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戦車(せんしゃ)とは、戦闘用・戦争用の車のことである。主に以下の単語の和訳として使われる。
ここでは1.に付いて説明する。戦車かな? 戦車に良く似てるけど…もしかして戦車じゃないのかな? と迷ったら→装甲戦闘車両(AFV)、創作作品に登場する架空兵器の装甲戦闘車両(AFV)は→架空の装甲戦闘車両
戦車は第一次世界大戦半ばに、塹壕と機関銃と火砲の発達のためにすっかり膠着してしまった西部戦線をふたたび「流動化」させるべく、英国陸軍が発明し戦場に持ち込んだ革新的陸上兵器である。戦車は実戦デビューと同時に敵味方双方に鮮烈な印象を与え、その将来性をただちに確信された。その時から今日まで、主要先進国の間では途切れることなく戦車の性能強化競争が続いている。「AI戦争論 進化する戦場で自衛隊は全滅する」兵頭二十八 2018 飛鳥新社 pp.268-269
主に旋回砲塔旋回砲塔を持たないスウェーデン陸軍MBT、Sタンク/Stridsvagn 103だけ例外。現在は退役し、レオパルド2にMBTの座を譲っている。に主砲を搭載し、自分自身の主砲弾による零距離射撃距離が0からの至近距離からの射撃ではなく、単に水平射撃を意味する。戦車からの直接攻撃=水平射撃だからだ。放物線を描く曲射弾道に対する防護は戦車戦では優先度が低い。戦車は戦車同士の直接照準射撃による戦いに勝つことを念頭において装甲を施しており、結果として上部装甲は優先度は低く(正面に比べて相対的に薄く)なる事を意味する。戦車がヘリの攻撃や自走砲、対地ミサイル等遠距離・上空からの攻撃を防御しきれないことはある意味で当然であり、戦車の設計運用においては折込み済みである。しかし、戦車が戦車同士の直接火力には負けられない。敵の主力戦車との戦車戦に打ち勝つ事が、「主力」戦車たるレゾンデートル(raison d'e^tre)、存在理由、存在意義であるからだ。にも耐えられる飽くまで主力戦車を構成する設計理念で戦車の中にはこの条件を満たしてないものもある。必須条件ではない。砲やミサイルの発展が装甲の発展を上回った時期には、装甲を捨てて機動力によって生存性向上を図る思想も存在した。丈夫な装甲板に覆われたクローラー(装軌式)車輌タイヤは弾性体であるため、装輪(タイヤ)方式の車両では強力な主砲発射の衝撃を吸収・制御し、行進間射撃や連続射撃を行うことが構造上困難である。また履帯(クローラ)と比べ、タイヤは小火器でさえ脅威になる程耐弾性が低く、路外の走破性でも劣る。の一種と定義される事が多い。戦闘機が敵の戦闘機を圧倒することを求められる様に、戦車は(究極的には)敵戦車を含めた敵地上車両を直接火力戦闘で圧倒するための兵器である。
走(履帯の機動力)攻(主砲の火力)守(装甲の防御力)を高いレベルで兼ね備えた、直接戦闘では最強の地上兵器である。
なお、見た目のでっかい図体に反して、砲弾は沢山積んでいても、乗員以外の人や荷物を載せる余裕はない(イスラエル軍のメルカバを除く)。ヒッチハイクや引越のお手伝いはお願いしても無理。
戦車やAFV相手の直接戦闘が第一の本業だが、ドーザーを付けての土木作業、歩兵支援、要塞・トーチカ等の地上軍事施設制圧、対テロ・対ゲリラ・コマンド戦闘等多種多様の軍事用途に対応する。
地上戦闘に活躍する戦車だが、もちろん万能というわけでもなく、対戦車兵器による待ち伏せ攻撃や、砲兵による間接射撃などには脆弱である。
航空優勢(敵の航空機が活動できない状態)を確保しない状態で運用される戦車はきわめて脆弱であるため(ハンス・ウルリッヒ・ルーデルを参照)、味方の空軍や対空砲・対空ミサイルによる援護下で行動するのが原則である。それと同時に戦車は味方歩兵を敵戦車やその他の脅威から護り、代わりに歩兵に敵歩兵の攻撃から護って貰いながら行動する。敵の砲兵は味方の砲兵や航空支援により排除する(こうした、各兵科の利点を生かし、共同しながら戦うことを諸兵科連合:コンバインド・アームズと呼ぶ。現代戦の重要なコンセプトの一つ)。
現代では対戦車ミサイルや戦闘ヘリコプター、航空機が運用する精密誘導兵器など、戦車よりも「強い」兵器が多数存在するように見えるが、今のところ戦車の存在価値は失われていない。ヘリコプターや航空機は常に戦場にとどまって活動する訳には行かないし、燃料や整備のコストもかさむ(携行対空ミサイルの脅威も増大している)。歩兵兵器の対戦車ミサイル弾は機動力や防御力に劣るため防御戦闘はともかく反攻作戦には使いづらい。
結局、依然として地上戦では歩兵で地域を制圧する必要が有るのは事実であり、歩兵を護り、敵の陣地を突破するには走攻守に優れた戦車が必要となる。冷戦崩壊とともに大規模な戦車同士の遭遇戦の機会は遠のいたが、近年の対テロ戦争・市街地戦闘のなかで戦車の価値は再発見されつつあり、一時期は戦車不要論に傾き装輪装甲車(LAV-MGS)で代替しようとしていた某国などもアフガンでの任務に戦車を急遽投入したりしている。
一般的には重量により「軽・中・重戦車」に分類される。イギリスにおける最初の分類は「歩兵戦車」と「巡航戦車」だったが、その後「偵察戦車」「駆逐戦車」「突撃戦車」「対空戦車」「架橋戦車」「水陸両用戦車」「空挺戦車」など多くのバリエーションが作られた。これら支援用の戦車と区分して汎用な目的を持った戦車は「主力戦車」の名称で呼ばれるようになる。
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