イスの大いなる種族(Great Race of Yith)とは、クトゥルフ神話に登場する精神寄生体。
イースの大いなる種族/イースの偉大なる種族と表記される場合もある。
原文では「Great Race of Yith」と表記される。
イスとは約6億年前に滅亡しつつあった銀河の名前で、精神寄生体そのものの名ではない。
また、彼らを呼ぶ際に“大いなる”と付くのは、彼らが三次元に実体を持ちながら、時間の秘密を解き明かした、唯一の種族である事に由来する。
初出はH.P.ラヴクラフトの著作『超時間の影(原題:The Shadow out of the Time)』。
彼らは様々な時代や種族の肉体に、時間を越えて寄生する事が出来る。
イスの大いなる種族は、精神寄生体であるため、その実際の容姿は不明である。
地球においては、イス銀河の滅亡に際し、同時代(約6億年前)のオーストラリアに生息していた半植物に寄生し、当時の地球を支配していた「盲目のもの」「フライングポリプ(flying polyp)」と呼ばれる生物との戦いに勝利した。
後に、この盲目のものと呼ばれる存在が地球上に再来する事が判明すると、それに併せて人間の滅亡後、地球上で栄える事になる強壮な甲虫類の肉体に転移する。
イスの大いなる種族が時間を超えた精神寄生を行う目的は、大別して2種類ある。
そのひとつは、あらゆる時代の文明や文化、科学や魔術など、ありとあらゆる知識を集積し、自らの種族の維持、発展に利用する事があげられる。
この寄生に関しては規模も小さく、対象の時代に可能な限り影響を与えないように行われる。
なお、寄生の対象には、まず、調査対象となる時代の中でも優れていると判断された種が選ばれ、更に、その種の中でも特に知識の深い個体が厳選され、選出される。
そして、イスの大いなる種族の個体(こちらも厳選される)との、精神交換によって時間と場所を超越する。
この際、調査対象の時代から精神交換によってイス側の時代に送られてきた個体は、イスの大いなる種族が調査を終えるまでの間、精神交換したイスの大いなる種族がもともと寄生していた、全滅の危険性が低い強壮な種族の肉体に止め置かれる。
その間は軟禁状態にあり、自身が住んでいた時代の知識を聞き取りされる事になるが、一定の自由を保障されており不自由のない暮らしを与えられる。
彼らの調査が終わると、再度、精神交換によって元の時代に戻されるが、それは彼らの調査が終了した後、大体が数年後の未来となる上に、精神交換中の記憶は削除されてしまうため、自身の肉体に戻った際には、彼らが行った調査中の奇妙な行動と併せて、その間は精神錯乱状態にあったと判断されてしまう。
なお、極稀にであるが、元の時代に戻される際に記憶の削除が不十分な場合がある。
この際、その記憶は夢などを通じて思い起こされる。
このような事故に関して、イスの大いなる種族の対応は作者によって異なるので明記は控える。
寄生のもうひとつの目的は、イスの大いなる種族が種の絶滅を回避することにある。
この寄生は大規模なもので、絶滅の危険性の低い種族を選抜し、イスの大いなる種族が種全体として、選抜された種族全体の肉体を乗っ取るような形で行われる。
これを繰り返す事で、イスの大いなる種族は、種全体の保存を行っている。
残念ながらドマイナーな存在であり、タグもほとんど見かける事はない。
「イス/イース」という名称は、日本ファルコムのゲーム『イース(Ys)』や、ABC制作のアニメ『フレッシュプリキュア!』に登場する敵幹部の名前などが有名であるが、それらの名付けの元ネタはいずれも本項目とは関係ない。
オーストラリア西海岸からド・グレイ河の支流には分け入るなよ!
絶対分け入るなよ!
掲示板
63 ななしのよっしん
2018/12/11(火) 12:30:51 ID: 6ojh2OIKs9
『アスタウンディング』1936年6月号に初掲載された『超時間の影』でハワード・V・ブラウンが描いた挿絵、
人間のままの姿をしたピースリーさんが大いなる種族と話していたり、情報収集のために呼び集められた異星のBEM達(古のものも一体混じってる)と同席しているというアレンジ設定になっているのが興味深い。
大いなる種族の肉体に閉じ込められた人々だけじゃなくて多様なクリーチャーを描きたかったのかブラウンさん。それとも編集部の依頼なのか。
64 ななしのよっしん
2019/01/12(土) 11:59:57 ID: IgM8Pq7fM8
神我狩リプレイでもサキミタマとして人間に擬態したイス人PLが出てた
65 ななしのよっしん
2019/05/10(金) 21:37:28 ID: K0juaaGnRH
別の種の身体を乗っ取るって、こいつらにとっても相当なストレスになってる様子なんだよな
こいつらが最初に地球にきた時も、最初は慣れない身体に大勢が発狂して死んだって顛末が語られてるし
仮に乗っ取りがうまくいったとしても、精神が神経組織の構造や各種の神経伝達物質と無縁でない以上、地球にきた時点で「イスの大いなる種族」は生まれ故郷にいた頃とは実質的に別物になってるんじゃないのかな、と思う
それでもこいつらが集団移転をするのは、所詮有限の存在である生命には遅かれ早かれ確実に訪れるカタストロフを回避するためで、そう考えるとなんとも逞しい連中だと思う
こいつらも古のものも、ある意味では人間と同じ側にいるんだよな、広大無辺の宇宙に放り出された有限の存在、という点で
宇宙の無常に恐怖してたラヴクラフトにしてみれば、こうやって「続いていく」存在をどこかに置いておきたかったんだろうなぁとも思う
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最終更新:2024/04/25(木) 10:00
最終更新:2024/04/25(木) 10:00
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