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TSFとは、
本記事では2について説明する。
Transsexualとは性転換の事で、それらの後天的に変化するフィクションや創作物をTSFという。
「TSもの」「性転換もの」などの呼称がある。
TransSexual Fiction の頭文字を取った所が名称の語源となっているが、TransScience Fictionにちなんでいるとも言われ、その他人によって様々な解釈があることから正式はものは定まっていないとされる。また、海外においてはTransGender Fiction (TG) と表記される。
TSFを説明するとすれば、「創作作品において性別が変わること、そういう作品」という一言だが、細部の解釈や概念については個人で様々な意見があり、議論が多い。人に説明する際、わかりやすい例としてよく挙げられるのが『らんま1/2』である。古代ローマ神話や北欧神話などにもそのような設定の神話が散見されるなど何気に歴史自体は古い。
非常に裾野が広いTSFという分野だが、ここではその一般的解釈と思われるものを記す。 単にTSFと言えば、ふつうは「男が女に変わる」ことを指している、また、TSFと呼ばれるものの大部分は男→女を扱っている。「女が男に変わる」ものはごく少数であるが、それがツボの人もいる。
▲「女体化」(にょたいか;にょた)という類似の用語もある。詳細は該当記事に譲るが、「女体化」の場合は”最初から女だった”という先天的、いわゆるキャラ設定の根本からの変更に対しても使用されることが多い。ある意味では青セイバーなどの「人物に対する萌え擬人化」とも言え、ニコニコ動画ではキョン子を例に挙げるのが最も分かりやすいだろう。 キョン子を題材にした作品は「ハルヒの事象改変でキョンが女性化」というものより「生まれつき女だった」という設定変更ものが多い。ニコニコ動画でもしかりである。
対して、「TSF」とは、”朝起きたら女になっちまってた!”(あさおん)などの後天的な異性への変化のみ指し、"最初から女だった"という設定変更ものはTSF要素が薄い為TSFとして扱わないのが一般的である。この比較で浮かび上がるが、ここがTSFというジャンルの肝に当たる部分だ。つまり、TSFとは性別が変化し、それによって引き起こされる主人公や周囲の人物の心の変化や反応に主眼を置き、楽しむジャンルと言える。 そのため"最初から女だった"という設定変更ものではTSFとは言い難く、またたとえ性別が変化しても登場人物たちがあまりそれに反応しなければTSF色が薄いとみられる。
ちなみに、「女体化」はもともと女性向けジャンルとしての発達をしており、「TSF」はどちらかといえば男性向けジャンルとしての発達をしてきている。前者の理由としてはやおい的カップリングで受け側を女性にする事でアブノーマルさが薄らぎオリジナル展開を続けやすくなること等が挙げられる。
「TSF」と「女体化」を使い分けるために”最初から女だった”という場合のみを「女体化」と表現しようと提唱されている場合もある。しかし実際には、「女体化」は"後天的に変化する"つまり上記の定義で言う所の「TSF」に相当するジャンルに対しても使用されることも多い。たとえばTSFの代表的作品と見なされる「らんま1/2」について「女体化」と表現されている例は多数見られる。また、TSFに相当する内容を扱っていながらも「にょたいかっ。」というタイトルの漫画作品もある。
なお、ややこしい事に、「女性化」はTSF側の表現であるとされる。(ごく少数だが「女人化」という表現もある) また、「性転換」はどちらについても言うことがある。
▲魔法、薬、呪い、病気、科学、超自然的な力などきっかけは様々だが、現実には不可能な男性から女性の完全な変身がなされるところがキモである。
変身者は肉体の性の差の象徴的な部分(乳房や性器など)にある!ない!一喜一憂し、現実には女性にしか(社会的に)認められない服装(スカートなど)や文化が数多くあり、変身者は男性の意識を有したまま、それらを体験することになる。
また異性への変身は単に体の作りが変わるというだけの話ではない。社会における関係性にも変化をもたらす。典型的な例としては変身前の同性の親友がそうだ。変身前は気兼ねなく話し合える仲間だったのに、変身して異性という関係になり親友から変身者への見る目が変化し、恋愛対象と捉えられたりもする。逆に(肉体的には)女性同士で恋愛関係に移行するというケースも。
多種多様な変化の分類(後述)によってそれぞれ変化の度合い・状況が異なりTSF愛好者によって好みの分かれるところである。
また、その変身の設定が可逆・不可逆(元の性別に戻れるかどうか)、強制・非強制(誰かに無理やり変身させられるか否か)によって物語における変身の深刻度が違っており、TSFというジャンルに何を求めるかで見る側の評価が変わってくるだろう。ものによっては精神までも女性化が進み、元の男性の人格を完全に忘れてしまうパターンもある。
元に戻ることが困難である場合に、その変身を変身者が受け入れるかどうかというのも愛好者の注目する部分である。
…ただ、その辺りの恋愛模様が「普通のBLとどう違うのか」と指摘されて忌避されることも少なくなかったりする。女体化と混同される事情もあってか、TSF好きの人はBLと同一視されることを非常に嫌う傾向にある。
…というか受け入れられない人にはいくらTSF好きな人が宣伝しようがばっさり切られてしまうジャンルである。ある意味で創作界隈の市民権だけで言えば下手をすれば単純な同性愛より見る目が厳しいとも言い切れない。さらに近年WEB系の商業進出作品に必要性が感じにくいTSF要素が混じることが増えたせいで、ことさら嫌悪感を煽っている公算がむしろ高くなっている。
なお、海外やPIXIVではビジュアル的にわかりやすいからか「シークエンス」とも呼ばれる徐々に性転換していく過程を絵で表現したものが多く、WEBノベルなどでは上記に挙げた性転換後の自他の関係や心理の変化を重視する作品が多い。ただしシークエンスを扱う作品は絵はPixiv内では近年減少しており、どちらかといえば同人誌や有料サービスに進出しているケースが目立つほか、Pixivでも日本人作者より海外作者による投稿の方が比率が増えている。
▲TSF同様の倒錯系アブノーマルながら、「ふたなり」や「男の娘」はそれなりに萌えジャンルとして市民権を得ている。両者に比べるとTSFはまだまだマイナーなジャンルと言えた……のだが「ふたなり」に関しては題材上はどうしてもエロにせざるを得ないせいか一般商業向けではほとんど使えず、「男の娘」にしても一定の勢力は保っているが全盛期に比べると作品数の割合は減少しているため、相対的に「TSF」の方が商業作品では近年目立つようになってきている。
というかTSFに関しては頻繁に男の娘と混同されている(萌えシチュとしては男の娘よりも女装の方が近い) これはよく知らない人にも当てはまるのだが、ネット界隈でもかつての最大手だったTSF小説投稿サイトが、女装・男の娘のみのSSに関しても基本は非推奨ではあったが取り扱っていたり、女装ベースで不完全な性転換(遺伝子上は男性のまま)というシチュエーションもTSF界隈で市民権があったりしたので、TSF愛好家だと全部イケる人が割と多かったのも混同される要因かもしれない。
理由として、「一目でそれとわかるインパクトよりも段階的な変化を重視する」傾向がその一因として挙げられている。上述の2つは「ナニが生えている」「実は生物学的に男」という一発でどのようなものかわかる属性なのだが、TSFは性転換の過程やその後の描写こそが最大のキモなためどうしても1発のインパクトに欠けるのだ。
3者の共通点としては、外見上は女性だが男性的な要素を内部に含んでいるという点があげられる。逆に、こちらのアンデンティティは上述の多種多様性ゆえに基本部分さえ押さえておけば、様々な萌えシチュエーションとの複合が可能という点。実際、TSF以外の萌えシチュエーションやフェチズムを同時に愛好している人は結構多かったりする。
一方で「女装(男の娘)」と「TSF」を同時愛好する人が多いのは上述したとおりだが、逆に混同されるのを極端に嫌う人がいるのもこの界隈の業の深いところであり、女装主人公が登場する「おとぼく」ではTSF要素を取り合えずぶっこんだ結果、その部分だけで地雷扱いして嫌悪した人もいるほどである。
先述したように、TSF願望(美少女になりたい)とホモの違いは人によってはすんなりと分かるのだが、分からない人にはいくら説明しても理解できないようである。
簡単な説明は難しいからか、物事を厳密に分類することができず大雑把な人間ほど下記の説明をしてもなおも納得しないようである。なお、この説明はあくまで一例であり。他にも様々な説明方法があるがここでは筆者の見解を述べたい。
一部の派閥は美少女になって男に犯されたいと思う人がいるが、これはホモとは似て非なる概念である。実際の所こう思ってる人でもホモはほとんどおらず、普通に女性を求める男性が多い。
それというのも今の自分はれっきとした男性であり、今のところは男性である以上女性を求めるわけである。さて、彼は美少女になりたいわけであるがもちろん女装や男の娘等ではダメである。美少女になったら当然性別は女性になるため、男性を求めるのが自然だからである。
また、もっと簡易な説明では磁石のN極(男)とS極(女)にも例えられる。美少女(S極)になることに憧れるものの、今の自分(N極)のまま男を求めるのはゴメンであるというわけである。
性同一性障害ともまた異なる、むしろ上記の説明を見て分かるように、むしろ性別が曖昧なのではなく、かなり厳格である。
▲本人の性別のみが変化する場合を指す。
この場合、本人の記号(髪型や顔など)を残しつつその性別ならではの変化(男性から女性であれば、全体的に丸みをおびるなど)が発生する。周囲の人間はその変身者が同じ人物と認識できるものの、性別が変わるというだけで社会における立場は大きく変化してしまう。その本人や周囲のとまどいが注目のところとなる。
性別の変化の仕方は様々であり、例えば「性別が変わってしまう」というTSF作品にとって都合の良い病気にかかってしまった場合、病状の進行に伴ってだんだんと肉体が変化していくパターンが考えられる。また神様の力や現代医学を超えた謎の薬、その他のアイテムなどで瞬時に性別変化するパターンもある。総じて変化の過程の描写が作者の腕の見せ所、だと思う。また性別が固定で生まれてくる世界観のため、第二次成長期に性別が決まるというパターンも存在する。
性別変化した人物に身近な女性(母親や姉妹、女の幼馴染みなど)がいた場合、多くはその人物のよき理解者となるが、中には理解がありすぎて女物の服をどっちゃり持ってきて性転換した人物を着せ替え人形状態にさせてしまう事も・・・。
かつてのTSFのネット界隈では変身とともに長らく最主流だったが、近年のSNSでは最主流からは外れている影響で割合としては減少しており、近年の性別変化の作品は無料のネット小説やイラストより有料の同人活動やパトロンサービス、漫画アプリなどで活路を見出そうとしている作者も見かけるようになっている。
これらをメインに描いた作品としては
『らんま1/2』、『問題ないねヒデユキ君』、『かしまし ~ガール・ミーツ・ガール~』、『境界の無いセカイ』、『シムーン』
などがある。
まったく違う(もしくは新しい)存在の異性になる場合を指す。例えば、今日はパロディとしてもよく使われる「男性が魔法少女が変身してしまう」などもそうだろう。上記の性別変化と違い、変身者は変身前と同じ人物と認識されない純粋な異性になることになる。
性別変化同様にTSF好きからは人気の高いジャンルであり、かつ一時期はアニメ化などでメディアに多く上がる機会もあったが、現在は性別変化と同様に最主流ではなくなっている。
これらをメインに描いた作品としては
映画『SWITCH』、『俺、ツインテールになります。』、『けんぷファー』
などがある。
複数の人間(男女)の体という入れ物と記憶・精神といった中身が交換される場合を指す。
この変身の特徴として変身者は入れ替わった相手の社会的立場もひっくるめて得ることになってしまうこと。第三者から見て外見上の変化はなく、入れ替わった人物が社会との関わりが深ければその人物としての振る舞いを強制される展開となる。
また複数の人間が巻き込まれるため、ドタバタ感も強く全体としてコメディとしての色合いが強い。上記の性別変化と違って外見上の変化はないため、人間が演じても無理なく導入できることもありこの設定を採用するテレビドラマも多い。一番身近なTSFと言えるのではないだろうか。
単純にして簡単なドタバタを作れることから、ある作品の1エピソードや二次創作などでもよく採用されており、特に『君の名は。』が大ヒットした影響もあるのか近年のTSF界隈では最主流といっても過言ではない。
これらをメインに描いた作品としては
映画『転校生』、『僕と彼女の×××』、『山田くんと7人の魔女』、『君の名は。』
などがある。
体から魂という中身だけの状態になり異性の体に入り意のままに操る場合を指す。
また取り憑いた相手の意識のあるかないかで作品の幅があり、相手の意識がある場合は「精神同居」とも呼ばれ、こちらはコミカルに描かれる場合が多い。少なくとも取り憑いている間は相手の意識を完全に押さえ込んでいる場合は主にホラーの文脈で用いられることが多い。後者の場合、図式としては確かにTSFだが、あまりその変化に言及されることが少ない。
相手の立場を得るという意味では入れ替わりに近いものがあるものの、純粋にTSを求めるものからすると入れ替わりの場合、自分になった相手が行動を縛る存在に映る場合があり、それらを払拭し純粋に相手の存在に成り代わる部分だけをクローズアップしたパターンともいえる。
間違って死んでしまって一時的に他人の体を借りて生き返るなどもこのパターンの範疇だろう。