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ブロニー(brony)とは、海外のアニメ「My Little Pony:Friendship Is Magic」(および、その日本放映版「My Little Pony -トモダチは魔法-」)のファンたちの通称である。
本記事ではブロニーたちによる二次創作関連や、ブロニー間で使われる用語などについても触れる。
「My Little Pony:Friendship Is Magic(略してMLP:FIM)」は、1980年代から続く女児向け玩具「My Little Pony」のタイアップアニメの第4世代である。よって、本来の想定視聴者も玩具を買ってくれる女児やその親の層である。以前の時代には1~3世代目もあったが、当然のようにそれらの層以外からは殆ど興味を抱かれなかった。
しかしこの4世代目「MLP:FIM」が2010年に放映開始すると、キャラの立った登場人物や高いクオリティのアニメーションにより、英語圏のアニメ関連インターネット掲示板において注目と人気が集まった(4chanにはこの作品用の単独板[外部]が設立された程である)。
そしていつのまにか、このアニメのことが好きな「大きいお友達」たちを呼ぶ通称として、「bro(兄弟)」と「pony(ポニー)」を合わせた名前「brony(ブロニー。複数形bronies)」が広まっていった。
(ちなみに女性もbronyでよいのだが、特に「sister(姉妹)」と「pegasus(ペガサス)」を合わせて「pegasister(ペガシスター。複数形pegasisters)」と呼ばれることもある。)
当初はネット上で使われる仲間内だけの俗称だったが、ついには公式のCM映像[外部]にまで、この言葉が登場するほどにメジャー化した。
↓その動画に投稿者コメントで日本語字幕を付けて、ニコニコ動画へ転載されたもの。0:27頃の歌詞に登場する。
■sm15477240[ニコ動]
ブロニーの間ではMLPに関するファン活動・二次創作などが非常に盛んである。例えば、コンテンツ投稿サイトdeviantARTにて「my little pony」で検索[外部]すると2013年11月時点で約113万投稿が、「MLP」で検索[外部]すると約108万投稿がヒットする。これがどの程度のものかと言うと、ニコニコ動画におけるアイマス・東方・ボカロの動画の投稿数を3ジャンルとも合計したよりもさらに多い投稿数である。(動画のみのニコニコ動画と違いdeviantARTは画像を中心とした多種多様なコンテンツを扱う、という大きな差があるので単純な比較はできないが。)
以下に、ほんの一部ながらそれらファン活動・二次創作・二次設定などの例をあげる。
▲ブロニーたちが集まっていろいろする一大イベント。規模は様々だが、MLP発祥の地の北米各地ではもちろん、ヨーロッパやオセアニアやアジアでも開催されている。
イラスト・漫画・ファンフィクション(二次創作小説)・ぬいぐるみなどの自作グッズ即売会、音楽演奏会やビデオ上映会、コスプレ大会など、その他様々な催し物を行う。
最も有名な「ブロニーコン(BronyCon)[外部]」には、ローレン・ファウスト氏やメインキャラの声優など、本編の制作スタッフたちがゲストとして参加したこともある。
日本でも、小規模ながら「ジャパンポニーコン(JapanPonycon)[外部]」というイベントが2013年9月15日に東京都台東区で初開催され、数十人の参加者を集めている。
2014年1月5日には神奈川県川崎市で第2回「JapanPonycon 2014 NewYear」が開催された。ポニーたちの着ぐるみ登場、その作り手の方々による着ぐるみ作り方講座、原語版のアップルブルームの声優さんやアメリカのブロニーとのライブチャット、輸入トイ専門店「モンスタージャパン[外部]」に依頼した出店などでのグッズ販売、賞品をかけたじゃんけん大会、トークセッション、MLP関連楽曲をかけて盛り上がるDJナイトなど、様々な企画が行われた(イベントレポblog記事リンク:トークセッションに参加したパネラーの方々(1[外部],2[外部])、コスプレ参加した方[外部]、一般参加した方[外部])。
その後も下記のように複数回開催されている(公式サイト内、「ABOUT | JapanPonycon[外部]」を参照)。
「ポニコ」という同イベントのマスコットポニーも生み出されており、そのポニコの動画がこちら↓
■sm22028569[ニコ動]
普段のポニコはアースポニー(角も羽根もない普通のポニー)だが、「ライジングサン」というアリコーン(角と羽根を併せ持つポニー)へ変身する能力ありという設定らしい。なにその変身ヒロイン。
メインキャラクターやレギュラーキャラ、その回のゲストキャラなど、目立つキャラクターたちの他にも、背景のようにそこにいる脇役未満のポニーたちも存在する。いわゆるモブキャラ。
しかしよく見ていると、作中で名前も殆ど呼ばれないような彼/彼女らbackground ponies(背景ポニー)たちも、何度も繰り返し登場していたり、少ない出番の中でそれぞれの個性を垣間見せていたりする。
彼らは設定があまり固まっていない分、ブロニーたちの想像の余地があるという事か、ブロニー間の中でオリジナルの名前や設定等がつけられることがある。
背景ポニーの中でも特に有名で人気がある、ペガサスポニーの女の子。
ブロニーたちによって4chanで名前が付けられ、様々な二次設定が加えられ、そしてそれらの名前や二次設定を公式制作サイドが取り入れたという経緯がある。ある意味MLPとブロニーの関係を象徴するようなキャラクター。
▲ブログサービスTumblrで行われる、「Ask blogs(質問ブログ)」と言うものがある。様々な形態をとるが、概ね「フィクションのキャラになりきって、ユーザーの質問に対してイラストで解答する」と言うものが多い。
このAsk blogsにおいて大きなウエイトを占めるのがMLP関連である。既に閉鎖してしまったものまで合わせると、1000を超す数のAsk Pony blogsが作成されている。
▲上記「convention」の項で触れた「ポニコ」のように、原作に登場しない、ブロニーが自分たちで独自に作ったポニーのことをOC ponyなどと言う。OCとはoriginal character(オリジナルキャラクター)の略。
↓岩手県のお祭り「チャグチャグ馬コ」をモデルにしたと思われる一例 ■im3039499(静画)
OC ponyの中でも、例外的に広く知られているポニーがこのFluffle Puff(フラッフル・パフ)。名前の通りふわふわでもこもこしており、もうポニーというより別の何かのような外見である。
4chanの/co/板のMLP関連のスレッドで、ある描き手(deviantARTのID:Mixermike622)によって描かれたのが初出。その後、この描き手が運営するAsk系Tumblr「DAN VS FIM[外部]」で登場し、可愛らしい外見に加えて、なぜかしゃべらない所から来る動物っぽさ、シュールで突拍子のない行動などから人気キャラとなった。
この「DAN VS FIM」は、「Dan Vs.」というアニメーション(MLPと同じHub Networkで放映)の主人公「Dan(ダン)」がMLPの世界に紛れ込んでしまい騒動を起こすという内容であり、つまり「Dan Vs.」とMLPのクロスオーバー二次創作である。
ダンは原作設定からして「異様に怒りっぽくて、世界全てが自分と敵対していると信じており、頻繁に何かに激怒しては復讐しようとしている」という、とんでもないダメ人間。しかしこのブログでMLPの世界に迷い込んだダンはトワイライトスパークルの住む図書館に居候する中で、トラブルを起こしまくりつつもそれなりにトワイライトに心を開いていく(質問「どのポニーが一番好き?」→ダン「・・・紫の奴はまあ我慢できる」[外部])。
その後、このフラッフル・パフをメインとした新たな別のAsk Tumblr「Ask Fluffle Puff[外部]」が同作者Mixermike622氏によって開始された。ポニーヴィルの図書館で、トワイライトスパークルやダンと(そしてなぜかクイーンクリサリスと)じゃれあいながら暮らす彼女の、微笑ましくそしてシュールな笑いもある生活が描かれる。
Mixermike622氏は動画作成も手がけており、Youtubeでは「FluffyMixer」というユーザー名[外部]でフラッフル・パフの動画も数多く公開している。ニコニコ動画でも、日本語字幕を付けて転載されたもの等を視聴できる。
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OC ponyの中でも、ブロニー活動における自らの分身、いわゆるアバターとして創作されるポニーのこと。pony(ポニー)とpersona(ペルソナ。顔、人格、外面などを現す言葉。)を合わせた合成語である。
もともと、欧米のfurry(日本で言う「ケモノ」に近い)界隈には「Fursona」というfurry版の自分の分身をアバターに使うという文化があったらしく、それのポニー版としてこの呼称が付いたようだ。