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9.25けもフレ事件とは、2017年9月25日の夜からインターネット上でアニメ版『けものフレンズ』監督の降板を巡る一連の騒動である。pixiv上では「たつきショック」と呼ばれる。
事件は、2017年9月25日午後8時ごろ、アニメ版『けものフレンズ』の監督「たつき」氏のTwitterより
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/irodori7/status/912270635610472448[外部]
という発言が投下されたことに端を発する。
▲けものフレンズとは、基本的な設定(ジャパリパークやサンドスター、アニマルガールなど)を使いながら各メディアで独自展開をするメディアミックス作品である。
そして、けものフレンズプロジェクトにおける各作品には原作者のクレジットは無く、『原作はゲームでもアニメでもなく『動物』である』というのが「けものフレンズ」というプロジェクトである。
(クレジット上の「原作」はけものフレンズプロジェクトとなっている。著作権は出資者が、著作者人格権は吉崎観音先生がそれぞれ保有する形になっている。)
原作である「動物」は肖像権を訴えたりしないとして、けものフレンズプロジェクトは二次創作活動を歓迎している。(中略、後述する二次創作におけるガイドライン参照)
ガイドラインに沿った活動の範囲ならば二次創作の際の連絡は不要としている。趣味の範疇における個人または個人サークルによる、イラスト、同人誌、マンガ、小説などの作成、各種運用については許可範囲とされており、コスプレ衣装の作成とコスプレによる各種活動も同様である。
同人誌頒布なども過度な営利性がないと判断できる場合であれば該当しない。また大人向けの内容を含む二次創作は対象以外の目に届かない配慮が必要とされている。「けものフレンズ」の世界を皆が楽しむためにファン一人ひとりの心がけが大切と言えるだろう。まだフレンズになっていない動物についても「世界が広がる」として歓迎しており、「けものフレンズ」は誰が参加してもいいスタンスとしている。
(ニコニコ大百科「けものフレンズプロジェクト」より)梶井(斉 KADOKAWAコミックス編集部編集長):
『けものフレンズ』を立ち上げたきっかけは、吉崎観音さんのイラストと世界観を使った「IP(知的財産権)」を創出するのが目的だったんです。なので、大本はアニメやゲーム、映画を作るのが目的ではないんです。大げさな話をすれば、「今後100年続くIPを作りたい」という思いが根本にありました。
(アニメイトタイムス 『話題沸騰中の『けものフレンズ』、プロジェクトチームに初インタビュー! 誕生秘話からブーム到来までの歴史など「すごーい!」の連続3万字の大ボリューム』[外部]より)
アニメより先行してサービスを開始していたアプリ版けものフレンズは、知名度が伸び悩み、終了する1年前には完全無料状態に移行し、アニメが始まるギリギリまでサービスを展開していたが2016年12月に終了してしまう。
また、漫画版であるけものフレンズ ‐ようこそジャパリパークへ!‐もアニメに先駆けて月刊少年エースに連載されていた(アニメ放送と同時期に単行本が発売)が存在としてはこちらもアニメ版が始まるまで顧みられることは少なかった。
『けものフレンズ』というコンテンツを各インターネットコミュニティを通じて有名にしたのは2017年1月から始まったアニメ版の影響である。
けものフレンズプロジェクト立ち上げから参加していた梶井氏は
梶井:真面目に作ったからだと思います。ありきたりな答えですが、“ヒットを仕掛ける”場合、たいていは「こうすれば話題になるだろう」といったマーケティングに基づいた施策や奇をてらったプロモーションを考えがちです。
しかし、お膳立てしたものではなく、自主的に参加してもらえる題材を提供しなければいけません。それがプロジェクトの原点である動物に対して真摯に取り組んで作品を作ることだったんです。
動物の何気ないしぐさや習性などを、アニメのキャラクターに取り込む。(コンセプトデザインを手掛けた)吉崎観音先生のキャラクターはかわいいだけではなく、元になった動物の特徴を忠実にデザインへ落とし込んでいるんです。細部をよく見てほしいんですが、こんな擬人化は今までないと思います。それを題材に、お話として12話を見て堪能できるよう、たつき監督が伏線を張り、セリフを吟味し、仕掛けを施したんです。アニメに関しては、吉崎先生と監督が話をしながら構築しました。
仕掛けというのは打ち上げ花火のような一過性のプロモーションではなく、キャラクターも含めた作品全体に練りこむことが大切だと思います。そこを視聴者の皆さんにくみ取っていただけたので、支持が広まったのだと思います。
(日経トレンディネット『「けものフレンズ」仕掛け人が語ったヒットの理由[外部]』より)
と、スタッフ側の立場としての発言を残している。
そして降板騒動である。たつき監督のツイートが発端でけものフレンズに癒しを求めるファンに「現実」という名の冷や水を浴びせる行為であるという声が上がり、ファンが一斉にツイートで名指しされたKADOKAWAへ怒りの矛先を向けるという状況へとつながった。
また、その中でもごく一部のファンは数々の情報が錯綜する中でコンセプトデザインを担当した吉崎観音氏に心無い暴言を浴びせる者もいた。
もちろん、こうした監督交代事例はアニメーション作品のシリーズ化、または映画の続編制作などにおいて、監督やスタッフの入れ替えといった事態は、それほど珍しくはない。
それに加え、アニメ版もまた「メディアミックスの中で展開されるコンテンツのひとつ」として制作された。
また、旧アプリ版、漫画版、アニメ版ともにゆるいつながりを示唆するポイントはあっても完全に全てがつながっているわけでもない。
大きくまとめるとKFP側の回答としては2017年9月27日の声明が全てである。
その後、2017年10月3日に(株)KADOKAWA代表取締役専務専務 井上 伸一郎 氏 また アニメ制作会社ヤオヨロズのプロデューサー 福原 慶匡 氏 より再協議を行う旨が報告されたが、同年12月27日 ヤオヨロズ 福原プロデューサーより再協議の結果、2期制作から外れることは覆らなかったというツイート投稿された。
後の、2018年6月20日のカドカワの株式総会で「騒動を収拾するために
川上社長、井上専務が製作委員会に参加していた企業、制作会社であるヤオヨロズ双方と意見や条件等のすり合わせを図ったが、尽力虚しく降板決定は覆らなかった」という経緯が改めて語られた。
最後に、騒動を経てもなお「けものフレンズ」というコンテンツは現在進行形、という事を覚えておいてほしい。
9月25日のたつき監督によるツイートから二日後となる9月27日深夜、「けものフレンズプロジェクトA」名義での発表が公式HPよりなされた(ほぼ同時刻に、KADOKAWAオフィシャルページからもリンクが張られた[外部])。
以下、その全文を引用する。
「けものフレンズ」に関しまして、すでに新規映像化プロジェクトの制作を発表させていただいておりますが、発表当初より同体制での継続か、新体制での新たな表現かも合わせて検討中で、現時点においてもまだ何も決定していない状況です。
そのような中、今年1月~3月に放送されたTVアニメーションと同様の体制を優先として、視聴者のご期待に沿えるべく調整をしておりましたが、アニメーション制作会社であるヤオヨロズ株式会社より8月に入った段階で辞退したい旨の話を受け、制作体制を一から模索することになっているのが現状です。
「けものフレンズ」は動物ファーストの理念のもと、関わってくださったすべての方々の手によってゲーム、コミック、アニメ、舞台と展開して参りました。広く門戸を開放し、理念に賛同していただける方々のお力添えをいただき、世界を広げていきたい。そのために誰のものでもないプロジェクトとして、動物のための「けものフレンズ」として活動を重ねて参りました。
しかし、アニメーション制作を担当していただきましたヤオヨロズ株式会社には、関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用がありました。映像化プロジェクトとしては次回の制作を引き続きお願いしたかったため、情報は事前に共有してほしい旨の正常化を図る申し入れをさせていただきましたが、ヤオヨロズ株式会社からは、その条件は受け入れられないので辞退したい、とのお返事でございました。
「けものフレンズ」の映像化プロジェクトに関しては、上記のような経緯で一部滞っておりますが、「けものフレンズプロジェクト」は今後も御協力をいただく皆様と共に作品を守り、ファンを守り、動物たちのことをもっと知ってもらう活動をこれからも初志貫徹、続けていく所存です。映像化に関しましても、改めて、そしてできるだけ早くご報告できるよう進めて参ります。
今後とも様々な「けものフレンズプロジェクト」をよろしくお願いします。
上記の発表以降、10月3日まで製作委員会側・ヤオヨロズ側双方とも沈黙が続いていたが、10月3日午後1時半頃、ついにKADOKAWA代表取締役専務の井上伸一郎氏が、ツイッターで今回の騒動について発言した。
「けものフレンズ」の件につきまして、KADOKAWAは製作委員会の一出資企業にすぎないことから今まで発言を控えていました。私としても「けものフレンズ」におけるたつき監督の功績は大いに認めております。(1/4)
https://twitter.com/HP0128/status/915071890648993792[外部]
この度の騒動にいたるまでの事態を正確に把握してなかったのは不徳のいたすところです。先週ヤオヨロズのみなさんと2回のミーティングを行なう機会を得ました。その際、製作委員会のご意見とヤオヨロズ様のご意見に大きな溝があることが分かりました。(2/4)
https://twitter.com/HP0128/status/915071981875163137[外部]
特に「監督降板」の経緯、版権使用についても認識相違があることと、
監督のツイッターでのご発言の真意にはそういったことが積み重なったことが
原因であるということが分かりました。そこで私としては、ヤオヨロズのみなさんと今後のことについてどうするべきか相談に入ったところです。(3/4)
https://twitter.com/HP0128/status/915072115287539712[外部]
「けものフレンズ」のファンの皆さまにおかれましては、ご理解のほどよろしくお願いいたします。(4/4)
https://twitter.com/HP0128/status/915072221999022081[外部]
このツイートに対し、福原慶匡氏(以後、福原P)も続いて、次のように発言した。
ファンの皆様にお伝えする事が遅くなりまして大変申し訳ございませんでした。 影響の大きさを鑑みて発表の方法に関して協議しておりました。 発表を受けて川上社長、井上専務が迅速にヒアリングして下さり今回の発表に至った事を感謝しています。(1/2)
https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/915074525783453696[外部]
▲この度は皆様にご心配をお掛けしてしまいました。 これから話し合いを始めますので何卒よろしくお願いします。(2/2)
https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/915074560973709312[外部]
その後再び硬直状態が続いていたが、12月27日に、遂に福原Pが本件に関してツイートした。
今回はお騒がせをしまして誠に申し訳ございませんでした、皆様を不安にさせてしまった事をお詫び致します。最終的な報告になりますが、2期を外れる事に関しては覆りませんでした。井上専務と共に皆様のご期待に応える為、精一杯取り組んで参りましたが、力及ばず大変申し訳ございませんでした。
https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/945943082431758336[外部]
3月には2期の依頼があり実制作を続けておりましたが、8月頭にコアメンバーで行われた会議にてヤオヨロズに対して今後続投は無いと明言され、降板を宣言されたと認識しています。私としては突然の通達で、何に対して不満を持たれていたのか要領を得ず困惑していたと言うのが正直な所です。
https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/945943151998509056[外部]
9/27の公式発表にあった情報共有についても、12.1話は委員会へ報告の上制作しておりますし、各企業とのコラボ動画に関しても委員会からの正式な依頼の元で作りました。 コミケにおける同人誌についても吉崎先生からの許可があり、その際のご提案により特別許諾と明記して頒布しました。
https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/945943187205472257[外部]
特にコラボ動画は厳しい条件もありましたがファンサービスの為にと制作スタッフが尽力致しました。疑義の対象になった事、一部はけものフレンズ公式でも触れていただけなかった事をとても寂しく思います。
https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/945943290150469632[外部]