健文の問診表生放送

タケフミノモンシンヒョウ
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解説

健文の問診表(たけふみのもんしんひょう)とは日本ライトノベル作家美濃健文が提出した彼の問診表である。

この問診表は2013年12月24日ニコニコ生放送「❤Dr.ちーめろ診療所 クリスマス特別出張放送!サトウキビナース付き❤ o(・”・)o」において提出された。彼はこれを問診表として提出したが(結果的に)問診表の形式を少しばかり逸脱することとなり、不本意にも彼の処女作と認識されることとなった(彼はニコニコ大百科において三部の小説表しているがいずれも未完である)また、問診表の提出後美濃は「原因不明しい頭痛」に苛まれ(更新現在)自身の診断の結果を知らないまま今も病室のベットで眠り続けているという…。

健文の問診表 全文


      Dr.ちーめろクリニック 問診表
――――――――――――――――――――――――――――――

下記の項について記入し、
 メールxxxxxxxxxxxxxx)までお送り下さい。

――――――――――――――――――――――――――――――

■お名前・ご年齢・性別

 


■どうされましたか?(悩みなど)

 Dear.Chi-

人の生きる時間は、残酷で美しい
最後に君と連絡をとってから、どれほどの時間が経っていただろう。

ふとの噂で、純くそれでいてやかで心地よい、天使のようなを持ち、うるうるとのようにかわいらしい瞳をした細身の女性が小さな病院を開いたと聞いた。ちょっと太めのナースと二人でまわしている。一見ただの病院だが、二人の診察を受けているうちにどんな厄介な患者もたちどころに回復してしまう、魔法のような病院、という噂だ。

もしかしたら、と思った。

もちろんそれは、何の確信も持てないことだった。これは年若い者の追いかける運命にしてはあまりにもできすぎている、と思ったし、仮にこれが偶然であったとしても、この偶然をすぐに受け入れることにはぼくの心は耐えることが難しそうだった(そう、ぼくは本当に変わってないんだ…)実際、ほんの少しこの“予感”を心に思い浮かべただけで、ぼくは胸がどきどきして、今にも走り出しそうになった。実をいうと、少しだけ外を走ってしまったよ。みんな笑っていたけどね。

それはとても苦しいことだったから、ぼくはこの“予感”を予感のまま終わらせておこうと、思ったよ。
その方が、自分にとって楽だったからだ。(「事実を知ることのおそろしさは自明の話」だったね)

しかし、それからというもの、ぼくの心はその「もしかしたら」にとらわれてしまった。
気がつけば、何をしていても「もしかしたら・・・」と思う、その気持ちは高まるばかりだった。
(このときの苦しさを今わかってもらおうとは思わない。結果的には一時のことだったから、そのまま心にしまっておこうかとも思う)

事実を確認、するべきか。
予感のままにしておくか。

何日苦悩しただろう。
思い返せば、答は出ていたと思う。
ただぼくはその答を肯定するための「自分を安心させる理由」が欲しかっただけなんだ。しかし、そんなものはない

結局勇気だけが、この迷いを一つの新しい答に導いてくれる。
そう思い、ぼくは繰り返し、自分を励ました(どうか笑って欲しい、色々な方法を考えたが、この問題について自分が自分にできることは、それくらいだった)

簡単なことだ。病院までいって、医師の存在を確かめる。
簡単だった。

ぼくの予感はどうやら当たっていたようだ。

千尋、君はとうとうをかなえたんだね。

君が気づくはずのないほどの僅かの時間だったけれども、実はそのときの外から、熱心に診察をする君の姿を少しだけ、ぼくは見たんだ。

君も変わってなかった。
何一つ。
なんて罪深いほどに、美しいだろう。

君はそのとき丁度、診察台に仰向けになり足を広げている、お年寄りの患者のをのぞいていたね。
あれは一体なにをみていたのだろう…?
その後、君は迷いなく(野獣のように厳しい表情をしていた)その患者のに細長い器具を挿入していった。苦痛のためかそのお年寄りの患者はのけぞっていたが、重症の患者だったのだろうか。病院とは本当におそろしいことをするんだね。
僅かの時間といいながらも、その絵の異様さにややも意識を取られ、ぼくはいささかの間、ことの末を見届けていた。
何より、しばらくお互いの心を合わせていないうちに、君という静かな動物が、そんな野獣のようなこともできるようになっていたことが、ぼくに衝撃を与えたことを、速やかに打ち明けなければならないね。
(もしかすると少々、話の飛躍についてこれなくなっているかもしれないと心配になったが、頭のいい君のことだから、きっと全てわかって読んでくれているだろう。自分の考えがむことなく相手に理解されることの心地よさは、君との対話でしか味わえない快楽だったと、今思い出しているところだ)

たしかに、ぼくは君に幻想をいだきすぎていたかもしれない(昔もよく、君がぼくにいっていたところだが)君が医療をすと聞いたときにも、ぼくは随分君に、不必要な忠告をしていたと思う。

医療は、決して生易しい世界ではない。
血とと、死の香り、人の生々しい痛みと常に向き合わなければならない、過酷な職業だ。
はっきり言って、ぼくにとって「それだけは絶対にできない」と思える仕事だ。
ひょっとすると、そんな世界に君を送り込むわけにはいかないとも、言ったかもしれない。
(愚か過ぎるぼくが、君の純な気持ちを少しも推し量ることができずに投げつけてしまった言葉の全てを、取り消すことができるなら、どれほどよいか。でもそれは、あまりにもの良過ぎる話だ。投げたぼくよりも、投げられた君の心についた引っかき傷の方が、よほど慰められなければならない所だ)

君の決意は揺らがなかったよね。

当時は人の手に触れることもしていた君が、初めて患者の血を見たとき、一体何を感じたのだろう。

君はきっといつもの気丈さで「こんなもの、すぐ慣れる」といたことだろう。周りの人にも、自分自身にさえも。
そうく少し前に、そのよりもやわらかい感受性が本物の血の衝撃を吸収してしまっていることを、全くに悟らせることなく。(君が他者(事物(自然存在的)に関心なもの)の不用意に見せる野蛮極まりない「出来損ないの善意」に対して嫌悪感を催し反射的に心を閉ざすときの速やかさとその技術(ぼくは技術という言葉を広範に用いる)は一種の芸術品だ)
そして君は、表情一つ変えずに、生まれて初めての「人を切る感触」も乗り越えたのだろう。
あくまで、でも切るように、だろうか?

を切るといって、思い出したものがある。
少し読みつかれてきたかもしれないから、ここででも読んで気分転換でもしよう。

***都合により削除

言うまでもなく(いつも本の虫だった君に解説を試みるだけで恥ずかしい気持ちだが)石垣りんの「儀式」というだ。思い出したが、図書館で遊んだときに、君とこれを読んだことがあったね。

君はたしか「頭をブスリと落す」などと書いてあるこのに「なんだか気持ちが悪い」と言っていた。
今はどう思うだろう?

ぼくはこのエロティシズムの本質を言い当てていると、思うよ。
生き方に焦点を当てているようだが、ここで問題にされているのは、流しの前に連れて行かれたにされている仕打ちの方だ。(「説教ではない」という君の言いつけを忠実に守っているつもりだが、どうだろう?)

それが現実だからと、を覆いたくなるような血生臭いものを事実として認めさせられる、というものの宿命は、気の毒なものだと、まず簡単に考える。
だが、きっとここでぼくたちは、一種の感覚の芽生えをなるべくく、自己の中に発見しなければならない。
若いの前で、の頭が「ブスリと落される」とき、
それは背筋が寒くなるほどの、暗い奮を覚える。

きっと君は感受性が強いから、そのことを当時既に感じたのだろう。だがそれを言葉にするにはまだ若く「なんだか気持ちが悪い」以上の表現はしなかった。
でもそれは、君の中にエロティシズムが芽生えつつあったことの明に、なってしまうのかもしれない。(またぼくは自覚に(本当に自覚なことなんだ、許してほしい)君の心のデリケートな部分に踏み込んでしまったのだろうか)
今の君が、の頭を「ブスリと落す」ように、年寄りのに器具を挿入していることも、矛盾のない出来事であるのかもしれない。

少し疲れてしまったから、続きはまた明日書かせてもらうよ。おやすみ。



散歩をしていたら、道路の小さな歩子供ボール遊びをしていた。少しだけ危ないが、あまりの通らないだから、もあまりうるさく言わないのだろう。子供世界だ。あまり悪者にもなりたくない(悪者になるべきかもしれないが)

昨日は途中で筆を折ってしまって申し訳なかったね、話の続きをしよう。
といっても、どこまで話したか忘れてしまったな。(ぼくの創作いつもここから始まる)

ところで子供の話がでた。千尋、君は今も子供が嫌いなのか?
昨日の話を少し思い出してきた。「人の血を見ることができるか」という話だったね。
子供ある意味一種の自然だ。存在そのものが血のようなもの、ということもできるだろう。
事実全ての命は、人の血から生まれてくるのだから。

きっと君は、子供という自然に全うに対峙することはできる。
何より君は(今ここでぼくがいくら説しようと認めてはくれないだろうが)非常に高い性をもった女性だ。
おそらく本質的に、本当の子供に対する情は溢れていることだろう。それでも君は自分の情を否定せざるを得ない。
君が嫌っているのは、々に大人となっていながら、子供という地位の特権に甘んじる、薄汚れた「子供ぶる大人」のことだ。それは、年齢的に子供であるようなものでも、少なくない。
それは君らしい表現をすれば「幼い人」というところだろう。「幼さ」が身勝手さと同義のようにいてしまうのは、いささか悲しいことだけど、それも一つの血の事実であるのかもしれない。

千尋は、出産覚悟はあるのだろうか。

ひょっとすると男子の方がその痛みを考えることが多いのかもしれない。それは存在しない痛みであるからだ。
ここで「存在しない」とあえて表現したこと(「経験しない」ではないか?と思うところだろう)は、出産を考えたときにぼくの頭に不可避として「死」が連想されたこととつながっている。
ぼくは驚くほど、死に疎い人間だ。それが一種の劣等感にもなっている。
ぼくはあまりいい家族を持っていないから(もちろん、武夫兄さんや猛さんには感謝しているが、どちらも自分のことに中であまり特別にぼくをみてくれるような人ではなかった。君もよく知っているように、母親はあんな人だし、父親の顔は見たことがない。もしかすると、均なのかもしれないが、ぼくは家族の中にいて「家族といる」という感触がなかった気がしている)その死別というものにも想像が及ばない。
だから、ぼくの書き出すフィクションではいとも簡単に(本当に、ほんの一コマの、意識が緩まっているだけの間に)人が死んでしまうのだと思う。ぼくは別に死体フェチでもないし、なるべく登場人物を殺すべきでないこともわかっている。だが、頭の中でそれが死んでしまえば、それはもう二度と話すことはない。死の事実を書き下すしかないんだ。

出産の話をしているのだったね。
ぼくは、これほど人類の時代が進んでも、男女という性機分割があり、生殖行為を分担していることが一向に善されないことが、不思議なことと感じることがある。

いや、そんな話をしたいわけではない。
ぼくが関心をよせているのは、あのおそろしい血の匂いと君をこれ以上近づけていたくないという、極めて身勝手な願望、それをどのように君の前で表現したらよいか、ということだ。

わかった。ぼくの負けだよ。この話については退散する。ぼくはただ君のことが心配になったんだ(ひょっとしたらこれは「出来損ないの善意」だろうか…?自己矛盾に陥るのでこれ以上は考えないことにする)調子が悪くなったからまた明日書くよ。



今日の日だ。とても身体が寒い。寒いけど、一言だけは何か書いておきたいと思う。おやすみ。



胸が焼ける。苦しい。どうしたらいいだろう。
この文を書き始めてから、ぼくは君と共有した心の世界を一つ一つたどっていくような、まるで昔よくデートした場所を二人でもう一度回っているような気持ちだった。
しかし、そんなことをしているうちに、ぼくは一度全に封印して、忘れてしまったはずの、ある恐ろしい場面に突き当たってしまったんだ。

まず、このぼくのに焼きついているに残っている音すべてが、間違いのないものであるのかを、君にいつか尋ねなければならない。だが、きっとすべて本当のことだろう。
ただ、それを残しておくことがあまりに辛かったから、ぼくは全てを忘れてしまったんだ。

千尋は全て覚えているのだろうか?
ぼくたちは、一度、一緒に旅行にいったんだ。
学校を休んで?いつだったか、よく覚えていない。
だが二人で何時間も、電車に乗っていた。それをよく覚えている。あれは旅行だった。
君はずっと寝ていた。
ぼくは、田舎電車ゆっくりとした音を聞きながら、その寝顔だけをいつまでも飽きることなく、みていた。

そして君はふと、を開いた。
寝ていたはずだが、寝ぼけているのでもない、かといってはっきりもしていないようだった。
落ち着いていて、まっすぐにこちらを見ている。自分にはいつも真実しか見えないというような、寂しさを残して。
そのとき、

君はぼくに、結婚しようと言ったよね?あれは、本当だったのか?

その一言だけを言って、また君はを閉じてしまった。
ぼくはその一言を今ここに書き出す間まで、ずっと心のにしまいこんでいた。
それは向かい合うには、あまりにも強すぎる言葉だったからだ。
今も、これを書きながら、ぼくは手が震えてしまっている。
もしかしたら、おそろしいことを思い出してしまったのかも、しれないんだ。



ぼくは一度自分の書いたことを、書き直したいと思わない。
ぼくにとっての「書き直し」はすでに書いたことを元に新しく何かを作るということで、それはもう新しい言葉の世界になってしまっていると思う。
それでも昨日つい中で書いてしまったことについては本当の「書き直し」をしたいと思い、苦悩が止まらない。
どうしてぼくはいつもこのように、自分で必要のない深みにはまり込んでいくのだろう。

もし君がぼくをいたわるべきものと思うなら、昨日ぼくの書いていたことを、一度は笑ってしまってはくれないだろうか。君がそのようにしたと思うようにしなければ、ぼくはきっとこの文を最後まで書きとおすことができないかもしれない。
何を一人で焦っているのか、と思うだろうか?
だが、想像してごらんよ。一人の心弱い男子が、苦しいほど愛し続けた者に、結婚の意思を告げられることの痛みを。
それは、出産の痛みをえているのかもしれないよ?

だめだ、今はもうペンを持つこともできない。もう一度散歩してくる。
戻ってきて、何もできなかったら、ぼくはもう終りかもしれない。



書くことをやめたつもりはない。たしかにあれから4日もいていたけれど。
だが、こうして多少冷静になってみると、まだたったの4日しか経っていないのか、とも思う。

ぼくは人の感じる時間の長さは、大きな幅があると思っている。
何もできなくなったときの感じる時間の痛みとその長さは、絶望的だ。
おそらくそんなときいつもぼくは、人の感じる100年は苦しんでいると思う(つい大な表現になっているが、これは調子を取り戻したことから多少羽を伸ばしたいという陽気な気持ちの表れなのだと思ってほしい)

気がついたら寄りをし過ぎていた、と思う。どこに立ち戻ったらいいのか、ぼくは近所を隅々まで歩き回りながら、考えた。

お年寄りの不思議な器具を挿入していたところから?
病院魔法から?

ちょっと太めのナースのことだ。
あれはひょっとしたら(いや、一度気づいてしまったら、どうしてそれほど自然な解がこれまで滞っていたのかわからなくなる)さやかではないか。
さやか以外にはありえない。

そうなると、せっかく調子を取り戻したばかりのぼくの筆は重くならざるを得ない。
君も知っての通りのことだ。
きっと君たちはもう、そのことを共有しているだろう。そのことをどのように、解釈しているのか。
もしかするとぼくは君たちの世界においてとうの昔に「人とは思えない怪物」となっているのか。

たしかに、さやかには悪いことをしたと思っている。
だがそれは、仕方のないことだ。
彼女彼女なりに純に、ぼくに思いを打ち明けてくれた。それはわかっている。
そんなときぼくは一体、どうしたらいい?

さやかに魅がないとは思っていない。
むしろ、人一倍あるだろう。
だが、いくら魅があろうと、それと何かを愛することは違う。それはどこまでいっても違うことだとぼくは思っている。

たしかにこれは、今の感覚ではないだろう。
(今?随分ぼくの言葉も高飛車になったものだ。ただぼくが言いたいのは、魅があって、相手が好意を抱いているのであれば、さしあたり応じるべきだという一種の流行的な感覚だ。その流行は、正直言って、ぼくにはついていけない。だってそうじゃないか?その部分こそが(つまり「非情な選択」であることが)足らしめているというのに、それを放棄するということは、ぼくたちはただ繁殖するばかりの、動物か、ひょっとしたら、バクテリアにも満たないものに、成り下がってしまうことに、ならないか?)

ぼくはこれを書いていて、痛に呻くほどの痛自己批判に行き着いた。ぼくは何のために今さやかの話をだしたのか。
たしかに「ちょっと太めのナース」がであるのか、に立ち戻るまではよかった。だがその後に、さやかがぼくに好意をもっていたことと、それをぼくが受け入れなかったことを、ここまで詳細に君にることに何の動機があるのだろう。ぼくは今、必死に自分の後ろめたい気持ちを隠しきろうと、君の前で何かを明しようとしているかのようだ。その卑怯さに気づいてしまった今、あまりに恥ずかしくて、君がまっすぐにぼくの方を見つめているのを感じる。
君は全部お見通しのようだ。
ああ、またぼくが君の前で、つまらないごまかしをしようとしていると。

どうしよう、顔に火がついている(こんな幼稚な表現に逃げ出すほど怯えてきている)
君は今のぼくをどのように見ているのか?

ぼくは君のその(あえてこの状況を打開するために反抗的な表現を使うなら、悪魔的とも言える)線を浴びているとき、まるでまだ尿便の管理もできていない幼児が、歌を歌っている最中にそのの中のものを出してしまっていたときのような(そしてその後、幼稚園先生オルガン演奏をやめ、酷い臭いに騒ぎ出す園児をなだめる。ムスっとして固まっている一人の園児を見つけて、着替えるために別室につれていく)プライドの崩壊を感じる。ぼくは防備にも、先生が自分にすることに一切抵抗が許されない。しかも先生はそのようなとき、いたって淡々としており「あらあら」と微笑みを浮かべたりもする。そんなかわいいものを見たかのように笑われることが、もっとも恥ずかしいことだと思う。どれほど小さくても、誇りは持っているのに。

ああ、だめだ。
やっぱり、恥ずかしいやつだと思っているのか?




また気分が悪い、しばらく眠らせてくれ…。すまない。



今日は久しぶりに買い物に出かけた。ちょっと気のいい店員がいたんで、ついジャケットを新調してしまったよ。
カラスゴミを漁っていた。が遠い…。

ぼくのことをまだ許してくれないのか?
別に責任転嫁をしているつもりはない。
というより、君がぼくのことを許すかどうかの検討に値する存在として、今も置いてくれているのか、をまず考えなければならないのだろうか。

だ、またぼくは「いつもの」に入ろうとしている(見ていられないだろう)いつもこのに入ってしまうから、ぼくは君に本当の安心を与えることができない。
ぼくは反省はしている。いつも反省だけはよりも細やかに(しいていうならそれだけがぼくの性の才かもしれない)だが、いくら精緻な反省をしてみせたところで、君の気持ちが根本的に動いてくれるとは思えない。

困った、どうしたことだろう。
だが、こうして書いておいて、ぼくはまた卑怯な自分に気がつく。つまり、困っているから、その困っているままの自己を吐露してみさえすれば、そんな自己像を「らしいもの」と思ってくれるのではないか(むしろ、そう思われることが都合がよい)と打算しているのだ。なんで気づいてしまったのだろう、そんな醜い打算をしていたら、もうぼくは嫌われてしまう。

いけない、もう「いつもの」から戻れなくなっている。
助けてくれ…千尋



ヒヒヒヒヒ…
ヒヒヒヒヒヒ…
ウヒヒヒヒヒヒ…

ひっひっひっひっひっひ…
ひっひっひっひ…

ちちちんちちんぴょろろ~♪
おっぴろげ♪

ぷちぷちぷっちん
ぷちぷちぷっちん

わーいわーいたのしいなたのしいな
楽しいんだ。楽しいんだ。
わぁい♪楽しい♪楽しい♪
いが、楽しくない…助けてくれ…頼む…ここから出してくれ…
お願いだこの世界からぼくを、出してくれ…
ヒヒヒヒヒ…ひひひ…頭が…頭が…
いひひひ…うぅ…だれか…ヒヒヒヒ
うぃぃいい!
嫌だ
うわあぎぐ〔※用が破損しており読めない〕



〔※押しが貼ってある〕



まったく君は、本当に罪な女性だな。
と、ぶしつけな言葉から始めよう。

もちろんこの間のことは、全なぼくの“野性”が露出したことになるだろう。
ぼくはまたやってしまった。
野性のまま、一方的に君を犯すという大罪。
その恥をぼくはまた自分の世界に流し込まなければならない(いつもながら、の折れる仕事だ)

どうして君はこれほどまでに、ぼくの心を狂わせてしまうのか。
どうしてこんな女に、ぼくは惚れてしまったことだろう。
(その悩みは駄だ。ぼやくしかない)

もう怒っているだろうか。それとも引いてしまったのか…。
これで終わってしまうなら、仕方のないことなのかもしれない。
そんなに、嫌われることなら、慣れている。
大丈夫だ。もう終りにするしかないなら、ぼくは消えてなくなる。
そう。わかった、消えてなくなるしかないだろう。



もう、何も書くつもりはない。
この文も、念のために残しているだけだ。
だからここに書いているのは単にぼくの独り言だ。
も読まない。ぼくしか知らない。
ぼくの中の、彼女しか知らない。



今日も、何も書かない。あれは絶望だ。
人をするという絶望に、ぼくはもう耐えられないから、やめたのだ。
されることに絶望し、愛することにも絶望した。
ぼくはもう、そんなものとは縁の表現者として、生きるのだ。

生きる?本当に?
まだ生きるのか?

もしかしたら、今が「晩年」ということかもしれない。
なるほど、生とは上手くできている。

ぼくは、そのような存在だったのか。
本当に?
ここで絶望し、絶望のために生を失う?
そんな、つまらないことのために?

だめだ、これはもう存在しないものにあてた手紙だ。
これに何を書こうと、心の中が散らかるばかり。
明日こそ全てを破り捨ててしまおう。



もう終り。



〔※白紙



これはもう終り。



もう終り。



これは過去のもの。



ただの過去。もう終り。



〔※白紙



命を絶つ前に、自分を整理しておこうと思って、
部屋のものを、片付けていた。

ほとんどは、いらないガラクタ
電池が切れて動かなくなった腕時計
ぼろぼろのハンカチ。
かにもらった玩具菓子おまけ人形

全部捨ててしまおうと思って、捨てていった。
あれもこれも、いらない。
全部いらない。これも、これもいらないと。

カセットテープが、出てきた。
身に覚えのないものだ。
ぼくは何かを録音した覚えはない。
ラベルも貼られてない。

だがそのカセットテープは、新しい。
最近撮られたようだった。

ラジカセに入れて、かけてみた。

天使が、入っていた。

愛してる
言っていた。

ありがとう。本当に、ありがとう。

〔※用の濡れた跡がある〕



ほんの少しずつでいいと、今は思ってる。
絶望することも、絶望しないことも、少しずつだ。

ぼくが今考えていることは、もっとシンプルなこと。

君のカセットテープがなかったら、危なかった。
ぼくの提案した、あの何よりも難しい言葉に、君は挑戦してくれたのだったね。

本当に美しかった。のように。
君はがこの世にもたらした、奇跡の人。女神琴か、天使フルートか。
これほど美しいものがあるのに、どうしてぼくはあんなつまらないことに悩んでいたのか。
この美しさがありながら、なぜ生きることをやめなければならないのか。

ぼくは、傲慢だった。大変な思い上がりだ。
気がつけば君を一人の体として認識しようと、しつつあったのかもしれない。
(と、なんとなく書いたが、この意味を深く検討しないまま進もう。君のの聞える方向に)

君はそので、自分の傲慢さの前に自分を見失っていた、ぼくを救ってくれた。
暗闇の中に手を差し伸べ「大丈夫、あなたはちゃんと今もここにいるよ」と、をかけてくれた。
暖かい手の温もり。女神の抱擁。
君は何もわかっていないかもしれないが、そのがどれほど素晴らしいものか。

大丈夫。もうぼくは、生きられる。



多少恥ずかしくなってきた。君もこの間のぼくの様子には笑っただろう?
たしかに、あれほど女神だ、天使だと繰り返しているのは、今読み返すと滑稽だ。
ああ恥ずかしい恥ずかしい。

まあ、それはいいことにしないか?
圧倒的な絶望感が、あの一で、ふっと飛ばされた。それからは、ゆっくり回復だけしている。
気がつけば、何日も何も食べていなかった(ぼくの悪いだ)ちゃんと栄養を取る。睡眠

まだ時間がかかるかもしれないが、確実にぼくは調子を取り戻している。
元気になったときに、伝えたい言葉があるんだ。
それは今のぼくではない。元気になったぼくが、君に伝えてくれるはずだから、楽しみにしてほしい。
あと少しだから、もう少しだけ待っていてくれ。あと少しで、ぼくはそこまで来れる。

もちろん、これまでぼくの書いたことで、君を不安に思わせてしまったり、驚かせてしまいそうなところは破り捨ててしまうこともできる。
だけど、それは君が本当に望んでいることだろうか?
君が知りたいのは「本当のぼく」だと思ってる。(それとも、作りこまれた“理想人”の方が好みだろうか?仮にそうであったとしてもその“理想人”は理想人であることを実行し続ける一人の生身の自己として結局は「本当のぼく」に向き合うことを避けられないだろう、その意味で結局人が知りたいのは「本当のぼく」ただし、日常で見ていたいのは“理想人”かもしれない)
もちろん、本当は見せたくない。恥ずかしいし、君を傷つけてしまうかもしれないと思うと辛い
でも、やっぱり破り捨てることはできない。
たとえ、自分を見失っていても、苦しんでいても。それもぼくであることに変わりはない。
それを否定したら、きっとぼくは君と本当の意味で一つになることはできないから。
だから、全て残しておくよ。ぼくが何を感じていたか、心の動きそのままのぼくを見てほしい。
笑ってくれても、怒ってくれてもいい。
ぼくは、よりも君を信じているから。



おはよう千尋今日はずいぶん気持ちのいい覚めだった。こんなにたっぷりと熟睡できたのは久しぶりだったかもしれないな。(なんて当たり前のことを書いているのだろう)
今君はどんなところで、どんなを迎えていることだろう。千尋は昔から夜更かしで、気で明け方まで起きていたけど(そして間はいつも眠い眠いと言っている)今もそんな調子なのかな?学生の頃の千尋イメージというといつもそんなに、ふと見るとうとうとしている。授業も教師の話がつまらないと気で寝てしまう。その割りに成績はよりもいい(いつも熱心に全てのノートをとっていたぼくが、君にテストの成績で勝てたのは数学の幾何のテストだけだった(ぼくは代数も得意だったけどいつもつまらない計算ミスをしてしまうから、結局数点の差で一度も勝てなかったね)あと、保健体育の小テストでも一度勝ったことがあるが、覚えているかな)…と思ったが、ぼくと君とは学校が違っていたね。今のは全てただのぼくの想像だった。すまない。
君はきっと好奇心が強いのだろうね。だから、ぎりぎりまで何かを見ていたいと思い、寝てしまうのがもったいないと思う。実をいうと、ぼくもそうなんだ。たしかに、寝ている間に人は身体を癒し海馬記憶を整理し、不要な記憶圧縮し、と重要な体内の手続きを行っていることは聞いている(その話を他人にするのがやたらと好きな人種がいるよね?あれは何だろう。話が飛ぶが、マスメディアで言説される“健康情報”のほとんどが、朝食を重視した上での3食の食事(特に和食野菜の摂取)と、適度な睡眠継続的な運動の3点に集約されてしまうのはどういうことだろう?総理大臣国会答弁の中で「民の健康のために大切なことは早起き朝ごはんであります」なんて大に答えていると、このの考えていることって基本的に底が浅いんじゃないか、なんていうのは大だろうか。思わず睡眠の話からの話に連想を進めるのはやめておこう。政治のことは考えないに限る(知れば知るほどわからなくなるから。ただしああして自ら泥をかぶる決意をした人たち(先を急ぎたいのでかけ足の表現になってしまうが)は基本的に全て敬意を表しているつもりではあるよ、あれもまた、情報戦を専門とする職人集団と思える(様々な思索の発展の可性だけを含めつつ日常の立脚点としてごく静な実学志向に落ち着いている(そうすることができる、というべきか)君が今に及んで特定の思想に傾倒しているとは思えないが、念のため)全く関係ないがこの間、君が薦めていた「大衆の反逆」を読んだよ。相当古い書物なのに現代社会の迷走をぴったり予言していることに恐怖感すら覚えた)話が横に飛びすぎた、何の話をしていたっけ?そう、君の好奇心の話だ)それでも寝ている時間より、意識を持って何かの情報を得ている時間の方が好きだ。眠さをこらえてを酷使して(毎日毎日本当にこれの繰り返しだ)今日はここで切り上げようと床についた間に、新しい着想が浮かんで再び起き上がる、なんてこれまで何度あったことだろう。本当に人は困った動物だと思う。
しかし自分の述べたことと矛盾しているが、ぼくは千尋にはもっと眠ってほしいな。それは女性には子宮があるし、いつかもしかしたら生まれてくるかもしれない子供のことを考えると身体の扱いには慎重になってほしいと思ってしまう(論これがエゴだという自覚はある)いや、正直にいえば、ぼくは女の寝顔が好きなんだ。だから、ぼくの起きているうちに眠ってほしいなと、思っているだけ。すまない、なんでもないよ。気分がいいから、散歩から帰ってきたらまた話そう。

散歩から戻ってきたよ。なんの話だったか。
いらないものを捨てたから部屋がからんとしている。
またカラスごみを漁っていたけど、この町はきたない
ごみがあることがきたないのではなく、ごみがあっても気でいることがきたない
たしかどこかので、公共機関ストップしてごみの収集がされなくなり、中がごみであふれたことがあったよね。
(よく覚えていない、千尋は覚えているかな)
そのとき、社会にどっぷりつかっている、ぼくたちの自然の忘、れを感じている。〔※用の濡れた跡があり、文字の端が滲んでいる〕
きっとかれらは「拾うべき人が拾っていれば満足」であり、ごみがあることは不快ではないようだ。
ルールまもられていれば、ねずみがそこにいてもかまわない、整合していればいいということか、
もっとも、たしかに自分の心の中の何かと整合する以外に立ち戻るかんがえかたがあるのかと思えばそれも疑問だが、
現代人はルールへのあてはめの快楽にたよりすぎているきがしないかな
そのわりにつかっている構造はいつまでも進化しない(5形以上の図けいを使うことがめったにないだろう?)
どうして、ごみの話をしているのかな、
これからはなるべく、気持ちのいいことをしようと、思うのだけど、
気持ちのいいこと?ふかいいみはない。べつに。いきているだけ。
きみはどうしてそこまで女らし〔※読めない〕だろう。こんな美しいものが生まれてしまったなんて、
しあわせを感じることができる。ぼくはなみだがあふれて
なんだか眠くなってきた、ぅ、。、ぃ、〔※用の濡れた跡があり、文字の端が滲んでいる〕



が覚めたら夕方だった。何かしようと思って、ずっと後回しにしていたの拭き掃除をしたよ。一度始めてしまうと案外中になって作業できる。
思い出す、よく君にぼくの部屋が汚過ぎると怒られていたよね。締め切り前で煮詰まっているぼくの部屋にあがってきて、ご飯をつくってくれたっけ。しまいには辺りを片付け始めて、いくら時間がないからって顔くらい洗いなさい、くらい切れるでしょ(君はぼくの母親なのか?)(懐かしい)そのときにもよく言っていたが、別にぼくは汚好きじゃない(むしろマザコン育ちだから性根は綺麗好きな方だ)ただ一つのことに関心が集中すると他のことに気が回らなくなるだけなんだ。部屋掃除なんていうのは、一通りの用事が済んでふと気が向いたときに、一気に集中してやってしまう方が性にあっている。(こういう感覚はあまり女性には共感されないのかな?)もっともその「気が向いたとき」が中々訪れないこともあるのは問題かもしれないけども。
しかし、君はあまり人の世話をやくタイプではないと思っていたから、始めてそんな君をみたときは随分新鮮だったのを覚えている(「あなたの世話をやいているつもりはない、あまりに汚過ぎて動かずにいられない」だったね。ごめん)長い造作にゴムでまとめて、ワイパーも買ってないのか、なんて言いながらドタバタと動いている。ぼくは、正直その姿に見惚れてしまっていた。思わずの前の原稿を書く手を止めて、その至福の時間に酔いしれた。女が手を汚す姿は、美しい

実はもう中だ。の拭き掃除は時間がかかるから。変な時間に眠ってしまったから、今日まで眠らないだろう。このまま長いを一人で過ごそうと思っている。



愛している!愛している!愛しているんだ!どうしてわかろうとしない!
ぼくは君のことを愛しているんだよ!
〔※用が破損しており読めない〕ているから、ぼくは君を傷つけたくないと思ったんだ!
今は違う!ぼくは絶対に!君を離さない!どこまでも!

ぼくはまだまだ強くなる!ぼくはまだこんなものじゃない!
今は不甲斐ないけれど、絶対に君にふさわしい男として〔※用が破損しており読めない〕
自分に何が欠けているのか、言ってくれ!
本当に終わってなんかいないはずだ!ぼくは君のためにいくらでも傷つくことができる!
一体、何を恐れている?

よりも、
よりも、
地球上のよりも!

ぼくは君の生を歓迎している!
君のために、何が必要なのか、ぼくが何に気づいていないのか!

このぼくの気持ちを独占欲だと、そんな冷たいを、しないでおくれよ!
どうして、こんなに笑顔があふれているのに、ぼくを見た途端に笑顔が、消えてしまうのか
ぼくは君に襲い掛かる怪物じゃない、当たり前のただの普通の、人間だよ!
それがひょっとしたら、いけないのか!ぼくが野獣でないことが!
それとも、〔※用が破損しており読めない〕




酔っていただけだから、気にしないで欲しい。
どうしてあんなに酔っただろう。まだぼくの心の中に根強くも残っていた不安を再び君の前でさらけだしてしまうことになった。
本当に酔っていただけだ。ぼくはいつも自分が、君がみようと思えば見られる位置にいて、君がをかければいつものように笑っている、微笑ましい隣人であれば十分だと考えてきた。それで、きっとそのままでも構わないと、思っているよ。そのようにしてきただろう?
なんて、あれほど身勝手な言葉を繰り返した後に何を言っても、説得がないだろう。

いやそれでも、この件について君の誤解を解くことはあきらめよう。
一度してしまった情は、取り返しがつかない。潔く。

もうぼくのことは、怖いかな。
それは素直に反省するしかない。ごめんなさい。反省する。



今日はなんだか色んなが出てこない。眠ろう。



またやり直しだ。すべて始めから。
いつまでもいつまでも、またここから。そうするしかないということは、よく知っている。
何度でも戻ってこればいい。
やり直せると思っていることが、自惚れなのか。ぼくは、諦めていない。



ぼくがまた、逃げようとしていたんだね。この期に及んで。
もう行く先は決まっている。君が待っている、そこまでぼくは、行かないといかない。
まだ君に手を引かれることを期待していた。申し訳ない。
そこへいくくらい、ぼくは自分だけので、歩みたい。

もう少し、もう少しだ。あと少しでぼくは、君の世界につながる。
だからそれまで、どうかそこで待っていて欲しい。



〔※押しが貼ってある〕



何もない真っ白だ。
何も見えない。どうしても見えない。見えない。何も見えない。
か。〔※血がある〕そこにいるだろう!

あと少しだと思っていた君の世界は、どこにもなかった。
ここにいたはずじゃないか。
一体どこにいってしまったんだ。

ぼくはこの先君を追いかける方法が、わからない。

どの方向にいったのかわからないよ!
千尋!返事をしてくれよ!



そういうことか…。ぼくは君のいないこの真っ白世界を一人で、歩いていかないといけないんだね。どこに出口があるのかもわからず、どこに向かえばいいのかもわからない(ぼくの寄る辺とするものは、もう何もない。この身体以外には)ただ歩いていくしかない。ぼくは自分の置かれた状況をまっすぐに、受け止めようと思う。おそらくこれがもっとも長く、それでも最後の、歩くのはずだ。必ず君の世界まで、たどりついてみせる。今のこのぼくのは君に届いていないだろうけど、君のところまで行くよ。千尋



今日もぼくは一人で歩いている。今のこのも君は聞えていないだろう。でもぼくはもう、恐れない。歩くしかないから、歩くのだ。そう、そもそもぼくは、もう君と会うことはできないと思っていた。それがふとの噂で、君の開いた病院のことを、聞いたんだ。それも奇跡。もしそんな奇跡がぼく達に起こるなら、きっと何度でも奇跡は起こるだろう。運命で結ばれた二人とは、そのようなものだと思う。
一歩、一歩、確はない。それでも、不思議と足が進むのは、この一歩が君のところに(大事なところに?)繋がっていると感じるから。

歩いた先にあったのは、君とよく入った神保町喫茶店だ。覚えているだろう?「授業をサボる」が由来のあの喫茶店だ。薄暗い趣味のいい店内と、ちょっと想の悪い店員(老舗にはありがちだが)思い出したかな。今ここに久しぶりにきているよ。
どうにも行き詰ったときに、とにかく場所を変えるのは、悪くない。人って不思議なもので、意識に場所から受けるが、かなりあるらしい。(似たような理屈で、身の回りを片付けているうちに自然と心が落ち着くなんて話も、あるよね。おっとこの話は自分の首をしめてしまうからやめておこう)

ここでいつも、二人で何時間も顔をつき合わせて話をしたよね。

君は色んなことを話してくれたっけ。バイオリンの得意ながいること。小さな頃からあまり友達ができなくて、一人で遊んでいる日が多かったこと。自分のが理由で中学のときいじめを受けたこと、身を守るために生徒会に入って、教師に気に入られることで、いじめはすぐになくなったけど、自分はみんなに嫌われていると思い込んでしまい、中学高校はほとんど人と遊ばず勉強ばかりしていたこと。大学に入ったら急に人にもて始めて、何人もの彼氏と毎日休む間もなく遊び続けたこと(このことはぼくにはジェラシーだけどな…)どんなときも、自分は一人で、でもそれが当たり前で、いつの間に一人でいることが何の苦でもなくなってしまっていたこと。

君は一通りの話をした後で「よく色んな男性に『本当は寂しいんじゃないか』と言われたけど、自分は『寂しい』と思ったことは一度もない。今も心の底から楽しい」と言ったね。きっとそれは、強がりではない、間違いのない君の実感だろう。
きっと君に「本当は寂しいんじゃないか」と問うものは、その人自身が心の底から寂しいのだろう。だから、そういう人は素直に「自分は寂しい」と相手に伝えればいいんだ。そうすれば、君も相手の寂しさを埋めてあげられるか(そのようなゆとりを持ち合わせているか)考えることができる。その「自分が寂しい」を受け入れることのできないプライドが(もっともそんなやせ我慢のようなプライド男性線から見れば魅ではあるがね)やりとりを駄に複雑にしていると思う。
自分は寂しいにも係らず、それを認めない、そして自分は「を与えるもの」でありたい、そのくせに、そんな者の与えようとするはつねに的外れで浅はかで、幼稚だ。君の心の中の叫びを今代弁してみせよう。

『本当に、ろくな男がいない!!!』

これは的外れか?(おそらく幼稚で的外れな「を与える者」の代表であるところの、ぼくの誇大な妄想だろうか?)そう、ロクな男がいないんだ。長い時間をかけてじっくり愛してみたいと、思えるほどの。そして、この一点において、ぼくと君は本当に気が合う。偶然か同じことをぼくも考えているのだ。本当に、どこもかしこも、ろくな女がいない!本当に!

それは一つには、本当にろくな男も女も、自分の周りにはいないのだ、という命題に至る。何しろ探していないわけではないのに、いないのだから、仕方ない(そしてさらに偶像に走る)という納得がありえる。もう一つにはそもそもそんなものいるわけがない(存在しようがない、みんな同じ)という納得もありえる。だから、そこにいるものをせるかどうか考える、という態度だ。

あとは、本当は潜在しているが、自分がいい男(女)を引き当てるを持っていないのだ、という謙虚な態度もありえるだろう(このような態度は持ちにくいが。話が少々それるが「面い(笑える)か面くないか」と「かっこいいかわいい)かそうでないか」については全員が自信を持って全ての事物に答えを与えることが変わっていると思わないか。絵画や音楽などであれば自分が答えを出せないものに「わからない」という保留記号を与えることがある(というより、そのようにしているものの方が圧倒的に多いだろう)だがその残酷さが、これらの価値の純性を高めているとも言える)

もう一つ、この話をしていて、ぼくはある手痛いエピソード思い出してしまった。若気の至りとも言うことができるがね。ぼくはおそらく今と同じように、ある異性の前で(そのときにぼくの付き合っていた女性だ)いかにろくな女がこの世に少ないか、を大演説(自嘲を込めてあえて大演説と表現しよう)していた。そしての前のその異性がいかに、そういった「ありふれた女」と別格であるか、を説明した。そのあとその子は何ていったか。
「私はあなたの思うような立女性ではありません。私はあなたが『ありふれた女』として私のことを好きになってくれたと思っていました。だから、あなたの今の話に、私は本当に傷ついたし、もう一緒にやっていくことはできないと、心の底からわかりました。」
そう話すなり、その子はぼくの前でしくしくと、泣き出してしまった。
そのときは、何故なのか全くわからなかった。だってぼくは、相手のことを誉めていたんだよ?それも、これ以上ないというくらいに誉めていたのに、何故泣いてしまうのだろう。とにかく、その子とはそれっきりだった(何を言っても、全に心を閉ざされてしまったのがわかるんだ。結果的には本当にわかりやすい『の終わり方』だった)

そうすると今ぼくのこのりを聞いた君も、泣いているのだろうか(もっとも、今のこのは君に届いていないわけだが)君もやはり同じように「自分はあなたの思うほど立人間ではない。ただの『ありふれた女』なのだ」と、思うだろうか。

ちなみに、先ほどの異性の前でぼくが彼女のその言葉を聞いたときに、無様にも最後の「あがき」を行ったときに、どんな話をしたか。恥ずかしいが、話したことをそのまま書いてみよう。

「今そんなに、結論をつけないでほしい!結論をつけてしまったら、終わりだ!あなたは今、何もわかっていないだけなんだ。こう考えてみてほしい、もしぼくも、あなたと同じような『ありふれた男』なのだとしたら?今も、自分が何をできるかもわかっていない、それなのに、相手の心が自分から離れていくことを、子供のように恐れている、ただの弱い人間なのだとしたら?お互いに見栄をりすぎたんだ!素直になって、もう一度初めからやりなおせば、絶対に何もかも…」

やめよう。こんな恥ずかしい、しかも卑怯な言葉をぼくは見たことがない。最低のことをしているね。何より過去にぼくと係ったその異性のことを貶めている。自分でやっておいて、最低だ。ぼくは前に「書いたことの取り消し」はしないと言ったが、こればかりは取り消したいとも思う。でも、書いてしまったから、そのままにしておこう。もっとも、本当に昔のことだ(もちろん君と会うよりも)その相手も今頃は幸せになっているのかもしれない。

ぼくはただ「寂しさを埋める方法」としての)のあり方に、若干疑問符だけをつけて残しておくとともに、多少の結論のようなものをつけておきたかったんだ。そのために、思わぬ出し物をしてしまった。ここが君にの届かない場所でよかったと思う。

想の悪い店員コーヒーカップを片付けられてしまった。そろそろお店を出よう。



そもそも結論なんてものは、期待するだけ駄だ。
ぼくが思うこと、人類は尊い。自分達の命を残すことについて、本当に必死だ。どんな不なものもそのことだけは真剣に考える。
人のその真剣さには、脱帽する。
ときに罪を犯し、お互いを殺傷しあってでも、人は人を、ここまで残してきた。
これほど成功した生命体は存在しないという事実だけが、人類の誇りだと思わないか?

気の遠くなるほどの長い時間をえてきた人類の営み、生命の営みにべれば、概念などというものは、歴史が浅い。などもっと浅い。
だから、営みの実像に、への考察が今も、追いついていないのだ。(もっともそれは作家責任でもあるかもしれない)だから不満が残る。

おそらく今の時代にまっとうに命を残すためには、理由を全に忘れ去らなければならない。
自分は動物であるという事実かと番いにならなければ受精が起こらないという生々しい事実
事実だけを直視して、一の間、全ての悩みを忘れなければならない。

今ぼくも、そうして悩みを全て忘れようと思う。今からぼくが行うのは思索ではなく「行為」だ。そして以下に「説明」だけを与えよう。
どのようにしているか。ぼくは今、綺麗に片付けられた部屋の中心で、裸に一枚の姿でいる。これは君のを呼ぶための「儀式」のための装束だ。
周囲には8枚のを(八方に均等の距離で)置いている。どれも自分の全身が見えるほどの大きなものを用意した。同士が反射し合い(いわゆる「合わせ」というものだ)自分の姿が数に見えている。始めよう。

の前に見えている自分は、自分ではない。ぼくの身体は、君の身体だ。そう今の前に数に広がるのは、君の身体なのだ。しかしその身体はぼくのとつながっているから、ぼくはぼくでありながら、君の身体を動かすことができる(ついてこれているかい?ああ、聞えていないのだった)
今、ぼくは「手」を動かしたよ。次は「足」を動かそう。次は「頭」だ。ぼくはしない。君の身体を動かせるのだから。

不思議とあわせの方の動きが、遅くなっているような気がする(なぜだろう?)ぼくは中で、君の身体を動かしていく。
次に動かすのは、どこだ?(選択権はぼくにある)「背中」か「」か。

そう、ここだ。
どこなのかは、ご想像におまかせするよ。

ほら、動いている、動いているよ。動いてはいけない方向にまで、動く動く。まだ動く。
ちなみにもう、は取ってしまっている。合わせに映っている君の身体は全な「裸体」だ。(もっとも、何かおかしなものがぶら下がっているけども、これは君のものか?)まだ動く、ああ!動いている!動いているよ!

あぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!この刹那
ぼくたちは、同じ身体に!
あぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!ああ!遠くに!走り出してしまう!
人類はいかに!新しい命のために!
そこに新しいが!見えるのはだろう!そのも、太陽も!すべてぼく一人のものだ!
すべては一つの世界に!
あぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!
あぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!
宇宙のために!ぼくたちは!
やめてはならない!この身体が動く!動いているのなら!
ああなんて美しいだろう!
そのすべてがぼくたちの宝石だ!
全ての大地と、自然感謝して!
世界の終りを、ぼくたちは確かめよう!
あぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!
千尋!あぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!千尋!ぼくはここだ!〔※濡れた跡があり文字の端が滲んでいる〕
あぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!
きっとそこには柔らかいものばかりがある!
何の恐怖も、痛みもない!全な世界なんだ!
全な世界を君とともに!
〔※用が破損しており読めない〕



〔※白紙〕〔※用に何か弾のあるものがついている〕




 パカッ パカッ パカッ


 どうしたの?


 いいえ。


 一緒に乗っていきましょうよ?


 いいえ。


 なぜ?


 あなたは王女様です。


 どうして?


 王女様は民のみんなをさねばなりません。


 なぜ?


 それが王女様というものです。


 一緒に乗りましょうよ?


 いいえ、いけません。


 なぜ?


 わたし王子ではないからです。


 どうして?


 王子とは王子に生まれるものだからです。


 なんで?


 なんででも。


 なんでなんでなんで?


 なんででもです。


 なんでなんでなんでよぉおぉおおおおお!
 なんでよぉおおおお!
 いじわるいじわるいじわるいじわるだよぉおおおおお!


 駄々をこねても駄なものはだめです


 じゃあおしこするもん!


 それもだめです


 絶対する!ここでする!絶対するったらする!
 するするするするするするするするするするするするするするするするするするするする!
 するの!


 王女をやめてもいいなら、勝手にしなさい。


 王女やめないもん!でもするもん!


 そんなことはできません。それがしきたりです。


 そんなしきたりやめるもん!


 やめられないから、しきたりなんです。


 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!
 絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!


 王女をやめてもいいのですか?


 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!


 ほら、もう走り出しましたよ。


 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!
 絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!
 絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!
 絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!
 絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!絶対やだ!


 やれやれ、とんだじゃじゃが生まれてしまったな。


 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ
 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ
 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ
 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ
 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ




 あなたはずっとそのままですよ。



 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ



 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ



 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ



 やだやだやだやだやだやだやだやだ



 やだやだやだやだやだやだ





 やだやだやだやだ  







 やだ やだ やだ







 やだ やだ
 



 やだ







 やだ






 …























 …



























 …
















 もしも












 世界平和になって、




 もが笑える世界に、




 わたしちみんなが、




 今とは違う生まれ方をしていたら、





 そのときに、 





 また、会いましょう。





 いつか、





 どこかで。 
















〔※白紙



ここはいったいどこだろう。
忘れてしまった。
自分は誰だろう。

一つ一つ、おぼろげに、思い出す。
暖かい、香り、
手のぬくもり…
この手は…

をみていた。

君は裸で、

に、乗っていた…

どこに向かえばいいのか、今の自分はわかっている。
残されている時間はほんのわずかで、あるけれども。
今からそこへ行こう。

随分沢山の寄りをした。
でもおかげで今のぼくは、色んなことをわかっている。
人をする、ということ、
人が人にされる、ということ、
全てが手触りのあるものとして、ぼくの近くにある。

きっと遠くにいるだろうと思っていた。
でもそんなことはない。答えは簡単だった。
ほんの少し、事態を外から見るがあれば、簡単なことだった。
そこに向かえば、よかったのだと…。

もう少しだ、本当にもう少しだよ。
何もかもが、一つになるときがきた。

愛している。愛しているよ。



〔※押しが貼ってある〕

明日



そして今ぼくは、病院の待合室にいる。

ぼくの今の心は、おそらく地球上のどの動物よりも穏やかで、穏だ。
どんなこともまっすぐに表現することができる。
そして勇気もなく、心も弱かったばかりに、ずっと待たせていたこの言葉をやっと君に伝えることができる。
千尋結婚しよう。

君の答えは先に聞いていたわけだから、もういらない。
決して言葉が足りているとは思っていないが(謙遜ではない)
あとはぼくたちが、めぐり合うだけだ。
そしてその場所は、もうそこにある。

そろそろ時間だ。これは問診表だったよね?最後に手短に要件を書こう。
実はこのところ少々熱っぽくてね。見てほしいんだ。
君の診察、楽しみにしているよ。


 もっとも身近なしみと永遠のを込めて Takefumi(M)


■いつ頃からですか?

 君が望むなら、何時でも。 


■(女性のかたへ) 現在妊娠の可性がありますか?

 代わりたいところだが。


■(男性のかたへ) 現在DTですか?

 まあね。





ご協ありがとうございました

ちーめろでぃ院長&サトウキビナース(見習い)

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1 ななしのよっしん
2014/01/01(水) 19:53:24 ID: d/aBq/67km
吐き気を催す狂気とはまさにこのことですね・・・

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