興に貢献した。
当時被災した車両の一部は現在に至るまで市民の足として活躍している。
運行
1~5号系統が走っている。なお2号系統は通常深夜1往復のみの運行となっている(精霊流し、年越しなどで臨時運行されることもある)。4号系統は2022年9月から朝・夕方計12往復に減便されている。
JR長崎本線とは浦上駅・長崎駅で接続しているほか、住吉電停と西浦上駅も至近距離に位置している。
路面電車同士の乗り換えは新地中華街電停での1⇔5ならびに市民会館電停での3⇔4・5が可能(1⇔3や1⇔4に乗り換えはできない。ただし1⇔5の乗り換えで桜町と市民会館3系のりば以外全ての停留所に移動が可能。この2つの停留所に行きたい場合は3号系統を使うしかない)。なお、乗り換えについてはICカードのみ2回目乗車の運賃が不要となる(現金は毎回支払う必要がある)。
2022年9月からは4号系統減便の影響により、乗り換えは西浜町電停での1⇔5ならびに長崎駅前電停での1⇔3が可能となっている。
また、昭和町通電停は赤迫行きのホームしか設置されておらず、長崎駅前方面行きは停車しないため注意が必要。
各系統と停車する停留所(電停)は以下の通り。歴史ある街を歴史ある車両で回って長崎市を楽しんで欲しい。
路線図
画像をクリックするとニコニコ静画に飛びます。ニコニコ静画で画像をクリックすると拡大できます。
系統別路線図はこちら。乗り換え指定停留所は太字で表しています。
1 | 2 | 3 | |||||||
11:赤迫 | ● | ● | ● | ||||||
12:住吉 | ● | ● | ● | ||||||
13A:昭和町通 | ▲ | ▲ | ▲ | ※赤迫行きのみ停車 | |||||
13:千歳町 | ● | ● | ● | ||||||
14:若葉町 | ● | ● | ● | ||||||
15:長崎大学 | ● | ● | ● | ||||||
16:岩屋橋 | ● | ● | ● | ||||||
17:浦上車庫 | ● | ● | ● | ||||||
18:大橋 | ● | ● | ● | ||||||
19:平和公園 | ● | ● | ● | ||||||
20:原爆資料館 | ● | ● | ● | ||||||
21:大学病院 | ● | ● | ● | ||||||
22:浦上駅前 | ● | ● | ● | 3 | 2 | 5 | 4 | ||
23:茂里町 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 43:蛍茶屋 | |
24:銭座町 | ● | ● | ● | 44桜町 |
● | ● | ● | ● | 41:新中川町 |
25:宝町 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 40:新大工町 | |
26:八千代町 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 39:諏訪神社 | |
27:長崎駅前 | ● | ● | ● | ● | ● | 45:市役所 | |||
28:五島町 | ● | ● | ● | ● | ● | 38:市役所 | |||
29:大波止 | ● | ● | ● | ● | ● | 37:めがね橋 | |||
30:出島 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 36:浜町アーケード | ||
31:新地中華街 | ● | ● | |||||||
● | ● | ||||||||
47:メディカルセンター | ● | 32 西浜町 |
● | ● | 33:観光通 | ||||
48:大浦海岸通 | ● | ● | ● | 34:思案橋 | |||||
50:大浦天主堂 | ● | ● | ● | 35:崇福寺 | |||||
51:石橋 | ● | 1 | 4 | ||||||
5 |
1号系統
赤迫-住吉-昭和町通-千歳町-若葉町-長崎大学-岩屋橋-浦上車庫-大橋-平和公園-原爆資料館-大学病院-浦上駅前-茂里町-銭座町-宝町-八千代町-長崎駅前-五島町-大波止-出島-新地中華街-西浜町-観光通-思案橋-崇福寺
2号系統
赤迫-住吉-昭和町通-千歳町-若葉町-長崎大学-岩屋橋-浦上車庫-大橋-平和公園-原爆資料館-大学病院-浦上駅前-茂里町-銭座町-宝町-八千代町-長崎駅前-五島町-大波止-出島-新地中華街-西浜町-浜町アーケード-めがね橋-市役所(4・5系のりば)-諏訪神社-新大工町-新中川町-蛍茶屋
3号系統
赤迫-住吉-昭和町通-千歳町-若葉町-長崎大学-岩屋橋-浦上車庫-大橋-平和公園-原爆資料館-大学病院-浦上駅前-茂里町-銭座町-宝町-八千代町-長崎駅前-桜町-市役所(3系のりば)-諏訪神社-新大工町-新中川町-蛍茶屋
4号系統
崇福寺-思案橋-観光通-浜町アーケード-めがね橋-市役所(4・5系のりば)-諏訪神社-新大工町-新中川町-蛍茶屋
5号系統
石橋-大浦天主堂-大浦海岸通-メディカルセンター-新地中華街-西浜町-浜町アーケード-めがね橋-市役所(4・5系のりば)-諏訪神社-新大工町-新中川町-蛍茶屋
2018年8月の電停名改称
- 長崎大学前 → 長崎大学
- 浦上車庫前 → 浦上車庫
- 松山町 → 平和公園
- 浜口町 → 原爆資料館
- 大学病院前 → 大学病院
- 築町 → 新地中華街
- 正覚寺下 → 崇福寺
- 賑橋 → めがね橋
- 諏訪神社前 → 諏訪神社
- 市民病院前 → メディカルセンター
- 大浦天主堂下 → 大浦天主堂
- 西浜町(アーケード入口)→ 浜町アーケード
- 公会堂前 → 市民会館(2023年1月4日に「市役所」に改称)
なお、西浜町電停の1・5系のりばは「西浜町」のまま据え置きとなっている。
沿線案内
観光地
- 平和公園…平和公園下車
- 浦上天主堂…平和公園下車
- 長崎原爆資料館…原爆資料館下車
- 出島…出島下車
- 長崎新地中華街…新地中華街下車
- 思案橋…思案橋下車
- 崇福寺…崇福寺下車
- 眼鏡橋…めがね橋下車
- 興福寺…市民会館下車
- 鎮西大社諏訪神社…諏訪神社下車
- シーボルト記念館…新中川町下車
- 孔子廟…石橋下車
- 大浦天主堂(長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産)…大浦天主堂下車
- グラバー園(明治日本の産業革命遺産)…大浦天主堂または石橋下車
- オランダ坂…メディカルセンター下車
学校
- 長崎大学文教キャンパス…長崎大学下車
- 純心中学校・純心女子高等学校…長崎大学下車
- 長崎南山中学校・高等学校…大橋下車
- 長崎大学坂本キャンパス(医学部・大学病院等)…大学病院下車
- 活水中学校・高等学校…大学病院下車
- 長崎県立長崎西高等学校…浦上駅前下車
- 長崎女子高等学校…崇福寺下車
- 長崎玉成高等学校…崇福寺下車
- 長崎女子商業高等学校…めがね橋下車
- 長崎大学片淵キャンパス(経済学部)…諏訪神社下車
- 長崎県立鳴滝高等学校…新中川町下車
- 瓊浦高等学校…新中川町下車
- 聖母の騎士高等学校…蛍茶屋下車
- 海星中学校・高等学校…メディカルセンター下車
- 活水女子大学東山手キャンパス…メディカルセンター下車
ショッピング
- チトセピア…千歳町下車
- 長崎西洋館…原爆資料館下車
- みらい長崎ココウォーク…茂里町下車
- ゆめタウン夢彩都…大波止下車
- 長崎バス長崎新地ターミナル、イオン長崎店…新地中華街下車
- 浜町アーケード…浜町アーケード下車
- 浜屋百貨店…観光通下車
- ハマクロス411・・・観光通下車
その他
- 長崎県営野球場…大橋下車
- 長崎市科学館…大橋下車
- 長崎県立総合体育館…大橋下車
- 長崎市営ラグビー・サッカー場…平和公園下車
- 長崎北郵便局…大学病院下車
- 長崎ブリックホール…茂里町下車
- 長崎原爆病院…茂里町下車
- 長崎交通産業会館…長崎駅前下車
- 日本二十六聖人記念館…長崎駅前下車
- 長崎中央郵便局…長崎駅前下車
- 長崎県庁…五島町下車
- 長崎港…大波止下車
- 長崎県美術館…出島下車
- 長崎水辺の森公園…出島下車
- 長崎市民会館…市役所下車
- 済生会長崎病院…諏訪神社下車
- 亀山社中記念館…新大工町下車
- 長崎市役所…市役所下車
- 長崎歴史文化博物館…桜町下車
- 長崎市立図書館…桜町下車
- 長崎県立長崎図書館…桜町下車
- 長崎あじさい病院…大浦天主堂下車
- 祈りの丘絵本美術館…大浦天主堂下車
- 旧香港上海銀行長崎支店…大浦天主堂下車
- 旧羅典神学校…大浦天主堂下車
- 軍艦島デジタルミュージアム…大浦天主堂下車
- 東山手十二番館…大浦天主堂下車
- 旧長崎税関下り松派出所…大浦海岸通下車
- ナガサキピースミュージアム…大浦海岸通下車
- 長崎みなとメディカルセンター…メディカルセンター下車
車両
全国より車両を譲り受けた結果「動く電車博物館」と呼ばれている。
150形は1956年に箱根登山鉄道から譲り受けたものだが、2015年現在も動態保存されている(ただしイベント時など特別に運行されるため常時走っているわけではない)。
その他の車両についてはこちらを参照。
関連動画
関連項目
外部リンク
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- 0pt