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ヴァンパイア


ヨミ: ヴァンパイア
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ヴァンパイア(Vampire)とは

  1. 吸血鬼。怪物・妖怪の一種。本項で解説するが、「吸血鬼」の記事でもほぼ同様の内容を扱っている。そちらの記事も参照されたい。
  2. カプコン格闘ゲームヴァンパイア(ゲーム)を参照。「ヴァンパイア[動]タグ検索の約6割を占める。
  3. Janne Da Arcの楽曲。
  4. 電気式華憐音楽集団の楽曲。「Vampire[動]タグ検索の約半数を占める。
  5. 手塚治虫漫画作品『バンパイヤ』、および、それを原作とする水谷豊演のTVドラマ
  6. 加藤和樹の楽曲。
  7. 駆逐艦英国オーストラリア所属で太平洋戦争にて撃沈されたヴァンパイア(駆逐艦・初代)とオーストラリア所属で東南アジアで活動、現在シドニーにて記念艦となっているヴァンパイア(駆逐艦・2代)がある。
  8. アズールレーンの登場人物。ヴァンパイア(アズールレーン)を参照。
  9. VIPRPGフリーゲームヴァンパイア(VIPRPG)を参照。
  10. 音楽ゲームSOUND VOLTEXに収録されたnyankobrqの楽曲。VAMPIRE(BEMANI)。


概要


吸血鬼とも呼ばれる。世界的に見られる悪霊・屍鬼吸血鬼伝承の中でも、東ヨーロッパ民間伝承を流とする。

もともとの伝承はヨーロッパ各地にあり、それぞれが他地方の悪霊伝承と劇的な違いはなく、「それは死者に限らず、人間に危を加える存在」といったものであったが、ブラム・ストーカー小説吸血鬼ドラキュラ」および映画化作品の世界ヒットを契機としイメージが統合され広く知れ渡る。現代のフィクション作品では、ヴァンパイアのイメージはおおむね同小説の登場人物「ドラキュラ伯爵」の影を強く受けている。

近代に生み出された、幕を媒介として誕生した稀有なケース妖怪である。契機が映画であるが故か、ドラマチックで魅的な存在として描かれ、イメージされ、捉えられている。そしてヴァンパイアをテーマとした作品が作られ続けている以上、そのイメージは今もなお豊饒に広がり続けている。


ヴァンパイアの歴史


英語の「vampire」のとなったのは、スラブ圏で使われている「vampir」と言われる。この英語表記が初めて登場したのは1732年のメドヴェキア(現セルビア)の事件報告書で、現代的な「吸血鬼」としての足跡が始まったのは較的近年となる。

この報告書は、そもそもオーストリア皇帝にあてた内容で、兵士としてギリシャ派遣された人物が吸血鬼に襲われ、帰後に彼も吸血鬼化した、という内容であった。これが一般向けに出版されたことでベストセラーとなり、もが知る単となったのだ。

ヴァンパイアはハンガリーの言葉であるマジャールで「死にきれない者」を意味する。またはリトアニア語の「飲む(wempti)」に接頭辞vaがついてできた、あるいはトルコ語の「魔女uder)」にセルビアクロアチアの「吹く、飛ぶ(pirati)」が加わって「飛ぶ魔女」をした、という説もある。いずれものちの吸血鬼と合致する。また一方で英語vampとは「男をたらす婦」という意味でもある。性的魔で男を虜とし、運命を狂わせる魔性……。

ならばそもそも、吸血者のイメージはどこから来たのかと辿ってみれば、おそらくもっとも古いのは古代バビニアリリスと思われる(唯一神教ではアダムの最初の妻にして、夫に導権を執られるのが嫌で出奔、悪魔化した、という話で知られるが、彼女の出展はアダムよりはるかに古い)。しかし当時においてさえ彼女はすでに吸血鬼じみており、荒野のに出没して、出産する女や幼児をおびやかしていた。定訳聖書「イザヤ書」第34章14節では、リリスという名前が「鳴き立てるフクロウ」と翻訳され、魔物というイメージが強まった。

リリスはこのあと、唯一神教系の民間伝承(聖書ではない)によって、淫らさからルシファーの妻となり、そのリリンが夢魔の原になる。夢魔人間の精を奪う、吸血鬼に類似したデーモンである。

リリスと同等に吸血怪物のイメージを作った存在としては、ギリシャ神話ラミア視できない。本来はスキタイ(現リビア)の戦いの女神だったらしいが、ギリシャ神話現在知られる形になる際、女のエキドナと結びついて半人半の怪物にされてしまう。ゼウス愛人だった彼女は、ヘラ嫉妬によって子供たちをすべて奪われて怪物化し、男を誘惑したり、子供を誘い出して吸血あるいは食べるようになった。

時を経て中世にスラブ人の間でられた吸血鬼は、リリスイメージの延長か、熟睡している人を襲っては血を吸い取る、あるいは窒息させると言われていた。被害者がまで生き延びると、多くの場合、最近亡くなった家族や知り合いが犯人だったという。


ドラキュラの誕生


メドヴェキア事件ののち、現代的ヴァンパイアが文学史上に現れたのは、19世紀初頭になる。詩人として有名なジョージゴードンバイロン卿が、スイスジュネーブ湖ほとりにあるディオダディ荘にジョン・ポリドリ、パーシー・ビッシュ・シェアリー、その愛人メアリ・ゴドウィン(のちのメアリシェリー)、クレアクレアモントと滞在していた。彼らはある、それまで読んでいたドイツ幻想怪奇小説話題から、自分たちも恐怖譚を一人ひとつずつ書こうと企画する。後日、これを実行したのがメアリシェリー(『フランケンシュタインの怪物』)、といま一人バイロン医であり作家詩人のポリドリだった。その作品が『吸血鬼』(1819年)。世に知られている中では最古の吸血鬼小説である。

ただしこれはもともと、バイロンが書き散らしていた断片をもとに完成させたという。ハンサム吸血鬼ルスヴン卿が、ロンドン社交界に現れ、純情な若者オープレイ人とを餌食にしたあげく、彼を絶望の淵へ突き落してしまう。ポリドリはバイロンを熱狂的に崇拝していたが、同時に冷たくされていて憎悪と怒りも抱いていた。そのアンビバレントな気持ちがルスヴン卿に結晶化したのである(バイロンツンデレならぬデレツンな性格だったと言われる)。それまで田舎の民話でられていた抜けない怪物が、いきなり貴族的、知的、性的な逸脱者にして残酷な悪の子となった間だった。

19世紀の小説でいまひとつ触れねばならないのは、アイルランドジャーナリストジョセフシェルダン・レ・ファニュの『吸血鬼カーミラ』(1872年)である。これは女性吸血鬼であり、当時禁忌とされていた同性愛を匂わせる内容となっている。19世紀は女性イメージ婦と女にしく二極化していた時代だった。モラルに厳しいヴィクトリア英国義の絶頂期、女性の中で貞淑たるべきいっぽう、政治経済事情から婦がにあふれていた。こうした背景によってリリスラミアといった古代吸血魔女のイコンが復権し、男の精を食らいつくす吸血鬼としての女性像と接続されたのである。

このような吸血鬼像を受け、アイルランド人でロンドンのライシアム劇場のマネージャーをしていたブラム・ストーカーが『吸血鬼ドラキュラ』(1897年)を刊行する。レ・ファニュのスタイルに憧れ、吸血鬼小説を書こうとしていたストカーは、ブダベスト大学民間伝承の豊富なルーマニア地方の知見に触れる。彼はそこで恐ろしく強い中世武将の伝説を見出し、吸血鬼物語融合した。

これがドラキュラモデルとされる15世紀に生きたヴラド刺し(ツェペシェ)である。当時ハンガリートルコの狭間にあったワラキア地方を統治し、戦闘では勇猛果敢にして残虐(でなければ守れなかった)、敵味方合わせて10万人を刺しにした人物だ。「ドラキュラ」の意味は、であるヴラド2世称号であったドラクル()の息子というものだが、そもそもドラゴンはキリスト世界悪魔に近く、吸血鬼にぴったりと考えたようだ。

漫画銃夢last order』に登場する吸血鬼コグニート)の長もバイロンというが、これは作者の木ゆきと氏がこの話を知っていたからなのかも知れない。


一般的なヴァンパイアのイメージ


一般的なイメージは以上であるが、作品や文献により、さまざまな特徴が多岐に渡って記されている。招き入れられない限り他人の門戸をくぐる事が出来ない、に映らない、炎に弱いといった、較的知名度の低い特徴もある。中には網戸に弱い、豆に弱い、画に弱いというイメージに乖離した特徴を説明するものもあれば、ヴァンパイアの『聖書』を出版したものもある。(ノド書 ブック・オブ・ノド[外部]

強大なを持ちつつ、このように多な弱点的な特徴も併せ持つアンビバレンツな存在は、単純な『欠の存在』とはまた違った魅を引き出している。


弱点について


なお、独断と偏見に基づくもので大変恐縮であるが、弱点的な特徴が存在するようになったのは、キリスト教が大いに影した結果であるのではないかと見る。
ニンニクや十字架や日光や炎など、そういう弱点は映画によって確立する以前から、キリスト教によって付けられた悪の弱点である。
「悪しき存在・異教は必ずやキリスト教およびなるものに屈する」という事で、キリスト教が設定したものである。
死して土に返らぬ不浄なるものをにて地面に縫いとめる事により、強制的に土に返らせるといった、理屈的なものも混じるが。(これにも宗教的な理由がある可性も捨てきれない)
また、キリスト教の文化圏では土葬流であった為、医学が進歩していない時代では、仮死状態に陥った人物が全な死亡と誤診され、埋葬されてしまった人物が息を吹き返すことが稀にあった。
棺桶の裏側に酷い引っ掻き傷が出来ていたり、土から実際に這い出たという文献も存在する。 
当時は迷信深い人々が多かったので、このような「過ぎた埋葬被害者」が悪としてったと勘違いして"確実に殺しきる"為に心臓を打ち込んだことが有り、このことから墓場から吸血鬼にも同じ弱点が連想されたのではないだろうか。

の武器が弱点」とされることも多いが、これは元来「の武器」である。託宣を体とする魔法的な古代文化を打倒し、の時代が始まったきっかけのひとつが「」の加工技術の出現であり、「魔法に効かない」とする逸話のもとになっている。これが古い存在である吸血鬼にも適用され、中世吸血鬼を封じる場合は「」のを用いることが多かった。そこに「」が入ってきた理由は定かではないが、に殺菌作用があったことと関係ではないかもしれない。あるいは、人狼伝説との混合という可性もある(狼男の項を参照のこと)。

他にも、狂犬病ににも関連性を認める事が出来る。患した症状に「を嫌う」、「を極端に嫌う」、「『ニンニクなどの』強い匂いを嫌う」、「唾液感染」、「情緒不安定化」というように類似点をいくつも挙げることが出来る。患した患者は中世医学では原因を究明できず、「気が触れた」や「魔に魅入られた」とされ、人狼伝説はもちろん、ヴァンパイアや前段階の悪伝説に大いに影を与えた事は間違いないだろう。

以上のように理由があって成立した弱点だけではなく、明確な理由のない、半ば民間信仰のまじないのような弱点も存在する。例えば、豆に弱いという弱点。これは「日本の『』が炒り豆によって火傷する」という事を吸血『』に結びつけたかのようにも見えるが、そういう事ではない。(作品によってはそのような解釈を持つものもくはないが)
西洋に実際に存在するまじないの一つであり、「悪の類は網戸のや地面に撒かれた豆など、『数』のものをみつけると数えずにはいられない。更に一夜ごとに1つずつしか数えられないので、に訪れる事はない」というもの。これをそのままヴァンパイアにあてはめたものであり、これにはあまり宗教的な意味合いなどは見受けられない。

このような弱点的特徴の中で、見解が分かれるものが少なからず存在する。
最も顕著なのは「吸血鬼は流を渡れない」というものだ。
そもそも、何故吸血鬼は流れるを渡る事が出来ないのであろうか。
それは、キリスト教には「流刑」が存在する事が理由の一つである可性が高い。
吸血鬼という最も憎むべき存在が流刑から逃れてしまっては面が立たない、ではないが、の裁きにおける流刑では、いかに吸血鬼とて逃れる事は出来ない、という事なのだろう。
流刑によって孤に残された吸血鬼は、血を吸う事が出来ずやがて滅びてしまう。下された裁きは覆る事がい。
または、キリスト教には洗礼という儀式が存在してきた事も考えられる。
聖書のパプテスマと書かれている通り、これは元々はというの流れにより罪を洗い流すことであった。
このことから邪悪な存在である吸血鬼は、存在の根である邪気を流によって流されてしまうために動けなくなってしまう、という解釈がなされたのではないだろうか。
いずれにせよ、流と悪は相容れぬ存在という考えは確かに存在する。


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最終更新日: 18/09/16 14:58
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