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RAH-66


ヨミ: ソンザイガステルスヘリコプター
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RAH-66とは、アメリカ陸軍が開発していた軽攻撃偵察ヘリコプターである。称はコマンチ。

2004年2月に開発打ち切りとなった。


概要


RAH-66 コマンチはボーイングが中心となって開発されていた双発複座のステルスヘリコプターである。

OH-58OH-6AH-1の代替を予定していた。


開発経緯



LHX計画 


コマンチの開発は1981年開始された、LHX(Light Helicopter Experimental)計画が先祖となる。

このプログラムは、攻撃ヘリであるAH-1、輸送ヘリであるUH-1、観測ヘリであるOH-58OH-6の統合と置き換えを行い、5,023機を導入するという野心的な計画であった。

しかし輸送ヘリの戦術運用が計画から大きく外れてしまったため、1987年に輸送ヘリ代替案は削除され、軽攻撃偵察ヘリとして開発されることとなった。

この計画では当初単座で、偵察と攻撃の両任務を達成することであった。

このためには、パイロットは単独で敵に近い戦場で操縦・偵察・攻撃といった、戦闘行動を強いられてしまう。

そのため、陸軍はS-76を改造したシコルスキーSHADOW1985年6月より実実験を開始し、単座では任務達成困難として複座へと要は変更された。

この計画において陸軍が要したものは以下の通り。   

諸元
運用自重(㎏) 3,400
エンジン(2基) 1,200shp×2
耐衝撃性(m/)
 脚上げ 11.6
 脚下げ 8.2
火器取り付け基数 内側6基
ヘルファイア搭載基数 10基以上
エンジン始動/補助電 APU
トルク機構 保護されていること
飛行性
ダッシュ速度(kt) 170
垂直上昇率(m/分) 152
23mでの180°ホバリング旋回 5以下
出現急速機動 11以下
前進速度85ktでの90°旋回 6以下
巡航速度から85ktまでの急減速 6.5以下
巡航速度飛行中の90m障越えから元の飛行経路に戻る 6以下
広域展開
移動距離(㎞) 2,330
積み込み/取り降ろし時間(分)
 C-130C-141 60
 C-5C-17 30

 

 この開発コンペに参加した企業はベル、ボーイングマクドネルダグラスシコルスキーの4社。

当初はこれらの会社が別々に開発を行っていたものの、要の困難さから2社1組の2チームへと変更された。

こうしてボーイングシコルスキー連合のファーストチーム」、ベル・マクドネルダグラス連合のスーパーチームが開発競争を行うこととなった。

また、エンジンアリソン・ギャレット両社によるLHTEC社と、P&Wライカミングの両社による競争試作とされた。

この時点での採用規模は2,096機である。

 選定

1988年4月、機体に先じて陸軍に見本エンジンが提出された。

同年、陸軍はLHTEC社のT800エンジンを選定した。

このエンジンは離陸出1,200shp以上重量136㎏で燃料消費率はこのクラスでは最も小さいとされた。

構造はモジュール化され2重のデジタル電子燃料コントロール装置や内部モニター装置が付いている。

T800はそれまでのエンジンべ信頼性と整備性に優れ、特に信頼性としては従来の25以上という素晴らしい値を示した。

このエンジン1988年10月テスト飛行を開始、1991年中にFAAを取得。翌92年には生産体制を整えた。

なお、余談であるがこのエンジン自衛隊が装備するUS-2に搭載されている。

 

そしてエンジン選定から2年後、1990年アメリカ陸軍は機体の最終的な選定に入った。

チームの設計開発案を較評価し半年間かけて審した結果、両チームともLHXの要仕様は満たしていた為、細部にわたる採点較が行われた。

採点項は大きく5項からなり、

となっている。

以下に陸軍の採点表を示す。

ファーストチーム スーパーチーム 重みづけ()
費用 67.9 45.8 20.0
技術 74.9 74.1 35.0
RAM/ILS 82.4 62.6 17.5
人間工学/訓練 80.0 64.0 17.5
生産体制 69.8 71.6 10.0
総合評価 79.7 64.5 100.0

 以上のように両チームの技術は大きく違わなかったもののスーパーチームは生産体制の1項でしか勝てず、そのほかの項をあけられてしまった。

こうして1991年4月5日アメリカ陸軍はファーストチームプランを採用し、この機体にRAH-66の名称を付与し、コマンチと名付けられた。


RAH-66の特徴


 RAH-66 コマンチはLHXの要を満たすため様々な新技術が詰め込まれている。

以下特徴を列挙していく。


技術的特徴


技術的特徴としては以下の通り

である。

戦場での機動は高いを持つT800エンジンに支えられていたが、もう一つ資しているのは尾部に埋め込まれているファンテールである。

このファンテールは一見エアロスパシアル社のフェネストロンとよく似ているが実際はファンテールの方がブレード幅が倍近くになり数が11枚から8枚に減り先端速度220から184m/へと減少している。どう考えてもおんなじです本当にありがとうございました。なお、このファンテールに耐用時間は設定されていない。


整備性


エンジンのT800は前述したとおりこれまでのエンジンよりも25以上の信頼性を示した高信頼性エンジンであるが機体自体も高い整備性・信頼性を獲得している。

まず機体は複合材が58使用されており、機体のほぼすべてが複合材性である。複合材は軽量で対弾性、防錆性に優れ、墜落時のダメージ軽減にも一役買っている。

また、機体構造も従来のモノコック構造ではなくボックスビーム構造が取り入れられている。

この構造は従来のように外にも荷重をかけて機体構造を支えているのに対し、機体中心部に背ともいうべき桁を通しそこに機体のほぼすべての荷重がかかるよう設計されている。

この構造により、外に不必要な荷重がかからなくなり、内装ウェポンベイの設置が可になると同時に、外装の50%程度がアクセスネルとなっている。また内部の配管等も出来るだけ重ならないように設置され、整備の際不要な部品に極干渉しないよう設計されている。この為、整備時間の短縮と、整備時のヒューマンエラーの低下をすことが出来た。(これまでは整備の際、不要な部品の取り外しも行わなければならず、却って健全な部品を悪化させる懸念があった。)

前述のファンテールも機体降下時に地上整備員をテールローターに巻き込まないよう配慮され、安全性を高めている。

また自己診断プログラムも備えている。


操縦性 


3重のフライ・バイ・ワイヤによる操縦システムが搭載されており、従来よりも操縦にかかる負担は少なくなっている。 

機首には電子学式の標捕捉/識別システム、及び赤外線暗視装置があり、これらのシステムパイロットが使用するヘルメットと連接されており、また、この映像HMD(Helmet Mounted Display)投影される。またHMDには各種飛行データも表示可であり従来機器に視線を落とさなくとも、飛行データを取得することが出来、従来よりも操縦に集中できるようになっている。またパイロットは前席配置となり、より視界が得られるようになっている(従来機はパイロットは後席配置だった)。


生存性


RAH-66は偵察という任務の特性上、確実に情報を持ち帰ることが至上命題である以上、生存性は極めて重要な課題である。

この為機体はステルス性を付与してある。

機体を複合材性とし、またF-117のような二次曲面構成とすることでレーダーを散乱させ、AH-64アパッチの1/663、OH-58カイオワ・ウォーリアの1/200にまで低下させることに成功した。なお、当初は電波吸収材の使用も検討されたが地表付近での波長の大きいレーダーへの対抗は難しいとして、採用は見送られている。(電波吸収材は整備性を悪化させるためい方がいい)

また、テールローターをファンテールとしたことにより、干渉波の発生を抑えることが出来、静粛性が向上した。

メインローターは複合材性であり、ある程度の対弾性が確保されている。当然機体各部も装甲化されている。

また赤外線にも対策が取られており、排気は外気と混合され十分に冷却された後、機体後部下面より排出される。

また、墜落時の耐衝撃性も優れているため、パイロット生存性も向上している。


打撃力


機首には20ガトリング砲XM301が一基搭載されており装弾数は500発である。このは未使用時にはステルス性確保のため180°転換し格納することが出来る。

機体両面には各3基の兵装ステーションがあり、それぞれ、ヘルファイアミサイル1基、スティンガー対空ミサイル2基、ハイドラ70ロケット弾4基を搭載することが出来る。

また、スタブウィングを装備すれば最大14基のヘルファイアミサイル28基のスティンガーミサイル、56基のハイドラ70、あるいは450ガロン(1,703)の増加タンクを搭載できる。ただし、この場合はステルス性は失われる。


展開能力


C-141輸送機に3機、C-5輸送機に8機搭載可であり高い戦略展開を持つ。また、C-130輸送機からは15分で積み下ろし出来、さらに3分後には飛び立つことが出来た。

また、前述の増加タンクを装備すれば2,330㎞の自己展開が出来、後方基地から前線まで自移動することが出来るなど、高い展開を有する。


生産性


生産性に関しては、スーパーチームの見積もりよりも2億ドルほど安く、量産価格も安くなっていた。


計画の変遷そして中止へ


 1990年時の防長官であるリチャードブルース・“ディック”・チェイニーはコマンチの調達機数を1,292機に減らすことを発表した。

コマンチは1996年1月4日に初飛行を成功させたが、様々な問題に直面した。

だったものとしては

である。

この中で最も困難な問題であったのが重量の問題である。

古来より航空機開発において重量問題は数多の技術者を悩ませ、また理想的な重量軽減を実行できた例はいといっても過言ではなかった。

また、近年発達したレーダーシステムにより、を飛行するヘリにはステルス性の付与は疑問視された。

また、冷戦の終結も開発計画に変更をもたらした。

ソ連という敵を失った議会は予算の削減を推し進めコマンチもその例外とはならなかった。

そうして、開発が難航しているうちに2001年を迎え9.11同時多発テロが発生する。

これによりアメリカはアフガン戦争に突入、研究開発予算はさらに圧迫された。またアフガン戦争ではUAV情報収集手段として大きく活躍し、武装するものまで現れた。これによりコマンチの戦略的価値は大きく減じ、また、軍も議会に対し説明することが困難となっていった。

そして2004年 2月23日アメリカ陸軍はコマンチの開発を凍結すると発表した。

これは、老朽化した観測ヘリを代替するための予算を確保するため、また前述したUAVの台頭によるものである。

また、議会にも20年もの歳をかけながらも試験運用から前進することが出来ないコマンチ計画の批判もあった。

凍結時点で投入された予算は80億ドル近く、また開発元であるシコルスキーボーイングに4.5億ドルから6.8億ドルが支払われた。

コマンチにて培われた技術は既存機の修に生かされる事となっている。

なお、この反に立ち、ARH-70という機体が開発されたが、予算過によりこちらの計画もキャンセルされている。


性能諸元



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最終更新日: 17/05/31 22:01
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