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サガ フロンティア2(SaGa Frontier2)とは、スクウェア(現スクウェア・エニックス)が1999年に発売したPlayStation用RPGである。サガシリーズとしては8作目に当たる。
サガシリーズ | |
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サガフロンティア2 SaGa Frontier2 |
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基本情報 | |
ジャンル | RPG |
対応機種 | PlayStation |
開発元 | スクウェア |
発売元 | スクウェア |
発売日 | 1999年4月1日 |
価格 | 6,800円 アルティメットヒッツ:1,500円 |
対象年齢 | CERO:A |
ゲームアーカイブス | |
対応機種 | PlayStation 3 PlayStation Portable PlayStation Vita |
配信日 | 2008年12月10日 |
価格 | 617円 |
ゲームソフトテンプレート |
メカ等のSF要素が多かった前作サガ フロンティアから一転、再び純ファンタジー世界観となった。
万物に宿る「アニマ」を使い、術を使うのが当たり前の世界に生まれた術不能者「ギュスターヴ13世」と、その時代の影で暗躍するエッグという存在に立ち向かうディガー「ウィリアム・ナイツ」。二人の主人公、及びその意志を継ぐ者達によって描かれる、約100年に及ぶ物語を垣間見ることになる。
BGMが伊藤賢治から浜渦正志に変更になり、激しいイトケンBGMから、流麗なBGMに一変した。この変更には発売当初は従来のファンからの不満も出たが、本作の作風に見事にマッチしているため、今ではBGMが素晴らしいRPGとして紹介されることも多々ある。
同じメロディが場面によって様々にアレンジされると言う独特なサウンドは、浜渦の「場面転換ごとに全く違う曲が必要なのか?」と言う既存ゲームサウンドに対する疑問への、一つの回答である。盛り上がる場面で印象的に回帰するメインメロディに心揺さぶられるファンも多い。ちなみに、使用しているメロディモチーフは大きく分けて3種類。たったこれだけ(とはいえ、どのモチーフも使っていない曲もあるにはある)の旋律で70曲以上の楽曲を手がけたのは見事という他ない。
グラフィックも、3Dポリゴン化が進むRPGにおいて淡い水彩画のような色調を持った2Dグラフィックを採用しており、グラフィック面でも評価は高いが、反面前作にあったような派手な戦闘演出が軒並み抑えられてしまい、地味、とする者もいる。しかし、敵味方ともにバトルのモーションは格段に増えており、PS1のスペック不足が露呈、バトル中に細かな読み込みが発生するようになりどうしても処理に時間がかかるため、バトルのスピードが前作に比べて遅くなっている。これを逆手にとって連携がどこまでつながるかは実際に連携してみないとわからないように設計されている。
本作はPocketStationに対応、お気に入りの連携を保存できる「コンボポケット」と、ツール発掘ゲーム「Go!Go!Digger」がある。本作では武器が消耗品のため「Go!Go!Digger」はいくらでもアイテム補充が効く便利ツールであり、本作の七星剣はこれでしか入手できない。PocketStationのダウンロードポイントは全ての街に存在している(ゲーム中序盤に1度しか訪れないヤーデにすらある)。それぞれの場所で契約するディガーに違いがあり、特定のツールを発掘しない、発掘中にサボる度合の個人差がある。発掘中に怒って逃亡することもあり、その場合はダウンロードポイントで新たにディガーと契約しなおす必要がある。
お金はCR(クラウン)という単位で使い方は基本的には他のRPGと同様だが、いくつか特徴がある。まずお金の管理は各主人公で独立しており、初期値は1000CR。主人公が世代交代してしまうと持っているCRは全て無駄になってしまうので、使い切ることが鉄則。このほかにチップという単位が存在し、ツールが壊れた時や処分したときに入手する。こちらは全主人公で共用。一定量毎にCRと交換することができ、一度に大量の交換をした方が効率がいい。また、隠しパラメータだが「チップ流通量」という数値があり、これはチップが増減した際に同じ値が別に加算される。ツールの特注をする際に必要な数値で、一定以上のチップ流通量がないとツール製作はできなくなっている。注文するツールによってはスキルレベルも求められるため、ゲームクリアまで特注ツール欄が空欄だらけだったプレイヤーは多いのではないだろうか。なおツール製作にもチップが必要で、製作したツールで消費した分だけ流通量も減る。特に製作で入手できるソウルクリスタルは本作では数少ないLP回復アイテムのため、最終シナリオに備えて多めに用意しておくことになる。
独特すぎるシステムを数多く採用している為、熱烈なファンが存在する一方苦手とする人も少なくない。熱烈なファンからも人を選ぶ、と言われる賛否両論の作品であるが、根強いファンを獲得している事も確かである。
▲シナリオ選択式となっており、シナリオをクリアする事で新たなシナリオが出現、これを繰り返して最終シナリオを目指していく。中には戦闘のない、イベントを見るだけのシナリオも多数ある。シナリオはギュスターヴ編、ウィル・ナイツ編の2編が絡み合って進行する形になり、条件によっては他編のシナリオクリアが出現条件になるシナリオも存在する。未選択シナリオを多く残した状態だと出現しないシナリオがいくつか存在するため、初回プレイではきちんと順を追ってどちらのストーリーも並行して進める必要が出てくる。
歴史を体験するという性質上ゲーム中で何度か世代交代が発生し、前半で育成したキャラクターが引退や死亡などにより後半に使えなくなってしまう問題がある。その分、後で登場するキャラクターは初期のステータス値が高めに設定されているが、基本的に育てなおしになってしまう。
プレイヤーの選択によって歴史に矛盾が起こらないよう調整されている。
(例1)「タイクーン・ウィル」プレイ前に「アニマ教の噂」をプレイした場合、パトリックとはヴェスティアで初めて会ったことになるため、ラウプホルツに登場しなくなる。
(例2)「グラン・ヴァレを越えて」でラベールを仲間にしなかった場合、「タイクーン・ウィル」開始時にパーティにおらず、ラウプホルツにいるラベールを仲間にしないとヴァイスラントに進めなくなる。
(例3)「鉱山崩壊」でジュエルバンドを拾った場合、「モンスターの巣へ」で訪れたときに宝箱が登場せず、回収していなかった場合はここで入手できる。
(例4)「対決!アレクセイ」で石切場のつり橋を爆破した場合、「エーデルリッター」で訪れたときに反映される。
シナリオによっては、宿屋に行けない、買い物が出来ない等の制限がかかることが多く、また機会を逃すとレベル上げ用の敵とも戦えなくなってしまう可能性があり、ラスボス戦で詰むプレイヤーが続出した。
また、軍隊戦を再現した簡易シミュレーション「コンバット」と言う形式のシナリオもあるのだが、これの最終戦(サウスマウンドトップの戦い)が高難易度であった為、これで詰む人も続出した。
▲従来のパーティバトルに加え、敵と一対一で戦う「デュエル」が登場。デュエルでは装備欄にセットした技や術を選択するのではなく、「切る」「突く」「ためる」「払う」「身を守る」等のデュエル用コマンドを組み合わせて行動する(いわゆる「ひとり連携」)。この際、特定のコマンドを組み合わせることによっても、技や合成術を合成習得する事が出来るようになった。また、デュエルにはプレイヤーキャラクターが専用のグラフィックで登場する。
デュエルは「コマンドを知っていれば序盤でも運次第で上級技を習得可能」というメリットがある(事実、ウィル編最初のシナリオの時点でかめごうら割りや活殺獣閃衝、ベアクラッシュに焼殺が合成習得可能)。その反面、バトル後成長できるのはデュエルしたキャラクターのみで、WP/JP/装備品の消耗が速まってしまうというデメリットもある。また一部のアーツにはデュエル用の裏コマンドが存在し、合成習得の成功率が表コマンドより高いという性質も持っている。(例)炎をメインとした合成術「焼殺」の表コマンドは「炎⇒炎⇒樹⇒石」だが、裏は「炎⇒炎⇒石⇒樹」になっている。
パーティバトルになるかデュエルになるかはどの敵と戦闘に突入したかによって決まっており、どちらか選択できる場合もあれば強制的にパーティバトルかデュエルに突入する場合もある。一部キャラクターはデュエル不可に設定されており、バトルスタイルの画面で確認できる。デュエル不可のキャラクターはシナリオ終了後装備回収屋から装備を回収できないため、貴重なクヴェルなどを持ち逃げされてしまう危険がある。
前作から登場した連携は今作にもチームバトルに発展して引き継がれた。バトルシステムディレクターの小泉今日治によると、前作は適当に技を選んで繋がってくれと祈る展開が多かったため、今回は狙って連携を作り出すことを重点的に設計している。アーツごとにそれぞれ連携しやすいアーツを設定しており、ロールや行動順もしっかり意識して狙わないとなかなか4連携ができないように作られている。今作は敵味方混じっての連携もあり、特に敵の自己強化技「メディテーション」を起点に組み合わせる連携はダメージアップのためよく狙われる。もちろん敵も連携するが、難易度調整のため、敵がやたらと連携はしないように設定されている。例えばギュスターヴ編最初のダンジョンであるヤーデの洞窟で出てくるキノコ型のモンスター、ポーレンの一部の技は連携しないようになっている。連携できるようにしておくと固有技「突く」と「胞子」の連携で「突く突く胞子」という連携ができてしまい、キャラクターが一撃で落ちてしまう。語呂的には面白いがその都合でディレクターは泣く泣くカットした。
「術」が「アニマ」を用いて使うモノとなり、「ツール」や「クヴェル」と呼ばれる装備品や、フィールドなどのアニマを引き出して術を使用する。例えばウィル編で最初に訪れるハンの廃墟は石造りの建物のため、そこから石のアニマを得ることができる(地形からアニマを得るアイデアの基になったのは、前作で足元に落ちていた鉄パイプを使って敵を斬っていたゲンさん)。戦闘中に術や合成術を使用すると、戦闘終了後に新たな合成術を学習できることがある。学習でしか習得できないものもあり、総じて強力。
ツールには耐久度が設定されており、一定回数以上戦闘で使用すると壊れる旧サガシリーズの要素が取り入れられた(戦闘中に壊れることはないが、耐久力が0になった武器は攻撃力が落ちる)。耐久性に優れる鋼鉄製品と、膨大なアニマを蓄える宝物のクヴェルは耐久度が無限であるが、鋼鉄製品を装備するとアニマの流れを阻害し、術の威力が下がってしまう。(ただし、敵から受ける術のダメージも下がる)
ターン開始時にLPを1消費してHPを全回復させることができる。ターン中の行動ではないため、回復させた直後も通常のコマンドによる行動が可能。本作ではバトル終了後にHPが25%しか回復しないので、HPの管理にも気を付ける必要がある。
世界観とバトルシステムがうまく融合されており、ディレクター自身「シリーズで最も世界観に合ったバトルシステム」とアルティマニアで語っている。しかしもっと作りこみたかったようで、特にデュエルはやりたかったことの6割くらいしか実装できていないらしい。
バトルキャラクターが習得できる技や術のことを一括りにして「アーツ」と呼ばれる。本作では誰か1人でもアーツを習得すれば、年代順関係無しに全てのキャラクターが使えるようになる。これは「各キャラクターが覚えたアーツはプレイヤーの知識」という考えによるもの(メニューの「プレイヤーノート」はその考えの名残)。ただしギュスターヴは、術及び術技を使うことができない。
全部で6系統が存在。WPを消費して発動する技とJPを消費して発動する術技がある。術技は一部を除いてデュエルでの合成でしか習得できない。また、術と同様に対応するアニマを確保しないと使うことが出来ない。
基本属性は打。稀にカウンターで反撃して攻撃を無効化し、ダメージを与えることがある。力押しのイメージとは裏腹に、敵の攻撃力を下げたり、マヒさせたりと補助としても優秀。参照する武器攻撃力が無いため、最大WPと現在WPの差が大きいほど与えるダメージが高くなる(極限効果)という特徴がある。技系統で唯一術技が存在しない。術至上主義の世界観のため、術を専門とする層には野蛮とされており、その設定の関係上で体術を使うことが出来ないキャラクターもいる。しかし皮肉なことに本作では体術が最強の系統である。