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ジョン・ディー


ヨミ: ジョンディー
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ジョン・ディーとは、中世イギリス実在した学者である。占術、数学、航術に功績を遺したほか、イギリス女王エリザベス一世の占い師を務めたり、エノク魔術の体系を整えるなど、当時のイギリスきっての魔術師として知られる。薔薇十字思想であったとも言われる。

また、このような経歴からH.P.ラヴクラフトによって、ネクロノミコン翻訳に関わった人物として、その作品群の中にとりこまれている。


経歴


ジョン・ディーは1527年、ロンドン郊外のモートレイクで下級官僚のに生まれる。15歳ケンブリッジ大学に入り、19歳にはギリシャ語助教授になったというほどの俊英であった。魔術に関心を持ち始めたのはこの頃と言われる。彼の占は、上流階級の間で評判を呼び、これが縁となってエドワード六世やメアリ一世に仕えるようになった。

一時期、メアリ女王の命で「悪魔のごとき男の仲間、悪しき呪われたる霊を召喚した者」として閉されたが、実際に霊を呼び出したり、水晶玉に霊を現したのは後年である。ディーの手記では「1581年5月25日水晶球にはじめて霊を見た」と記されている。

1553年には、当時軟禁状態にあったエリザベス一世に召し出されてメアリ一世の運命を占い、その寿命の終わりとエリザベス女王の即位を予言。これが的中したおかげでディーは彼女に取り立てられたが、エリザベス一世は魔術との関係に慎重で、ディーとの距離を一定に保っていたと言われる。

1582年からエドワード・ケリーが助手となる。「シューストーン」という水晶玉のような具の中に、大天使ウリエルを見たケリーは特殊な言葉を教わり、それをディーが描きとめる形で、エノクとそれを基盤とするエノク魔術の体系が作られた。しかしケリーは文書偽造の前科を持つあからさまに怪しい人物で、ディーはたぶらかされていたとする説が強い。それでもケリーが助手として必要とされていたのは、ディーが持っていなかった「霊的な存在を視るをケリーが備えていたからだ。

1583年、「モナド論」を出版。これはエリザベス一世時代における、もっとも重要なオカルト書のひとつとして知られる。しかし彼の人生は、この辺りから暗転していく。同年、ディーの地元モートレイクの住民が、彼の魔術異端視して放火事件を起こした。身の危険を感じたディーはケリーとともにイギリスを離れ、錬金術魔術に寛容なルドルフ二世が治めるプラハに移住した。

再び二人で魔術研究できるようになったものの、1587年にケリーが天使のお告げで「妻を共有せよ」とったことをきっかけに関係は険悪化。ディーはケリーと別れてイギリスへ帰したが、実家暴徒に荒らされており、エリザベス一世の勧めもあってやむなくマンチスタークライスト・カレッジの管理者に就任した。

そんな不遇に追い打ちをかけるように1603年、魔術を敵対視するジェームズ一世がイギリス王に即位。引退を余儀なくされたディーは名誉も収入も失ってしまい、1608年に貧困のなか死去した。

ディーによって整備されたエノク魔術の体系は、作られた当時まったく注されていなかったが、20世紀になってから「明け()」団によって研究され、同団系統の魔術に取り入れられた。


クトゥルフ神話大系との関わり


クトゥルフ神話への取り込みは、その創造たるH.P.ラヴクラフトによって「ネクロノミコン』の歴史」(創元推理文庫「ラヴクラフト全集5」に収録)で行われている(当時は神話大系としてまとめられていなかったが)。こういった実在人物の取り込みは、想作品にリアリティを持たせる、ラヴクラフト得意の手法であった。

その内容によれば「ジョン・ディーが行ったネクロノミコン翻訳版は、ついに出版されることなく断片が残るのみである」とされている。のちの作家たちによってこの設定は埋められ、ディーは1586年にルドルフ二世の宮廷を訪れた際に写本と遭遇し、その英訳にあたったようである。この翻訳にはオラウス・ウォルミウスのラテン語版、ギリシャ語の写本などの素材とディー自身の注釈が入っていたらしい。

またディーの残した暗号文書「ロガエスの書」が、実は「ネクロノミコン」だったという設定で書かれた「魔道書ネクロノミコン」という考本もある(小説ではない)。フィクション(?)にも関わらず、コンピューター解析を導入したり、ラブクラフトの人物像を追及したりと、作者らのクトゥルー熱が伝わる一冊である。

ほかにはヴァルーシアヘビ人間である「アクロ」と、ケリーが話したエノクが類似している、という摘もある。上述した「シューストーン」が実は「トラペゾヘドロン」だった、という説があり、もしそうだとするなら大天使ウリエルと思われていた存在はニャルラトテップの変化だったのかも知れない。


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最終更新日: 16/09/04 20:39
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