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本記事では(1)のゲーム関連について記述する。 |
MOD(モッド)とは、PCゲームのデータの改造や追加を行うユーザー製のデータやファイル、またそれらを適用したゲームのこと。広義ではカスタムマップやスキンなどユーザー製のデータ全般も同様に呼ばれている。MODを導入する前のオリジナルの状態をバニラ(Vanilla)という。
ゲーム内のテクスチャー、モデルの差し替えをはじめ、マップやアイテムなどの新規追加、ゲームバランスの調整やバグ修正、ローカライズ…などMODの種類は多岐にわたり、大型のものであれば元のゲームにはなかったオンライン対戦機能の追加や、オリジナルのゲームのグラフィックエンジンや物理エンジンなどの基本システムを用いて、全く別の新しいゲームが作られることもある。
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始まりはいわゆるハックの部類にあるものでイリーガルな面も持っていたが、1993年の「DOOM」において開発者側が健全なユーザー製のデータを好意的に受け止め、改造専用のライブラリ「WAD」(Where's All the Data、データはどこだ)を公開し、公的に改造データの製作と公開ができるようになったことで現在のようなMODの文化とコミュニティが形成された。DOOMの開発チームが1996年に発売した「Quake」はユーザーによる改造や追加を前提として作られた初のゲームで、この頃にMODという言葉がコミュニティの間で定着したと言われている。
参考:PCゲームを彩るMOD文化について知っておきたいこと[外部]
ゲームエンジンが柔軟なゲームでは開発者側がMODの製作をサポートしていたり、専用の開発キットが無償で公開されることも多い。「Counter-strike」など優れたMODは独立したタイトルとして製品化されることもあり、また、MODコミュニティ出身のゲーム開発者も数多く存在する。MODはゲームプレイとゲーム開発を結びつけるものであり、海外ではゲーム文化の大きな柱のひとつとも言えるだろう。
一方、家庭用ゲーム機(コンソール)が中心であった日本国内では、MOD文化が周知されていない一面もあり、ときに偏見や誤解をされてしまっていることは決して珍しくはない。(後述:日本での認識)
オリジナルのゲームデータに手を加えず追加だけのものをアドオンと呼ぶこともあるが、定義は曖昧のようで、ゲームとコミュニティによって呼び方が異なる程度で、特別区別されているわけではないと思われる。
パッチもMODも元のデータに改変を加えるものであり、MODも広義的にはパッチの一種ではあるが、PCゲームでは開発者以外が改変する為に配布するものを特にMODと呼び分ける。例えば、開発者がバージョンアップで行うような調整や修正などでもユーザーメイドの場合はMODと呼ばれる。しかし、基本的にはコミュニティ間での呼び方なので、バグを修正するものは「非公式パッチ」「有志パッチ」、ローカライズ行うものなら「日本語化パッチ」等と呼ぶ場合もある。
▲ゲームやコミュニティによってMODの種類やカテゴリー分けは様々である。ここでは多く作られている代表的なものを大まかに分類して解説する。全てがこれらの定義に当てはまるということではありません。
テクスチャーの変更 | ゲーム中のキャラクターやアイテム、車両などの見た目を変更するもの。スキン(Skin)とも呼ばれている。最もポピュラーなMODかも。 |
モデルの置き換え、追加 | ゲーム中のキャラクターやアイテムのモデルデータそのものを置き換えたり、新規キャラクターやアイテムとして追加するもの。 |
カスタムマップ カスタムレベル |
ユーザー製の追加マップ。新規ストーリーの追加ほか対戦専用マップの人気が高い。 |
スクリプト | ゲーム内で新しい機能を追加するもの。外部スクリプトの読み込みなどでゲームの機能を拡張しバニラのゲームでは実装不可能だった機能を追加するものもある。 |
オーバーホール (Overhaul) |
オリジナルのゲームを維持しつつ全体的な追加や調整を加えるもの。総合的なMOD。 |
トータルコンバージョン (Total conversion) |
全てのデータを新規のものに置き換え、全く新しいゲームに作り変えるもの。高い評価を得たものは後に製品として独立することもある。(後述:MODの独立) |
バグ修正 非公式パッチ |
公式で修正されていない、もしくは開発元の倒産などにより放置されてしまったバグの修正やゲームの改善を行うもの。古いゲームを最新のOSや環境に対応させるものもある。 |
ポストプロセス レンダリング |
ポストプロセスやシェーダーファイルの改造によってグラフィックを大幅に強化したり、パフォーマンスの改善を行うもの。ENB、影MODなど。 |
オンライン化 (Multiplay) |
本来シングルプレイ専用の作品を、有志の手によりサーバーを設置しマルチプレイ用のゲームクライアントを開発する事で、CO-OPや集団におけるオンラインマルチプレイを可能にさせたもの。開発チームの用意しているサーバーに接続させるケースと、クライアントを通じてそれぞれが開設するサーバーへ接続するケースに分けられる。 |
日本語化 | 日本語に訳されていない、日本語版が発売されていない海外のゲームをユーザーで翻訳し日本語に対応させるもの。国内で最もポピュラーなMODと言えるかもしれない。ときには2バイト文字に対応していないゲームなどでは独自に日本語を表示する機能を開発しているケースもある。 |
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MOD製作が盛んなゲームの多くは、ゲームエンジンが柔軟であり、またMOD製作をサポートしているデベロッパーからは、ユーザー向けに開発専用のツールやゲームの仕様をまとめたチュートリアルが無償で公開されていることが多い。主な例としてDOOMの「WAD」やUnrealの「Unreal Editor」、Skyrimの「Creation kit」などが挙げられる。そのほか「UDK」や「SourceSDK(SourceEngine)」、「CryEngine」のようにゲームエンジンそのものが開発ツールとして公開されているものもある。開発ツールの多くはゲーム内のマップ(レベル)を設計できる機能があり、レベルを設計するツールを指してレベルエディターとも呼ぶ。
開発ツール以外にもゲーム内にマップやスキンなどの簡易エディター機能を持ち合わせたゲームもあり、そのようなゲーム内でのカスタムデータの製作と共有機能はHALOのフォージモードやForza Motorsportのカスタムペイントなどを例にコンソールタイトルでも導入されている。
ただ、一方で近年ではゲームの複雑化やゲームエンジンの版権の都合上でデータの暗号化がされMOD製作が困難なものも珍しくはない。例としてバトルフィールドシリーズは、かつては「Project Reality」シリーズや「AIX」シリーズ、「POE」シリーズなど、MODがとても盛んなタイトルであったが、BFBC2以降のシリーズ作品では一切変更が出来ない仕様になっている(オンライン機能を重視した事により、公開されたソースコードをプレイヤーが改変してしまう点を挙げているが、一説にはMODによりDLCの売り上げが阻害された為とも)。
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MODの導入方法はゲームによって様々であるが、MODフレンドリーなゲームでは追加データをパッケージ化するなどして、オリジナルのデータを変更せずにアドオン形式で導入が行えるように設計されているものが多い。例としてDOOMのWAD、Fallout、TESシリーズのESP、Blizzard製タイトルのMPQなどが挙げられる。Steamで販売されているSteam Workshopに対応したゲームではSteamクライアント上から導入が可能である。
また、MODの導入機能が用意されていないゲームでもMinecraftのMagicLauncherのようにユーザーやコミュニティが独自に導入ツールを開発し公開している例もある。
なお当然といえば当然の事であるが、MODは大半がユーザー製であるが故に、それ相応の予備知識及びファイル構造の理解が必要な場合も多い。特に一度にたくさんのMODを導入したり、ゲームに必要なファイルの導入やゲームに必要なテキストファイルの記述をうっかり間違えると、競合や不具合でゲームがCTDやフリーズを起こしてしまうこともしばしばある。競合を減らし安定するように調整を繰り返し、記述にミスが無いかをチェックし…まるでMODを導入するまでがゲームのようになってしまうなんてのはよくある話である。MODを導入するときは作者のコメントや付属のテキストをよく読み、ファイルのバックアップを怠らないようにしよう。
コンソールタイトルにおいてもMODとは別にゲームの改造文化も見られることはあるが、形式上、専用のハードウェアが必要であったり、公式側がサポートしていない点やリバースエンジニアリングを禁止しているケースなどからイリーガルな一面が強く、あくまで制作者が個人で楽しむという範囲であり、改造データの公開や共有は一般的ではなかった。(ハックロム、改造マリオなどの該当記事参照)
今日における一般的なMODに近い導入例として、過去にはPS3版「Unreal Tournament 3」でPC版で作成されたMODの導入がサポートされていたが、そのタイトルに限定した例で、他のUnreal Engine製のタイトルで定着することはなかった。
しかし、近年においてはコンソールにおいてもMODが扱えるように専用のサービスとサポートが導入された例もある。2017年現在、PC、XboxOne、PS4向けに展開されているサービス「Bethesda.net」を通じで、一部のBethesda製ゲームでのMODの導入が可能になっている。
基本的にMODというものは制作導入がサポートされているゲームでも非営利目的で制作されているものである。これには当然ながら著作権的な問題を回避している一面もある。過去にBF1942のスターウォーズMODが版権元から訴訟を起こされてしまった際には、非営利目的であることが主張され、(商標を使用しないことを条件に)訴えが取り下げられたこともあった。