オンノジとは (オンノジとは) [単語記事]

オンノジとは、施川ユウキのギャグ漫画である。ヤングチャンピオンにて2011年から2013年まで連載されていた1巻完結漫画。

概要

ある日突然、人が消え去った世界を主人公の少女、ミヤコが彷徨う場面より始まる。どれだけ探し回っても街には人どころか動物の影すら見えない。それどころか世界は下記のように変わり果てていた。

シュールギャグ風の世界ではあるがこんな世界に突然たった一人取り残されるのだからホラーにも似ている。

あなたがミヤコの立場だったらどうするだろうか？呆然とする？泣き叫ぶ？絶望する？

ミヤコはどれでもなかった。そう、この作品はこんな世界観でありながらあくまでギャグ漫画。変わり果ててしまった世の中でたった一人になってしまった暢気で元気なミヤコが、豊かな感受性と想像力でこんな世界の不可思議な部分に素直に驚き、楽しいことを想像し明るく過ごしていく。

しかし、そんな風に過ごしていても、孤独と不安はミヤコの傍らに確実に横たわっていた。やがてそんなミヤコにフラミンゴに姿が変わってしまった元男子中学生のオンノジが現れて…。

読者に清々しい読後感を与え温かい気持ちになれる作品である。

ミヤコ
主人公の女子小学生。ある日突然誰もいなくなった不思議な世界に取り残される。自分の名前以外、過去の記憶を失っている。
オンノジ
元男子中学生のフラミンゴ。ある日起きるとフラミンゴの姿に変わっていた。「オンノジ」はミヤコに付けられたあだ名であり本名ではない。本作のツッコミ役。

この作品の連載開始直前に東日本大震災が起こっており、作品の方向性に影響を与えた。当時被災者をはじめ日本人の多くが感じたであろう突然日常が打ち破られたあの感覚が作品に強く投影されている。

オンノジはギャグ漫画でありながら震災後の世の中をどう捉えて過ごしていけばいいのか、不安で寄る辺無い者たちに施川が少々変わった視点で一つの道筋を示した作品でもある。

この作品の「人がいなくなった世界」は施川がTVで見た震災直後のゴーストタウン化した東北の街、および映画「アイアムレジェンド」からインスピレーションを得たものである。
変わり果てた世界の中、孤独と不安に立ち向かう主人公たちのように連載中の施川も孤独を不安を背負っていたため共感しながら描いていたという。もっとも施川の抱いていたのはこの作品が掲載紙の他作品と比べて明らかに浮いているという孤独と、単行本が出ないんじゃないかという不安だったのだが。